201位 A Tribe Called Quest 『Midnight Marauders』
デ・ラ・ソウルやビースティ同様、90年代ロキノン誌面で好意的に扱われていたこともあって、俺世代のロック・ユーザーにも比較的馴染みが深いトライヴ・コールド・クエスト、43位『The Low End Theory 』に続いて、3枚目もここでランクイン。確かこのアルバムがリリースされた1993年くらいで、アメリカ国内ではヒップホップのアルバム売上がロックと並んだか、それか抜いたりした頃で、勢力図が大きく変わった。まぁ俺は相変わらず、流行りとは全然違うモノ聴いてたけど。
まだサブ・カルチャーの中で音楽が大きな割合を占めていた時代、当時のストリート系ファッション雑誌にも、彼らを始めとして、ヒップホップ系のアルバム・レビューや広告が、結構な割合で載っていた。なので、名前や存在は知らなくても、彼らの音やビジュアルに記憶がある団塊ジュニア世代は結構多い。
『Boon』などのカルチャー系ファッション雑誌が誌面を割いてフィーチャーしていたのが後押しして、日本にもヒップホップ・カルチャーの土壌が根付きつつあった。ただその反面、そんなビッグ・ウェーヴを先導するはずの音楽業界はむしろ後追い、及び腰だった。
一部の現場を知るスタッフを除いて、リリース権限を握るディレクターや営業・管理部門、また雑誌メディアの多くがロック主流だったこともあって、取り扱うノウハウがなかった。R&Bとモータウン以外のボキャブラリーがない当時の彼らにとって、ヒップホップとは異質の存在だった。逆に小難しく考えず、「踊れて楽しくて時々オラついて、ノリが良ければいいんじゃね?」的なファッション/ストリート系からのアプローチによって、日本では地道に根付いたんじゃないかと。
で、ストリート系とは縁のない人生を送ってきた俺は、この時代のトレンドの音をちゃんと聴いていない。今は、おおよそどのジャンルでも抵抗なく聴くようになっちゃったけど、当時は何かとこじれてたんだよな俺。
前回201位はNine Inch Nails 『The Downward Spiral』。今回は122位。
202位 Björk 『Homogenic 』
最初に彼女の存在を知ったのは、アイスランド出身の新人バンド:シュガーキューブスとして。彼らがデビューした80年代、ロック・バンドといえばアメリカかイギリス、ぎりぎりカナダかアイルランドくらいで、その他の国のバンドが日本で紹介される機会は、ほとんどなかった。
なので、ていうか「アイスランドってどこ?」という印象の方が強かった。今もどの辺なのか、よく知らない。
当時、ロキノンでもそこそこ不定期に紹介記事やインタビューが掲載されて、それなりにプッシュされていた記憶があるのだけれど、そこまで食いつきはしなかった。俺同様、みんなそんなに食いつかなかったのか、日本ではそんなにブレイクすることもなく、いつの間に解散していた。
で、そのままきちんと向かい合うこともなく、現在に至る。俺の中でビョークとは、どうにも捉えづらく、ピンと来ない存在なのだ。
なので、今回初めてビョークと向き合ってみた。「変な声とエキセントリックな唱法」という括りで言えば、オノ・ヨーコと共通項が多いのだけど、ちゃんと聴いてみると、音楽への向き合い方は微妙に違っている。
アーティスト:オノ・ヨーコにとって、音楽とはコンセプチュアル・アートの一環とであり、様々な表現手段のひとつでしかない。「既存概念の打破」という60年代的アイデンティティのもと、再構築と脱構築を繰り返すヨーコに対し、ビョークの場合、もっと音楽「だけ」に対しての向き合い方が切実だ。
「どんなサウンドでもOKよ、ぶっ壊してあげるから」というヨーコとは違い、「この声を、キャラクターを活かせる理想のサウンドを探し続ける」ビョーク。「ロックしか表現手段がなかった」バンド時代を経て、ようやく「エレクトロニカ」という道具を得た。そのひとつの到達点が、このアルバムだったんじゃないか、と。
『Homogenic』の2年前にリリースされた『Post』が、369位→376位→289位。徐々に上がってる。「ロックのフォーマットの範囲でオリジナリティ出してみました」的な『Debut』→「ロックじゃなく、テクノ/EDMとの相性ががいいことに気づいた」『Post』、で、その最終形が『Homogenic』。
その後、『Dancer in the Dark』にて、コンテンポラリー・ダンス的なミュージカルという表情を見せたり、貪欲なビョーク。音楽に限らず、理想の表現手段というのを模索しているようにも見えるし、また、急に全部ほっぽり出して隠遁してしまうんじゃないか、といった危うさも孕んでいたりもする。
前回202位はSimon & Garfunkel 『Parsley, Sage, Rosemary and Thyme』。今回は圏外。あら、この古典もランク落ちか。
203位 Nick Drake 『Pink Moon』
商業的成功に恵まれることなく、26歳の若さで夭折したシンガー・ソングライター:ニック・ドレイク。シンプルな弾き語りスタイルの男性アーティストがわらわら湧いてきた時代で、多分いまもアメリカ中部の片田舎には、彼にリスペクトされたアマチュア・シンガーやインスパイア系セミプロが、少なからず生息していると思われる。
ジャクソン・ブラウンやニール・ヤングのように、理不尽な社会への批判や問題告発など、「自分はこう思うんだ」と広く訴えかけることはなく、彼の取り上げる主題はもっとパーソナル、「自分:それ以外の他者」で語られるものである。一応、ラブソングめいたものもあるにはあるんだけど、消極的な自己愛めいたものばかりで、共感を得るにはちょっと対象が限定される。
「わかってもらえなくてもいい」と思って歌ってても、その歌を捧げる対象がいるはずで、その対象にだけは理解してもらいたいはずなんだけど、それすらも放棄しちゃってるわけで。もはや、バック・バンドをつけることも拒否し、ギター一本で自分に語り掛ける、ていうか、人に聴かれることすら拒んでしまう、そんなデモ・テープのようなサウンドは、よく言えば「混じりけのないピュアな感性」と言うことなんだろう。
80~90年代のUSオルタナ系、特にラウド/バイオレンス系のアーティストが、バンドとは違うテイストでソロを作ると、おおむねこんな感じに仕上がる。って言ったら通じるだろうか。ジョン・フルシアンテの初期ソロ作が、こんな感じに近い。イヤもっとダウナーか、本家の方が。
他のランキングを見てみると、2作目の『Bryter Later』が初版242位にランクインしているけど、以降圏外。デビュー作『Five Leaves Left』も、初版280位以降は圏外。一応、生前のオリジナル作はすべてランクインしている。こういった雰囲気が好きな人にとっては、たまらないんだろうな。でも、本当にサウンドや歌が好きなのかと言えば、それはちょっと疑問だけど。
前回203位はMichael Jackson 『BAD』。今回は194位。
204位 Kanye West 『Graduation』
このレビューを下書きしていた8月中旬時点では、まだリリースされていなかったニュー・アルバム『Donda』。延期に次ぐ延期が重なって、8月末、やっと配信リリースされた。事前リークを恐れて、ギリギリまで引っ張るのは、近年の大物アーティストの傾向ではあるけれど、ここまで引っ張るのはなかなか珍しい。
全然関係ないけど、その『Donda』のデータを入れたステムプレイヤーなるものが発売されている。『Donda』で使用されたヴォーカルやリズム・トラックを自分でカスタマイズしてオリジナル・ミックスを作ることができる携帯プレイヤーであり、これが今後の音楽業界のひとつの潮流になる、のかどうかは不明。話題作りとしては、まぁ軽いジャブ程度かな、現:Ye。
センテンスを限界まで詰め込んで、速射砲のように繰り出すギャングスタ・ラップに対し、ユルく穏やかで、「音楽的で、しかも聴きやすい」スタイルを確立したのが元:カニエ・現:Yeだった。マニアックかつ閉鎖的な方向に収斂しつつあったヒップホップを、再び大衆的なオーバーグラウンドに引っ張りだしたことで、「オラつかないラップ」は市民権を得た。
ちなみに先行公開されたCMの曲、普通にいいんだよな。変なスピリチュアル風味、Ye要素もないし。
前回204位はBob Dylan 『Modern Times』。今回は圏外。
205位 Cat Stevens 『Tea for the Tillerman』
「名前だけは知ってるけど、ちゃんと聴いたことがないアーティスト」がまたまた続く。初版から大きな順位変動もなく、安定したチャート・アクションからすると、どうやらアメリカでは地味に支持されているらしい。
前述のニック・ドレイク同様、70年代男性シンガー・ソングライターのセオリーとして、もっとゆったり・ほのぼのしてる印象だったのだけど、全体的にニックよりもポップである。ていうか、あれよりダウナーなシンガーってなかなかいないよな。
で、ステーィヴンス、時に感情のほとばしりがヴォーカルから窺えたり、かと思えば、しっとりしたバラードも押さえており、A面・B面飽きずに聴き通せるよう、ちゃんと構成とバランスを考えて作られている。プロデュースもしっかりしていたんだろうし、またちゃんとアドバイス取り入れたんだろうな、当たり前だけど。
ちなみに3曲目、「どこかで聴いたことある」って思ってたら、「Wild World」。ずっとMr. Bigがオリジナルだと思ってた。彼らの曲では最も知られてる曲だし、俺も彼らの中では唯一好きな曲だったんだけど、なんだそうだったのか。一世一代のホームラン打ったよな、って思ってたんだけどなエリック・マーティン。
ちなみにスティーヴンス、マリブでのバカンス中に溺死しかかったことを契機にイスラム教に改宗、同時にユスフ・イスラムと改名して芸能界を引退、その後は難民支援を中心とした布教活動に専念し、20年以上表舞台に出なかった。ちなみにその間、同じく難民支援を目的としたライブ・エイドの出演オファーを受け、満員のウェンブリー・スタジアムで久し振りに歌う予定だったのだけど、彼の前に出演していたエルトン・ジョンのステージが長引いた煽りを受け、結局出演できなかった、って逸話が残されている。
空気読めよ、エルトン、って思ったけど、できないよな。ウケてるって感じたら、さらにヒートアップしてさらに盛り上げようとしちゃう人だし。
このアルバムの前にリリースされた1970年リリース『Mona Bone Jakon』収録の「Lady D'Arbanville」を、岩崎宏美が1979年のアルバム『恋人たち』でカバーしている。ちょうどアイドルからの脱皮を図り、洋楽中心のカバー・アルバムや、今ならシティ・ポップにカテゴライズされるAORタッチのLAレコーディング・アルバムなど、かなり攻めていつつ模索中だった時期の作品。この曲は歌謡曲寄りのアレンジだけど、同時期のオリジナル・アルバム収録曲は、結構あなどれない。本題とずれちゃうけど、一度聴いてみて。
先日、YouTubeの番組で12歳で自殺を図ったことを告白したリル・ウェイン。最近は何してるのかと思ってたけど、どうやらあんまり目立った音楽活動はしてないっぽい。
ヒップホップ系が続くけど、これはもう古典、クラシック。教科書に載ってるレベルの伝説ラッパー・トリオが、ここで初ランクイン。
前回205位はCream 『Wheels of Fire』。今回は圏外。あらら古典なのに。最近クラプトン、ウケが悪いもんな。ヴァン・モリソンと組んだあたりから。
206位 David Bowie 『Low』
日本やEUでは、いまだ別格的な人気があるベルリン三部作だけど、アメリカではあんまり受け入れられなかったのか、3枚の中ではこれが最高位。前もどこかで書いたけど、『Heroes』が入ってないんだよ。この前の『Station to Station』は52位なのに。
とはいえ、80年代の『Let's Dance』が初ボウイだった俺にとって、この時代の作品はずいぶん後になって聴いたものなので、馴染むまでに時間がかかった。「売れること」「ポップであること」を至上命題とし、エンタメ路線に徹しきった『Let’s Dance』に対し、壁崩壊前のベルリンで産み堕とされたアルバム群は、その対極にあるものだった。
ポップ・スターを演じるストレスやプレッシャー、それを紛らわせるために乱用したドラッグによって、心身ともに蝕まれていたボウイは、盟友ブライアン・イーノの力を借りて、「誰も耳にしたことのない音楽言語」の創出に没頭する。ていうか、そこに没頭するしか救いがなかったのだ、当時の彼は。
決して前向きとは言えない動機と発露による音の塊は、時に痛々しく、そして、聴く/発する者の感性を容赦なく傷つける。ひしゃげたドラム・サウンドが新鮮な「Sound and Vison」はまだポップの余韻があるけど、アナログB面なんて、人生ひと回りして達観してないと、素直に受け入れられるものではない。
もしかしてリアルタイムで聴いてたら、単純に「スゲー、カッケー」ってなっていたのかもしれないけど、あらゆる予備知識を先に入れてしまってから聴くとなると、そこまで素直に受け入れづらい。特にこのアルバム、ボウイのアルバムの中ではCD化が遅く、手軽に聴く機会がなかったため、余計に神格化されていた。
「多分、俺の理解が足りないのだろう」と思いつつ、これまでに何度も聴き返してきた。「よくわかんねぇ」と思いつつ、結局一度聴くと、最後まで聴き通してしまう。で、また何年かおきに思い直して、の無限ループ。
「しっくり馴染まない」と思いつつ、多分『Let's Dance』より聴き返している『Low』。また事あるごとに、時折聴き返すのだろう。
吉川晃司が「Ashes to Ashes」をカバーしていることを知り、早速聴いてみた。ダークな打ち込み主体のインダストリアル・デジ・ロックで、確かにボウイがセルフ・カバーしたら、こういったアプローチになるんだろうな、って感じ。ただ1998年の吉川といえば、アーティスト・パワーとしてはちょっと停滞気味、あんまり目立った活動してなかったよな、って印象だったのでwiki見たら、「所属事務所の経理担当が資金使い込みで事務所解散→独立して採算取れるまで12年間事務所スタジオで寝起きしてた」ってエピソード読んで、これ以上何も言えなくなった。這い上がって来た人って、やっぱ強いよな。
前回206位はPrince 『Dirty Mind』。今回は326位。イヤもっと上でもいいだろコレ、って思ったけど、ジャケットがセンシティヴなのが敬遠されたのかな。知らんけど。
207位 Eagles 『Eagles』
アメリカ人ならみんな大好き・イーグルス。これがデビュー作。シングル・ヒットした一曲目「Take It Easy」が象徴するように、呑気で穏やかなカントリー・ロックで統一されている。
前述したニック・ドレイクのように陰鬱にならず、キャット・スティーヴンスほどパーソナルな主題でもない、西海岸を象徴する、カラッとしたマイペース。リリース当初はあんまり売れなかったらしいけど、「まぁそのうち何とかなるさ」的な、そんな欲のなさが時代を超えて、万人に受け入れられる要素なんじゃないかと思われる。ある意味、幻想の中での「平均的な小市民アメリカ人」を象徴してるんだよな、彼らって。
目立ちはしないけど安定したアンサンブル、力強さと繊細さを兼ね備えたハーモニー・ワーク。ほどほどにロックに、時にポップなロッカバラードを織り交ぜたり、バラエティにとんだ曲調、大筋は似通っているけど、微妙にタイプの違うグレン・フライ/ドン・ヘンリーの双頭リード・ヴォーカル。
こうやって書き出してみると、際立ったところはないんだけど、どれも及第点・80点以上を確実に取る優等生である。しかも、それが鼻につくわけでもなく、変に媚びた感じでもない。
建国200年を知っている世代のアメリカ人が思うところの「普通のアメリカ小市民」、それがイーグルスである。もう、そんなのは幻想になっちゃってるんだけどね。
評判はいいけど売り上げが伸びなかったイーグルス、さすがに3枚目制作時にはアサイラムが口を出すようになり、従来のカントリー・ロックを軌道修正、ハードなロック・テイストを導入し始める。その到達点となったのが、みんなご存じ『Hotel California』なのだけど、すべて出し切った感と次回作へのプレッシャーがメンバーを押し潰し、遂にバンドは崩壊してしまう。
変に欲張らず、デビュー時の路線のままだったら、もしかして今も変わらず活動し続けていたのかもしれない。その方が、メンバーにとって幸せだったのかどうか、その辺はちょっとわからない。
ただ、それじゃいくら続けても、せいぜいアメリカのローカル・バンド、ボブ・シーガーや、それこそアメリカ程度で終わってたんだろうな。それでも充分、食っていけたんだけど。
「Take it Easy」ならいくらでもあるんじゃね?とタカをくくっていたけど、案外日本人カバーがなく、じゃあこのアルバム収録曲に限定せず、狩人「ホテルカリフォルニア」級のインパクトのあるカバーを探し回ったけど、普通のカバーばかり。なので、ここはオーソドックスな竹内まりや。
2019年リリースの3枚組ベスト『Turntable』のカバー集に収録されている「Tequila Sunrise」。ちなみにこのトラック、いつもの達郎サウンド・プロデュースではなく、旧知のセンチメンタル・シティ・ロマンスとの生セッション。いわば久しぶりの再会を祝してのゆるいセッションではあるけれど、歌も演奏もレベルが高いだけあって、安心して聴くことができる。
前回207位はSantana 『Abraxas』。今回は334位。
208位 Lil Wayne 『Tha Carter III』
先日、YouTubeの番組で12歳で自殺を図ったことを告白したリル・ウェイン。最近は何してるのかと思ってたけど、どうやらあんまり目立った音楽活動はしてないっぽい。
いわゆるオラついてる系ラッパーなので、当然、関心も興味もなかった俺だけど、一応、最初から通して聴いてみた。もう12年も前の作品なので、最近のUSヒット曲と比べて「音数多よな」っていう印象。ヴォーカル抜いたらほとんどクリック音だけのような昨今と違い、センスが問われるバックトラックのメイキングの妙は、よく知らん俺でも伝わってくる。
それより耳を、いや目を引いてしまうのが、収録各曲の邦題。「俺はミリオネア」「ミスター・オフィサーのセクシー取調室」「ゲトるが勝ち」とか、もう脳筋だけで思いついたワードの羅列。イヤそういったキャラ設定なんだし、ターゲットもそういう客層に向けてるんだろうけど、でも何十年か経って「思い出の曲は?」って聴かれて、返答に困っちゃうよな。変に分別ついて落ち着いちゃったら「コーソクの法則です」なんて言えないもの。
90年代以降のラップ/ヒップホップ系のアルバムは、とにかくコラボものが多く、ここでもベイビーフェイスとのコラボが収録されているのだけれど、やっぱこれだけデキが違う。オラオラ系が好きな人にとってはヌルいトラックなんだろうけど、そこまで沼に浸かってない俺、ビギナーには優しい曲となっている。
他のランキングは、『Tha Carter II』が初登場370位。どうやら連作になっているらしい。ちゃんと調べてないけど、おそらくきっとそうだ。
前回208位はCat Stevens 『Tea for the Tillerman』。今回は205位。
209位 Run-DMC 『Raising Hell』
ヒップホップ系が続くけど、これはもう古典、クラシック。教科書に載ってるレベルの伝説ラッパー・トリオが、ここで初ランクイン。
「アメリカで流行ってるらしいラップという音楽」を、「リズムに乗ってしゃべり倒す」という一番わかりやすい形で、日本のお茶の間に伝えたのが彼らだった。ていうか「Walk This Way」というトラック。さらに言えば、あのPV。
長らく燻っていたロートル2流バンド:エアロスミスを引っ張り出して、半分おちょくり/半分リスペクトしたストーリーの映像は、確実にロックとヒップホップとの壁に風穴を開けた。エアロスミスの存在すら知らなかった状態でPV初見して、そりゃ何言ってるかさっぱりわからんけど、ベタなストーリ展開で笑ってしまう、あの衝撃といったらもう。
エアロ側からすれば、音も存在も、いわばネタに使われた形で、プライド高いバンドだったら絶対断ってる案件なんだけど、彼らにとってのプライドが「そこ」じゃなかったことは、その後のブレイクぶりから窺える。グダグダの形でケンカ別れした後、再結成したはいいけど上がり目も何もなかったこの時期の彼らにとって、どんな形であれチャンスを掴み、それを踏み台にしてきたことで、今の彼らがある。這いつくばって泥を舐めようと、とにかく売れることが、彼らのプライドだったんだから。
ちなみにこの曲、エアロ・ヴァージョン初出自の邦題が、そのまんま「お説教」。後追いで原曲聴いてみたけど、驚くほどそのまんまだった。
単純にラップ・パート足しただけじゃねぇか、コレ。黎明期のヒップホップは、とにかく早い者勝ちだった、ってことを象徴するエピソードである。
他のランキングは、デビュー作『Run D.M.C.』が237位→242位→378位。
前回209位はPearl Jam 『Ten』。今回は160位。
210位 Ray Charles 『The Birth of Soul』
1991年にリリースされた、1952年~59年までのアトランティック時代、全盛期を総括した3枚組のボックス・セット。80年代中盤から、有名アーティストのCD化トランスファーが始まり、それが一巡した頃にブームとなったのが、ボックス・セットの編纂だった。音楽業界はまだバブルだったし、世界的にもアーカイブへの需要が高まっていたこともあって、結構マイナーなアーティストのセットもリリースされていた。
レイ・チャールズの場合、ロックンロール黎明期のレジェンドであって、わかりやすい例えで言えば、ビートルズの誕生以前にとっくにピークを迎えており、その後はワンパターンを繰り返すだけだった。普通ならロートルとか老いぼれとか、批判されることもおおいポジションのはずなのだけど、そういった話はあまり聞かない。
歌とピアノでの弾き語りスタイルでスタートしたレイ、時々オーケストラやバンドとの共演もあったけど、その本質はソロだった。音質の違いはあれ、このセットの収録曲と「いとしのエリー」を聴き比べても、そんなに違いはない。
進化もなければ退化もなく、ずっとそのまま。変わりようがないのは批判のしようもない。それだけ、変わらないでいるというのは、実はすごいことなのだ。本人的には、なんも考えてないかもしれないけど。
あと、ソウル系のアーティストとしては珍しく、あからさまなディスコに手を染めなかったため、いわゆる黒歴史的な作品が少ないことも、いまだリスペクトを受けている要因なんじゃないかと思われる。「いとしのエリー」だって、別に曲の良さがどうとかじゃなく、単純にギャラが良かったから引き受けたと思われるけど、そうは思わせないクオリティに引き上げてしまうのは、やはりパフォーマーとしてのポテンシャルの高さ所以だな。
前回210位はNeil Young 『Everybody Knows This Is Nowhere』。今回は407位。










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