
ちなみにメンバー構成は、
Mike Bandoni - Drums
Mike Bandoni - Drums
Andy Sedman – Percussion
Danny Huckridge - Bass
Nino Auricchio – Keys
Alexis Kraniou – Guitar
Patrick Kenny - Trombone
Alan Whetton - Tenor Sax
Alex Bezzina - Trumpet
Sasha Patterson – Vocals
という面々。ちょっとめんどくさかったので、Discogsからのコピペ。
そのバンド・リーダーのMikeからして、単発のプロジェクトを掛け持ちしている状況が続いている。ヴォーカルのSasha Pattersonも最近ではEarth Wind For HireやThe Getupというバンドの活動がメインとなっており、Funkshone本体での活動は次第にフェード・アウトしつつある。ちょっと調べてみたら、Speedometerのレコーディングにも参加しており、ほんと引く手あまたの引っ張りダコ状態らしい。詳細はつかめなかったけど、どうやら他のメンバー達もいろいろヘルプなりメインなり、本業ミュージシャンとして活動している模様。
彼らのようなインストゥルメンタル/ヴォーカル・グループの供給が続いてるのは、これはもう80年代末からのアシッド・ジャズからの流れというのが一般的なのだけど、もうちょっと遡って、Style CouncilやWorking Week、Everything But the Girlなど、シャレオツ系のジャジー・ポップから派生してきた、と受け止めた方がより正確である。対してアメリカでは、ラップ/ヒップホップ隆盛に対するロック・シーンのブルース回帰、そこからGreatful Deadの終焉と入れ替わるように、自然発生的に出現したジャム・バンド・ブームを通過して、現在に至る。
なので、全世界的にほぼ同時発生しているジャズ・ファンクのカテゴリに於いても、アメリカだけはちょっと特殊、他の国に比べてブルース色が強い傾向にある。他の国は大体、JBやMeters、P-FunkやIsleyの流れを汲んで、ファンク色が強い傾向にあるのに。
ちなみに日本はといえば、90年代のスカパラの台頭を起点として、この手の音楽が盛り上がりそうな起因もあるにはあったけど、インストにおいては『踊る』系よりむしろ『癒し』系の方が好まれる国民性のため、ニューエイジ・ミュージックやジェット・ストリーム系ほどの盛り上がりは見せず、アシッド・ジャズもジャム・バンドも大きなムーヴメントには成長しなかった。
なので、基本はアメリカの後追い、メインストリーム・ジャズからの派生という形、全世界的な流れとは別の、ガラパゴス的な発展を遂げている。QuasimodeやPe’zやSOIL&“PIMP”SESSIONSなんかも、もっとダンサブルなバンドでもいいはずなのに、基本、ジャズのカテゴリに入れられちゃっているため、なかなかメジャー展開で苦労している模様。
なので、基本はアメリカの後追い、メインストリーム・ジャズからの派生という形、全世界的な流れとは別の、ガラパゴス的な発展を遂げている。QuasimodeやPe’zやSOIL&“PIMP”SESSIONSなんかも、もっとダンサブルなバンドでもいいはずなのに、基本、ジャズのカテゴリに入れられちゃっているため、なかなかメジャー展開で苦労している模様。
ジャズ・ファンクと一言で言い現わしながら、各国それぞれ微妙に違っているのは、もちろんそれぞれの国民性の違いが大前提としてあるのだけれど、結局のところはブルース性の有無に起因するものだと思う。
国家の歴史も浅く、また多民族国家の特徴ゆえ平均年齢が若いアメリカにおいては、ロック/ポピュラー・シーンでの行き詰まりを感じていた若手バンドの中でもテクニカルな連中が、インストゥルメンタル主体のジャム・セッションへ移行しつつあった。60~70年代ロックをルーツとする彼らはとても生真面目だったため、さらなるルーツの追求を図る。そうなると結果的に、ブルースをベースとしたサウンドが中心になる。そこにヴォーカルを入れるとなると、ブルースとの親和性が高く、そして演奏に気迫負けしないパワーを持つキャラクターが必要になってくる。なので、ブルースやゴスペルをベーストしたヴォーカリストが自然とチョイスされるようになる。インプロビゼーションが延々と続くジャム・バンドもまた、ブルース・スケールを基本に演奏しているため、濃縮されたブルース成分はソウル・フードのように、クセの強い芳香を放つ。
で、それ以外の国、特にEU圏となると、ブルースの影響はかなり弱まってゆく。クロスロードだガンボだなんてのも歌の中の話であって、ひとたび大西洋を越えればリアリティは失われてしまう。
イギリスは大航海時代の名残から、世界中の文化に触れる機会が多かった。その中でも特にソウル/ファンク系の人気が高く、もともとブルース系はちょっと弱かった。60年代中盤から末にかけて、Eric Claptonを始めとするブルース・ロックが一時隆盛を誇ったけど、それも結局パンクの出現によって粉々に打ち砕かれてしまった。その後のイギリスではブルース系は細々と息を繋ぐだけである。
で、Funkshone。ブルース成分はほとんどなく、インスト・ファンクの傾向が強く、ちょっぴりジャズ成分が強い。リーダーのMikeがドラム担当のため、必然的にリズム・パートのミックスが大きく聴こえるのは気のせいだけではないはず。よって、サウンドのダイナミズムは他バンドと比べても強いかもしれない。
ほとんどアシッド・ジャズみたいなメロウ・ナンバーもしっかり取り入れているのが、このバンドの戦略のひとつなのだけど、何しろ全員のスケジュールがなかなか合わず一緒にスタジオに入るまでが、まずはひと苦労。もう少し安定かつコンスタントな活動で、認知度を高めてほしいところ。
一応、去年久々のシングルがリリースされたのだけど、これまたスケジュールが合わず、Sashaは不参加、インスト・ナンバーという形になった。純粋な演奏だけを好むのならアリなのだけど、やはり彼女のヴォーカルも聴いてみたい。
一応、去年久々のシングルがリリースされたのだけど、これまたスケジュールが合わず、Sashaは不参加、インスト・ナンバーという形になった。純粋な演奏だけを好むのならアリなのだけど、やはり彼女のヴォーカルも聴いてみたい。
1. Heaven Shine
トロットロに熟成されたヴォーカルとリズム。生楽器主体のため、ただのアシッド・ジャズでは終わらせないぞ的な雰囲気のある、スロウなタイム感のオープニング。
2. Dirty Money
フルートというのが逆にファンキーに聴こえる、ミディアム・スロウのブラス・ファンク・ナンバー。70年代ディスコっぽいホーンのリフ、バックに薄く流れるストリングスとの絶妙なマッチング。
3. Bushwhacker
ホーン・セクションは完全にジャズ・テイストなのに、リズムはちゃんとしたファンク。ここでまたフルートが登場。フルートが登場するナンバーというのは、60~70年代スパイ映画のサントラっぽく聴こえてしまうのだけど、それって俺だけ?
4. After The Storm
スタンダード・ジャズの王道的なホーンと無機的なリズム・ループとの融合。アンビエントなウィスパー・ヴォイスと、Milesっぽいミュート・トランペットのソロが交互にあらわれ、幻想的な空間を醸し出す。
5. Chase The Dream
攻撃的なホーン・セクションを主として、時々控えめなストリングスやフルートが絡む、ちょっと不思議なファンク・ナンバー。フロアで踊るというよりは、聴いてて徐々にテンションが上がるタイプの個室ファンク。
6. Something Becomes The Other
ホーンのロング・トーンが連呼されるのがカッコイイ、基本はジャズ・セッション、そこに再び薄くストリングスやSEが被さるジャズ・ファンク。野外フェスで聴いてしまった日には、もう抜け出せない。
7. Do Want You Do
ソウル・レビューのクライマックスにピッタリなダンス・ナンバー。サビの締めのブレイクがカッコイイ。曲間のDJのイタリア語っぽいアオリが絶品。このアルバムの中では、俺的にベスト・トラック。
8. Stop Think Work It Out
Crusadersの”Street Life”っぽいメロディが印象的な、サビ一発のナンバー。いかにもサビから発展させたような曲だけど、シンプルな構造なだけに、逆にバンドの地力がしっかりしていることが証明されている。
9. Gettin' It Together
ヴォーカルは一旦休憩、幕間のジャム・セッションっぽいファンク・ナンバー。なので、すべてのパートに見せ場がある。シンプルなギター・カッティング、それぞれアドリブを魅せるホーン・セクション、そして屋台骨を支える、Mikeの変幻自在なドラミング。どれをとっても安心して聴いていられる。
10. Persuasion
エキゾチックなペルシア民謡っぽいオープニングと共に始まる、人力ドラム・ループが心地よい、これまでとはちょっと毛色の違った曲。ちなみにPersuasionの意味は「説得」。う~ん、説得というよりは、字面からして、中近東の民謡っぽく聴こえてしまう。
11. Take Down
ちょっとヤサグレた感じで始まるスロウ・ファンク。バックでずっとベースが頑張ってる。ホント、今どきのファンク・バンドにしてはストリングスの使い方がうまい。これ見よがしではなく、比較的ポイントでサラッとした入れ方なのだけど、これがまた効果的。
12. Darling Dear
ご存じJackson 5が放った1970年のナンバー。ヴォーカルの質感からサウンドまで、ほとんど完コピなのだけど、多分ほんとにやりたかったのは、ベース・レジェンドJames Jamersonスタイルのベース・ラインだろう。こちらもほとんどクリソツ。
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