好評かどうかは不明だけど、半分意地で続けているこの「世界のジャズ・ファンク・バンド巡り」シリーズ。フランスのElectro Deluxeから始まり、思い起こせばオーストラリア、オランダ、ドイツと、ポピュラー音楽の中では決してメジャーではない国の紹介が続いているので、今回はもう少し大きなマーケット、イギリスで活躍するバンドのご紹介。
イギリスはもともと、アシッド・ジャズやレアグルーヴ・ムーヴメントの発祥の地、純粋なロックやポップスばかりが大きくフィーチャーされてるけど、それに限らず、他ジャンルとのクロスオーバー、ミクスチャーされた新しい音楽も日々生まれている。
ていうか、もともと日本と同じで島国で、資源が少ない代わりに輸入加工文化が発達したため、アメリカ南部のディープ・ブルースをコマーシャルに消化してBeatlesやRolling Stonesが世に出たように、ざっくりした素材を加工して世界中に発信することに長けている。メジャー・シーンでの影響力はだいぶ薄れたけど、それでもテクノ・ハウス・ダブステップ・アンビエント・エレクトロなど、あらゆる分野で活躍するアーティストを数多く輩出しているのは、さすがかつての宗主国である。
ていうか、もともと日本と同じで島国で、資源が少ない代わりに輸入加工文化が発達したため、アメリカ南部のディープ・ブルースをコマーシャルに消化してBeatlesやRolling Stonesが世に出たように、ざっくりした素材を加工して世界中に発信することに長けている。メジャー・シーンでの影響力はだいぶ薄れたけど、それでもテクノ・ハウス・ダブステップ・アンビエント・エレクトロなど、あらゆる分野で活躍するアーティストを数多く輩出しているのは、さすがかつての宗主国である。
で、UKジャズ・ファンクの特徴として、これまた裾野は幅広く、レアグルーヴ系やファンクをベースとしたソウルフルなアーティストもいれば、前述のエレクトロ系とのコラボによって、むしろジャンルレスとも言える音楽を生成しているアーティストもおり、それはもう人さまざま。今回紹介するのは、ジャズとファンクの混合比がほぼ同じくらい、ヴォーカル・ナンバーもあれば純粋なインストもありという、現代ジャズ・ファンク・バンドの基本フォーマットにカテゴライズされるバンド。
で、ここからSpeedometerのご紹介。2004年デビュー、 これまで5枚のオリジナル・アルバムをリリースしている。ライブ・アルバムや他アーティストとのコラボ、日本限定のベストも含めると、結構なアイテム量になる。細々とフットワークの軽いバンドである。
それなりに長い経歴のバンドなので、メンバーの入れ替えもそれなりにあるのだけど、現在のメンバー構成としては、
Leigh Gracie (G)
Rich Hindes (B)
Chris Starmer (Dr)
Andy Fairclough (organ/key)
が主要メンバー。
他にホーン・セクションとして、
Simon Jarret (sax)
Matt McKay (sax/flute)
Neil Penny (trumpet)
Matt Wilding (per)
らが控えている。
さらにヴォーカル隊として、Ria CurrieとMyles Sankoが加わると、総勢10名の大所帯となる。書くだけで疲れるな、こりゃ。
Leigh Gracie (G)
Rich Hindes (B)
Chris Starmer (Dr)
Andy Fairclough (organ/key)
が主要メンバー。
他にホーン・セクションとして、
Simon Jarret (sax)
Matt McKay (sax/flute)
Neil Penny (trumpet)
Matt Wilding (per)
らが控えている。
さらにヴォーカル隊として、Ria CurrieとMyles Sankoが加わると、総勢10名の大所帯となる。書くだけで疲れるな、こりゃ。
もともとはジャズ好きの同好の士が集まって、日々小さなクラブで小ぢんまりとしたセッションを行なっていたのが、徐々に評判を得ていつの間にデビューにつながったという、ある意味理想的なサクセス・ストーリ―、身の丈に合った過程を踏んでいる。大規模な世界ツアーや、とにかくitunesでダウンロードされまくられたい、など熱い野望を密かに胸に抱いている、といった感じでもなさそうなので、このまま息の長い活動を続けてもらえたら、と思ってしまうのはリスナーの勝手かも。
でも、このままのポジションをキープしながら、音楽一本で食っていける状況だったら、それはそれで満足したミュージシャン人生じゃないかと勝手に思ってしまう。
でも、このままのポジションをキープしながら、音楽一本で食っていける状況だったら、それはそれで満足したミュージシャン人生じゃないかと勝手に思ってしまう。
HPやFacebookの様子では、オリジナルのアルバム・リリースはどうやら今年後半か来年辺りになりそうだけど、それでも不定期ながらライブのお知らせ、ヴィンテージ・ファンク・マザーMartha Highとのコラボ、最近ではあのPharrell Williams『Happy』のラウンジ・ミュージック風カバーのシングル・リリースなど、地味に話題は尽きない。
この『Happy』を、どういった経緯でカバーするに至ったのか、メロディ自体そのまんまのストレートなカバーなのだけれど、特別レコード会社が強制したとも思えないし、まぁ半分シャレみたいなものだと察する。狭いジャズ・ファンク村の中だけに納まらず、一応それなりに流行の目利きもあるのだけど、それが変な売名行為やイヤミに映らないのが、このバンドのいいところでもある。
日本でもP-Vineの頑張りによって、独自のコンピレーション・アルバムもリリースされており、このジャンルの中でもファンは比較的多い方なのだけど、やっぱりP-Vine単独の力だけでは、どうにも大きなムーヴメントを興せそうにもないのは確か。
P-Vineが悪いわけではない。気づくことのできない俺たちの怠慢なのだ。
P-Vineが悪いわけではない。気づくことのできない俺たちの怠慢なのだ。
Speedometer
Freestyle (2012-08-14)
売り上げランキング: 357,338
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1. Again and Again featuring Natasha Watts
NatashaはUKソウル・シーンで頭角を現わすディーヴァの一人。オープニング・ナンバーはまんまMarlena Shawの"Woman of the Getto"へのリスペクト。ここまでやってしまうと、もはやパクリではなく、ほんと愛情あるインスパイアと言っていいはず。間奏のフルートが独自性を演出しているが、あの「ガンガンゲンゴガンガンガガゲゴンゲンゴン」(ほんとにこう歌っている)のフレーズも忠実に再現。
2. La Nueva Manera featuring Snowboy
ラテン・フレーヴァーあふれる、それでも基本リズムはファンクの軽快なインスト・ナンバー。SnowboyはUKを拠点として活躍する、アフロ・キューバン系のパーカッショニストで、本名はMark Cotgrove。
3. You've Made Me So Very Happy featuring Ria Currie
正規メンバーRiaもまた、ソロとしてもUKで活躍する白人ソウル/ファンク・シンガー。ずっしり太い声質だが、写真を見るときれいで上品な奥さん、といった風情。元のヴァージョンはBrenda Hollowayというモータウンの女性シンガーだが、リリース当時はパッとせず、むしろ後にカバーしたBlood, Sweat & Tearsの方が有名になった。このトラックもBS&Tのヴァージョンをベースにしており、ファンキーながらもポップな仕上がりになっている。
4. Lover and a Friend featuring Myles Sanko & Ria Currie
ヴォーカル隊二人による男女ツイン・ヴォーカル。何となく出だしがSam & Daveを思い起こさせる、60年代スタックス風味のディープ・ソウル・ナンバー。ギターやホーン・セクションもそれを意識しているのか、どこか泥臭く聴こえる。
6. Orisha featuring Snowboy
Snowboyによるアフロ・ビート・テイスト満載のパーカッション・ソロの後、ラテンとファンクとをごちゃまぜにしたノリノリのインスト。多くのジャズ・ファンク・バンドとの大きな違いは、やはりこういった曲でのホーン・セクションの使い方の上手さにあると思う。特にSpeedometerは自前でホーン隊を抱えているため、意思疎通なども図りやすいのだろう。こういったイレギュラーなナンバーでも、充分安心して聴くことができる。
7. The Shakedown (Say Yeah) featuring Martha High, Myles Sanko & The Stilhouettes
のちにアルバム丸ごと一枚コラボすることになる、ソウル/ファンク界のレジェンド的ディーヴァMarthaを迎えたタイトル・ナンバー。
これはもう、ただただ圧巻。激動の時代を生き抜いてきたシンガーのダイナミックなオーラのほとばしりが生々しい。これはMarthaにバンドが圧倒されている、という意味ではなく、Marthaのパワーに引き込まれたバンド全体が、持てるパワー以上の力を発揮している、ということを言いたいのだ。
これはもう、ただただ圧巻。激動の時代を生き抜いてきたシンガーのダイナミックなオーラのほとばしりが生々しい。これはMarthaにバンドが圧倒されている、という意味ではなく、Marthaのパワーに引き込まれたバンド全体が、持てるパワー以上の力を発揮している、ということを言いたいのだ。
8. Rubberneck
UKファンクの特徴が良くも悪くも現われている曲。ギターが流暢で、ホーン・セクションも統制が取れている、リズム隊もすごくノッテいる。破綻もない。でも、それが仇となってしまう場合もある。あまりにアクが少なすぎて、下手するとただの「ファンクっぽいフュージョン」として扱われてしまう危険性も孕んでいる。
New Mastersoundsなんかもそうだけど、どうも小さくまとまりすぎてしまう場合があり、そこがいまいち本格的なブレイクに繋がらない一因では、と思ってしまう今日この頃。
New Mastersoundsなんかもそうだけど、どうも小さくまとまりすぎてしまう場合があり、そこがいまいち本格的なブレイクに繋がらない一因では、と思ってしまう今日この頃。
9. Dragging Me Down
Martha再び登場。やはりこの姐さんが出てくるだけで、バンドの雰囲気が一変する。もうすべてがMarthaの世界、バンドのプレイもMarthaによって実力以上に煽られている。逆に返せば、そこがバンドとしての越えられない壁だったんだろうけど。
10. Take Me On
アルバムの曲順としては地味な位置だけど、あまりファンクっぽさを感じさせない、ミドル・テンポの疾走感が気持ちいい。これまでMarthaの影に隠れていたRiaのベスト・トラック。変にMarthaスタイルを追うよりも、彼女にとってはこういったロッカ・バラード風の曲が合ってるんじゃないかな、きっと。
11. Dragging You Down
9.のアンサー・ソングをMylesのヴォーカルで。まぁまともに立ち向かっても勝ち目があるはずもないので、こちらもミドル・テンポのスタックス・スタイルのソウル・ナンバー。内輪のメンバーのため、バンドもリラックスしたムード。それでもカッチリ構成しているのが、UKファンクならでは。
12. Kool To Be Uncool
最後はジャズ・テイストを強くしたインスト・ナンバー。最後にこれを聴いてみると、アルバム全体がひとつのショーとして、きちんと構成されていることに気づく。
例えば真夏の野外フェスの夕暮れ時、メイン・アクト前の登場で、まだそれほど会場もあったまっておらず、比較的のんきな空気が漂ってる頃。缶ビール片手にまったり、そしてたまに立ち上がってフラフラ体を揺らしながら聴いていたい、そんな曲。
例えば真夏の野外フェスの夕暮れ時、メイン・アクト前の登場で、まだそれほど会場もあったまっておらず、比較的のんきな空気が漂ってる頃。缶ビール片手にまったり、そしてたまに立ち上がってフラフラ体を揺らしながら聴いていたい、そんな曲。
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