好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そんなユルいコンセプトのブログです。

「Rolling Stone Magazine 500 Greatest Album Of All Time」全アルバム・レビュー:381-390位


 381位 Lynyrd Skynyrd 『(Pronounced 'Lĕh-'nérd 'Skin-'nérd) 』
(397位→403位→381位)

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 70年代サザンロックを代表するバンド:レイナード・スキナードのデビュー作が、ほぼ順位変動も少なくランクイン。「Lynyrd」も「Skynyrd」も聞いたことない単語なので、調べてみると何のことはない、メンバーのハイスクール時代の体育教師の名前だって。みうらじゅんが昔やってたバンド「大島渚」みたいなものか。
 主要アルバムはカタログに残り続けているので、日本でもレココレ界隈では支持されているのだけど、一線級のドゥービーやオールマンと比べてB級感は否めない。ただ本国では、いまも地道にこつこつライブ周りしているため、根強い人気があるらしい。他のサザンロック・バンドはことごとくランクを落としてるし、ZZトップなんて見る影も形もないのに。謎だ。
 広大かつ多民族国家のアメリカのライブシーンは裾野が広いため、ずっと昔にメインストリームを離れた彼らのようなポジションでも、充分食っていけるだけのマーケットが存在する。ジャムバンドのフリーライブ音源をまとめた老舗サイト「Live Music Archive」を見ると、人気が集中しているのは御大グレイトフル・デッドやフィッシュ、スマパンあたりだけど、まだデビューしていない若手アーティストも混じっていたりして、ながら見して視聴するだけでも結構楽しめる。ただインデックスが膨大なので、深入りすると人生棒に振ってしまう。そこだけ注意。
 俺がサザンロックというジャンルの存在を知った80年代、どのバンドも活動休止や解散に追い込まれており、全体的に下火だった。なので、名前だけは知ってたけど、代表的なアルバムが思い浮かばない。
 そんな俺でも、曲名だけは知ってた「Free Bird」は、リリース当時としても長い、8分を超えるロックチューン。終盤アウトロのトリプルギターバトルは圧倒される。イヤ世代関係なく、コレだけでも聴く価値はある。この順位に残ってるのが納得してしまう。




 杉山清貴がライブ・アルバムで「Sweet Home Alabama」をカバー。自身の作風とは違う泥くさい選曲が意外と思ったけど、この辺の世代の人は細かくジャンル分けせず「洋楽」全般を押さえているので、聴いてても不思議はない。
 前回381位はThe Beach Boys 『The Smile Sessions』。今回は圏外。




382位 Tame Impala 『Currents』
(初登場)

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 最近出てきた人かと思ってたら、メジャーになってもう10年以上経ってる、案外長くやってたテーム・インパラ。2020年の『The Slow Rush』チラ聴きして興味を持ち、なんとなく気にはなっていたのだけど、結局そのままほったらかしてたので、これがほぼ初インパラ。
 俺の第一印象としては、メロディックなEDM系統かと思っていたのだけど、実際はロック・バンドとしてカテゴライズされているらしい。しかも、サイケデリック。
 全然そんな感じしないんだけど、2022年はこれがサイケなロックなのか。知らなかった。
 基本EDMなのでトラックメイクはほぼ独り、ライブ用にバッキングをつけるスタイルなので、バンド感はほぼない。こういったスタイルは世界的な傾向で、日本でもVaundyが同じ活動形態を取っている。聴いてて気持ちいいんだけど、そこまで入り込めるほどじゃないんだよな。だったらこの次のマッシヴ・アタック聴くわ。
 前回382位はThe Modern Lovers 『The Modern Lovers』。今回は288位。




383位 Massive Attack 『Mezzanine』
(408位→-→383位)

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 241位『Blue Lines』に続き、4枚目の代表作がランクイン。一旦圏外に落ちたけど、今回再浮上したという、このランキングの中では珍しいケース。
 シーンやムーヴメントとの協調を拒んだ独自路線によって、近年はメインの音楽活動より、コンセプチュアル・アート方面で注目されることが多い。年を経るごとに、ミュージシャンというよりクリエイター集団というニュアンスが強くなっており、今ではアートワーク/デザインを含めた総合アートの一環として、音楽作品があるという位置づけ。一応、それがコアなんだろうけど。
 「渋谷系」で一括りにされた90年代ポップ・アーティストらが、ことごとくそのワードを忌み嫌うように、彼らもまた「トリップホップ」というブランドを拒否し続けた。世に出る取っかかりではあったけど、「それだけじゃないんだ」という意思表示として、ユニット本体を休止してまでサイドプロジェクトに注力したりしている。志が高いことは察せられるけど、意識も高いんだろうな彼らみたいな人たちって。
 テクノ/レイヴの要素を取り込んだミニマル・ビートは、時に暴力的に、時に荘厳な空間を満たし、崇高なメロディとのコントラストを紡ぐ。強烈な自我に支えられた美学は、刹那なアンサンブルを形成する。でも、その眩さは時空を超え、聴く者の心臓を鷲掴みにする。
 頭悪い文章になっちゃったけど、要は好きなんだよなこういうサウンド。
 前回383位はTalking Heads 『More Songs About Buildings and Food』。今回は364位。




384位 The Kinks 『The Kinks Are the Village Green Preservation Society』
(252位→258位→384位)

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 もうみんな忘れてるほど長い兄弟ゲンカ状態だった、レイ&デイヴ・デイヴィスだけど、最近になって和解したことがニュースになっている。キンクス再結成に向けて鋭意デモ作成中らしいけど、正直、彼らの新譜を求める層がどれだけいるかって言えば、それはちょっと、って感じになってしまう。
 リリースに動くレーベルもそんなになさそうだし、もし契約にこぎ着けても、レコーディングに入る前にまたケンカ別れしそうだし、寄る年並みは2人ともとっくに超えてるし。だからまだ間に合うぞギャラガー兄弟。オアシス再結成なら、良かれ悪かれ盛り上がらざるを得ない。
 何年かに一度訪れるモッズ・リバイバルや60年代ビート・グループ再興のタイミングで引っ張り出されるのが、キンクスとスモール・フェイセズと相場が決まっている。90年代はキンクス、未発表テイク満載の2枚組デラックス・エディションが立て続けに企画されていたのだけど、新規ユーザー獲得が捗らなかったのか、いまだパッとしないポジションが続いている。
 コアなユーザーに限らず、ロック史的にはこのアルバム、3分間のビート・ロックにアルバム全体を包括するトータル・コンセプトを持ち込んだ作品として、一定の評価を受け続けている。実は駄曲も多い『Sgt.Pepper’s』と比べてストーリー性もあってしっかり作り込まれているのだけど、ビートルズと比べて選びテーマが限定的、ていうか大英帝国イズムが強すぎるため、他国にはアピールしづらい作風がネックとなっている。
 ロック系コンセプト・アルバムの多くが、人生の意義やらアイデンティティやら苦悩やらトラウマをテーマに掲げ、それに応じてサウンドも仰々しくドラマティックに演出しているのだけど、ここで描かれているのは古き良き大英帝国の郷愁、そして市井の人々の日々の暮らしぶりであり、同時代のサイケ・ムーブメントの中では地味すぎて苦戦を強いられた。生真面目に作られているのはわかるのだけれど、シンパシーを感じて何回も聴くかといえば、それはちょっと。初期のビート・ロックの方が聴きやすい。
 他のランキングは、『The Kink Kronikles』が227位→232位と来て、今回は圏外。『Something Else by The Kinks』が285位→289位と来て、今回はギリギリ残った478位。




 キンクスの日本人カバーで真っ先に思い出したのがコレクターズだったけど、せっかくなので変化球でthe brilliant green 「All Day And All Of The Night」。ほぼストレートコピーなバッキングだけど、ヴォーカル川瀬智子のロリータ・ヴォイスがいい方に作用して、良質のガレージ・ポップに仕上がっている。
 前回384位はThe Who 『A Quick One』。今回は圏外。




385位 Ramones 『Rocket to Russia』
(106位→106位→385位)

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 ラモーンズ2枚目のアルバムが、前回に100位台から大きくランクダウン。支持されなくなったというより、前回までがちょっと分不相応だった印象。
 デビュー作同様、ストレートな8ビートのロックンロールで、ていうかちょっとメロがポップになったかな?程度で、ほほ同じ内容と言い切っちゃってもよい。それでも圏外に飛ばされず踏ん張っているのだから、アメリカでは幅広く支持されているのだろう。
 シンプルな8ビートと3コード、代わり映えのしないAメロとリフ主体のギター。風体はやさぐれてるけど、出てくる音はまっすぐで正直。ほぼ2行で言い表わせてしまう、単純でシンプルで一途なバンド、それがラモーンズ。
 大味なアメリカン・ロックとシンセ・ポップとブラコンが幅を利かせていた80年代は居場所がなく、冷や飯を喰わされていた彼ら、90年代に入ってからはグランジ/オルタナ・シーンのオリジネイターのひとつとして再注目されるようになる。長髪・グラサン・革ジャンの不変3点コーディネートは、一周回ってダサかわ的な支持を受けて、カルチャー雑誌でもフィーチャーされていた。
 愚直なワンパターンが評価され始め、取り巻く状況も上向きになってきたのだけど、延々続く世界ツアーで身も心も蝕まれ、ラモーンズは96年に解散してしまう。その後、過酷なロードから解放されてマイペースな余生を送るはずが、それまでの不摂生でソロ活動もままならず、2014年、最後のオリジナルメンバー:トミー・ラモーンの死によって、リユニオンの願いも潰えた。
 伝説としては完璧だけど、でもそういった完璧を目指してたバンドではなかった。過去の栄光にすがっててもいいから、どうにか続けて欲しかったバンドのひとつ。






 古今東西、あらゆるバンドにカバーされてきた「電撃バップ」だけど、NHKで不定期放送されている子ども番組「ムジカ・ピッコリーノ」のコーナー内でカバーされている。音楽面のディレクションが鈴木慶一人脈で固められていることもあって、クセのある人選や選曲が、ごくごく一部で話題だった。『You』から連なるサブカル志向は、ある意味、NHKの伝統でもある。
 前回385位はBob Dylan 『Love and Theft』。今回は411位。




386位 J Dilla 『Donuts』
(初登場)

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 今年に入って星野源が自身の特番でフィーチャーしたことから、日本のお茶の間にも知られるようになったJ.ディラの遺作が初登場。ヒップホップに詳しくない俺は当然知らなかったけど、どうやらその界隈では、古くから一目どころじゃない存在だったらしい。
 根が音楽オタクである星野源の語り口は熱を帯び、自身が受けた影響やシーン全体への功績は充分伝わっってきた。きたのだけど、実質30分程度の番組なので、ショーケース的な細切れな紹介だったため、ちょっと食い足りなさがあった印象。でも、あの尺ではあれくらいが限界だったとも思う。
 で、ちゃんと通して聴いてみた。一聴すると何のことはない、よくできたミックステープなのだけど、スッキリ流し聴きできない、「なんか違う」感が残る。
 何が違うのか。もう一回、ネットのレビューを調べてから聴いてみると、あぁなるほど、リズム感やミックスのアンバランス感、他のトラックメイカーと切り取り方が違うのがわかる。
 素人目線でざっくり言っちゃえば、「ミニマルなビートにカウンターとなるフレーズやサンプリングでメリハリをつける」のが、世間一般で思うところのヒップホップだとすれば、ディラのアプローチはだいぶズレている。カッコよく言えば「揺らぎ」、悪く言うと「ヨレヨレ」だったり音の定位が極端だったり。
 彼が確立したフォーマットはすでにスタンダードになっているので、次回ランキングではもっと上に行ってるかもしれない。もしかして、さらに上書きするトラックメイカーが出現するかもしれないけど。
 前回386位はSteely Dan 『Pretzel Logic』。今回は圏外。




387位 Radiohead 『In Rainbows』
(-→336位→387位)

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 『OK Computer』を分岐点として、既存のロックの解体→再構築を試みる姿勢が、逆にロック的だったレディオヘッド。作っては壊す、そんなちゃぶ台返しの連鎖を自ら断ち切ったのが、『Hail To The Thief』だった。
 ロックという但し書きを拒否する姿勢を進めた『Kid A』『Amnesiac』から一転、表面的には既存フォーマットへの回帰ではあったけど、もう「Creep」の焼き直しができるはずもなかった。わかりやすいアバンギャルドではなく、そこを通過して以降のロック、じゃなくてレディオヘッドの音楽の独自進化を推し進めていった。
 普通のバンドなら行き詰まって解散するか、はたまた開き直って、ブリットポップ時代のノスタルジー拡大再生産へ向かうか、あるいは『Amnesiac』の果て、無為無常なアンビエントの彼方を彷徨うか。それらのどれも選択せず、時々ソロ・プロジェクトでリフレッシュしつつ、彼らはレディオヘッドを続けている。もうあれだけやっちゃえば充分なはずなのに、それでも続けるのは、かなり勇気のいることだ。
 そんなあらゆる音楽的な実験の果て、ひとつの到着点となったのが、ラストの「Videotape」だったんじゃないか、と個人的には思う。シンプルかつ静寂なバラードを入れた勇気は、並みのポストロック・バンドじゃできないことだ。
 前回387位はWu Tang Clan 『Enter the Wu_Tang: 36 Chambers』。今回は27位。




388位 Aretha Franklin 『Young, Gifted and Black』
(初登場)

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 アレサの全盛期は世間一般的に、おおよそ60年代とされている。ロック名鑑的にはフィルモアのライブをピークに、それ以降はディスコの潮流に乗り遅れ、緩やかなブラコン路線へシフトしていった、という印象だった。
 80年代以降にジョージ・マイケルやユーリズミックス、キース・リチャーズとのコラボによって復活、以降は名実ともにクイーン・オブ・ソウルとして君臨、多大なリスペクトに支えられることになる。『Amazing Grace』のリイッシューを機にゴスペル・シンガーとして再評価され、その後、空白だった70年代の作品が注目されるようになったのは、ここ10年くらいの話である。
 俺的にアレサ、評価が確立している60年代の作品は、シンプルなバッキングのみで主役はほぼ自分のヴォーカルとピアノで、確かにすごいのはわかる。わかるのだけど、そのエッセンスが濃厚なので、こっちにそれなりの心構えがないと受け止められないことが多い。
 なので、このアルバムやカーティスがプロデュースした『Sparkle』など、バッキングやプロダクションのバランスでアレサ味がちょっと薄まってた方が、もう少し聴きやすい。ダニー・ハサウェイもそうだけど、チャック・レイニーとバーナード・パーディとコーネル・デュプリーだよ?「これ以上はない」と言い切っちゃっていいくらい、70年代最高のアンサンブル。もちろんアレサもすごいんだけど、それぞれのプレイを聴くだけでも、鳥肌立ってしまう。
 前回388位はVarious Artists 『The Indestructible Beat of Soweto』。今回は497位。




389位 Mariah Carey 『The Emancipation of Mimi』
(初登場)

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 もともとポッチャリしやすい体質もあって、メディアに出るたび印象の違うマライア・キャリー2005年のアルバムが初登場。もっと初期の作品がランクインしてるかと思ったら、彼女のランクインはこれのみ。セールス的にも知名度的にも、出世作『Emotions』は入ってると勝手に思っていたのだけど、まぁメジャーな作品は入らないか。
 日本ではいまも安定的な人気を保っているマライアだけど、21世紀に入ってからは低迷期が続き、音楽的な話題よりゴシップ・スキャンダルでフィーチャーされることが多かった。考えてみれば、プロポーションについてはよく話題になってたけど、楽曲が話題になることはあんまりなかったな、そういえば。
 歌はもちろんメチャメチャうまく、周知の通り声域も広くて、さらにエモーショナルな表現力もあるしで、もうお腹いっぱいなスペックだらけのマライアだけど、それだけじゃ生き残っていけないのがアメリカのエンタメ界である。トミー・モトーラとの出逢いから始まるシンデレラ・ストーリーは順風満帆だったけど、それ以降、良いブレーンに恵まれなかったのが、スランプの要因だったんじゃないかと。体型管理もルーズだったしね。
 それまでもっぱら、正統ブラコン寄りのサウンド・プロダクションだったのを、どこにでも顔を出してくるスヌープ・ドッグらヒップホップ系クリエイターの助力を得て復活となったのが本作。このままダイアナ・ロス路線を踏襲してフェードアウトしてゆくところで一転、シーンとシンクロしたリズム面の強化が、セールスに直結した。
 でもこのアルバム、聴き入ってしまうのはやっぱ「We Belong Together」をはじめ、シンプルなバラードなんだよな。ハッタリかましたオープニングで惹きつける手法は仕方ないんだけど、でもやっぱ歌を聴かせるトラックの方が出来がいい。
 前回389位はDon Henley 『The End of the Innocence』。今回は圏外。




390位 Pixies 『Surfer Rosa』
(311位→317位→390位)

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 日本でも根強い人気を誇るピクシーズのメジャー・デビュー作が、前回よりランクダウン。RollingStone界隈では支持されてると思ってたんだけど、案外下だった。
 ソニック・ユースより下っていうのはどうかと思うし、他の『Doolittle』や 『Bossanova』はセールスも良かったはずだし、ロキノンでも絶賛されてたんだけどな。それとも、ロキノン界隈だけだったのか?あの持ち上げぷりって。
 考えてみればピクシーズ、人気のピークで解散してしまったため、実際の音よりフロントマン:ブラック・フランシスのキャラに注目が集まっていた。「凶暴だけどカワイイとこあって憎めないデブ」としてキャラ付けされ、無愛想なサウンドとのコントラストが人気を集めていた。
 今でこそグランジのゴッドファーザー的な扱いになっているけど、現役活動中は彼ら、本国アメリカより日英での人気が高かった。グランジ以前のアメリカはメジャー主導のコンテンポラリーサウンドがまだ強く、まだポストパンクの残り香があったイギリスとの相性が良かった。コクトー・ツインズと一緒、4ADデビューだもの。今じゃ違和感だ。
 いまだ現役活動中で、年末にはなんと来日までしてしまうピクシーズ、さすがにもう枯れたサウンドなんだろうと思って最新トラックを聴いてみたのだけど、イヤなんも変わってなかった。テンポはちょっと遅くなってるけど、相変わらずグランジ以降のアンチ・メジャーな無愛想ロックは貴重だ。シンセも一切入ってないし。
 前回390位はThe White Stripes 『Elephant』。今回は449位。






「Rolling Stone Magazine 500 Greatest Album Of All Time」全アルバム・レビュー:371-380位


 371位 The Temptations 『Anthology』
(394位→400位→371位)

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 全盛期のモータウンを支えたテンプスの2枚組ベストが、ほぼ安定した推移のランクイン。彼らの場合、70年代のサイケデリック・ソウル期にオリジナル名盤が集中しているけど、一般的には「My Girl」など初期シングルの支持が高いこともあって、お得な詰め合わせベストに票が集中した。
 10代終わり頃に俺もこの2枚組CDベストから入ったのだけど、もう何回も聴いた。デビューから80年代前半くらいまで、おおよその代表曲がおさえられていることもあって、これ1枚あればテンプスはほぼOK。これで満足しちゃうから『Masterpiece』も『Cloud Nine』も入ってないんだな。
 ざっくり仕分けるとテンプス、60年代はモータウン汎用のポップ・ソウル、70年代が鬼才ノーマン・ホイットフィールドのやりたい放題なサイケデリック・ソウル、80年代以降は時流に合わせたライトなR&B路線と、結構な紆余曲折を経てきたグループである。彼らのベースはショーマン・シップに徹したコーラス・グループであり、時代の要請や会社の方針に応じて器用に乗り切ってきた。
 公民権運動やらベトナム戦争やらで物騒な世相を反映したとされる代表曲「Papa was a Rolling Stone」だって、ノーマンが「歌え」って言ったから歌っただけで、メンバーらは大して共感も小難しい解釈もしてなかったらしい。そんなノンポリシーな純音楽主義、余計な思想の介入がなかったことが、結果的にグループの長期継続に役立った。
 だって、まだ続いてるんだよこのグループ。もうオリメンは1人だけだけど。




 2017年、18年ぶりにサプライズでリリースされたHi-STANDARDのアルバム『The Gift』にて、「My Girl」をカバー。彼らにしては意外な選曲だしさらにベタなスタンダードだし、そんなに期待もせず聴いてみた。まぁオリジナルに沿ったおとなしい演奏だよなって思ってたら、中盤に入ってからいつものメロコアになってた。浜省や加藤ミリアもやってるけど、彼らのヴァージョンが一番カッコいい。
 前回371位はArctic Monkeys 『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』。今回は圏外。




372位 Big Brother & The Holding Company 『Cheap Thrills』
(334位→338位→372位)

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 正式名称「ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー」という長ったらしいバンド名だけど、要はジャニス・ジョプリンがメインのアルバム。微妙にランク落としてるけど、多くの同時代アルバムと比べれば、かなり踏ん張っている。女性ロック・ヴォーカリストの通過儀礼としての役割は、まだ有効なのかと。
 女性がロック・バンドに入ることがかなりレアだった時代、風当たりも強かっただろうし誹謗中傷もハンパなかっただろうけど、でも彼女は最期の最後まで歌い続けた。だって、彼女にはそれ以外に生き抜く術がなかったから。
 彼女の歌や表現力は類いまれなものではあるけれど、もしかしてそんな才能、なかった方が幸せだったのかもしれない。酒とドラッグと男で身を持ち崩す生き方が、「情感として歌声に反映されている」とはいうけど、も少しだけズル賢く生き抜くことはできなかったのか。
 ジャニスを聴くと、いつもそう思う。
 当時の大人たちの強欲にそそのかされて、ジャニスとバンドは袂を分つことになった。理由はどうであれ、他者から必要とされることが、彼女唯一の存在証明だった。
 「さらに強力なサウンドを求め、苦楽を共にしたローカル・バンドと決別した」という歴史の筋書きに反し、アンサンブルは結構しっかりしている。単なるジャニスの引き立て役にとどまらず、手慣れていながらクリエイティヴな緊張感も漂っている。




 多分、Superflyだったら何かカバーしてるんじゃね?と軽い気持ちで調べてたら、アラ本家バンドとコラボしてたわ。最近、GLIM SPANKYもカバーしてたけど、こっちの方がインパクト強い。
 2008年に開催されたウッドストック40周年記念フェス「Heroes of Woodstock」にて、ゲスト・ヴォーカルとして招かれたSuperflyの圧巻のパフォーマンス。画質悪い映像しか見つからなかったんだけど、その圧は充分伝わってくる。
 前回372位はThe Police 『Reggatta de Blanc』。今回は圏外。




373位 Isaac Hayes 『Hot Buttered Soul』
(初登場)

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 90年代、タランティーノ映画の世界的ヒットから派生して、70年代のブラックスプロイテーション映画が再評価、その代表作『黒いジャガー』がリバイバル上映されたりビデオ化されたことで、ようやく日本でも名が知られるようになったアイザック・ヘイズの代表作が初登場。カーティス同様、サントラで有名になった人だけど、オリジナル・アルバムもサントラ同様、長尺でインスト主体のトラックが多く、アーティストというよりはトラックメイカーとして捉えた方が受け入れやすいと思う。
 強力なヴォーカルか卓越した演奏テクニックが優劣の基準とされていた時代ゆえ、当時の黒人音楽基準ではカテゴライズしづらかったことも、日本ではイマイチ伝わりづらかったのかもしれない。ローファイヒップ・ホップとも通ずるテクスチュアは、むしろ現代の方が適している。
 従来ソウルの定義である、瞬発的なパッションの爆発ではなく、ゆるやかな起承転結を配置した組曲は、映像的なアンビエント空間を形成しており、ノンストップで聴き続けられる心地よさ。サントラじゃないのにサントラっぽいのは、もうこの人の芸風なんだろうな。
 前回373位はJefferson Airplane 『Volunteers』。今回は圏外。




374位 Robert Johnson 『King of the Delta Blues Singers』
(初登場)

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 伝説のブルースマン:ロバート・ジョンソンの発掘音源集が、えっ、今ごろ初登場。プレスリーやリトル・リチャード同様、ずっと前からレジェンド枠でエントリーされてるものと思ってたんだけど。
 活動期間が10年足らずの上、昭和で言えば13年にその生涯を閉じたロバート・ジョンソン、もう伝説超えて神話だな。考えてみれば、うちの母親が産まれる前に亡くなってるんだもの。
 俺が高校生の頃、彼の伝説をモチーフとした映画『クロスロード』が公開された。悪魔に魂を売り渡すことで、超絶テクを手に入れたギタリストを若き日のスティーヴ・ヴァイが演じているのだけど、何しろまだギラギラしていた頃のヴァイなので、やたら悪魔的でキンキーな怪演ぶりだった。プレイスタイルはまるで違うけど、一周回って合ってたんだよな、あの演出で。
 何しろ演奏はおろか、まともに姿を見た人もほぼ皆無、わずかに残された音源も、SPからの盤起こしレベル。期待値としてはかなり低い。過剰な期待なんて持ちようがない。キースやクラプトンが取り上げなかったら、確実に歴史に埋もれてたんじゃないかと思われる。
 で、このアルバム、ベースは80年代末になって発掘された未発表音源集であり、リリース時はそこそこ話題になった。再発で2枚組CDだったにもかかわらず、日本でもそこそこ売れたことによって、パッケージは変わってもカタログに残り続けている。
 現在まで連綿と続くモダン・ブルースのフォーマットを形作ったとされるロバートだけど、おそらく彼だけが特異な存在だったわけではなく、同時多発的に似たスタイルを志向していたブルースマンもいたんじゃないかと思われる。たまたまロバートがレコーディングの機会に恵まれただけで、もしかしてもっとデーモニッシュな音を奏でる者もいたのかもしれない。
 前回374位はRoxy Music 『Siren』。今回は圏外。




375位 Green Day 『Dookie』
(181位→193位→375位)

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 グリーン・デイのメジャー・デビュー作が大きくランクダウン。最近何してるのか噂も聴かないので、ちょっと調べてみると、時たまフェスに参加する程度、シングルは切ってるらしいけど、本腰入れてやってる風ではなく、セミリタイアみたいな活動ペース。FIREみたいなものだな。桁は全然違うけど。
 「USメロコアの新星」と称されたのも四半世紀前、怒涛の勢いで90年代を駆け抜け、今じゃロックの殿堂入りするほどのベテラン。深く掘り下げてゆく音楽性じゃないし、かといって路線変更するほど切羽詰まってるわけじゃないし。
 無理にモチベーション上げてアルバム作ったって、このご時世だと大して売れるはずないのは目に見えてるので、このままユルっと解散もせず、適当なマイペースで続けていくんじゃないかと。ショボい新作リリースしてコケて晩節汚すより、そっちの方がずっと賢いし身の丈に合ってるような気がする。
 カート・コバーンやトレント・レズナーやペリー・ファレルやらマリリン・マンソンやら、何でもいいからとにかくトラウマ抱えることが義務化していたUSオルタナ・シーンにおいて、普通の少年たちが普通にバンドを組んで普通にプレイする、そんなロックの原点を一瞬思い起こさせてくれたのが、グリーン・デイだった。陰鬱でドロドロで澱んでいなければロックじゃない風潮に対し、身の回りのくっだらねぇテーマをあっけらかんに歌う彼らの存在は、思っていたより世界中のロック少年少女に受け入れられた。
 スノッブとデカダンとバイオレンスとトラウマが高尚に論じられていたけど、世間の多くはそこまでめんどくさいテーマを求めていなかった。陽気で無邪気な大多数のティーンエイジャーは、衝動的なビートとキャッチーかつシンプルなメロディに拳を振り上げることを望んだ。そんなものだ。




 代表曲「Basket Case」をパフィーがカバー。アメリカ進出して向こうで人気爆発→凱旋して落ち着いてから制作したカバー・アルバムで、グリーン・デイ側も彼女らの存在を知っていたという、あんまりないケース。オルタナ通過した後のはっちゃけたパフィーなので、音は想像通り。
 前回375位はJackson Browne 『Late for the Sky』。今回は圏外。




376位 Neutral Milk Hotel 『In the Aeroplane Over the Sea』
(初登場)

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 これまでまったく存在すら知らなかったけど、90年代USオルタナ界では伝説とされているニュートラル・ミルク・ホテル、2枚目のアルバムが初登場。アメリカでもバカ売れしたわけではなく、ごく狭いCMJやピッチフォーク界隈で絶賛され、その影響を受けた若手バンドがリスペクトして、今回のランクインとなった。ビッグ・スターみたいなものだな。
 この手のバンドは大抵、ロキノンが紹介していたはずだけど、当時はもう定期購読してなかったため、ほとんど記憶にない。このアルバムがリリースされた98年を調べてみると、KORNやリンプ・ビズキットが全盛だったため、比べるとちょっと地味。
 この前に聞いたグリーン・デイと比べると、シンプルなローファイ・サウンドはやっぱり地味。地味なんだけど、妙な引っかかりが気になってまた聴いてしまう中毒性を持っている。
 まわりのみんなは知らないけど、俺だけはこっそり知ってる、長く続けてはほしいけど、でもバカ売れしてみんなに知られたくない。そんな風に思わせてしまう内輪感は、ムーンライダーズやデビュー時の椎名林檎に通ずるところがある。
 このアルバムをリリースして間もなくバンドは解散してしまうのだけど、その後しばらくして、ライブ限定で再結成している。もともとジェフ・マンガムという人のソロ・プロジェクトなので、今後も本人のやる気次第なのだけど、とにかく人前に出るのが苦手らしく、今後もしかして再評価が盛り上がったとしても、本人は表舞台に出る気はないっぽい。
 「インディー・ロック界のサリンジャー」の異名を持つと聞き、「あぁ、そういう人か」と納得してしまう。曲調やエピソードから、そんな底意地の悪さは感じられない。ただ、何かとめんどくさい人なんだろうな。
 前回376位はBjork 『Post』。今回は289位。




377位 Yeah Yeah Yeahs 『Fever to Tell』
(初登場)

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 9年振りの新作をリリースしたばかりのヤー・ヤー・ヤーズ2003年のデビュー作が初登場。オープニングの「Rich」がまんま80年代UKニューウェイヴ・リバイバルっぽいサウンドで、一周回って新鮮だよなと思っていたら、90年代から活動していたベテランだった。どうりで。
 ブロンディやスジバン、もうちょっと下ってホールあたりが好きな人なら間違いなくハマる、ラフでいながらきちんとプロデュースされたサウンド。俺世代なら抵抗なく聴ける。
 90年代くらいまではこういうバンドって、ひたすらツアーに明け暮れて短いスパンで作品リリースして、その無限ループに疲れ果ててイザコザが起きて解散しちゃうことが多かったのだけど、そこそこ下積みが多かったおかげでしたたかなのか、息抜き的な別プロジェクトに勤しんだり長めのブランクを置いたりして、うまく均衡を保っている。NYパンク直系みたいなトラックも織り交ぜたり、ジャンクさも残したサウンド・コンセプトはもっと売れてもいいはずだけど、って思ったけど、いまの日本じゃ売れねぇか、こういうの。




 そんな流れでAmazon Musicで最新トラックを聴いてみたのだけど、『Fever to Tell』とは一転、大仰なバロック・ポップになっていた。俺が気に入った方向性とだいぶ違うんだけど、他のトラックはもう少しはじけてるんだろうか。ちゃんと聴いてみよう。
 前回377位はJohn Lee Hooker 『The Ultimate Collection: 1948-1990』。今回は圏外。




378位 Run-D.M.C. 『Run-D.M.C.』
(237位→242位→378位)

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 順位はガッツリ落としたけど、209位『Raising Hell』に続き、デビュー作のこちらもランクイン。音楽的なことはともかく、世界中のお茶の間にヒップホップというカルチャーを知らしめた功労者なので、多分、ドレイクなんかより後世には語り継がれるんじゃないかと思う。
 飛び抜けたクリエイティヴィティより、むしろアイディア一発勝負でやってきた人たちなので、今さら新たな切り口を見つけて再評価するには、ちょっと難しい。彼らがヒップホップという音楽を発明したわけじゃないけど、それまでアングラだったNYのローカル・カルチャーがグローバル展開するきっかけとなったのは、間違いなく彼らの存在だった。
 オールド・スクールのヒップホップ最初期の音源なので、シンプルな四つ打ちビートとリズミカルなスクラッチ、それと大味なラップ、っていうか雑なコール&レスポンス。高度にテクニカルに進化した現代のラップと比べると、その稚拙なパフォーマンスはむしろ牧歌的で、一周回ってローファイ感が漂っている。
 前回378位はOasis 『(What's the Story) Morning Glory?』。今回は157位。




379位 Rush 『Moving Pictures』
(初登場)

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 古いロック・ファンなら名前だけは必ず知ってる、カナダの重鎮ハード・プログレ・バンドの代表作が初登場。日本ではザ・フー並みに知名度が低い、でも世界的には結構大物なはずのラッシュ、逆に今までランクインしてなかったのが不思議なくらい。
 「ツェッペリンの影響が大きい」という予備知識だけでまず聴いてみると、確かに「カシミール」っぽいオリエンタルなイントロ。ただヴォーカルの声質はロバート・プラントよりもハスキーで、全体的なアンサンブルもイエス色が強い。かと思えば90年代クリムゾンみたいなメタルっぽさもあったりして、「ハード・プログレ」と称されるのも納得できる。
 多分俺が知らないだけで、他にもプログレ・バンドのテイストが混入しているのかもしれない。「パクリ」というにはレベルの高い演奏と緻密な楽曲構成なので、むしろきちんと消化して再構築したことで、クオリティの高さに昇華している。映像も見たけど真面目そうだもんな、みんな。
 ただ彼らが世界的にブレイクし始めた80年代は、日本ではビジュアル的にわかりやすいデフ・レパードやアイアン・メイデンらNWOBHM組、あるいはラットやクワイエット・ライオットらLAメタル組、マイケル・シェンカーやスコーピオンズらドイツ勢がしのぎを削っており、どの派閥にも属してないラッシュは分が悪かった。見た目も地味だったしね。
 前回379位はTLC 『CrazySexyCool』。今回は218位。




380位 Charles Mingus 『Mingus Ah Um』
(初登場)

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 なぜかこのタイミング・この順位で、レジェンド枠のチャールス・ミンガス初登場。ビル・エヴァンスもバド・パウエルもソニー・ロリンズもアート・ブレイキーも、みんなカスりもしてないのに、なんで彼だけ?謎だ。
 さらに、ジャズ名盤選では大抵『直立猿人』が代表作筆頭だったはずだけど、ランクインはなし。このアルバムだけ唐突にランクインしてるのは、誰かがサンプリングで使ったのか強くリスペクトしたのか。謎だ。
 昔も今もモダン・ジャズのアルバムの多くは、リード楽器奏者がメインで作られている。サックスやピアノやトランペット、たまにギターやヴィブラフォンもあるけど少数派だ。
 ミンガスはベーシストなので、わかりやすいフレーズを奏でるわけではない。かといって、ここぞとばかりにインパクト強いアドリブ・ソロを展開するわけでもない。なので、クレジット見ないで聴いてると、サックスのブッカー・アーヴィンのソロ・アルバムと思ってしまう。
 ここでのミンガスはソロイストではなくコンダクター、サウンド・プロデュースを司る役割を担っている。他のアルバムをちゃんと聴いたことはないけど、おおよそこんなポジションなのだろう。
 多分半世紀も前にこんなこと言ってたら、「お前はミンガスがわかってない、ジャズがわかってない」って諭されたんだろうなジャズ喫茶で。すごく若い頃、物珍しさで札幌の老舗ジャズ喫茶に行ったことあったけど、いたたまれず10分くらいで店を出た。
 狸小路の5丁目にあった雑居ビルだけど、多分ないよな、もう。
 前回380位はToots & The Maytals 『Funky Kingston』。今回は344位。







「Rolling Stone Magazine 500 Greatest Album Of All Time」全アルバム・レビュー:361-370位


 361位 My Chemical Romance 『The Black Parade』
(初登場)

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 再結成USツアー中のマイケミ3枚目のアルバムが、今回初登場。現役活動中はまったく興味なく、こういう企画でもなければ聴く気もなかったバンドのひとつ。アーケード・ファイアとコールドプレイもそうだったんだよな、ブリットポップ以降のUKロックには関心なかったんだ。
 デビューした頃、ロキノン界隈で新世代の救世主的な扱いで大きくフィーチャーされていたことは何となく知っていた。しかしロキノン、定期的にニューカマーを持ち上げて盛り立てる時期があったけど、ここ数年はそんな気力体力も薄れちゃったのか、60・70年代特集ばっかになっちゃったよな。正直、フェスのシーズン以外、洋楽が話題になることも無くなったし。
 でマイケミ、曲によってクイーンっぽいバロック・ポップだったり前のめりなメロコアだったり、日本で言えばヒゲダンみたいにアプローチの引き出しも多い。一様なエモにこだわらず、楽曲によって最適なアレンジを施すのは、バンド自体のポテンシャルと周辺ブレーンによる最適解の結果だと思う。要するに、「ちゃんとしている」のだ。
 なので、そんな破綻の少なさに物足りなさを感じてしまう旧世代のめんどくささよ。緻密なマーケティングに基づいて、きめ細かく顧客のニーズに応えることで、リスクを最小限に抑えるのはわかるんだけど、もう一回聴き返したいかと言われれば、それはちょっと…となってしまう。そういうことなのだ。
 オープニング「The End」なんかはボウイのエッセンスが濃厚で、俺世代の心も充分掴んだりする。サビは「Five Years」をうまく消化した、パクリというよりは偶然のオマージュといった感じで好感が持てる。基本は真面目な人たちなのだろう。ないものねだりするのも、あんまりよくないか。
 前回361位はOutKast 『Stankonia』。今回は64位。




362位 Luther Vandross 『Never Too Much』
(初登場)

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 80年代ブラコン・ブームの立役者:ルーサー・ヴァンドロスの出世作が今回初登場。80年代バブル期のカフェ・バーやトレンディ・ドラマのBGMとして多用されていたため、名前は知らないけど聴いたことあるフレーズも結構あって、懐かしく思う人も多いはずである。
 デビュー前からボウイやダイアナ・ロスのレコーディングに参加したり、セッション・ミュージシャンとして長いキャリアを持っており、そこそこ苦労人である。小細工を弄せず、喉ひとつでのし上がってきたところなんかは、日本の演歌シーンとダブっていたりもする。
 長い間、80年代ブラコンは軽薄な時代の産物、薄い嘲笑混じりで隅に追いやられたり、ひどい時には黙殺されたりしていた。ただどの時代においても、ジャンル特有のメロウな旋律と薄い打ち込みリズムには根強いファンが存在し、細く長く聴き継がれてはいた。
 70年代フュージョンやR&B、スムース・ジャズを総称したクワイエット・ストームは、今ではジャンルの認知も広まり、高収益マーケットとして黙殺できない規模に成長している。ある程度、メンタルの安定や経済的な余裕がないとピンと来ない音楽なので、むしろ環境音楽的な捉え方で接する人の方がハマるかもしれない。
 ブラコン・ブームが落ち着いた90年代以降は、便利なデュエット職人みたいになっちゃったヴァンドロス、クリエイティブのピークはやはり80年代であり、どのアルバムもハズレがない。圧倒的な歌唱スキルと空間的なサウンド・プロダクトは心地よく、つい夜のドライブでエンドレスで聴いてしまうのだった。
 前回362位はSmashing Pumpkins 『Siamese Dream』。今回は341位。




363位 Parliament 『Mothership Connection』
(271位→276位→363位)

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 360位ファンカデリック同様、こちらも前回順位より大幅ダウン。かつては「取り敢えず使っておけば間違いない」サンプリング・ソースとして引っ張りだこだったPファンクだけど、さすがに各方面で使い倒された感もあり、今は表だって使われることも少なくなった。逆に今だと、ソースそのまま使う方が気恥ずかしいくらいだし、だからと言って、これまでとまったく違うアプローチも多分ないし。
 パーラの代表作といえば、コレと『Chocolate City』が定番だったはずだけど、なぜか後者は過去もランクインなし。高評価だったのは日本だけだったのかな。ま極端な話、この時代の作品ならどれ聴いても、そんな変わりないしな。
 「総帥:ジョージ・クリントン扮するエイリアン「スターチャイルド」がUFOで地球に来訪、人類に聖なるFUNKを伝道する」という、誠にくっだらねぇ内容のコンセプト・アルバム。酒とドラッグでぶっ飛んでいた当時のクリントンの誇大妄想なヨタ話がベースだけど、まぁそんなの知らなくても困らない、ドロドロのディスコ・ファンクが展開されている。
 まだJBフォロワーの域を出なかったチンピラバンドだった彼らにとって、初めて「Pファンク」という概念が誕生した、大きなターニング・ポイントとなったアルバムでもある。混沌としたリズムと下品なジョークが無軌道に散らばっていた彼らのベクトルが、ここでひとつに収斂した。
 「Pファンク」という指針、そして生き方、または哲学。そんなアルバムである。あ、音楽はドロドロのきったねぇファンクだけど。
 前回363位はNew Order 『Substance 1987』。今回は圏外。




364位 Talking Heads 『More Songs About Buildings and Foods』
(378位→383位→364位)

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 映画『アメリカン・ユートピア』の好評が続いているデヴィッド・バーン=トーキング・ヘッズの2枚目が、わずかにランクアップ。個人的には好きなアーティストでありアルバムでもあるけど、トップ100に入るほどじゃないんだよな、このアルバム。
 80年代ロック史的に重要なポジションを占めてはいるけど、正直、メインストリームで脚光浴びたことはないし、世界的にも根強いファンは少なからずいるんだけど、ぶっちゃけ日本ではサブカル界隈でしかフィーチャーされてないし。解散した時も大もめしたわけじゃなく、淡々とした自然消滅だったところも、日本じゃ盛り上がりづらいし再評価されづらいところなんだろうな。
 NYアングラ・シーンの無骨さと手探りなDIY精神があらわなデビュー作と比較して、プロデューサー:ブライアン・イーノによって、アレンジやアンサンブルは整理され聴きやすくまとまっている。すでにこの時点で「楽器を弾けないプロデューサー」としてのポジションを確立していたイーノ、具体的にサジェスチョンするのではなく、抽象的なアドバイスを絶好のタイミングで放つことによって、バンドのアンサンブルやバーンのソングライティングに影響を及ぼした。
 NYパンクの流れでデビューした彼らだけど、そのサウンドからは、一般的イメージのパンクから連想される疾走感や殺伐さ、怒りはほぼ感じられない。ミニマルなアンサンブルとロジカルと直感が交差するバーンのパフォーマンスとの組み合わせは、どのカテゴリにも収まりづらいノマドな空間を創り出している。
 無意味に拳を振り上げたりヘドバンする既存のロックとは距離を置き、演劇的かつ案外トラディショナルな音楽性は、一貫して変わらなかった。アル・グリーンをカバーすること自体、パンク・バンドではかなり異色だったはずだし。
 80年代ニューウェィヴ系しばりのカバー・アルバム『Fine Time ~A Tribute to NEW WAVE』が2004年にリリースされており、岡村靖幸が「Burning Down the House」をカバー。卓球のD.A.F.はまだわかるとして、中原昌也によるスペシャルズやクラムボンによるバウ・ワウ・ワウなんて、ものすごくニッチなところを狙っているオムニバスだけど、こんな中だと岡村ちゃんはまだ正攻法なアプローチ。バーンのクセ強なメロディに引っ張られがちで、ヴォーカルもまだ本調子じゃないんだけど、でもギミック多めのデジタル・ファンクでまとめたサウンドは、さすが岡村ちゃん。




 紹介できる音源が原曲とのマッシュアップくらいしか見当たらなかったため、ちゃんと聴きたい人は中古CD探すしか手段がない。権利関係めんどいだろうから、多分、今後も配信は無理っぽいな。
 前回364位はDoors 『L.A. Woman』。今回は圏外。




365位 Madvillain 『Madvillainy』
(初登場)

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 数々の変名を使い分けたり無数のプロジェクトを立ち上げたり、単なるワーカホリックなのか突き抜けた天才肌か、落ち着くヒマも惜しんで動き回るトラックメイカー:マッドリブによるヒップホップ・プロジェクト:マッドリヴィアンのアルバムが初登場。こんな風に音楽レビュー的な紹介してみたけど、聴くのはもちろん初めて。
 全然興味なかったはずなのに、なぜか存在はうっすら知ってる。なぜなのか。
 なので調べてみるとマッドリブ、2003年に老舗ジャズ・レーベル:ブルーノートに残されたアーカイヴの使用許可を得て、リミックス・アルバム『Shades of Blue』を作った人だった。俺が覚えていたくらいだから、世間的にそれなりに話題になったのだろう。
 「どのトラックも好きに使っていいよ」って言われて、そりゃディープなマニアなら狂喜乱舞なんだけど、でも単なる趣味の延長じゃなくてビジネスなんだよな。先達のデ・ラ・ソウルやUS3とは違うアプローチしなくちゃならないし、そこそこメジャーだけどベタにならないところから引っ張ってこなくちゃならないし。
 そんな権利もらえるなんてスゲェなマッドリブ、どんなコネがあったのか、それとも上層部をも虜にする人たらしのワザでも持ってるんじゃね?と最初は思っていたのだけど、イヤ多分みんなに断られたんだろうな。普通に考えて荷が重すぎるって。目星つけてたクリエイターが手を挙げてくれないから方針転換して、「未曾有の可能性を有する若手に託した」って顛末だったんじゃないかと。
 ちなみにこの『Shades of Blue』、当時の邦題が『ブルーノート帝国への侵略』。…なんていうかこう、もうちょっと何とかならなかったのか?売る気なかっただろ日本のディレクター。
 で前置きで長くなっちゃったけど『Madvillainy』、随所にジャジー・ラップ的なトラックもあって、ジャズからのインスパイア色濃い部分もあるのだけれど、多くは相方MF DOOMに合わせた上品なギャングスタ風ラップ。コンテンポラリー受けの良いジャズ・プロジェクトもやりつつ、こういったアンダーグラウンドな場所もキープして置きたいのはわかるんだけど、でもほのかに漂ってくる育ちの良さと佇まい。そのうち丸くなったら、ロバート・グラスパーみたいになるのかな。
 前回365位はRage Against the Machine 『Rage Against the Machine』。今回は221位。




366位 Aerosmith 『Rocks』
(175位→176位→366位)

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 解散したんだか再結成したんだか、よぉわからんフワッとした状況が続き、かと思えばつい先日、何ごともなかったかのように全米ツアーを再開したエアロスミス。プライベートでこっそり来日してたりリハビリ施設の出入りを繰り返すスティーヴン・タイラーも大概だけど、他のメンバーもみんな似たようなロックンロール・ライフを歩んできたため、互いに「おま言う」状態が絶妙なバンド内バランスを保っているのだろう。
 そんな彼らの初期代表作が、前回より大幅ランクダウン。ロック名盤ガイドでは定番だったんだけど、80年代後半に彼らが現場復帰してからは、むしろ影が薄くなった印象がある。
 70年代にデビューしたロック・バンドの多くはキャリアの初期に人気面・創作面のピークを迎え、80年代に入ってからは緩やかに下降してゆくのが一般的である。エアロもまた、人気低迷→解散の経緯を辿ってゆくのだけど、彼らの場合、再結成以降にさらに大ブレイクしたという、かなりレアなケースである。
 Run-D.M.C.とのコラボ「Walk This Way」が再ブレイクのきっかけだったのだけど、コロッケのモノマネによって再び脚光を浴びた美川憲一のようなもので、その頃はいわばイロモノ扱いだった。ここからさらにメガ・セールスを記録するなんて、誰も思っていなかった。
 その後の「Angel」はちょっと大味だったけど、「Living on the Edge」「Miss a Thing」は今でも好きだ。90年代に新譜でプラチナ獲得してしまう老舗バンドは、エアロかストーンズくらいのものだ。
 で、そのストーンズの下位互換でデビューしてから半世紀、アルバム・セールスはおそらく本家をとっくに超えているはずだし、ネーム・バリューも充分引けを取らないはずだけど、それでもどこか拭いきれないB級感。そんな彼らの初期のピークとして位置づけられているのがこの『Rocks』だけど、アンサンブルの勢いは感じられるんだよな確かに。ただ同時期のストーンズ、『Black and Blue』と比べると物足りなさを感じてしまう。偏見あるわけじゃないけど、やっぱエアロは90年代だな。
 他のランキングは、『Toys in the Attic』が224位→229位と来て、今回は圏外。




 OKAMOTO'Sが2枚目のアルバム『オカモトズに夢中』で「Walk This Way」をカバー。もちろんRUN-D.M.C.寄りで、ほぼ素直なアプローチ。ちょっと型にハマり過ぎ感もあるけど、まぁ普通に聴ける。
 前回366位はJohnny Cash 『American Recordings』。今回は圏外。




367位 Drake 『If You're Reading This It's Too Late』
(初登場)

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 ほんとのところはどうなのか知らんけど、長いこと対立関係にあったカニエ・ウエストとも和解、近年は吹っ切れたかのようにハイペースで新作をリリースしているドレイク4枚目のミックステープが初登場。確かこの辺りから、CDセールスとダウンロード数との乖離が大きくなり過ぎて、ビルボードのランキング基準が変更になった記憶がある。
 「フィジカルで発売されないミックステープが新作扱いになるなんて、時代も変わったのだな」と当時はまるで他人事だったのだけど、それから坂を転げ回るように状況は激変した。俺自身、ここ数年は、新譜のCDより中古LPを買う方が多くなっている。
 以前のレビューで「あんまり響かない」と書いたドレイクだったけど、このアルバムは2回くらい通して聴いている。「好んで聴いている」というより、「止めるほどつまんなくもない」という程度だけど。
 ちなみに「ミックステープ」と称してはいるけど、ほぼドレイク出ずっぱりのため、特有のつぎはぎ感はない。この手のアルバムでありがちな「豪華ゲストとのコラボ」もない、至ってシンプルなプロダクションである。余計な雑味がないからこそ、集中して聴けるのかもしれない。
 前回367位はMadonna 『Ray of Light』。今回は222位。




368位 George Harrison 『All Things Must Pass』
(429位→433位→368位)

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 ビートルズ解散後初のソロ・アルバムが、前回より大幅ランクアップ。ビートルズ関連ではお約束の50周年エディションが出てるので、ユニヴァーサルのサイトを見ると、最上位クラスは8枚組ヴァイナル+未発表セッションCD3枚+大量のメモラヴィリアがついて、総額125,715円っ。
 高いっちゃ高いんだけど、そういうユーザーは相手にしないんだよな。とにかく思いついた付加価値をありったけ詰め込んで、それでもディープなマニアは満足しないんだから、今後もインフレは続くと思われる。デカければデカいほど、かさばれかさばるほど、この手のグッズの価値基準は上がってゆく。効率良くBD1枚に収めちゃうなんてのは邪道なのだ。
 ちなみにこのRollingStoneランキング、ジョージのアルバムで入っているのはこの『All Things Must Pass』のみ、他は全滅である。前述のエアロ同様、キャリア的にはここがピークで、以降は緩やかにフェードアウト→87年の『Cloud Nine』で再ブレイクという流れなのだけど、間がすっぽり抜けている。
 一応ジョージ、70年代は現役で活動しており、何枚かアルバムをリリースしてはいるのだけど、ピーク時の売り上げを超えることはできず、そのうちやる気なくしちゃって活動状況もうやむやになってフェードアウト、そのままセミリタイアしてしまう。
 「ビートルズ時代の抑圧」という負のパワーを全開にし、クラプトンら気心の知れた友人と作り上げたのが『All Things Must Pass』だけど、マイナスの感情って持続しないんだよな。しかもペース配分考えずにアナログ3枚組なんてボリュームでリリースしちゃったもんだから、これ以降のアルバムはどれもインパクト弱いし。
 問答無用のエバーグリーン「My Sweet Lord」は別格として、大作アルバムにありがちな「もうちょっと曲削ってもよかったんじゃね?」。多分、当時はみんな言いづらかったんだろうけど、最後のジャム・セッションのパートは必要なかったよな。リイッシューのボーナス・トラックとしてならまだ許せるんだけど。




 ビートルズが来日した時、一緒にすき焼きを食した男:加山雄三が、1971年リリースの洋楽カバー・アルバムで「My Sweet Lord」をセレクト。の歌は、「サライ」や「若大将」というのは彼あのほんの一面に過ぎず、実は作詞・作曲・アレンジ・演奏何でもできる、日本屈指のマルチ・クリエイターである事実は、ほとんど知られていない。確か芸能人としてはピークも過ぎていた頃の作品だけど、イヤ歌はめっちゃうまい。
 前回368位はEagles 『Eagles』。今回は207位。




369位 Mobb Deep 『The Infamous』
(初登場)

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 2017年、相方プロディジーの急逝によって活動終了を余儀なくされた、モブ・ディープ2枚目のアルバムが初登場。ジャケ写は知ってた。でも、音を聴くのは初めて。
 ほぼ予備知識抜きで一度通して聴いてみたのだけど、オラついたジャケ写のわりには案外聴きやすい。矢継ぎ早に繰り出されるライムも、ギャングスタ系特有の圧が薄く、ずっと正統派である。
 近年の「ほぼ歌だよなコレ」的な、フロー中心で適当な相づち程度の雑なトラックよりも、こっちの方が「世間一般が思うところのラップ」という感じで好感が持てる。なんか上から目線だな俺。
 業界フィクサー的に立ち回っていたトライブ・コールド・クエストのQティップの導きによってデビューを果たした彼ら、ここでもQティップに最終ミックスを委ねている。見た目は殺伐としたコンビだけど、メジャーの視点によってメリハリのついた展開でまとめられている。当時、すでに大物扱いだったNASが参加していたり、売れるための目配りもちゃんとしている。
 ハードコア・ラップの金字塔と位置付けられているこのアルバムだけど、もっと殺伐だったりバイオレンスに振り切れたアーティストも出てきているので、今の耳だとそこまでハードコア感は伝わってこない。「ジミヘンがすごかった」っていうのと同義だよな。実際、どっちもすごいんだけど。
 前回369位はThe Smiths 『Louder Than Bombs』。今回は圏外。




370位 Lil Wayne 『Tha Carter II』
(初登場)

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 2022年時点で5作目まで出ている「カーター」シリーズ、2005年の2作目が初登場。いつまで続くのかな、コレ。布袋のギタリズムみたいなものなのか。
 自称「生きている中で最高のラッパー」のリル・ウェイン、テクニック的なことはヨォわからんけど、確かにキャラが強くアクも強い。一聴して誰が歌ってるかわかる声質とパフォーマンスは、唯一無二のものだ。
 拳銃所持で捕まったけどトランプ大統領退任の恩赦を受けたり自身の大麻ブランドを売り出したり、かと思えばTVショーで過去の虐待による精神的苦痛を告白したり、何かと話題を提供している人だけど、そんな中でも「カーター」6作目を鋭意製作中だったり無数のゲスト参加やコラボに顔を出したり、音楽のことも忘れちゃいないのは、結構なキャリアのはずなのに、そこだけは感心せざるを得ない。
 同じくらい儲けまくったジェイ・Zなんて、クリエイターはほぼ副業で、単なるセレブCEOみたいになっちゃってるし、そういう意味での現場感覚は尊敬に値する。イヤしてないけどね。勢いで書いちゃった。
 前回370位はMott the Hoople 『Mott』。今回は圏外。







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北海道の中途半端な田舎に住むアラフィフ男。不定期で音楽ブログ『俺の好きなアルバムたち』更新中。今年は久しぶりに古本屋めぐりにハマってるところ。
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