411位 Bob Dylan 『Love and Theft』
(459位 → 385位 → 411位)
「偶然」というか、別に無理やり関連づける必要もないのだけど2001年、NY同時多発テロの日にリリースされた、21世紀初のディラン新作スタジオアルバム。ここまでディラン、8枚が選出されており、いまだその支持層の厚さぶりが窺える。
ちなみに今さらだけどこのランキング、335人の音楽関係者に「お気に入りのアルバム50枚」を選出してもらう集計方式を取っており、そうなるとみんな、「ディランとビートルズと『Pet Sounds』、どれか1枚くらい入れないとカッコつかないんじゃね?」と思ってしまうもの。特にディランだと、どうせ60年代に票が集中するのは明らかなので、「ベタなところはちょっと」ってはずしてみた層が、『Love and Theft』に入れたんじゃないかと思われる。
目に見えて迷走していた80年代の音楽的変遷を酷評され、または冷笑されたりしてよほど懲りたのか、90年代の多くを長い長いロードに明け暮れ、ちっとも新作を発表しなかったディラン。世紀末を経たことで何か吹っ切れたのか、これ以降は比較的コンスタントに新作スタジオアルバムを発表し続けている。
もともとデビュー時、「反戦フォークが流行ってたから」という単純な理由でプロテスト路線に走った人なので、実はそんなに確固たるポリシーに則って行動している人ではない。同時代のビートルズやストーンズみたいに、女の子にキャーキャー言われたいからロックに転向したり、実は案外ミーハーである。
そんな感じで流浪の変遷を歩んできた20世紀のディラン、ひとつ時代を跨いだことを意識したのか、ここではポピュラー全史を俯瞰した多様な楽曲を、ネバー・エンディング・ツアーのメンバーと共にレコーディングしている。
ギターがチャーリー・セクストンだよ。昔は「チャリ坊」って呼ばれたのに。時代も変わったな。
コロナ禍も落ち着いた西欧を手始めに、ディランは今年もツアーに出る予定。終わりなき旅を続けるブルースマンになぞらえて、彼はどこへ辿り着こうとしているのか。または、ステージ上で息絶えることを、どこかで望んでいるのか。
412位 Smokey Robinson and The Miracles 『Going to a Go-Go』
(268位 → 273位 → 412位)
413位 Creedence Clearwater Revival 『Cosmo's Factory』
(262位 → - → 413位)
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