好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そんなユルいコンセプトのブログです。

80年代の岩崎宏美をちゃんと聴いてみないか。 - 岩崎宏美 『戯夜曼』


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  1985年リリース15枚目のオリジナルアルバム。オリコン最高13位は決して高い数字ではないけど、総合ランキングとは別に、この時代は別枠でCDランキングが設けられており、そっちでは最高5位。まだレコード生産枚数が上回っていた時代なので、CD出荷数自体が少ないのだけど、そんな中、歌謡曲としては結構高めのランクインとなっている。
 世界初のCDプレイヤー/ソフトが発売されたのが82年10月だったのだけど、しばらくはオーオタ御用達のレアガジェットの域を出ず、10万・20万が当たり前の殿様商売だった。北海道の中途半端な田舎の中学生だった俺の周りにも、持っているのは誰もいなかった。
 それからしばらくして84年、ソニーが手のひらサイズの普及型プレイヤーD-50を5万円切る価格で発売し、同業他社も右ならえで廉価版プレイヤーを販売し始めたあたりから、ようやく普及し始めた。ソフトはまだ高かったけどね。
 プレイヤーは徐々に普及し始めたけど、一枚3,200〜3,800円もするソフトを若年層が気軽に何枚も買えるはずもなく、この時代でもメインユーザーはジャズやクラシックファンが中心だった。レコード店もまた、売り場の2割程度を占めるに過ぎないCDコーナーに、ニーズの少ないアイドルや歌謡曲を並べることに積極的ではなかった。
 すでにアイドルという括りから脱皮していた岩崎宏美のファン層は、おおよそ彼女と同世代かちょっと上、20〜30代中心だったと考えられる。就職して可処分所得が多めの年代が多かったことから、CDセールスが好調だったことは想像できる。

 1985年の歌謡界において、岩崎宏美はトップグループに属しており、お茶の間の認知度も高い人気歌手だった。アイドルというにはちょっと苦しいけど、卓越した歌唱力と親しみやすいキャラクターによって、安定した人気を保っていた。
 80年代に入ってからは、メガヒットは少なくなったけど、当時のアイドルの通常ペースである3ヶ月ごとのシングルリリースは続いていた。ベスト10上位に入る確率は減ったけど、ランキング形式以外の歌番組では、顔を見る機会が多かった。
 80年代前半くらいまでの歌謡界において、紅白出場かレコ大大賞を獲ることが、いわゆる「上がり」とされていた。前者の究極的な理想は大トリなのだけど、重鎮から大御所に加え、何で出てるのか知らんけど芸歴が長かったり、事務所のパワーバランスによるゴリ押しがいたりで、中堅クラスでそこに食い込むのは、現実的には難しい。なので、出場し続けることが目的となる。
 81年「すみれ色の涙」で最優秀歌唱賞を受賞し、順当にいけば次期大賞候補だった岩崎宏美、当時の歌謡界のセオリーとルーティン、または各事務所間の持ちつ持たれつで、翌82年の「聖母たちのララバイ」で大賞獲得していたはずなのだけど、この年は細川たかし「北酒場」に軍配が上がった。すでにこの曲で、日本歌謡大賞と有線大賞を受賞していたこともあって、おそらくトップの間で何らかの調整が行なわれた、っていうのは穿ち過ぎか。イヤ、あり得るな。

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 80年代に入ってから女性アイドルの世代交代が急速に進み、特にこの82年はいまも語り継がれるように、新人女性アイドルが大豊作だった。新陳代謝のペースが爆上がりして、70年代デビュー組をプッシュする動きはフェードアウトしてゆく。
 まだまだ男尊女卑がまかり通っていた時代、「女性の年齢=クリスマスケーキ」という例えがあった。「24まではみんな競って買い求めるけど、25になると売れ残ってしまう」。今だったら炎上間違いなしだけど、アラフィフ世代くらいまでなら、聞いたことあると思う。
 女性アイドルはさらに賞味期限が短く、どれだけ結果を残していようとも、大抵3年程度で肩を叩かれた。芸能事務所やレコード会社、他メディアもおおよそそんな認識だったし、本人たちも当たり前のように受け入れていた。
 そこそこヒット曲があれば「ミュージックフェア」には出られるけど、ヤングアイドル中心の「ヤンヤン歌うスタジオ」からは、声がかからなくなる。フレッシュで初々しい82年組と同列に扱うわけにもいかないし、周囲もちょっとイジりづらいし。
 なので、多くの女性アイドルは3年を機に進退を迫られた。進学するか結婚するかで芸能界を引退、事務所に残る場合は、ドラマに出るかそれともヌードになるか。
 今だったら、歌わなくてもテレビに出られるバラエティという場所が用意されているけど、当時は需要が少なかったし、何より「歌を捨てた」という格落ち感が強かった。逆に言えば、残る人はそれだけの覚悟があったということなのだけど。

 デビュー当初から歌唱力を売りにし、「キュートでファニーで歌は二の次」な従来アイドルの要素を排除してきた岩崎宏美もまた、その例外ではなかった。20代前半は無理に演出しなくても、ほのかな蒼さとあどけなさが親しみやすさを醸し出していたのだけれど、中盤に差しかかると、それも薄れてゆく。
 艶やかで長い黒髪と整った顔立ちは、「アイドル」としては充分だけど、「女性歌手」としては物足りない。「アイドル」というエクスキューズを抜きにした「女性歌手」へステップアップするためには、違う要素が必要なのだ。
 それが人によってはセクシャリティであり、また、自ら作詞作曲するアーティストになったり。手っ取り早く日銭を稼ぐため、演歌に転向するルートも、あるにはある。
 「聖母たちのララバイ」が大きなヒットになったことで、歌謡界における岩崎宏美のポジションは、取り敢えず落ち着いたように見えた。大きな賞も獲得できたしアイドル歌手からの脱皮と言うにふさわしい代表曲ができたことで、とりあえずはひと安心。
 変に迷走して、畑違いの路線に走ったりせず、王道から逸れないまま、「アイドル→女性歌手」への移行も、自然な形で済んだ。そりゃ裏では賞レース絡みで、密約やら談合やらの類はあったはずだけど、表面的にはソフトランディングできた。
 あくまで事務所サイドとしては。
 周囲の大人たちの思惑としては、このまま「聖母たちのララバイ」路線の踏襲と深化を狙っていたのだと思う。その後、続けて「火曜サスペンス劇場」主題歌に起用された「家路」(4位)も「橋」(31位)も、テーマや曲調は似たようなテイストで統一されている。
 さすがに「聖母~」ほどの大ヒットには及ばないにしても、同年代女性歌手と比べると格段のセールスだし、どれも崇高なテーマでチャラついてない楽曲なので、箔もつく。この路線だったら年齢を重ねても、紅白出場は安泰だろうし。

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 周囲の大人の言うことに疑問を持たず、まっすぐなレーンを歩んでいた優等生の岩崎宏美も、デビューから10年も経つと、いろいろ思い悩むようになる。普通の社会人だって、中堅クラスになると、先行きを考える。当然っちゃ当然のことだ。
 このまま歌手であり続けることに不満はなかったけど、なぜ歌うのか・何を歌うべきなのか。それを考えるようになった。
 最初はただ、歌えるだけで幸せだった。自分のために作られた楽曲を自分なりに解釈し、難しい旋律を歌いこなす。スポットライトとは縁のなかった10代の少女にとって、それは充分身に余る光栄だった。
 歌番組への露出が、お茶の間の知名度に直結した時代、3ヶ月スパンでリリースされるシングルのセールスは、すなわち歌謡界でのランク付けに大きく影響した。なので、レコード会社はあの手この手を使って売れっ子ライターを押さえ、リスクヘッジに努めた。
 多くの大人たちの思惑が絡むシングル選定コンペでは、営業の発言力が強く、製作サイドの意見が通ることは少なかったけど、アルバム制作ではまだ自由裁量が黙認されていた。岩崎宏美もまた、全作詞とアートディレクションを手掛けた異色コンセプトアルバム『Love Letter』や、オールLAレコーディングの『I WON'T BREAK YOUR HEART』をリリースしている。
 同時代にデビューした女性歌手の多くが路線変更を迫られたり引退したりしている中、彼女はわりと恵まれた方ではあった。大ヒットは少なくなったけど、レコーディング契約は続いているし、このままスキャンダルでも起こさない限り、歌謡界でのポジションは安泰だろう。周囲もおそらく自分自身も、そんな風に思っていたんじゃないか、と。

 1984年、岩崎宏美はデビュー時から所属していた芸映との契約を終了、個人事務所を設立する。この前年に西城秀樹が退社・独立したのに触発されたのか、販促計画が82年組の石川秀美中心にシフトしていったことに危機感を抱いたのか。




 当時の芸能週刊誌記事をアップしているブログがあり、興味深い記事がいろいろ書かれているのだけれど、「ピンクレディーみたいにはなりたくない」と書いてあったりする。心身ボロボロの状態で過密スケジュールをこなすだけの毎日、モチベーションの低下に伴うパフォーマンスの劣化、そして人気の急降下。
 プライベートな時間を削って休みなくこき使われ、挙句の果てに使い捨て。昔からある芸能界の栄枯盛衰は、誰にとっても他人ごとではなかった。後に引けない状況を避けることができるのは、最終的に自分の判断だ。
 利権やしがらみが複雑に絡み合うため、一朝一夕でまとまったものではないだろうけど、過密スケジュールや長期ビジョンの相違が、主だった独立事由だったんじゃないか、と推察できる。ほんとのところはもっと複雑なのだろうけど、主因のひとつであることは間違いない。
 近年も芸能人の独立となると、いろいろ騒がれることが多いけど、この頃の芸能界は魑魅魍魎、大手事務所からの独立は、かなりリスキーだった。よく言われる「干される」という制裁。
 当時の芸能界は独立した場合、「約2年は目立った芸能活動ができない」というしきたりがあった。おそらく所属歌手とのバッティングを避けるため、テレビの出演枠確保のためだと思うのだけど、要はペナルティみたいなもの。
 当時もおそらく、出るとこに出て訴えれば勝てる案件だったのだろうけど、金と時間ばかりかかって、むしろデメリットの方が大きい。こういう場合、あまり要求が多すぎると、事務所が故意にネガティヴな情報をリークしたりするので、立場的にはとても弱い。

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 こういった独立劇となると、環境もガラリと変わって心機一転、一からのスタートになるはずで、岩崎宏美も歌番組からしばらく遠ざかることになるのだけれど、ビクターとのレコーディング契約はそのまま続くことになった。デビュー時からのプロデューサー:飯田久彦はじめ、慣れ親しんだスタッフとの継続は、歌をメインとした活動のためには必須だった。
 これまでのスタッフが敷いた「大人の歌手」という方向性は間違っていなかったのだけど、そのベクトルが彼女の思惑とは別の方向に向き始めた。独りになってまずすべきことは、その軌道修正だった。
 刻一刻と成長し続ける岩崎宏美の歌を求める固定ファンは、そんな彼女の奮闘ぶりを控えめに後押しした。単なる歌手から脱皮して、サウンドプロデュースにも深く関わるアーティスティックな進化を見守り続けた。
 自ら納得ゆく楽曲を探し求め、気になったクリエイターには自らコンタクトを取った。従来の歌謡曲フォーマットのアレンジや歌詞テーマではなく、当時のシンガーソングライター系、今で言うシティポップ系のサウンドをモチーフとして、アルバム制作を進めていった。
 2年のブランクを経てリリースされた『戯夜曼』は、そんな彼女のこだわり、そして今後の方向性が強く打ち出された、コンセプチュアルな構成となった。全編当て字も含んだ漢字タイトルで統一され、それに伴ってビジュアルイメージも一新、トレードマークの長い黒髪は白い帽子の中にまとめられた。
 これが正しい路線なのか、まだちょっと自信はない。ないけど、今までとは違う自分であることには、自信ある。
 ちょっとおどけた感のあるジャケットからは、そんな肩の力の抜けた軽みが伝わってくる。




1. 恋孔雀(こいくじゃく)
 テレサ・テンが歌ってもしっくり馴染んでしまう、歌謡曲寄りのメロだけど、キャッチーなポイントを押さえた職人芸:大村雅朗のアレンジが秀逸。正直、松井五郎の歌詞はベタな職業作家感が拭えないのだけど、岩崎宏美のヴォーカル力によって説得力が増している。

2. 星遊劇(ほしあそび)
 この後、結婚前のアルバム『Me Too』までブレーン的な立場で関わり続ける奥慶一アレンジ、オリエンタル音階を巧みに使ったポップチューン。ニューウェイヴに目覚めた太田裕美のテイストとも共通点を感じる。あそこまでぶっ飛んでいないけど。
 
3. 唇未遂(くちびるみすい)
 リズムセクションが心地よくアンサンブルも凝っている、変にディープでどマイナーな方向へ向かっている近年のえせシティポップと比べて、段違いの高レベル。やっぱ歌がうまくないと、どうにもならない。
 タイトルが安っぽいため、つい聴き飛ばしてしまいそうだけど、テクノファンクなイントロとコーラスアレンジは絶品。多分、歌いこなすの難しかったんだろうな。
 カラオケだとアプローチがちょっと難しい曲でもある。ただメロディをなぞるだけだと、高確率で失敗する。そんな曲。

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4. 夏物語
 リヴァーヴの深いアルペジオとDX7をメインとした、浮遊感漂う緩やかなポップバラード。抒情的な晩夏を描写した歌詞の内容やアレンジからすると、もう少しヴォーカル抑えてもよかったんじゃね?と勝手に思ってしまう。歌い上げる曲調ではないのはわかっていたはずだけど、当時はこういったアプローチが精いっぱいだった、ってことだと思う。
 そりゃそうだ、この時点でまだ27歳だったんだもの。

5. 夢狩人(Version Ⅱ)
 ちょうどご乱心期真っただ中だった中島みゆきを連想してしまうのだけど、シンクロニシティ?ていうか、こういうリズム・アレンジ流行ってたんだろうな。シンセの使い方も『36.5℃』と似てるもの。
 「決心」のB面として先行リリースされたシングルヴァージョンは、ややテンポを落としたスパニッシュなアレンジだったのだけど、俺的にはシンセ・ドラムの音が心地よいアルバムの方が好み。
 歌のうまさ・表現力の豊かさという点において、中島みゆきとは相性良かったと思うのだけど、2005年:デビュー30周年記念シングル「ただ・愛のためにだけ」まで、コラボは実現しなかった。柏原芳恵とバッティングするの避けてたのかね、みゆきの方から。


6. 偽終止(ぎしゅうし)
 かなり強引な3字熟語と思っていたのだけど、ちゃんとした音楽用語だった。「終わりそうでいて終わらない、最後に盛り上がる」コード進行のことらしい。楽理は詳しくないのでよく知らんけど、曲を聴けば、「あぁそういうことね」と何となくわかる。
 お約束な流れじゃないメロディなので、そのクセ強感は好き嫌いが分かれるかもしれない。こういったギミック、俺は好きだけど。

7. 横浜嬢(よこはまモガ)
 歌詞を読むと「あぶない刑事」を彷彿させる、モダンでトレンディな世界観。ジルバやBMW、本牧バーなど、俺が10代の頃に憧れた心象風景が活写されている。敢えてヤンチャっぽくせず、素直なヴォイシングなのは正解。こういうのを下品に歌っちゃうとヤボったくなる。

8. 射麗女(しゃれいど)
 ここだけカタカナやアルファベットにしちゃうのも興覚目なのはわかるけど、でもかなり苦しい当て字。夜露死苦や愛羅武勇なんて、Z世代には通じないんだろうな。
 イージーリスニング的なストリングシンセのオープニングがちょっとチープだけど、歌に入ると80年代モダンクラシックなダンスポップチューン。もっとリズミカルに歌えばWinkみたいになるんだろうけど、そこまでダンサブルに踏み込まないのが、彼女の品の良さなのだ。


9. 決心
 カメリアダイアモンドのCM曲として広く知られた、オリエンタルなアレンジとアダルトな歌唱が話題を呼んだ、80年代を代表するヒットチューン。芸能ゴシップやキャラに頼らず、歌一本でアイドル以降の道筋を切り開いた意味において、ひとつのメルクマールとなる楽曲、って言ったら言い過ぎかもしれないけど、歌謡界からアーティスト路線へ移行する先例として、彼女の存在は大きい。

10. 風関係
 やや歌謡ロック的なテイストも漂う、ギターソロがほど良く泣いているロッカバラード。ライブでは洋楽カバーでロックっぽい曲を歌うことはあったけど、ここまでロックテイストの強い楽曲をスタジオヴァージョンで歌うことはなかったはず。
 そう考えると、これまでの岩崎宏美的イメージから最もはずれた楽曲なのかもしれない。明菜が歌ったらもっと荒れそうなので、やっぱ枠にはきちんと収める彼女の方がふさわしい。

11. 誘惑雨(さそいあめ)
 そういえばこのアルバム、ほぼ彼女の座付き作家と言っても過言ではない筒美京平は一切参加していない。していないのだけど、このラストは筒美テイストを隠さないでいる。
 いわば過去との決別として、また、独立に伴うあれやこれやで、恩師である筒美とは一旦縁遠くなってしまうのだけど、ヴォーカル技法は明らかに従来の岩崎宏美である。過去をすべて否定するのではなく、ひとつの過程として受け止め、礎としてゆく。そんな決意を窺わせる楽曲。
 心なしか、そういう意味での熱がこもっている。







「Rolling Stone Magazine 500 Greatest Album Of All Time」全アルバム・レビュー:441-450位


 441位 Britney Spears 『Blackout』
(初登場)

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 今はほぼインスタグラマーとしての活動がメインで、アーティスト活動は開店休業中のブリトニー、これ一枚だけとはいえ、このランキングに入ってくるのは、ある意味快挙。いろいろ紆余曲折があったとはいえ、一時代を築いたその記憶は今後も鮮烈に残る。
 2007年リリースということで、いま聴くとエフェクトの質感やミックス全般に若干の古さを感じるのは仕方ないとして、変にこねくり回していないメロディは親しみやすかったりする。いわゆるメインストリーム仕様のダンスコンテンポラリーではあるんだけど、ヒップホップ色が薄いこともあって、全方位的な売れ方をしたのも、こうやって振り返って聴くと納得できる。
 普通、こういったフィメールダンスポップのアーティストの場合、デビュー作周辺のインパクトが強く、初期の作品に評価が集中するものだけど、この『Blackout』は通算5枚目、もうあらゆるスキャンダルやらゴシップやらの洗礼を受けて以降の作品である。「強靭なメンタルを獲得した女性」というストイックなイメージをまとってからの彼女は、その後立ち止まりつつ戻りつつしながら疾走したのだけど、さすがに疲れちゃったんだろうな。
 そういえば、一時付き合ってたジャスティン・ティンバーレイクって、いま何してるんだろうか。ついでに気になって調べてみたのだけど、イヤただの人たらしだなコイツ。気になる人は自分で調べてみて。




 藤井風が2枚目のオリジナルアルバム『Love All Serve All』の初回限定版特典ボーナスCDで、「Overprotected」をピアノでカバー。どんな曲でも自分のフォールドに引っ張り込んでしまうポテンシャルなだけあって、いつもの藤井風ソングになっているのだけど、原曲へのリスペクトを決して忘れないのが、この人の強さ。ブリちゃんのオリジナルとは真逆のアプローチだけど、これ2人を逆にして聴いてみたい気もする。
 前回441位はSuicide 『Suicide』。今回は498位。




442位 The Weeknd 『Beauty Behind the Madness』
(初登場)

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 昨年、亜蘭知子40年前の作品「MIDNIGHT PRETENDERS」をサンプリングした「Out of Time」がちょっとだけ話題になったけど、そもそも日本では、亜蘭知子もウィークエンドもそんなにメジャーじゃなかったのだった。しかし、よくこんなどマイナーな曲掘ってくるな、海外勢。
 洋楽自体が日本ではすっかりどマイナーなジャンルに落ちぶれてしまい、先日のグラミー賞でも話題になったのは、宅見将典が西城秀樹の甥っ子という芸能ニュース的なトピックだけで、本編についてはほぼ触れられることもないし、また誰も気にしない。海外と日本での知名度ギャップがハンパないウィークエンド、スーパーボウルのハーフタイムショーに出てるくらいだから、かろうじて「アメリカで売れてる人」という認識はあるのだけど、そこで終わってしまっている。
 かつてワールドワイドで活動しているアーティストの多くは、アメリカに次ぐ市場規模だった日本を重要視し、しょっちゅう来日したり日本限定仕様でアルバムリリースしたものだけど、今はそんなことも少なくなった。打っても響かない日本のユーザー相手に、ウィークエンドが本腰入れる望みは薄い。彼らにとって現在の日本は、旨味のあるマーケットではないのだ。
 で、このアルバム、どこにでもホイホイ顔を出すカニエ・ウエストはもちろんのこと、あまりゲスト参加した話を聞かないエド・シーランやラナ・デル・レイまで引っぱり出しており、どの方面のニーズにも応えるべく、もう売る気マンマン。しかしほんと多いよな、トップアーティスト同士でゲスト参加したりされたりするパターン。
 一応、サウンドのベースはR&Bなのだけど、ダブステップやらトラップやらトリップホップやら、売れ線でありながらちょっぴりセンシティブな要素がミックスされて、結構お腹いっぱいになる。もしフレディ・マーキュリーが40年遅く生まれていたら、こんなサウンド・こんなポジションに収まっていたんじゃなかろうか。
 前回442位はDEVO 『Q: Are We Not Men? A: We Are Devo!』。今回は252位。




443位 David Bowie 『Scary Monsters』
(初登場)

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 『Let’s Dance』以前のボウイのアルバム中、最も地味な扱いだったはずなのに、近年になってから評価の高まった『Scary Monsters』が初登場。かつてボウイといえば『Ziggy Stardust』とヨーロッパ3部作に人気が集中しており、このアルバムなんかほぼオマケ扱い、名盤ガイドでも3行程度でしか紹介されてなかったのに。
 アルバムごと・シングルごとにしょっちゅうキャラ変し、独自のスタンスを打ち出していたそれまでと違い、時流に即したニューウェイヴ色サウンドで統一されている。マスへの迎合と言い切るほどコンテンポラリーど真ん中ではなく、盟友トニー・ヴィスコンティのプロデュースワークは幾重にもねじれている。
 いま聴くと安直なアプローチはひとつもなく、エフェクトの使い方やアレンジの奇矯さはむしろヴァージョンアップされているのだけれど、一体なにが気に食わなかったんだろうな当時のメディアって。「グラム時代とイーノとのコラボ作こそ至高」という風潮が刷り込まれたおかげで、俺世代は素直に向き合えるまで、多大な時間を要さねばならなかったのだった。
 ただそういったバイアスを抜きにしても、冒頭の怪しげなカタコト日本語ナレーションは、やはり気持ちが萎えてしまう。誤解されたオリエンタリズムにカブれるのは、意識高いアーティストとして珍しいことではなかった80年代。




 2007年に日本で企画されたボウイのトリビュートアルバムがあって、野宮真貴やダイヤモンド・ユカイ、コレクターズなど、いろいろ「わかってる」メンツが参加しているのだけど、トップを飾っているのがRollyことローリー寺西。直球勝負の「Ziggy Stardust」は安い小技もなく、ただただ熱い愛情とリスペクトに満ちあふれている。
 前回443位はCheap Trick 『In Color』。今回は圏外。




444位 Fiona Apple 『Extraordinary Machine』
(初登場)

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 2020年リリースの『Fetch the Bolt Cutters』を除くと、4枚中3枚がランクインしているフィオナ・アップル。ここまで上位から順に聴き進めてきて、最初の108位『When the Pawn...』ではまだピンと来なかったのだけど、400枚以上もあらゆるジャンルに触れてくると、さすがに見解も変わってきて、むしろその圧倒的な特異性に惹かれてくる。
 トラップ一色となったメインストリームの中、ネガティヴで内向きのベクトルを持つ彼女の編み出す音楽は、最大公約数ヒットとは真逆を指している。クラスの8割がウィークエンドを支持し、残りの1割2割が彼女のような音楽を選んだとしても、市場の大きなアメリカでは、充分大きな力になる。みんながみんな、パーティチューンで浮かれたいわけではないのだ。
 ちなみにこのアルバム、完パケしたマスターをレーベルに納入したのだけど、リリースを拒否されて2年ほど放置されてしまう。そんな扱いに業を煮やした関係者が抗議の意としてネットに音源流出〜本社前での抗議活動デモ、その後も水面下で何やかやあって正規リリースに至る、そんなめんどくさい経緯を持つ。ほんとエピック、ソニー系レーベルってアーティストと揉めるよな昔から。ジョージ・マイケルとの件で学ばなかったのか。
 リアルな心情吐露が浮き出る歌詞やアーティストイメージは、ユーザーとの距離感を詰め、自己投影することで親密度が高まる。パーソナルな相互理解を求めるユーザーの点在も、集約すれば大きな潮流となる。類似性が指摘されていた椎名林檎もまた、そのメソッドは同様である。
 前回444位はWar 『The World Is a Ghetto』。今回は圏外。




445位 Yes 『Close to the Edge』
(初登場)

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 邦題『危機』と言い換えた方が通りが良い、重鎮プログレバンドの代表作が初ランクイン。過去2回、彼らの作品がランクインしたのはこれが初めてで、これまで『こわれもの』も『90125』も、まったく影も形もなし。そこまで熱心なファンではないけど、さすがにジャンルへの偏重が強すぎるんじゃないかと勘ぐってしまう。
 ここまでプログレッシヴロックでランクインしているのは、ピンク・フロイドが4枚。ただ彼らって、プログレの中では異端なポジションのため、ジャンルを代表しているとは言いがたい。
 クラシック寄りのELPや、フィル・コリンズ以前/以後ではまったく別バンドなジェネシス、夫婦漫談がメインとなってしまったクリムゾンが入ってないのはまだわかるとして、「若手」のドリームシアターまで入ってないのは、ちょっと虐げすぎなんじゃないかと同情さえしてしまう。ちょっと邪道だけど、あれだけバカ売れしたエイジアだって、もうちょっと構ってやってもいいんじゃね?とさえ思ってしまう。イヤ個人的には思い入れないんだけど。
 目まぐるしいメンバーチェンジと離合集散を繰り返し、度重なる変遷を経ながら、どうにかこうにか生き永らえてきたイエス。世界各地に偏在する熱烈なプログレ者らの支持のもと、いまも現役活動中である。リリースから半世紀経ち、当時のメンバーはもうスティーヴ・ハウくらいしかいなくなっちゃったけど、シンフォニックな寓話性とロジカルなバカテクアンサンブルとを共存させた音楽性の軸はブレず、それが強力なブランディングとなっている。あと20年くらいは、代替わりしながら続けられるんじゃないかと思われる。
 とにかく長くて重厚で深みがあるように見せることこそ至高とされていた時代の作品であるため、収録されているのは18分・10分・9分の3曲のみ。変拍子と転調が目まぐるしいアンサンブルはスゲェーとは思うけど、聴いてるうちに麻痺してしまうのか、凄さが気にならなくなってしまう。
 正確なピッチとリズムに基づいたアンサンブルだけだと、テクニック至上主義に陥ってしまい、マニアックなフュージョン以上にはならないのだけど、能天気な博愛主義のジョン・アンダーソンが演奏陣を適度に引っ掻き回し、地に足のついたポップ要素を持ち込んでいる。一緒にいたらめんどくさそうな人なんだけど、彼の存在あってこそ、イエスはメジャーになれたのだろう。
 って、ここまで書いてなんだけど、そのジョン・アンダーソンは現在、イエスとは袂を分かっていたのだった。元イエスのメンバーと組んで、かつてのイエス名曲を世界中で歌い継ぎ、そこそこ好評を博しているらしい。本家であるイエスも別のシンガーを入れて、同じように世界各地を回り、オリジナルヴォーカル不在にもかかわらず集客に影響はない。
 いわゆるお家騒動から派生した本家・分家であり、普通なら楽曲使用や名義でもめて裁判沙汰になりそうなものだけど、そんな話も聞かない。仲がいいのか悪いのか、はたまた誰もヤブヘビをつつきたくないのか。まぁみんな大人なんだろうね。
 前回445位はSteve Miller Band 『Fly Like an Eagle』。今回は圏外。




446位 Alice Coltrane 『Journey in Satchidananda』
(初登場)

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 ジョン・コルトレーン夫人アリス70年代のソロ作が初ランクイン。2007年に亡くなって以降、息子ラヴィ主導による発掘プロジェクトが進み、海外では再評価が高まっているらしい。
 問答無用のジャズジャイアントであるジョンは、俺も一時期聴きまくり、そこから派生してマッコイ・タイナーに寄り道したりはあったのだけど、アリスへ向かう気は起きなかった。あくまで偏見だけど、「コルトレーンの嫁」というブランドを活用した、まったくの別物という捉え方だったのだ。
 例えがあってるかどうか自信ないけど、ジョン・レノンは聴くけど、オノ・ヨーコのソロは進んで聴かない。そんな感じだ。
 で、アリス、アバンギャルドジャズでハープ奏者っていうだけですでにキワモノ感が強く、さらに加えて自身が傾倒しているインド音楽もエッセンスに加えているものだから、かなりハードルは高い。おそらくリリース当時から、コルトレーンブランドがなければ、ニーズは少なかったんじゃないかと思われる。
 志なかばで早逝したジョンの遺志を継いだアリスに賛同する流れだったのか、またはインパルスからフォロー要請でもあったのか、末期カルテットの常連組がバックアップを務めている。ファラオ・サンダースのサックスとラシッド・アリのドラムは、正直無難なプレイで印象に残るものではないけど、彼ら抜きだと、ハープとタブラによるニューエイジ系になってしまうため、ジャズとして成立させるためには不可欠だったと思われる。
 この後、インパルスと契約終了したアリスはますますインド思想へのめり込んでゆき、自らヒンドゥー教の学習センターを開設、セミナー受講者向けの脱ジャズ的作品を量産してゆくことになる。スピリチュアル全開でニューエイジなアンビエントな作風は、ちょっと怖いのでまだ聴いてない。軽い気持ちで聴いて沼ったらヤバいので、距離を置いておこう。
 前回446位はMC5 『Back in the USA』。今回は圏外。




447位 Bad Bunny 『X 100pre』
(初登場)

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 プエルトリコ出身のアーティスト:バッドバニーのデビュー作が初登場。レゲエ+ヒップホップ+ラテン音楽=レゲトンの新進気鋭として、南北アメリカでは絶大な人気を誇っている。らしい。もちろん聴くのは初めて。
 もしかして聴いてるかもしれない。と思い出したのが「ベストヒットUSA」。ごくたまにBSで見る、いまも変わらぬDJ小林克也の洋楽番組。
 最近は懐かしのアーティスト特集が多く、メインのトップ40カウントダウンは付け足し程度なのだけど、多分、その中で聴いてるかもしれない。あそこに入ってるの、おおかたこんな感じだもんな。
 長らくアングロサクソン系が優位を誇っていたアメリカも、他人種構成比が飛躍的に進んだ末、特にエンタメ界ではラテン系の躍進がハンパなくなっている。世界中に点在するスペイン語圏から支持されることで、セールスもケタ違いになるのは当たり前の話で、白人中心のロックがマイナージャンルに追いやられたのも自然の摂理であって。
 中国に次いでインドの追い上げが激しい世界人口構成比を鑑みると、さらに世界のトレンドも流動的かつ激変する可能性もあるかもしれない。ラガトンにラーガロックや中華音階を取り入れた未知のジャンルが生まれるかも。
 そうなると近い将来、前述のアリス・コルトレーンも世界的に再評価される日も来るかもしれない。
 ねぇよ、それは。多分…、きっと。
 前回447位はGetz & Gilberto 『Getz & Gilberto』。今回は圏外。




448位 Otis Redding 『Dictionary of Soul』
(248位 → 254位 → 448位)

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 俺が最初に買ったオーティスのアルバムは『Live in Europe』で、まだアナログの時代だった。その次に買ったのが2枚組のCDベストで、おそらくその2つ。
 なんかふざけたジャケットのコレは、企画モノっぽい格下感があって、手を出す気も起こらなかった。墜落死という悲劇的な最期を遂げたオーティスは早いうちから伝説となり、なんかあんまりイジっちゃいけないような雰囲気があった。
 ただこのアルバムリードトラック「Fa-Fa-Fa-Fa-Fa」なんて、ほど良い脱力感の裏に潜む物悲しさが同居していたりして、類型的なソウルシンガー像が改められたりする。そうだ、まんま清志郎じゃないか。
 名演の誉れ高い「Try a Little Tenderness」も「Day Tripper」ももちろんいいんだけど、そういった白熱のパフォーマンスとはまた別の、飄々としたスタイルもまた、オーティスの魅力のひとつだったりする。「Dock of the Bay」も「Shake」も名演だけど、でもそれだけじゃ足りないのだ。
 音楽について大事なことは、知らず知らずのうちに清志郎が教えてくれていた。多分、他にもあるのだろう。俺が生きてるうちに、あといくつ思い起こさせてくれるだろうか。




 日本では「Dock of the Bay」よりもお茶の間認知度の高い「I Can't Turn You Loose」、「ものまね王座決定戦」のジングルって言えば、大抵の人は思い出すはず。俺にとってはブルースブラザーズの出囃子なんだけど。
 今よりもっと声が出てもっとギラギラしていた頃のTUBE前田亘輝が、初ソロアルバムでカバーしている。逆に今、渋いスタイルでリトライするのもいいかもしれない。
 前回448位はThe Police 『Synchronicity』。今回は159位。




449位 The White Stripes 『Elephant』
(386位 → 390位 → 449位)

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 440位台では唯一、まともなロックがランクイン。もう解散しちゃってるけど、ジャック・ホワイトがマイペースで活動できている分だけ、まだ希望が持てる。
 今週に入ってからペイヴメントとレッチリと、スケールは全然違うけど、(笑)ってつける必要のないバンドが相次いで来日している。どちらもライブ動員は好調だしTLも盛り上がってるし、音源売り上げにはどっちみち繋がらないんだろうけど、明るい話題に飢えているロック民的には素直にうれしい。
 頭悪い例えになってしまうけど、ギターがギャンギャン・ドラムがドカドカ、多少リズムがヨレて音がハズレたって、そこに生じるグルーヴの嵐には抗えない。前述のイエスや今度来るディランも盛況で、経済効果はそっちの方がデカいんだろうけど、いつまでもロートルじゃ先細るんだよ。
 そんなロートル、ロックジャイアンツからの覚えもめでたいジャック・ホワイト、今後、どう進んでゆくのか。ほぼ10年単位で興るロックの原点回帰ブーム、そういえばレニー・クラヴィッツって、いま何してるのか。別に彼は気にならないけど、ジャックホワイトは変な方向に行かないでほしい。そう願いたい。
 他のランキングは、『White Blood Cells』が2回目497位初登場したけど、今回は圏外。
 前回449位はBig Star 『Third/Sister Lovers』。今回は285位。




450位 Paul & Linda McCartney 『Ram』
(初登場)

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 こういったランキングにはめっぽう弱い、昔からロック村では軽んじられていたポール。もうジョン・レノンとの対比で語られることも少なくなったけど、本人はあまり意に介していないのか、コンスタントに活動し続けた結果、やいのやいの言ってる連中は皆いなくなってしまった。やっぱ続けるって尊い。
 いい曲や美メロは書くことは誰もが認めているけど、強いメッセージ性や主張を取り入れる人ではないため、このランキングでも軽視されているポール。後述するけど『Band on the Run』は圏外だし、卓録シリーズ『McCatney』も『Tag of War』も触れられたことすらない。個人的にはコステロとコラボした『Flowers in the Dirt』が好きだったんだけど、あれって地味だしな。
 当時の妻リンダを引き入れて、最小限のメンツでレコーディングされたこのアルバム、適当なプライベートフォトによる適当なジャケットと、家内制手工業的な制作プロセスが軽く見られていたのだけど、なぜか近年になって評価が高まっている。ビートルズという枠から解放されて、思うがままジャンルレスで自由な作風が展開されている。
 組曲スタイルやゆるいコンセプト繋がりのアルバムをこれまでリリースしてきたポールだけど、正直、サラッと手クセで書いちゃった「Another Day」みたいな小品の方が出来が良く聴こえてしまう。仰々しいメドレー形式の「アンクル・アルバート」も『Sgt. Pepper’s』や『Abbey Road』同様、ややレベルの落ちるフレーズを組み合わせて体裁よく仕上げているようなものだし。
 なのでポール、どれだけトーンダウンした時期のアルバムでも、必ずひとつくらいは美メロ曲が含まれているので、それらを包括したオールタイムベストを聴くのが一番手っ取り早い。80年代に出てた『All the Best』が手軽で聴きやすかったんだけどな。「No More Lonely Nights」も入ってるし。
 他のランキングは、Paul McCartney & Wings 『Band on the Run』が413位→418位ときて、今回は圏外。




 アニメファンにには「マクロスの人」として、お茶の間では「わくわく動物ランドのテーマ曲の人」という、おおよそごく初期の姿しか知られていない飯島真理が、ウィングスの「Jet」をカバー。オリジナルのようなシャウトは少なめだけど、コケティッシュな声質が独自のポップ要素を加えて、ガールズポップな「Jet」になっている。
 基本、アメリカ在住ということもあってなかなか真価が伝わりづらいけど、コンスタントに作品をリリースし続ける地道な活動ぶりは、もうちょっと評価されてもいいんじゃないかといつも思ったりする。いい曲あるんだよ90年代にもこの人。
 前回450位はJackson Browne 『For Everyman』。今回は圏外。








「Rolling Stone Magazine 500 Greatest Album Of All Time」全アルバム・レビュー:431-440位


 431位 Los Lobos 『How Will the Wolf Survive?』
(453位 → 455位 → 431位)

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「代表曲はラ・バンバ」というのもいまは昔、多分、サビくらいは耳にしたことあるんだろうけど、誰が歌ってるかは知らない世代も多くなったロス・ロボス。テックスメックスというワードがすでに日本では通じなくなって、いまはもっぱらアメリカ圏内を拠点としている彼らの出世作がランクイン。
 世界的にはほぼピークアウトな扱いの彼らだけど、自国内ではそこそこ支持されているのか、順位変動はそれほどなし。土着的なカントリー同様、メインストリームに出てくることはないけど、こういうルーツ系のジャンルは根強い需要があるということか。
 ロックユーザーにとっては彼ら、このアルバムよりも90年代以降の『Kiko』~『Colossal Head』、ミッチェル・フルーム&チャド・ブレイク:プロデュース作の認知が高かったのだけど、そこら辺は過去もランクインなし。時流に合わせたオルタナ志向より、まだ粗さの残るマリアッチ/ラテン風味が評価されているらしい。
 このアルバムがリリースされた84年は生音がシンセに侵食されつつあった頃で、こういった泥くさい音楽が受け入れられる時代ではなかった。キラキラしてないしチャラくもないし、どうしてデビューできたんだろうか。
 本人たちも一応、レコードデビューはできたけど、この時点でどこまでメジャーでやれると思っていただろうか。マドンナやスプリングスティーンと比べてコマーシャル性は格段に落ちるし、この時点でブレイクする要素はまるでない。
 この数年後に「ラ・バンバ」が来るだなんて、誰が予想していただろうか。ほんと、人生ってわからない。




  実際にはリッチー・ヴァレンスのカバーである「ラ・バンバ」、誰かぶっ飛んだカバーがないかと調べてみると、意外なところでドラゴンアッシュ。ほぼ意訳の日本語詞でガレージロック風に演奏される「ラ・バンバ」は、オリジネイターのロックンロール風味に則った形で、一周回って熱いリスペクトにあふれている。
 前回431位はPJ Harvey 『Stories From the City, Stories From the Sea』。今回は313位。




432位 Usher 『Confessions』
(初登場)

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 90年代から活動している、芸歴の長いR&Bシンガーの4作目が初登場ランクイン。キャリア的にもブレイクした時期も、ほぼディアンジェロとかぶっているのだけど、あんまりカリスマ性はないっぽい。
 当然、初めて聴いたのだけど、いい意味でクセはない。万人向けの最大公約数的なR&Bは、ほどよいブレイクビートとメロウさとがミックスされて、聴きやすい。引っ掛かりは少ないけど、ジャマにはならない。そんな音。
 皮肉っぽく書いちゃってるけど、俺的にはここにランクインする音楽じゃないんじゃね?って印象。トップ40ヒットメイカーとしては高いアベレージを持つアッシャー、時代を超えて普遍的か?って疑問が残る。
 みんながみんな、尖った音楽をやる必要はなく、万人に受け入れられやすい音楽にも、ちゃんとニーズはある。彼はそっちで評価されるべきアーティストだと思うのだアッシャーって。
 これがめぐり巡って四半世紀くらい経ってたら、また別の価値観で再評価されるのかもしれないけど、今のところは時期尚早。そういうの、他にもいるんだけど。
 前回432位はBrian Eno 『Here Come the Warm Jets』。今回は308位。




433位 LCD Soundsystem 『Sound of Silver』
(- → 395位 → 433位)

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 ネーミングから何となく、先入観でテクノユニットの人たちかと思っていたのだけど、「ダンス・パンク」だって。初めて聞いたわそのジャンル。そんな彼らの2枚目のアルバムが初登場ランクイン。
 実際に聴いてみると1曲目、そんなwiki知識とは全然違うテクノチューン。『BGM』期のYMOがそのまま進化したような、クールなトラックは案外気に入っている。
 もうひとつのワード「エレクトロクラッシュ」=「1980年代の音楽であるニュー・ウェイヴ、ポストパンク、エレクトロ、ディスコ等を、1990年代後半のダンス・ミュージックの概念で解釈・再構築を行ったもの」で捉えた方がスッキリする。子細すぎるジャンル分けは賛否両論あるけど、ある程度の道標があった方が、敷居も低いしわかりやすい。
 でLCD、シンセで作り込んだりガレージパンクっぽさもあったり、楽曲によってアプローチを変えており、これは器用と言うより必然に応じた努力の成果と思いたい。前の発言を覆すわけじゃないけど、ひとつのジャンルに囚われ過ぎてちぐはぐなアレンジになるよりは、むしろそっちの方が自然。
 テクノポップとレイヴの境目を行き来する彼らの音は、ビギナーにもマニアにもリンクする隙間がある。こういうのなら俺も抵抗なく聴ける。
 前回433位はGeorge Harrison 『All Things Must Pass』。今回は368位。




434位 Pavement 『Crooked Rain, Crooked Rain』
(208位 → 212位 → 434位)

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 ちょうどナイスなタイミング、っていうわけじゃないけど、コレ書いてる時にちょうど来日中のペイヴメント。199位『Slanted and Enchanted』、265位『Wowee Zowee』に続いて3枚目がランクイン。
 90年代オルタナバンドの中でも、日本では親しみやすくいまだ支持の熱い彼ら、ここで鳴らされる音は当時のローファイに沿って無愛想で朴訥で、っていうかヘタ。リズムはヨレてるしピッチも曖昧だし、でもそんな生身の人間臭さにシンパシーを感じたファンが、アメリカにも日本にも多かった。
 比較的近いテイストのバンドとして、WeezerやFlaming Lipsがいるのだけど、前者は1枚のみ、後者はランクインすらしていない。別にランクインしてるから上だ下だってわけじゃないけど、3枚も入ってる彼らとは何が違うのか。謎だ。
 前回434位はBig Star 『#1 Record』。今回は474位。




435位 Pet Shop Boys 『Actually』
(初登場)

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 日本にはあまり伝わってないけど、いまだEU圏では根強い人気がペット・ショップ・ボーイズの2作目が初登場。何回も書いてるけどこのランキング、なぜか80年代アルバム/アーティストを冷遇(?)しており、彼らがランクインしているだけでもかなりの快挙。
 特に80年代シンセポップは滅法毛嫌いしているのか、あれだけ売れたTears for FearsもO.M.D.もa-haもHuman Leageも、一切ランクインしておらず、ペットショップ以外は167位デペッシュ・モードくらい。しかも一枚ずつだけだし。せめてYMOくらいは入れとこうよ。YazooやUltravox入れろってゴネてるわけじゃないんだからさ。
 冷静に考えてみると、なんか恥ずかしいネーミングのペットショップ、おそらく自分らも長く続けるつもりなかったからテキトーに名乗っちゃったけど、ブレイクしてしばらくは後悔してたんじゃないかと想像する。改称するつもりがタイミング逃しちゃって、そのうち考えるのもめんどくさくなっちゃって現在に至っちゃったけど、一周回って気に入っちゃってる的な。
 ここにランクインしたのもそうだけど、上に挙げた以外にもウジャウジャいたシンセポップユニットの中で、なんで彼らだけ生き残ってるのか。デペッシュはビジュアル戦略も華やかだしわかるんだけど、この2人って、正直華は薄い。っていうか、ない。
 シンセポップの歴史はハード/ソフトウェアのそれと連動しており、多くのユニットはサウンドコンセプトをシンクロさせていった。多くのユニットが「アレもできるしコレもできる」マシンスペックの魔力に振り回されて、あさっての方に行って戻って来れなくなる死屍累々。
 そこそこのキャリアと基盤を持ちながら、「Go West」なんてベタなカバーやっちゃうペットショップは、そういう意味では地に足がついている。ほどほどの大衆性を残しつつ、新たな方向性を目指しつつも、実はそこまで新しくもない、そんなダサさを象徴しているのが、突き詰めてゆくとユニットネームに由来している。
 やっぱネーミングは大事だな、という結論。
 前回435位はNirvana 『In Utero』。今回は173位。




436位 2Pac 『All Eyez on Me』
(初登場)

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 2Pac4枚目にして最後のオリジナルアルバムが、なぜかこのタイミングで初登場。ジミヘン同様、亡くなった後の方がリリースアイテムも多い彼だけど、ランクインしてるのはこれだけ。
 あんまり知らない俺が言うのもなんだけど、もう何枚か入っててもよかったんじゃないか、と。カニエ・ウエストなんか6枚もランクインしてるんだから、1枚くらい削ったっていいだろうに、と余計なお世話を焼きたくなってしまう。
 すでにキャリア的には末期に差し掛かっていた2パック、この頃、身に覚えはあるけどグレーな疑いで収監されていた。保釈金を立て替えてもらうため、デスロウ・レーベルでアルバム3枚製作するという契約を飲まざるを得なかった。
 その契約消化のためのアルバムがコレなのだけど、まぁ不本意だったこともあって早く終わらせたかったのか、異例の2枚組となっている。普通なら水増し感があってもおかしくないのだけど、基本、どのトラックもちゃんと作られており、俺が聴いても手抜き感はあまり感じられない。
 トータル2時間を超える超大作なため、全部聴くにはそこそこ覚悟が必要だけど、他のギャングスタのアルバムよりも退屈しないところは、やはり芸達者だったのかね。いまだリスペクトされ続けているのも納得できる。
 前回436位はBeck 『Sea Change』。今回は圏外。




437位 Primal Scream 『Screamadelica』
(初登場)

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 ロキノンがしょっちゅうリコメンドしているせいなのか、なぜか日本では根強い人気があるプライマルスクリーム。ってか好かれてるボビー・ギレスピー。
 多分偶然だと思うけど、普段ロキノンを買わない俺が、何かのはずみで買ってしまうと、結構高い確率で彼らの記事が載ってたりリマスター再発されてたり、なぜか来日公演とシンクロしていたりする。去年も『Screamadelica』全曲再現ライブで来日しているタイミングで買ってたりして、何かしらの多発同時性を感じざるを得ない。って大げさだな。
 で、プライマル、個人的には『Screamadelica』より、この後の『Give Out But Don't Give Up』が好きで、何年かに一度聴きたくなる。なんかのCMで「Rocks」が使われててオッと反応したり、実は嫌いではない。っていうかその時代のプライマルが好きなだけで。
 80年代後半~90年代前半のアシッド風味UKダンスロックは、俺世代のロック好きの多くが通ってきた道であり、他に挙げるとハッピー・マンデーズやストーン・ローゼスその他もろもろといったところ。この2バンドは俺も好きだったのだけど、『Screamadelica』には食指が動かなかった。
 私見として、60年代ストーンズリスペクトなロック性と、充分振り切れていないハウス/ダブ的なアプローチとが噛み合わさっていないように感じたのだ。なので、ロック性を強調した『Give Out But Don't Give Up』には食いついたわけで。
 『Vanishing Point』以降のアルバムはほぼ興味なかったため、聴いてないのでなんとも。おそらく逆に振り切ってると信じたい。ボビー・ギレスピー中途半端じゃない方が光る。
 前回437位はLil Wayne 『Tha Carter III』。今回は208位。




438位 Blur 『Parklife』
(初登場)

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 近年はほぼ開店休業中ということもあって、ゴリラズでの活動がメインとなってしまったデーモン・アルバーン。そんな彼の所属するブラーが、このタイミングで初登場だけど、これもゴリラズ効果だよな。
 一応、名義上は存続しているブラーだけど、今さらメンバーと顔合わせる気力さえなさそうだし、かといって解散宣言すると変にプロジェクト化して面倒が増えるし、「やる気はあるよ、みんなとタイミングが合えば」って前向きな姿勢見せつつ、そのままフェードアウトしていくのかと勝手に思ってたら、アララ今夏再結成して、サマソニ出演決定だって。
 今のところ新曲リリースはなく、とりあえずライブの予定しか決まってなさそうだけど、そんな感じでまとめちゃった方がおそらく無難。クオリティ的にもセールス的にも『Parklife』超えは無理なのは、本人たちも周囲もわかってることだし、変に晩節汚さず、ファンサービス的なヒットメドレーに徹した方が、誰も傷つかない。
 このアルバムの前にリリースされた『Modern Life Is Rubbish』は、当初XTC:アンディ・パートリッジが途中までプロデュースしていたのだけど、あまりにXTC臭が強すぎた、っていうか売れそうにない曲ばかり作っていたため、降板させられている。スタジオの魔術師:アンディとのレコーディングは楽しかったことは想像できるけど、周囲で動く金のレベルはどうひいき目に見たってブラー>>>>XTCだったろうから、ビジネス的な判断としては正しかったことは、のちの歴史が証明している。
 なので初期ブラー、いにしえのニューウェイヴ時代から音楽を聴いてる人にとっては普及型XTC(『Skylarking』以前)であり、どこを切ってもほのかなXTC臭を感じ取ってしまう。個人的にはこの時代、ブラー<<オアシスだったため、それほどまともに聴いてきたわけではないのだけれど、四半世紀を経てフラットな立場で聴くと、そんなチマチマした箱庭ポップテイストが気に入ったりもする。
 前回438位はThe Cure 『Boys Don't Cry』。今回は圏外。




439位 James Brown 『S** Machine』
(初登場)

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 54位『Star Time』65位『Live at the Apollo, 1962』に続き3枚目、代表作ゲロッパが、なんと初登場だったんだ。前者がベストで後者がライブ、そしてコレがライブとスタジオ半々。コンセプチュアルなベスト『In the Jungle Groove』が入ってないのが、ホント惜しまれる。
 スタジオではどう頑張っても「威勢のいいR&B」程度にしか仕上げられなかったJBが業を煮やし、自腹を切ってライブ録音を敢行、望み通りのグルーヴが得られたのが『Live at the Apollo, 1962』だったすると、そのグルーヴを自在に操れるようになった成果として産み落とされたのがこのアルバム、っていうか『S** Machine』という曲だった。
 グルーヴとは何ぞや?という問いに対し、リズム隊のコンビネーションやらリズムの緩急やらテーマやらコール&レスポンスやら、あらゆる見方が出てくる。それをシンプルな答えで解決したのが、この瞬間のJBだった。
 「俺が歌えばファンクで、俺が踊ればグルーヴ」。
 ここでJBは、そして人類はファンクを定義づけた―。
 ちなみにブーツィー・コリンズはここで腕を上げ名を上げるのだけど、ほんの一年足らずで脱退、その後はジョージ・クリントンとつるんでファンクの一碧:P-Funkを築き上げてゆく。おそらく音楽的な相違なんて高尚な理由じゃなく、ギャラ含めた労働条件なんじゃないかと思われる(多分)。




 ちょっと探ればいくらでも出てくるだろうとタカをくくってたけど、案外ヒットしないカバー曲。特にこのタイトル曲なんてセンシティヴど真ん中なため、全然出てこない。
 なので、困った時の西城秀樹。やっぱやってた「Try Me」。まだデビュー間もない73年のライブ音源だけど、攻めた選曲だな。さすがにまだ英語は拙いし、人情噺的なモノローグも入っててアイドル路線まっしぐらだけど、やっぱ歌はメチャメチャうまい。これで18歳だもんな。昔ってやっぱ、時間軸狂ってるな。
 前回439位はSam Cooke 『Live at the Harlem Square Club, 1963』。今回は240位。




440位 Loretta Lynn 『Coal Miner's Daughter』
(初登場)

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 おそらく日本で有名な女性カントリーソングと言えば、去年亡くなったオリビア・ニュートン=ジョン歌う「カントリー・ロード」だろうけど、あれって実はオリジナル書いたのは男性のジョン・デンバーで、しかもオリビアはオーストラリア出身。まぁそれだけなんだけど。
 そんな感じで、日本ではほぼ知られてないジャンル:アメリカン・カントリーにおいて、女性ではドリー・パートンと並んでフロンティアとされるロレッタ・リンの代表作が初登場。近年、ジャック・ホワイトとコラボしたのが話題になったので、それがきっかけとなったのかもしれない。
 日本で例えれば、八代亜紀がKing Nuとコラボしたようなものかな。想像しづらいけど。
 で、ロレッタ、60年にレコードデビューしているのだけど、猫も杓子もフラワームーヴメントでラブ&ピースだったにもかかわらず、この時期はガチガチの保守的なルーツカントリーに徹している。で、何があったのか70年代に入ると社会意識に覚醒して、産児制限やベトナム戦争への嘆きやら、ジャンルのセオリーからはみ出したテーマを歌うようになる。
 尖ったテーマを書いてレコーディングはしたけど、リリースは止められていた時期に製作された『Coal Miner's Daughter』は、表向きは「炭鉱夫の娘」など、土着的で大衆の共感を呼びやすい作風となっているけど、抑えきれない衝動が力強い歌声にあらわれている。後進のエミル―・ハリスやリンダ・ロンシュタットほどポップではないけど、彼女が旧態依然のカントリー界を揺さぶった影響はデカい。
 他のランキングは、『All Time Greatest Hits』が477位→478位ときて、今回は圏外。
 前回440位はThe Pogues 『Rum Sodomy & the Lash』。今回は圏外。









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北海道の中途半端な田舎に住むアラフィフ男。不定期で音楽ブログ『俺の好きなアルバムたち』更新中。今年は久しぶりに古本屋めぐりにハマってるところ。
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