Police

好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そういったゆるいコンセプトのブログです。

アーサー・ケストラーなんて怖くない- Police『Ghost in the Machine』

folder 1981年リリース、前作『Zenyatta Mondatta』 からきっちり1年のブランクで制作された、4枚目のオリジナル・アルバム。この時期になると、世界的にもパンク~ニューウェイヴバンドのオピニオン・リーダーとしてのポジションが確立されており、UK1位US2位は指定席みたいなものだけど、日本ではオリコン最高29位と。
 これだけ見ると、洋楽アーティストとしてはまぁ健闘したかな?といった感じだけど、前作が16位、これの次の『Synchronicity』が17位となっているため、このアルバムで失速してしまった感が強い。なので、日本ではちょっと影の薄く、習作的扱いとなっている論調が強い。「『Synchronicity』において完成されたPoliceサウンド」に至るまでの過渡期の作品、てな感じで。

 世界中で売れに売れた『Zenyatta Mondatta』を引っ提げて行なわれた世界ツアーは、1年強で全86回ものショウに及んでおり、その間に『Ghost in the Machine』制作に向けてのプリプロや曲作りも行なっているのだから、彼らが質量ともにハンパないレベルのハードワークをこなしていたか。それにつけ加えて、各メディアからの取材やらTV・ラジオ出演やらも行なっているので、とにかく休まるヒマがなかったはずである。彼らだけに限らず、この時代のアーティストらのワーカホリックぶりが窺える。

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 今ではアーティスト・サイド主導による余裕を持った活動ペースが主流となっているけれど、90年代くらいまではレコード会社コーディネートによる「アルバム・リリース → プロモーション・ツアー → アルバム・リリース」という無限ループが当然とされていたため、楽曲制作に多くの時間をかけられないケースが多々あった。ツアーの合間を見ながらレコーディングしたり、またはレコーディング最中に楽曲制作に追われたりなど、クオリティの追求とは相反する状態こそが、むしろ通常でさえあった。当然、ライブ会場とツアー先のホテルとの往復ばかりの毎日では、アーティストとしての耐用年数は加速度的に減じてゆく。作品の出来はムラが多く、同じ曲ばかりリクエストされるライブでは、心身ともに消耗が激しくなる。
 何やかやのストレスの捌け口、爆発手前のガス抜きとして、大抵のアーティストなら一度は過剰な酒やセックスに走ったりする。もともと清廉潔白な者の方が少ない業界なので、多少のおいたは致し方ないところ。ある程度遊び慣れてる者ならそれで済んじゃうんだろうけど、変に真面目というか依怙地な人だったら、その辺の切り替えがうまくできなくて、終いには怪しげな宗教やドラッグに走っちゃったり、あげくの果てには自ら死を選択したり。何ごとも根を詰めすぎるのは良くないよね。
 Policeの場合だと、そこそこ分別はあった人たちっぽいので、大きくハメを外したエピソードは聞かない。まぁ世界各国を回ってるうち、ちょっと過剰サービスの接待や乱痴気騒ぎはあったんじゃないかと思われる。そういった情報統制やメンバーのメンタル面のケアなど、世界的にメジャーなアーティストになると、きちんとした管理が重要となる。その辺はStewart Copeland の実兄Milesのマネジメント力によるものが大きい。

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 新人パンク・バンドとしてデビューしたPoliceだけど、新人というわりには3人ともとうが立っており、素人に毛が生えた程度の他のバンドとは明らかに毛色が違っていた。パブ・ロック上がりのようにパンク以前からの下積みが長かったわけではない。別のジャンルで相応のキャリアを積んでいた熟練プレイヤー達が、パンク・ムーヴメントの追い風に乗って戦略的に結成されたバンドである。「売れる」ことが大前提にあったため、そもそもの成り立ちが違っていたのだ。
 プログレやジャズ、60年代ロックをバックボーンに持つ卓越したプレイヤー達が、敢えてそのテクニックを封印し、単調な8ビートとルート音のベース、シンプルな3コードでデビューしたのも、戦略のうちだった。変拍子や速弾きプレイが前時代的なものとして受け入れられなくなった70年代中葉、注目を集めるためには熟練の職人技はむしろジャマでしかなかった。
 後方伸身宙返りもマスターした優秀な体操選手が、近所の体操教室のレベルに合わせてでんぐり返しばっかりやっていると、フラストレーションは溜まるし技術レベルも低下する。朱に交れば何とやらで、自らミッションを課しないと思考レベルまで周囲に引き寄せられてしまうのだ。そんな事態を憂慮したのか、他のチンピラバンドとの差別化としてレゲエを取り入れたり、暗喩や隠喩を絡めた歌詞世界など、自分たちで飽きが来ないように手を尽くしていたわけで。

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 今でこそ、wikiやらファン・サイトやらで、彼らの詳細なバイオも簡単に調べることができるけど、活動当時は前述のバックボーンや音楽性のルーツなど、よほどのマニアでもない限り、広く知られていなかった。Curved Airや後期Animalsのファンと、パンク〜ニューウェイヴのファン層とがほぼ被らなかったおかげもあって、彼らの前歴がばれることもなかった。その辺はマネジメントの方も、巧妙に隠していたわけで。
 なので、前歴を知っていたPoliceファンというのはほぼいなかったため、3ピース・パンク色が払底された『Ghost in the Machine』の登場は、青天の霹靂だった。これまではあくまでパンク~ロックンロールの文脈で組み立てられていたサウンドが、80年代を代表するプロデューサーHugh Padghamの手によってコンテンポラリー色が一気に増した。前作とは大きく色合いを変えたサウンドは、ほんの少しだけ物議を醸した。
 シンプルな3ピース・パンクこそ至上のサウンドである、とするPolice原理主義者らはその路線変更を良しとしなかったけれど、そこまでガチガチだったのはごく少数で、彼らの声は論議にもならずフェードアウトした。

 破壊と創造の連鎖だった70年代が終わり、虚無と享楽の80年代が始まっていた。「何でもアリ」のニューウェイヴ・ムーブメントの最中に提示された「プロフェッショナルにカスタマイズ」されたサウンドは、新たなファン層の拡大に貢献した。
 シンプルなサウンドも3枚続けば、さすがに新味も薄くなってしまう。わずか3つの楽器だけでは、バリエーションといったって限界がある。あとは自己の無限コピーか拡大再生産、または思いっきりアバンギャルドに向かうしかなくなってしまう。「売れる」ことは一先ず達成したけど、「売れ続ける」には臨機応変な判断が必要となる。3ピースで構成されるサウンドの臨界点が『Zenyatta Mondatta』だとすれば、次回作は新たな切り口が必要となる。
 路線の軌道修正には、ちょうどいい頃合いだった。周囲に右ならえのでんぐり返しから、いきなり2回転半宙ひねりを繰り出した瞬間である。
 彼らが本気で世界レベルでのスターダムに向けて動き始めた。

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 デビューからの3作がプラモデルでいう、色もデカールもつけていない素組みだったとすれば、その後の2作はカラーリングや陰影をつけた立体感のある完成品である。ただ、半ば活動休止を前提として制作された『Synchronicity』を総決算として捉えるとすれば、この『Ghost in the Machine』こそがPoliceサウンドの完成形ということになる。今後の3人それぞれの方向性を示唆する作品の集合体『Synchronicity』以前、ソングライターStingの覚醒を素材として、他2人が対等の立場で料理していった結果が、『Ghost in the Machine』という近未来テイストの濃い作品として結実している。
 彼らの演奏スキルを持ってすれば、そのStingの成長より以前、もっと早い段階から完成形のビジョンは見えていたはずである。ここまで哲学的にならなくとも、楽曲テーマの深化、またサウンドのゴージャス感アップは可能だったんじゃないかと思われる。
 ただ、彼らはここに至るまではそこに手をつけなかった。
 「機が熟すのを待っていた」という見方もあるけど、彼らのアイディアの具現化に、レコーディング技術やマシン・スペックがやっと追いついた、というのが真相に近いだろう。これがもう1、2年早かったら、リズムにメリハリの効いたプログレ程度で終わってたんじゃないかと予想される。

 デビュー当時からほぼエンドレスで続けてきた、足かけ3年に及ぶ世界ツアーを終え、彼らはカリブ海に浮かぶ孤島モンセラートへ向かう。そこにはGeorge Martin所有のエアー・スタジオがあり、当時は数々の著名アーティストらがレコーディングで訪れていた。人里離れたリゾート地も兼ねていたため、まぁ長期休暇には格好の立地だったとも言える。実際、どのアーティストもレコーディングよりビーチでくつろぐ時間の方が多かったらしいし。
 Policeの場合も例外ではなく、バカンスを兼ねてだったけれど、そこは前述のCopeland兄の仕切りによってレコーディングの方に比重が置かれていた。バカンスのくせに作業工程表はタイトに組まれており、しかも凝り性ばかりの3人がゆえ、結局はスタジオ内にいることが多かったというのは何とも皮肉。
 デビュー当時から、3人顔を突き合わせると殴り合いのケンカになるのは日常茶飯事で、この時も何かあるたびに衝突が絶えなかったらしいけど、Hugh Padghamの采配によって、どうにかレコーディングは工程通り進められた。バンドとして一丸となってサウンド・メイキングに注力した最後の作品が、この『Ghost in the Machine』である。個の集合体としての結果報告が『Synchronicity』なら、バンド総体の相乗効果の最終形は『Ghost in the Machine』ということになる。
 マルチ・レコーディングの功罪として、メンバー個別でブースに入ることが多くなるのが、この時期からである。この後は、バンド・サウンドとしてのPoliceを第一として考えていたCopelandから、バンドの主軸がSting に移り、ソングライター視点でのパーソナルな色彩の楽曲が多くなってゆく。次第にバンドとしての存在意義が薄くなってゆくのだ。


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Police
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1. Spirits in the Material World
 コード弾きシンセのリズムはレゲエというより、もはや優美なワルツの如く。のっけから「僕たちは物質文明社会の魂なんだ」という、ポップ・ミュージックの語彙にはないサビを無機的にリピートするSting。ゴシック・ロック調のミニマル・フレーズは淡々と、それでいて既存のPoliceのイメージを次第に浸食してゆく。明らかに手触りが違っている。よく初っ端からこんな重い曲持ってきたよな。

2. Every Little Thing She Does Is Magic
 入口をダークなテイストで彩ることによって「これまでと違う」感を演出したのだけど、営業政策的なのか打って変わってポップなロック・チューン。彼らにしては歌詞もお手軽なラブ・ストーリー仕立てとなっており、シングルとして選出されたのも頷ける。シングルでUK1位US3位は、彼らの歴史の中でも大きく売れた部類に入る。



3. Invisible Sun
 『Ghost in the Machine』が彼らの作品の中でもダークな部類に入ることはファンなら周知の事実であり、大抵の楽曲なら好意的に受け取るものだけど、しかしこの曲をリード・シングルとしたことに違和感を覚えたユーザーは多かったんじゃないかと思われる。あまりに違うもの、以前とまったく別のバンドだし。
 当時、社会問題として英国では深刻化していた北アイルランド紛争をテーマとした楽曲は、必然的に陰鬱なテイストで彩られることになった。そういったメッセージ性・告発を行なうことはアーティストとしての義務である、と目覚めたのがStingだけど、他2名はあまり気乗りしなかったことは、後のインタビューでも明らかになっている。そういった視点を持つことが後のロック・セレブ化に繋がるわけだけど、いまにして思えば胡散臭さの方を強く感じてしまう。

4. Hungry for You 
 なので、極端にメッセージ性を露出させていない、旧来Policeサウンドに最も近いこの曲は、重苦しいムード漂う中においてはひと休みできるポイントであり、ごく普通に楽しめる。そうだよな、初めてこのアルバム聴いた時、何回か聴いただけで投げ出しちゃったけど、この曲だけはよくリピートして聴いてたもんな。



5. Demolition Man
 後にSylvester Stallone主演の同名映画に発展した、ソリッドなロック・ナンバー。ここではAndy Summersが大きくフィーチャーされて、印象的なリフとオブリガードを数多く披露している。ちょっと不協和音気味のホーンもアンバランスな状況を示唆しており、ダークではあるけれど当時から好んで聴いていたナンバー。もともとはGrace Jonesのために書かれた曲らしいけど、そっちはまだ未聴。ちなみにこの曲、彼らの中では6分と、最も長尺の曲。内容的にはプログレ的なテイストであるので、そういったテーマをたった6分で収めてしまうところに、彼らの気前の良さと構成力の妙が発揮されている。

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6. Too Much Information
 ここからアルバムではB面。ちょっと軽快なホーンとフリーキーなAndyのギター・ソロ、威勢のいいStingの掛け声。何となくこの辺にリゾートっぽさを感じてしまうけれど、リズムの重さはダークな世界観を支配する。たった3分にまとめられた勢い一発のナンバー。

7. Rehumanize Yourself
 B面曲のくせにやたらとポップで性急なスカ・ビートが印象的なナンバー。以前だったらこういった曲を軸にアルバムが制作されていたのだけれど、この配置だとまるでオマケの曲、アウトテイクから引っ張り出してきたかのような場違い感を醸し出している。いや俺はこういったPoliceが好きなんだけど。間奏の消防車のサイレンのようなホーンは特に印象的。

8. One World (Not Three)
 前曲に続き、リゾートっぽさが出たポップ・レゲエ。リズムの組み立ては完全にダブで、ほぼワン・コードでサビのフレーズのみで構成されている。灼熱の太陽の下、ジンライムでも飲みながら延々と聴き続けていたい曲である。

9. Ωmegaman
 多分、2枚目か3枚目に収録されていれば、アルバムの核として人気を博したナンバーになったのだろうけど、ここではいまいち場違い。程よいロック・テイストとちょっぴりの狂気。シンプルな8ビートは疾走感に支配され、リズム・アレンジも絶品。だからこそ惜しいのだ、こんな扱いで。

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10. Secret Journey
 アメリカでなぜかシングル・カットされ、46位にチャートインしたロック・ナンバー。ちょっと骨太なニューウェイヴ・バンドのシングルB面的な扱いの曲で、構造的にはシンプルでありながらエフェクトなんかで遊んでる感じ。曲はいいと思う。想うのだけれど。要するに、俺はこの曲、それほど興味がないのだ。


11. Darkness
 ここまでいわゆる「ロック」の文脈で構成されてきたこのアルバムだけど、Stewart作のこの曲だけ、ちょっとテイストが違っている。落ち着いたテイストでありながら、地を這うように鳴り響いているのは複雑に細かく刻まれたリズムの洪水。Andyも滅多に使うことのない逆回転ギターで存在感をアピールしている、。よく聴くとかなりアバンギャルドな実験が飛び交う曲でもある。
 そんな中でただ一人、朗々とペースを崩さず歌い、リズム・キープに徹したベースを奏でるSting。みんながみんな、あっちこっちへ行ってしまっては収拾がつかなくなる。それぞれのポジションを窺いながら振る舞うことが、バンド維持の秘訣でもある。



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デビュー作なのに、もうベテランの貫禄 - Police 『Outlandos d'Amour』

folder 1978年にリリースされたPoliceの記念すべきデビュー・アルバム。なんか最近デビュー・アルバムばっかりだな。
 UK6位US23位は妥当なところだけど、オランダで2位、ニュージーランドでは6位にチャート・インしてるところから、当時からすでに全世界的に名が知られていたことがわかる。これは多分、マネージメントを務めていたStewartの兄Miles Copelandの方針で、世界中のステージの大小を問わず、まるで新人演歌歌手のようにしらみ潰しに回ってライブをこなしていった結果による。Costelloの場合もそうだったけど、それに負けず劣らず、かなりの量のライブを行なっていたのが、初期〜中期にかけてのPoliceの特徴である。

 もちろんトータルの累計で考えれば、彼らよりも多くのライブを行なってきたアーティストはたくさんいるのだけれど、Policeの活動期間は実質5年、後期2枚のアルバムでのツアーはアリーナやスタジアム・クラスが多くを占めること、またレコーディング時におけるシンセサイザー導入によって、スタジオ・ワークの時間も長くなったため、必然的に回数は少なくなっている。
 そういった状況を考慮して、実質ライブ活動期間で換算してみると、彼らの精力的な活動ぶりがうかがえる。まともなオフもなく、始終顔を突き合わせているのだから、仲も悪くなるよな、そりゃ。

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「Sex Pistolsに憧れてバンド組みましたっ」的に、当時ワラワラ湧き出ていた有象無象の急造パンク・バンドと違って、当初からある程度の商業的成功を見込んだ上で、相応のキャリアを積んできた者をキャスティングして結成されたバンド、それがPoliceである。なので、他のバンドと違って行き当たりばったりの運営方針ではなく、当初からある程度の戦略に則って行動していた、または将棋のコマとして動かされていた、というのは、ちょっとディープなファンなら誰でも知ってること。

 前衛ジャズ・ファンク・バンドで地道な活動をしていた野心たっぷりのベーシストと、ハード・プログレからベーシックなロックンロールまで弾きこなす器用貧乏なギタリスト、それに同じくプログレ畑ながらアフロ・ビートから変拍子まで楽々とリズムを刻む無骨なドラマーとの間に、どのような接点があったのか。
 Stingのステージを見たStewartが才能を見出して声をかけ、バンド結成のために適当なギタリストを入れたけど、どうもフィーリングが合わないので、デビュー間もなくして彼はクビ、で、穴埋めとしてノンポリな便利屋Andy を入れた、というのが大ざっぱな経緯だけど、要であるStewartにどれだけの具体的なビジョンがあったのだろうか。

 普通に考えて、彼ら3人のミュージシャンとしての共通言語として挙げられるのが、これまでのキャリアにおいて通過点としてあったジャズ・ロックである。この路線を展開・進化させてゆくのが、バンドのサウンド作りの最も近道だったはずなのだけど、安易にそういった方針を選択しなかったことに、Policeの成功のカギがある。

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 手慣れたジャンルにおいて、そこそこ形になる物を作ることは簡単だけれど、プログレ風味のジャズ・ロックなんてのは、既にSoft MachineやCurved Airでやり尽くしており、それ以上の発展は見込めなかった。
 それなら、わざわざ新たにバンドを結成するメリットがない。

 Stingとしては、一応既にメジャー・デビューしていたStewartに注目されて、そりゃ悪い気はしなかっただろうけど、元Curved Airという、あくまでプログレ界でのメジャーどころであって、商業的成功とはほど遠かった彼の経歴を考えると、もしバンドを組んだとしても、将来の展望は楽観できるものではなかったはず。
 Stewartにしたって、今さらこれまでと同じマニアックなジャズ・ロックをやったって、売れないことはわかりきっていたはず。
 Stingの才能は欲しい。
 でも、それを活かすには、これまでの自分の手持ちのスキルだけじゃ、あまりに先が見えすぎている。
 何かほかに、良さげなコンセプトはないだろうか?

 -じゃあ、パンクでいいんじゃね?
 というのが、2人の出した結論。
 双方これまで積み上げてきたキャリアから最も遠いところ、まったく共通しないところからスタートするのが、最も効率の良い手段であるという結論に達した次第。
 どちらにしろパンク・サウンドに関しては二人とも素人のため、スタート・ラインは同じになる。
 ちょうどブームだし、それに載っかちまおう。
 ジャンル的にもトレンドだし、そんなに大げさなセッティングもいらないから、コスパもいいし。
 ギター?誰か適当にひっぱって来ようか。
 
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 で、2人はこれまでの小難しい演奏スキルを封印、複雑だったコード進行もできるだけシンプルにした。リズムも基本的な8ビートに、何曲かでレゲエを取り入れたのは、熟練ミュージシャンとしてのプライドだったけど、可能な限りステレオ・タイプのパンク・スタイルの枠組みをはみ出ないよう、プライドが突出しないよう心がけた。

 ここまでの戦略は、彼らよりはむしろ、マネージメントのMilesの意向が大きかったと思われる。
 パンクを音楽ビジネスの一環として捉え、常に冷静沈着に、客観的な状況判断ができる第三者の存在がなければ、ここまでスムーズに事が運ぶはずがない。
 バンドのテクニカルな部分にはタッチしない事によって、ミュージシャンとしてのプライドを損ねる事を最小限に抑え、随時チェック機能を働かせて臨機応変なコンセプトを設定した事が、Milesの最大の功績とも言える。

 そういった運営方針にうまくはまる事ができなかったのが、初代ギタリストであるHenry Padovaniであり、ある意味ロック・ビジネスという意図を理解して加入したのがAndyだったというわけで、まぁ結果論になるけど、これでうまく丸く収まったという次第。だってPadovani って名前、なんか変だし。

 そんなこんなの経緯で完成したのが、この『Outlandos d'Amour』である。
 今後も永くライブの定番となってゆくキラー・チューンはもちろんのこと、他の曲もバラエテイに富んでおり、ストレートなパンクもあれば、プライドが見え隠れする、ポエトリー・リーディングとパンクを融合させた、ちょっと変わった構成の曲もある。
 この時点ではPoliceとしてのバンド・サウンドがまだ確立されていないので、未整理のとっちらかった印象が強いのだけれど、逆にそこがバンドの発展途上具合が生々しく記録されているため、今でもこれが一番というファンも多い。

 俺的にはこのアルバム、5枚のオリジナル・アルバムのランクづけでは4位となっている。一番思い入れの薄い『Ghost in the Machine』が安定の最下位、『Outlandos d'Amour』を挟んで3位が、完成度・成熟度ではダントツの『Synchronicity』という位置付けが長年続いていたのだけれど、ここ最近レビューを書くにあたって全アルバムをまとめて聴き直してみたところ、30年近く前にヘビロテで聴いていた頃と比べて変化が出てきたのか、3位と4位のランクが入れ替わりそう、ていうか、コッチが3位でもいいんじゃね?という気になってきている。


Outlandos D'Amour (Dig)
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1. Next To You
 敢えてパンクというジャンルを彼らなりに模倣してみたのだけど、出来上がってみたら多くのパンク・バンドを軽く凌駕するクオリティになってしまって、結局は突出してしまう仕上がりとなってしまった曲。
 敢えてシンプルなドコドコ・ビート、シンプルなダウン・ストロークのベース、調子っぱずれのギターのフレーズなど、できるだけパンクのフォーマットを使用してのサウンドになっているのだけれど、後半になるに連れて三者三様のエゴが出始め、特にStewart、そんなにハイハット多用する奴、パンク・バンドにいないって。

2. So Lonely
 で、Stingの才能が当初から規格外だったことを証明する、初期の名曲の一つ。
 Police登場以前に有名だったレゲエ・カバーは多分、Eric Clapton “I Shot The Sheriff””くらいだったと思うのだけれど、その存在が霞んでしまうくらい、しかも自作曲でのレゲエ・ナンバーは相当インパクトがあったんじゃないかと思う。しかもパンク・バンドのくせして無駄に技巧的だし。
 これも疾走感がハンパないキラー・チューン。UK最高6位まで上昇。



3. Roxanne
 とは言っても、いくらStingの才能がケタ外れだったとはいえ、初期のPoliceがStewart主導で動いていたのは事実であり、とくにこの曲なんてリズム・セクションがリードして、Andyの単純なリフは、Stingの独創的なベース・ライン、Stewartのリズム・ワークに埋もれきってしまっている。



4. Hole In My Life
 Beatlesがパンクと変拍子に出会ってたら、多分こんな感じになるんじゃないかと思える。メロディ自体はポップなナンバー。Kinksでもいいかな?伝統的なブリティッシュ・サウンドの系譜をたどっている。

5. Peanuts
 ここで純正パンク・ナンバー。パンクよりになればなるほど、どこかつまんなく聴こえてしまうのも、この人たちの特徴。普通のロックなので、安心して聴けるけど、無難なPoliceに一体、どんな価値があるというのか。
 でもAndyの神経症的な間奏ソロは必聴。

6. Can't Stand Losing You
 UK2位まで上昇した、当時の彼らの中ではもっと成功したシングル。こちらもレゲエ・ビートを導入しているのだけれど、いつの間にかロック・ビートに変わり、そしてまたレゲエに戻るという、なかなかテクニカルな構造の曲である。
 アルバム収録曲の中では、最もフック・ラインがはっきりし、求心力の強いメロディを持っている。でも、ベタにならないんだよな、不思議なことに。



7. Truth Hits Everybody
 お、これはストレートなパンク・ナンバー。今になって聴いてみると、わざと稚拙で単純なプレイなのだけれど、初出時ならこれ、普通にソリッドなロック・なんばーとして人気あったんじゃないだろうか。

8. Born In The 50's
 こちらも8.同様、シンプルで大陸的に大味なリフを持つロック・ナンバー。これもリアルタイムで予備知識なしに聴いてたら、普通にカッコ良かったんじゃないかと思う。
 後半のブレイク、Stingが血管切れそうな勢いでシャウトしまくるという、なかなかお目にかかれない姿を拝むことができる。

9. Be My Girl – Sally
 シンプルなロックン・ロールが3連発。と思ったら、勢いがイイのは冒頭だけ、急に場面はガラリと変わり、戯曲的なナレーションが延々と続く、プログレを引きずったようなナンバー。
 StingとAndyが中心となって作り上げた曲ということなので、まぁお遊びと思えばいいんじゃないかと思う。このトーンでアルバム1枚作られたら、そりゃたまったもんじゃないけど。

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10. Masoko Tanga
 アルバムの中でももちろん異色だけど、それだけでなく、全ディスコグラフィーの中でも異彩を放つナンバー。
 彼らの場合、もともと熟練のミュージシャン集団なだけあって、単純なロックやポップ・ソングをプレイするだけでは飽き足らず、アルバムに必ず1,2曲はミュージシャン・エゴを満たすような、ガス抜き的なマニアックな曲が収録されている。
 この曲もそういった類なのだけど、実験的でありながらもメロディはきちんと立っており、バックのサウンドとの親和性も高い。ただ、演奏はひどくプレイヤビリティに溢れており、それでいて覚えやすく口ずさみやすいという、なかなかに不思議な曲。




 『Synchronicity』から入った俺的にはこのアルバム、当時はベテラン・ミュージシャンが敢えて戦略的に、基本フォーマットのパンク・サウンドを模倣したものだと思って、正直苦手だったのだけど、あれから四半世紀も経つと、当時の時代背景も薄れてフラットなスタンスで聴けるようになった。
 先入観を抜きにして聴いてみると、装飾の多い後期の作品よりもむしろ、ちょっと高度にねじれたストレートなサウンドこそが、Policeサウンドの本質であることがわかるようになる。
 年を取ることも案外悪くない、これも一つの功罪だと、自分では思ってる。


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最悪の人間関係の中で生まれた過渡期の傑作 - Police 『Zenyatta Mondatta』

Police-album-zenyattamondatta 3ピース・バンド・サウンドの可能性を最大限まで追求した初期の名作『Reggatta de Blanc』と、大幅なサポート・メンバーの増員によって、サウンドが劇的に変化した『Ghost in the Machine』に挟まれているため、いくぶん影の薄いPolice3枚目のアルバム。
 Policeは俺が洋楽で初めて興味を持って聴き始めたアーティストのため、個人的に思いれが強い。基本どのアルバムにも愛着があるのだけれど、『Zenyatta Mondatta』は今のところPoliceの全アルバム(といっても5枚しかないけど)中3位という位置づけになっている。ちなみに1位は、最初に買った『Reggatta de Blanc』、次に『Synchronicity』といった感じ。

 もともと各メンバーのポテンシャルが高かったため、サウンド的・技術的にはデビュー当時から完成されていたバンドである。そんな彼らのデビュー当時のテーマとしてあったのが、ギター・ベース・ドラムという最小限のユニットにおいて、パンク・ビートを基調としたホワイト・レゲエをどこまで深化できるか、が一つの課題であったはず。
 パンク以降を席巻したニュー・ウェイヴ・ムーヴメントの潮流に乗ってデビューしたPolice、本来なら、これまで培ってきた三者三様の技術スキルを駆使すれば、いくらでも高度なサウンドを展開できたはずなのに、時代が時代なだけあって、卓越した技術や経験などは、逆に足かせとなった。なので、デビューに当たっては、ニュー・ウェイヴ・バンドとしては障害となる、経験値や演奏テクニックを敢えて封印、素人に毛の生えた程度のメンツに混じり、素知らぬ顔で新人ヅラして活動していた。
 当初は若干毛色の違う、ニュー・ウェイヴにしては平均年齢の高いバンドとして位置づけられていた彼らだったけど、基本スペックが他のバンドと比べて飛びぬけていたため、2枚目『Reggatta de Blanc』リリース時には、ニュー・ウェイヴ出身という看板が要らなくなっていた。

 前回のレビューでさんざん触れたのだけど、ジャケットの悪趣味さ(オレンジと黒!!)は言うまでもないが、それ以上に、なんだゼニヤッタモンダッタって。
 当時、バンドの主導権を握っていたStewartによる命名ということで、確かに彼の趣味を反映した、エスニック風味満載のタイトルなのだけど、ほんと誰か忠告する奴が居なかったのか、と当時の関係者がいれば、30分ほど問い詰めてみたくなるようなタイトルである。

 もともと音楽的な接点がほとんどないメンツであるため、感情のもつれ・音楽的な意見の対立によって何かともめ事も多く、ステージ裏では流血寸前の取っ組み合いになることもしばしばだった、とのこと。年長者ゆえ、基本は静観の構えのAndy 、兄貴がマネジメントを行なっていることを楯にして、リーダー面であれこれ独断専行のStewart、メインのソングライターであり、フロント・マンであるにもかかわらず、一番年下というだけで、バンド内カーストにおいては最下層に位置するSting。

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 ほとんどリハーサルの必要もなくレコーディングに突入した、とのことだけど、当時は殺人的スケジュールでの全世界ツアーが組まれていたため、練習する時間もなかったのだろう。とは言っても、個々の演奏スキルが相当高いレベルであったため、単純なミス・テイクはほぼ皆無、粛々と進行したらしい。まぁ下手なイージー・ミスでも起こそうものなら、途端に取っ組み合いにもなり兼ねなかったため、スタジオ内は張りつめた緊張感でいっぱいだったことだろう。
 逆に、同じ空気を吸っているのもイヤなので、とにかく一刻も早くレコーディングを終わらせるため、システマティックにビジネスライクに事を進めてたのかもしれないけど。

 まぁそんなこんなで色々ありながら、バンド内の均衡は辛うじて破裂寸前のレベルで抑えられていたものの、ちょっとした弾みやボタンの掛け違いによって、簡単に決裂する恐れも何度かあったはず。そんな中、バンドのほぼ実権を握っていたStewartが、半ば腕ずくで二人を服従させていたのだろうと思われているけど、実際のところ、Stingからすれば好きにプレイさせてくれればどっちでも良かっただろうし、 Andyも自由にギターを弾かせてくれるのなら、いちいち揉め事を作りたくなかったのだろうと思われる。
 そういった面、彼らの大人の対応、悪く言えばビジネスライクな人間関係が、人によっては好き嫌いが別れるのだろう。

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 三者三様の思惑が複雑に錯綜する中、唯一結びつける共通項はたった一つ、音楽のみだった。
そんなコンディションの中で生まれた意欲作である。
 何度も言う。ジャケットと邦題の悪趣味さで嫌いにならないでね。


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1. Don't Stand So Close To Me
 Stingの高校の教育実習生体験をモチーフに書かれた歌詞なので、邦題が『高校教師』。まぁ確かにその通りだけど、何だか投げやりなネーミング。こんな風に何十年後も残るのだから、もうちょっと何とかならなかったの?と言いたくなるのだけど、当時はこの程度の扱いだったのだろう。
 不穏に薄く被さるシンセ音がこれまでと違うミステリアスなイメージだが、本編が始まれば、やっぱりいつものPolice。やはりこの頃までのPoliceはStewartのバンドである、と断言できるほどのリズムの奔放さ。リズム感の切れがハンパない。
 


2. Driven To Tears
 邦題が『世界は悲しすぎる』。世界の貧困問題を取り上げた内容なので、このタイトルはうまくはまっている。
 ギター・シンセも併用した、スペイシーなAndyのサスティン・ギターの音色が心地よい。ここでの主役はもちろんAndy。ややプログレッシヴな響きの間奏ギター・ソロに本気度がうかがえる。後半のStewartのハイハット乱れ打ちも最高。

3. When The World Is Running Down, You Make The Best Of What Is Still Around
 『君がなすべきこと』という邦題がしっくり来る。それほどアップテンポでもないのに、妙に疾走感のある曲。普通の8ビートなのに、肝はStingのベースだった。リード・ヴォーカル兼任のため、通常ベース・ラインはシンプルになりがちだけど、Stingの場合、かなりの割合で印象深いフレーズをぶち込んでくる場合が多い。特にこの曲においてはランニング・ベースというのか、手数は多いのだけれど、曲を壊さない絶妙のバランスでフレージングしている。
 


4. Canary In A Coalmine
 1980年時点でもそれなりに流行っていた、スカ・ビートの疾走感溢れる曲。勢い一発ではあるが、実はよく聴いてみると、結構複雑なアンサンブルで演奏しているのがわかる。あっという間の2分間。

5. Voices Inside My Head
 時々Stingによる「Cho!!」というシャウトが入る、ほぼインスト・ナンバー。前回の『Reggatta de Blanc』でもあったように、最初からインストのつもりで作ったのか、それとも歌入れが間に合わずに止むを得ずインストになったのか、それは不明。でもサウンド構成としてはヴォーカルを入れること前提で作ったように思われる。
 Andyの細かなフレーズのリフとStewartの複雑なリズムとが延々と続いているように思われるけど、そこはさすが手練れのメンツが揃ってるだけあって、ミニマル・ミュージック的な反復から徐々に細部が変化し始め、最後はクールな盛り上がりを見せている。

6. Bombs Away
 Stewart制作による、このアルバムの中では比較的ストレートなロック・ナンバー。PoliceといえばどうしてもStingのワンマン・バンドだと思われがちだが、実のところ演奏に関して言えば3人ともほぼ対等、ていうか誰もがほか二人を喰ってしまいそうな勢いでプレイしていた。この曲も3人それぞれの見せどころがあり、そのせめぎ合いがバンドに程よい緊張感を与えていた。
 そのバランスが崩れたのが第三者の介入、すなわちシンセサイザーの大幅な導入である。

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7. De Do Do Do, De Da Da
 レコードで言えばB面トップ、当時のヒット・チャートを知るものなら誰もが知っている、完璧なヒット・ナンバー。何しろメロディ・演奏・そして歌詞が完璧。特に歌詞の内容が徹底的に無内容なのが最高。ある意味ヒット・ソングの条件をすべて満たしていると言える。
 Andyのナチュラルなサスティンからスタート、珍しくドラム・アンサンブルもシンプル。この曲のサウンド面においては、何と言ってもAndyが主役。
 ちなみにこの曲、来日記念盤として日本語歌唱ヴァージョンが存在する。邦題は『ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ』と、まぁそのまんま。一応日本でもオリコン50位と、それなりには売れた模様。珍品としてしばらくCD化されていなかったのだけど、1997年になって初めてベスト・アルバムのボーナスCDとして、ひっそりリリースされた。日本では、大槻ケンヂによる失笑カバーによって、ごくごく一部では有名である。
 


8. Behind My Camel
 Andyによる、ギター・メインのインスト・ナンバー。これこそ純粋に、インスト前提で作られたと思われる。やはり経歴が長いだけあって、サウンド的にもどこか風格があり、後にデュオ・アルバムをリリースすることになるRobert Fripp色、イコールKing Crimsonっぽい瞬間が垣間見える。

9. Man In A Suitcase
 ちょっぴり能天気なスカ・ナンバー。なんか語呂が良いだけのサビで、7.同様、内容がありそうで、実はそれほどない歌詞。全体的にPoliceはリズムが立っているため、時として続けて聴くと重苦しく感じる場合がある。そう言った中での箸休めとして、こういった曲も必要なのだ。

10. Shadows In The Rain
 久々のレゲエ・ビート、ダブ・サウンドを前面に押し出しているが、この曲だけはどうにも退屈。どうしても後年のStingのセルフ・カバーと比べてしまうと分が悪い。それほどStingヴァージョンが秀逸なのだ。

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11. The Other Way Of Stopping
 ミステリアスな疾走感のあるオープニング。久々にニュー・ウェイヴ的サウンドを展開する。こちらも主役はStewart。なんだこのドラム。これも歌入れ前提だったと思われるインスト・ナンバー。
 当時のPoliceはワールド・ツアーの真っ最中、多分に充分アイディアを練り上げる暇もないままレコーディングに及んだことも多々あったはず。3人とも演奏スキルは充分過ぎるくらいあったので、スタジオに入って短時間でまとめることはた易かったかもしれないが、アレンジの更なる追求にまでは、とても手が回らなかったのだろう。




 そういったジレンマもあったのか、ワールド・ツアー終了後、もっとじっくりした環境でとことんサウンドを練り上げるため、彼らはカリブ海に浮かぶモンセラット島へ向かう。リゾート地に立つスタジオゆえ、半ば休養も兼ねてのレコーディングだったのだけど、スケジュールに追われない音作りは、結果、これまでにない緻密なサウンドとして結実した。それが次作『Ghost in the Machine』である。
 細部まで作り込んだサウンドは好評を得、さらに次作の『Synchronicity』への重要な橋渡しとなるのだけれど、それと引き換えるように、初期のエモーショナルなサウンドは次第に失われてゆく。


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北海道の中途半端な田舎に住む、そろそろアラフィフ男。ほぼ週1のペースで音楽ブログ更新中。節操ない聴き方と思われてるけど、自分の中では一貫してるつもり。 最近は蔵書の整理がてら、古い本を再読中。ジョン・アーヴィングから始まって、フィッツジェラルドやゾラ、モームなど、いわゆる古典の復習中。いつになったら終わることやら。新刊読めねぇや。
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