好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そんなユルいコンセプトのブログです。

Elvis_Costello

最強のバンド、Attractionsとの出会い - Elvis Costello 『This Year's Model』

folder Huey Lewis & The Newsの前身バンドCloverを主に起用してレコーディングされたデビューアルバム『My Aim is True』、完パケした時点でのCostelloには、まだライブを行なうためのバンドがなかったため、ちょっと小休止するヒマもなく、早速バンド編成に動かなければならなかった。
 いま現在もそうだけど、ソロのパンク・ミュージシャンというのは、ごく少数派である。通常ミュージシャンがデビューするにあたっては、ライブ・パフォーマンスが注目されて、口コミ効果からレコード会社が目をつけ、そこからデビューに向かっての話が進むものだけど、Costelloの場合、方々に送りまくったデモ・テープが評価されてStiffレーベルに引っかかった、という経緯なので、ちょっと事情が違ってくる。
 一応デビュー前にFlip Cityというバンドで活動しているのだけど、契約できたのはCostelloのみ。よほど才能が突出していたのか、それとも他のメンバーがよっぽど使い物にならなかったのか。多分両方だと思う。

 で、早速結成されたのが、ご存知Attractions。ヴォーカル兼ギターのCostelloを筆頭として、その後も長く帯同することになるキーボード担当のSteve Nieve、そしてリズム・セクションはBruce Thomas(B)とPete Thomas(D)、ちなみに同じThomas姓だけど、縁戚関係はなし。

 Attractionsが結成された1977 年のライブ日程を見てみると、それはもうメチャメチャな過密スケジュール。7月イギリス国内からスタートして、移動日も含めれば、ほぼ休みなしで、あちこちの小ホールをドサ回りしている。当時のプロモーション手段といえば、ラジオかライブくらいしかなかったので、どの新人アーティストも似たような状況だったのだけど、特に彼らは急ごしらえのバンドだったため、とにかく現場で音を出してサウンドを確立させる必要もあった。
 取り敢えずイギリス国内をひと通り廻りきった後、11月からはアメリカへ渡り、ほぼ年末までこちらもドサ回り、年が明けて帰国してからも、ほぼ同じペースのまま、7月までほぼ100本以上のステージをこなしている。それだけ需要もあったのだから、当時の彼らの勢いが窺える。
 
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 1970年代中盤のパンク・ムーヴメントというのは、今に続くオルタナティヴ系アーティストの礎となった部分もあるけど、反面、時代の徒花的に、一瞬強烈な光を放ったと思ったら、すぐに消滅してしまう連中も多かった。シングル1枚制作できればまだいい方で、多くのバンドはライブハウスに出演できるかできないかの時点で足踏みしてしまうのがほとんどだった。もしアルバム・リリースまで漕ぎ着けたとしても、大抵のバンドはそこでネタ切れしてしまうか、仲違いの末解散してしまうなど、結果的に伝説になってしまうバンドが多かった。
 Sex PistolsだってPop Groupだって、過激なファッションやパフォーマンスを競ったバンドほど、その傾向が強かった。彼らにとって音楽とは、青春時代の初期衝動か、移り気な時代のトレンド的なものでしかなく、継続してゆくものではなかった。

 そのパンク以前、シンプルなロックンロールへの回帰という点において、根っこの部分は相当似ているパブ・ロック時代から活動していたアーティストは、総じて寿命は長い。
 シンプルなロックンロールからスタートしたことは同じながら、持ち前のアカデミックな音楽性によって、ジャンルを超えた活動を展開していったJoe Jackson、いびつな変拍子ギター・ポップでデビューしながらも、徐々に神経症的箱庭ポップに音楽性を変容させていったXTCなど、時代によって形を変えながら、未だに活動している人も多い。
 やはりファッションだけでは、早々にネタが尽きてしまい、それほど長くは続かないのだ。

 で、Costelloの話。
 そんなハード・スケジュールの中、ツアーの合間にレコーディングされたのが、このセカンド・アルバム。リリースが決定したはいいけど、何しろ詰め込むだけ詰め込んだツアー・スケジュールのため、まともにレコーディングできる時間がない。なので、年末年始のツアーの空白期間を利用して、実質10日間くらいで一気に録音された。
 普通のアーティストなら楽曲制作の時間もなく、途方に暮れてしまうところだけど、この頃から多作だったCostello、デビューしてからもほんの空いた時間を利用してのデモ・テープ作りは、もはや生活の一部となっており、素材は山ほどあった。しかもライブでは惜しげもなく未発表曲もレパートリーに入れていたので、ほとんどの曲は既にバンドでアレンジされていた。
 『My Aim is True』のような、スタジオ・ミュージシャン中心によるレコーディングではなく、長い間寝食を共にしたメンツでの作業のため、意思疎通もスムーズ、アンサンブルもしっかり練られた状態である。あとはライブの勢いをそのまま真空パックするように、基本ワンテイク、一気呵成にレコーディングされた。

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 その『My Aim is True』、決して悪い人ではないのだけど、はっきり言って呑んだくれのポップ親父Nick Loweがプロデュースということもあって、比較的メロディアスでキャッチーな、口ずさみやすいナンバーが揃っている。
 それに対し、この『This Year’s Model』、こちらもNickがプロデュースなのだけど、バンドでのヘッド・アレンジが前回よりも捗ったため、更にやることもなく、ブースで呑んだくれていたらしい。なので、Nickというよりはバンドの意向が色濃く反映されている。いわゆるキラー・チューンの割合は下がっているのだけど、甘さは抑えめ、サウンドの一体感が強く、アルバム1枚まるごとが一つのショウのような構成になっている。
 前作ではヴォーカル&インストゥルメンタルといった感じのバンド構成ゆえ、ちょっと遠慮がちだったCostelloも、ここでは思う存分、遠慮なくギターを弾きまくり掻き鳴らしまくり、加えて吠えまくっている。パンク/ニュー・ウェイヴ的サウンドということなら、断然こっちの方がパワーがある。

 デビュー2作目にして、最強のバック・バンドを従えたCostello、チャート的にもかなりの健闘ぶりで、UK最高4位US最高30位という、前作に劣らないセールスを記録した。
 で、このアルバムを引っさげて初来日公演という運びになるのだけど、これがまたお騒がせもの。チケットの売れ行きが悪いことに業を煮やしたCostello、どうにか目立って注目を浴びようと、なぜかメンバー全員、日本の学生服を着て(多分Costelloに強要されて)トラックの荷台に乗り、都内でゲリラ・ライブを行なった、というのが、今でも語り継がれるエピソードである。当然その後、道交法でパクられてしまうのだけど、まぁ三面記事程度には話題になったため、ライブは連日満員、おかげでバンドもノリノリだったらしい。

 結果的にどうにか丸く収まったのだけど、おかげで日本では長い間、Elvis Costelloといえば、「何をしでかすかわからないやつ」というレッテルが貼られることになる。
 そしてそういった扱いは、”She”の大ヒットまで、長らく続くことになる。


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1. No Action
 初っ端から疾走感あふれるナンバー。とにかく勢い一発、あっという間の2分間。出だしの囁くようなCostelloのヴォーカルから始まり、静かなオープニングかと思ったら、すぐにバンドはフル・スロットル、ギターはギャンギャン掻き鳴らしまくり、ドラムはドコドコ。ライブではもうちょっとキーボードが目立っているのだけど、ここでは断然Costelloがリードしている。
 何しろコード3つしか使ってないのに、これだけ表情豊かなサウンド、今のCostelloでは成しえない、シンプルかつキャッチー、永遠のパンク・チューン。



2. This Year's Girl
 少しポップ寄りのミドル・テンポ・チューン。タイトル曲だけあって、親しみやすいメロディなのだけど、Bメロが弱いせいか、地味に聴こえてしまう。ベースがウネウネ動いているのが、単純なパンク・バンドとは一線を画している。この頃のBruceはやる気が漲っている。アウトロのベース・ソロなんて、なかなか凝ってる。

3. The Beat
 初期のライブでは定番だった、Steveの見せ場。ライブでのキーボード・プレイはもっとアクティヴで、ファンキーなものだったけど、ここではロック・テイストの濃い、ミドル・テンポに仕上がっている。

4. Pump It Up
 このアルバムに共通してだけど、アップ・テンポのナンバーはどれも傑作。中でも俺が一番最初に聴いたCostelloの曲がこれ。確かNHK-FMで、氷室京介がゲストDJをやっていて、お気に入りの曲として、これをかけた。その時の衝撃は、今もって忘れずにいるし、なので、どうにも氷室京介に対しては悪い感情を持てない。
 バンドの一体感、生み出すグルーヴというのは、こういったのを指すんじゃないかと、今でも俺の中の基準の一つである。わかりやすくキャッチーでありながら、どす黒い冒頭のリフ、ちょっと上ずったCostelloのヴォーカル、中盤のドラム・ブレイクからCostelloのHey!!の掛け声によって再び始まる演奏…。言いたいことがいっぱいあってたまらないのが、この曲。UK最高24位にチャート・イン。もっと上に行ったっていいと思う。
 Status Quoがカバーしてるのはまだわかるけど、なぜかDeacon Blueまでがライブでカバーを披露していたというのは、ちょっとビックリ。想像つかないよな。



5. Little Triggers
 ちょっと切ないアメリカン・ロックの香り。この辺はもしかして、Nickあたりが強引に入れるようダダをこねたのかもしれない。ライブの緩急をつけるという意味では、こういったセンチメンタルな曲もアリ。俺も昔、この曲は好きだった。でも、いま聴いてみると、これって”Alison”の二番煎じだよな、きっと。

6. You Belong To Me
 これもライブでよく演奏されており、今でも時折セットリストに入っているので、多分お気に入りなんじゃないかと思う。メロディ主体のちょっと甘めのメロディだけど、演奏が硬質なビートを利かせているので、アルバムから浮いてはいない。

7. Hand In Hand
 サイケな逆回転エコーから始まるオープニングが、何やら不穏な空気を感じさせるけど、Costelloのヴォーカルが入れば、それは見事なパワー・ポップのお手本。
 中盤のドラム・パターンを聴けばわかるように、Phil Spectorまではいかないけど、ちょっとレコーディングでのお遊びを試してみた感じ。なので、曲も口ずさみやすく、親しみやすい。でもAttractionsの武骨なバッキングによって、甘さはそれほど感じない。
 
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8. (I Don't Want To Go To) Chelsea
 歯切れが良すぎて三味線のようにも聴こえてしまう、珍しくCostelloのギター・リフから始まるナンバー。ヴォーカル兼務のため、どうしてもストローク中心のプレイになってしまうところを、なんか急に弾きたくなってしまったのだろう。
 この頃から今に至るベテラン期まで、この人の場合、エア・ギターではなく、とにかく弾きたがるというのは、いつも感心してしまう事柄。特にこのナンバー、今でも必殺キラー・チューンとして、時々演奏してるくらいだから、よほど気に入っているのだろう。それとも単にギターを弾きたいだけなのか。UK最高16位まで上昇したシングル。

9. Lip Service
 何だかメロディがタイトル・チューンと似てるような気もするけど、まぁそこはスルーで。ダブル・ヴォーカルも入れてる分だけ音圧があり、アレンジも少し凝っている。
こういったアレンジの幅はやはり、英国王立音楽大学でクラシックを学んでいたSteveの貢献が大きいはず。なまじインテリゆえ、こういった肉体性の強い音楽に憧れを感じてしまうのだろう。

10. Living In Paradise
 ちょっとレゲエも入った、箸休め的なポップ・ナンバー。シングルでも良かったんじゃないかと思うのだけど、本人的にはそれほど思い入れがないのか、ライブでも初期以外はほとんどプレイしていない。

11. Lipstick Vogue
 性急感の強いシャッフル・ビートを難なくこなすPete。ここはとにかくビートを聴いてほしいナンバー。CostelloもBPMの速さに着いてくのが精いっぱい。
 結構難しい曲のはずなのだけど、もはや手馴れてもいるのだろう、レパートリーの中ではライブ・パフォーマンスが多い方に該当する。

12. Night Rally
 初版LPでは、これがラスト・ナンバー。ていうか、インパクトの強い曲に挟まれていたおかげで、存在自体を忘れていた曲でもある。もちろんアベレージは軽くクリアしているのだけど、他の曲が良すぎるのだ。




 で、このアルバムがリリースされた頃にライブ・レコーディングされたのが、『Live At The El Mocambo』。当初は限定盤、そして次に初期アルバム3枚とのBOXセットでリリースされた。俺が最初に買ったのが、このBOXセットで、3枚とも持っていたのに、これだけが欲しくて仕方なく購入したことを覚えている。
『My Aim is True』『This Year’s Model』の2枚からセレクトされた曲で構成されているし、今では普通に単品販売されているので、興味のある人はゼヒ。スタジオ・ヴァージョンとはまた違った、初期Attractionsの無闇なパワーあふれるパフォーマンスが生々しく刻まれている。



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Costelloさんは最初からCostelloだった、の巻 - Elvis Costello 『My Aim is True』

folder 前回のJoe Jacksonに続き、今回もデビュー・アルバムのご紹介、同じくパンク・ムーヴメントの流れでデビューした、Elvis Costello。
 デビュー当時のCostelloとJoeとは共通点が多く、彼の場合もまた、このアルバムのチャート・アクションがUK14位US32位と、当初からイギリスはもちろんのこと、アメリカでもウケが良く、セールス100万枚に到達、ゴールド・ディスク認定を受けているところも似ている。

 アメリカという国が日本の25倍の面積であることは良く知られている。それに引き替え、総人口は日本の倍程度なのだけれど、人種の坩堝という異名を取るだけあって、様々な価値観が存在する。
 音楽の世界に特化すると、このアルバムのリリース当時の1977年、音楽業界の世界的なトレンドは断然ディスコ・サウンドだったのだけど、だからと言ってみんながみんな、そればかりに目が行っていたわけではない。今となっては猫も杓子もサタデー・ナイト・フィーバー、John Travolta一色だったように報じられているけれど、多くの人々にとってディスコ・サウンドというのは都会の若者が聴くような音楽という認識であり、南部の保守的WASPらにウケる音楽ではなかった。彼らには彼らのための音楽、古色蒼然とした昔ながらのカントリー・ミュージックが、しっかりと生活に根付いていた。
 以前、Blues Brothersのレビューでも書いたけど、ムショ帰りの彼らが再結成後、最初にプレイしたのは、当時、南部のどんな田舎でも必ず一軒はあったカントリー・クラブだった。Willie NelsonやDolly Partonをこよなく愛するオーディエンスの前では、彼らが得意とするソウル・レビュー・スタイルはまったくウケが悪くブーイングの嵐、そこで仕方なしにやってみせたのが『ローハイドのテーマ』、そしてこれがまた大ウケするのである。

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 こういった例に漏れず、案外アメリカというのは、地域によってはめちゃめちゃ保守的な傾向が強い。あまりに広大過ぎる国土のため、どうしても最大公約数的なものばかりがブームとして取り上げられているけれど、それすらもごく少数での盛り上がりということは、普通のアメリカ人ならとっくに気づいていた。
 CostelloやJoeが受け入れられた土壌というのも、アメリカではほんのごく一部なのだけれど、ゴールド・ディスクを獲得するくらいなので、それなりのニーズは確実にある。少なくとも、イギリス全土を束ねても適わないくらい、裾野はだだっ広い。

 考えてみれば、パンク・ムーヴメント襲来の70年代後半アメリカでは、彼らのようにベーシックなロックン・ロールをプレイするアーティストがあまりいなかったことも、ヒット要因の一つである。
 そのパンク・ムーヴメントだけど、今でこそ歴史の転換点として大仰に伝えられているけれど、前述したように、音楽業界全体に影響を及ぼすだなんて、とてもとても。ましてやセールス面だけで取り上げたとしても、もろもろのディスコ・サウンドと比べて、そりゃもうお話にならないくらい。
 ロックのカテゴリーで当時チャート・トップに君臨していたのはEaglesとFleetwood Macであり、どちらにしろロックン・ロールと呼ぶには、あまりにかけ離れたメンツばかり。
 ある意味隙間産業、ニッチな部分のニーズにスッポリうまく嵌まったのが、彼らイギリスのパンク・ロッカーらなのであった。

 芸名にElvisを使用(ちなみに本名はDeclan Patrick Aloysius MacManusという、Elvisとは何の関係もない)、ジャケットでの出で立ちは、まんまBuddy Hollyという、往年のロックンローラーへのリスペクト満載といった趣きだったので、その辺は多少、ユーザーへ向けての戦略的な部分があったんじゃないかと思われる。

 Joeの場合もそうだけど、この時代にリリースされたアルバムは昔から、『パンク・アルバム50選』などというお題目のディスク・ガイドで、ほぼ定番としてリストアップされており、最早さんざん紹介され尽くされている。
 なので、ちゃんと聴いたことがないのに聴いた気になってしまっている、または逆にヘソを曲げて聴く気になれないという場合も多い。

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 これは音楽全般に言えることだけど、評論家やリスナーから名盤という位置に祭り上げられてしまったがため、「これは名盤なんだから」と自分に言い聞かせながら、クソつまんない音楽を聴いちゃってる人も結構多いはず。何の予備知識もないままプログレや古典ブルースを聴いてみても、どれも同じように聴こえてつまらないだけだし、物によってはいつの間にか寝てしまったりなど、むやみなセレクションによって挫折して聴かずじまいのジャンルは以外と多い。

 個人的にもう何百回も聴いてるこのアルバムだけど、しばらく聴いてなかったので、今回久しぶりに車の中で聴いてみたら、あらビックリ、ほとんど覚えてる曲ばっかりだった。
 最近はそうでもないけど、一時期海外のブートCDに凝っていたことがあって、Costelloのライブもいろいろ漁っていたのだけれど、どの年代においても『My Aim is True』からの選曲が必ず1,2曲はある。この人のライブ選曲の特徴として、ワーナー以前:以後の割合がほぼ7:3くらいなので、必然的に初期の曲が多くセレクトされる傾向にある。多分、今もその割合はそんなに変わってないんじゃないかと思われる。

 このアルバムのレコーディング時点では、Attractionsはまだ参加しておらず、代わりにバックを務めたのが、あのHuey Lewis & The NewsのThe Newsの方、このNewsの主要メンバーが中心となって行なわれたというのは、結構有名な話。
 当時新興レーベルだったStiffとしては、バンドで売り出すと経費が嵩むので、最初はソロで売り出す予定だったらしい。しかもプロデュースは、レーベル・メイトであるNick Lowe、このNickもまた、具体的なプロデュース作業はほとんど行なわず、ミキサー卓の前にどっかり座って飲んだくれるだけだった、ということなので、まぁインディーズ・レーベル特有のアバウトさも手伝って、比較的雑な扱いだったことがうかがえる。
 
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 デビューしてから間もなくAttractions結成、その後、英米を中心としたツアーが始まるのだけれど、まぁその数の多いこと。当時のツアー・データを見ると、ほとんど移動日もなしに、月20日以上はライブの予定が詰め込まれている。それだけなら当時のバンドも似たようなものだけど、そのうちのいくつかはダブル・ヘッダー、昼夜二回公演という日も見受けられる。
 それだけ需要があった、廻れるところはとにかくブッキングしまくったのだろうけど、その辺にバンドのコンディションなんてまったく考慮しない、労基?何それ?というスタンスのマネージメントの姿勢がうかがえる。
 そしてまた、それすらを跳ね返すバンドの勢い、どうにか這い上がろうとする若さとパワーがビシビシ伝わってくる。いやほんと、何枚かはオフィシャルでもリリースされているけど、初期のライブはネットで漁りまくるほどの価値は絶対ある。大きな声では言えないけど、俺もいくつか持ってるし。

 そんな熱気や野心、そして現状不満を見事サウンドとして封じ込めた、姿勢としてのパンク、次の『This Year’s Model』もそうだけど、俺にとっては極上のロックン・ロールなアルバムである。
 パブ・ロックっぽさも強いけどね。


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1. Welcome to the Working Week
 ほんの1分半程度の短い曲だけど、疾走感は群を抜いている。導入部→メロディ→サビ→再びメロディ→最後にサビ、という展開が凝縮されている。アルバム一曲目の自己紹介的な出だしは完璧。しかもこの曲、Costello自身も血糖値が上がるのか、近年の演奏でもほぼ同じテンションでプレイしている。
 ちなみに当時、シングル”Alison”B面でリリース。A面でもいいんじゃないかと思えるくらいのクオリティだけど、ちょっと尺が足りないか。



2. Miracle Man
 ちょっとポップなロックン・ロール。最初からアメリカ・マーケットを意識していたかのような、覚えやすくノリやすい曲である。今になって聴いてみると、ちょっとドラムの手数が多いかな?Pete Thomasならもっとシンプルに、スクエアなドラムだったと思う。

3. No Dancing
 ドラムがやはりアメリカ寄り、出だしがもろ”Be My Baby”である。このドラム・パターンはどの年代においても人気があるので、やはりこの曲もよくライブで演奏されている。あと、コンテンポラリーなサウンドを目指していたのか、どのアルバムに比べてもコーラスの厚さが目立つ。アメリカ勢が多いという先入観なのか、Doobie Brothersあたりと印象が被ってしまう。

4. Blame It on Cain
 ちょっぴりブルース・スケールも引用している曲。ほぼサビ一発みたいな曲だけど、この時期にブルース成分を入れてきたのは、やはりアメリカ勢の為せるワザか。

5. Alison
 “She”があれだけ爆発的にヒットするまでは、多分これがCostelloの中では一番有名な曲だったはず。長年のファン、そして俺にとってもすっかりお腹いっぱいの曲だけれど、でもしかし、やはり聴くといいんだよな、これ。
 これだけ長いキャリアなので、様々なパターンの曲を作ってきたCostello、当然「どっかで聴いたことない?」ってな曲も数多く存在するのだけれど、この”Alison”タイプの曲はこれ以降、作られていない。Costelloのバラードといえば、後年になるにしたがって音数が少なくなり、スロー・テンポを朗々と歌い上げることが多いのだけれど、ここまで速いテンポのマイナー・コードの曲は、多分俺が知る限りではこれくらいだと思う。最初から完成されたポップ・バラードを作ってしまったがため、これ以上の曲が作れなかったのだろうか?
 ちなみにシングル・リリースもされているのだけれど、当時はUS・UKともチャート・インはなし。USは仕方ないとして、UKについてはちょっと不思議。なにやってんだ、英国人っ。



6. Sneaky Feelings
 ここでA面ラスト。比較的アメリカ寄り、ミディアム・テンポのロックン・ロール。A面はポップな面を強調しているのか、それほど攻撃的な曲はない。これも歌いやすくノリやすいナンバー。

7. (The Angels Wanna Wear My) Red Shoes
 ここからがB面。
やっと「怒れる若者」としてのCostelloが登場する。これまでとレコーディングのメンツは変わらないはずなのだけれど、サウンドの攻撃性がまるで違っている。
この曲もライブで長年レパートリーに加えられており、1.同様、当時と変わらないテンションで歌い継がれている。

8. Less Than Zero
 記念すべきデビュー・シングル。こちらもどこにもチャート・インせず。うん、デビューにしてはちょっと、インパクト弱いよな。いや、いい曲なんだけどね、シングルとしてはちょっと、華がなかったんじゃないかと思われる。

9. Mystery Dance
 そう考えると、こちらの方が断然シングル向き。Presleyの現代的解釈とでも言うような、性急な8ビート。間奏のギターがカントリー・ロックっぽいところも、初期Presley の意匠をそのまま受け継いでいる。1.同様、こちらも1分半程度のめちゃくちゃ短いナンバー。
 
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10. Pay It Back
 ちょっとテンポの遅いロックン・ロール。9.の後に聴くと、なんかモッサリ感があって胃もたれする感じなのだけど、単体で聴けば普通に良質のナンバー。

11. I'm Not Angry
 タイトル通り、パンクな曲。パンクの名盤と呼ばれているこのアルバムだけれど、ほんとに性急なビートと怒りに満ちたメッセージを兼ね備えたナンバーというのは、実は数少ない。B面は比較的アップ・テンポの曲が多いのだけれど、それでもそれ以上に若干レイド・バック気味のナンバーが多いのは、やはりバックがアメリカ勢が多くを占めている影響だろうか。

12. Waiting for the End of the World
 そういった数少ないパンク・ナンバーが続く。こちらもギターのレイド・バック感が強く、一瞬、UK産であることがわからなくなる場合もある。ただビートはきちんと英国風味を醸し出している。

13. Watching the Detectives
 初リリース時、UKオリジナル盤には収録されておらず、日本盤のみのボーナス・トラック扱いだったのだけど、現行CDでは普通にこのポジションで収録されている。
 シングルとして、UK15位US108位、初めてチャート・インした、”Alison”と並んで最初期の名作の一つ。
 この時期に既にレゲエ・ビートを取り上げていたこと、アルバムとはレコーディング・メンバーが違い、ここで初めてSteve Nieveがキーボードで参加していること、Detective(探偵)という、ロックとは馴染みづらそうな単語を使ってヒットさせたことなど、書きたい事はいろいろあるのだけれど、やはり肝心なのは音。
 こちらはUK勢が中心のメンツ、演奏もCostello自身を含めて4人という最小限のフォーメーションで挑んでいる。ソリッド感がまるで違うこと、余韻を残すことのない、シャキッとした音の響きもまた、この曲の魅力の一つである。






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Costelloさん、ポップ・スターに見切りをつける - Elvis Costello 『Goodbye Cruel World』

folder で、やっぱもうちょっとチヤホヤされたい、せめて一回くらいはポップ・スターとしてスポットライトを浴びてみたい、という願望を抑えきれなかったのかどうかは知らないが、再び売れっ子プロデューサーClive LangerとAlan Winstanleyに制作を依頼、アメリカでのスターダム街道を目指してリトライしてみたのが、このアルバム。
 前回でも書いたように、イギリスではシングル”Everyday I Write the Book”のスマッシュ・ヒット(UK28位)が作用したため、通常よりは微増の売り上げになったものの、アメリカにおいてはほぼ何も変わらず、相変わらず「通には受けの良い」スタンスは変わらなかった。

 Costello自身、同世代のパンク~ニュー・ウェイヴ勢の中でも、卓越したソングライティング能力については自負していたし、多くの同世代が演奏・ヴォーカルにおいてのパフォーマンス・スキルが壊滅的だったにもかかわらず、彼はその気になればギター1本だけでオーディエンスを虜にし、優に1ステージ持たせることができるくらい、ライブ・パフォーマンスには絶大の自信があった。
 ただ彼に足りないものは、不特定多数のリスナーを獲得できるほどのエンタテイメント能力、カリスマ性の希薄さだった。カリスマ性を補うための芸名「Elvis」だったのでは、というのは勘繰りすぎだろうか。

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 当時の彼の仮想敵として、最も大きかったのはDuran Duranである。
 音楽性の勝負ではない。そう言った話なら前述した通り、負けてる要素はどこにもないし、そもそも戦っているフィールドがまるで違っている。
 ただ彼が切望していたのは、ゴシップ紙の常連になったり、決めポーズをとってピンナップ・グラビアを飾ってみたり、またはホテルの裏口で安っぽい香水の匂いをまき散らしたグルーピーらに出待ちされることである。
 本人的にはあまりその辺は明言していないのだけれど、本来優秀なアーティストとは、自己顕示欲の塊である。まったくそういった気がないと言えば、嘘になるだろう。まぁコロコロ変わる音楽性同様、もしほんとにそんな状況になったとしても、すぐに飽きてしまうのだろうけど、一度くらいはやって見たかったのだろう。
 
 ちょうど離婚問題が重なったこと、またAttractionsとの関係悪化など、なんか厄年だったのか、積年くすぶっていたトラブルが一気に押し寄せたことによって、後にCostello、「そんなわけで、イマイチ本腰を入れることができなかった」とも語っている。
 そういったわけで、プロデューサー主導のアルバムと思われがちだが、実際彼らが任されたのは半分で、残り半分はCostelloの、ほぼセルフ・プロデュースという分担になっている。売れ線を狙って前回丸投げしたはずなのに、なんとも微妙な結果に落ち着いてしまったため、最初は口を出すつもりはなかったが、次第に疑心暗鬼になって、結局半分は自分の流儀を押し通してしまった、という次第。
 まぁその流儀も結局、売れ線からはできるだけ遠く、といった風に、ネガティヴなテーマでサウンド・メイキングされているため、何とも中途半端な仕上がりになっているのも、後の祭り。別の見方をすれば、その噛み合わなさを「こっちはCostelloで、こっちはLangerらで」と、想像しながら堪能できるアルバムでもある。

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 サウンド的には、こちらも前作『Punch the Clock』と同じスタッフで製作されているので、基本構造は同じなのだけれど、前回大きくフィーチャーされていたTKO Hornsは参加しておらず、Caron Wheelerが在籍した通称Afrodiziakら女性コーラスも不参加、Attractionsを中心として、ゲスト・ミュージシャンも極力抑えたシンプルなメンツになっている。
 楽曲のスパイス的役割が不在な分だけ、曲調・アレンジもシンプルに、前作と比べてR&B、ソウル色はかなり薄めになっている。見た目の派手さが薄れた分だけ、余計な装飾がなく、純粋に曲自体の良さを引き立てた作品が多い。これはCostelloの意向もあったらしく、営業政策上、シングル向けのキャッチーでポップなナンバーも必要だが、他のアルバム収録曲については、極力Attractions単体でプレイできるようにした、とのこと。

 俺的にはデュエット2曲以外の印象は薄く、前作と比べるとそれほど何回も聴いてはいないのだけれど、後年ライブで取り上げられる曲もいくつかあり、楽曲単体で見ると、光る曲も多々ある。ただ、やはり地味な印象は拭えない。
 真面目に音楽をやっているアーティストにとって、80年代とはサウンドの変遷がめぐるましかったため、そんな風潮に振り回されて駄作を連発した大物も数多い。
 Costelloもその一人である。


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1. The Only Flame In Town
 ビルボード56位というまぁまぁのヒットを受けて、MTVでもたまに流れていた、Hall & OatesのDaryl Hallとのデュエット曲。この頃のHall & Oatesはほんと絶頂期、シングル・チャートでも上位の常連だった時代であり、” One on One”、” Maneater”は80年代の社会風俗特集のBGMでもよく使用されるくらい、時代の象徴だった。
 Hall & Oatesは当時、白人ながらソウル・テイストの強いポップ・ソングを数々チャートに送り込み、「ブルー・アイド・ソウル」の代表的アーティスト、クオリティの高い楽曲・パフォーマンスはCostelloの理想とするところであり、Duran Duranとコラボするよりはずっと、意に適った人選だったんじゃないかと思われる。
 PVも当時の80年代MTVフォーマットに則った、軽い寸劇を導入部として、小振りのディナー・ショーでDaryl Hall乱入、いつの間にかデュエットしてる、という、ベタだけど最強パターンの構成になっている。
 とにかく「売れる」要素をとことんぶち込んだ結果が、また中途半端なチャート・アクションなのだけれど、まぁこの方向性ではこれが限界だったのだろう。俺はPVも曲もポップで好きだけど。
 


2. Home Truth
 ほぼAttractionsのメンバーで固めてレコーディングされた、地味だけど味のあるポップ・ソング。時々ライブでもプレイしているので、そこそこお気に入りの曲なのだろう。
 何ていうか、プロ仕様、ソング・ライティングのお手本的な整合性を感じさせる。

3. Room With No Number
 穴埋め的なノリの良いポップ・ナンバー。ちょっぴりラテンを混ぜたリズムとSteveのキーボードが曲を引っ張るのだけれど、まぁただそれだけ。最後をドラム・ソロで締めるのが、意味不明。

4. Inch By Inch
 ジャジーなテイストの、何となく夜を感じさせるナンバー。2.同様、こちらも地味だけれど、たまに聴きたくなってしまう俺。ちなみにどこかで聴いたことあるなと思ってたら、翌年にリリースされた甲斐バンドのアルバム収録曲で、ほぼそのまんまでコピーされていた。
 オマージュと受け取りたいと思うのは、俺が甲斐バンドのファンだから。

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5. Worthless Thing
 ポップなアレンジのため、一聴してごく普通のポップ・ソングっぽいが、メロディ・ラインやコード進行は初期そのまんま。『Imperial Bedroom』を通過することによって、Beatlesテイストのアレンジ・構成が可能になり、サウンドに幅が広がった。

6. Love Field
 久しぶりに聴いてみると、これも美メロでしかもCostelloのヴォーカルも表現力が増して来ているのに気付いた。いやこれ、名曲ばっかりじゃん。これまでは地味で気づかなかったけど、ソングライティングのスキルとしては確実の同時代のアーティストを軽く超えている。

7. I Wanna Be Loved
 ここからB面。シカゴのR&Bコーラス・グループ、Teacher’s EditionのシングルB面という、よくこんなの見つけてきたなと言いたくなるくらい、どマイナーな甘茶ソウル系のバラードのカバー。ちなみにCostelloがどうやってこの曲を知ったのかというと、来日した際たまたま入手したコンピレーション・アルバムに入っていたから、とのこと。日本のレコード会社恐るべし。
 で、この曲も当時イギリスでは一世を風靡していたScritti Polittiのヴォーカル、Green Gartsideを迎えてのデュエット曲。とはいってもDaryl Hallほど前に出ているわけではなく、むしろちょっと大きめのバック・ヴォーカル的な扱い。そのせいか、この曲もかなりDX7臭が強く、ポップ・エレクトロ風味になっている。
 もちろん俺もオリジナルはついさっき初めて聴いたばかりだけど、この曲はやはりCostelloヴァージョンの方が馴染みはあるし、メロディの甘さを上手く活かしたアレンジになっていると思う。
 ちなみにPVはGodley & Cremeが担当。ほぼ同時期に制作された”Cry”同様、ワンカット・固定アングルで4分強を持たせている。



8. The Comedians
 ちなみにWarner在籍時までのCostelloのアルバムは、一時期かなり気合の入った発掘作業が行なわれ、本人監修による2枚組デラックス・エディションがリリースされている。
 収録曲のオリジナル・デモやライブ・ヴァージョン、他アーティストとのコラボ曲などが大体の内訳なのだけれど、このアルバムのデモ・ヴァージョンの中で、最も本リリースよりも出来栄えが良いと思われるのが、これ。
 もちろんデモなので、演奏などは拙いものだけれど、ヴォーカルが本編よりも気合が入りまくっている。こんな力強い曲だとは思わなかった、というのが正直なところ。

9. Joe Porterhouse
 ちょっとポップなカントリーといった以外、あまり印象に残らない曲。まぁこういった曲も必要かな?といった程度。ライブでもあまりやったことがないので、もしかして本人も忘れてるかもしれない。

10. Sour Milk-Cow Blues
 冒頭のシンセ和音に、ちょっと笑ってしまう。80年代的プロデュースではこれが正解だったのだろうが、今聴くとかなり古臭い。レトロとも言えず、ただただダサく聴こえてしまうのが、この時代の特徴である。
 ブルースをモダンに聴かせるため、ドラムも音をいじっており、これもプロデューサーの思惑だったと思われるがしかし、最終的に首を縦に振ったのはCostello自身である。やはりポップ・スター的な要素として、これが必要だと思ったのだろう。
 
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11. The Great Unknown
 9.同様、こちらもポップなカントリー・タッチ。思えば、この後『King of America』をリリースするわけなので、これはこれで自然の流れなのだろう。普通に次作に入っていてもおかしくない曲。
 この曲のみClive Langerとの共作になっているけど、”Shipbuilding”のマジックは再び起こることはなかった。

12. The Deportees Club
 こちらはモダン・サウンドの意匠を凝らしたロカビリー・タッチのアップ・テンポ・ナンバー。総じてミドル・テンポのゆる~い曲が多かったため、ここでライブ・バンドとしてのAttractionsの面目躍如といった感じである。

13. Peace In Our Time
 前作”Pills & Soap”以来となる、The Imposter名義でのナンバー。UKのみでシングル・カット、最高48位という成績は、やはり別名義だったため。何かを強く訴えたいとき、Costelloはこの名義を良く使っている。 最近ではずっとバック・バンドにこの名義を与えているため、あまりレア度は少なくなってしまったが、Costelloに限らず、当時のイギリスのアーティストらは不安定な政治・社会状況に常に不満を持ち、プロテスト・ソングという形でぶつけていたのだ。
 平和を熱望する歌詞のため、サウンドもそんなに尖ってはいない。シンプルに穏やかに、それでいて力強いCostelloが、そこにいる。




 結果的にAttractionsとの本格的な活動は、一旦ここで終了。ポップ・スターの夢潰えたCostelloはヒット・チャート狙いの音楽に見切りをつけ、時々ぶり返すルーツ回帰症候群が再発する。
 で、単身アメリカへ渡って『King of America』を制作、半分をConfederatesらアメリカ勢、もう半分をAttractionsで制作する予定だったのが、思いのほかアメリカ勢との相性が良くて、結局Attractionsでの収録は1曲のみ、これがさらにバンド内の空気を悪くさせる。
 Costelloにとってはもうすっかり忘れてしまったアルバムなのかもしれないが、80年代を過ごしてきた者にとっては、それなりに思い入れは深いアルバムである。近年ベテラン・ミュージシャンが行なっているアルバム全曲再現ライブ、ちょっとひねくれた英国人であるCostelloなら、あえて大方の予想を外してこの辺をセレクトしてくれそうだけど。



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北海道の中途半端な田舎に住む、そろそろアラフィフ男。ほぼ週1のペースで音楽ブログ更新中。節操ない聴き方と思われてるけど、自分の中では一貫してるつもり。 最近は蔵書の整理がてら、古い本を再読中。ジョン・アーヴィングから始まって、フィッツジェラルドやゾラ、モームなど、いわゆる古典の復習中。いつになったら終わることやら。新刊読めねぇや。
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