アズテック・カメラ

好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そういったゆるいコンセプトのブログです。

扱いの軽さはフットワークの軽さ - Aztec Camera 『Frestonia』

folder 2014年、8年振りにリリースされたRoddy Frameのソロ・アルバム『Seven Dials』。ほぼテレキャスのセミアコ1本でレコーディングされた佳曲たちは、そのシンプルなサウンドゆえ、地味ではあったけれど長く聴き続けられるクオリティを維持していた。決して多くの人に届くことはないけれど、少なくとも長年のファンを充分満足させることができた。
 アルバム・ポートレートで披露されたそこでの風貌は、「Walk Out to Winter」と口ずさんでいた頃の溌剌した面影は薄れ、ポップ・シーンから脱落して久しい、旬を過ぎたアーティストの残酷な加齢ぶりをさらけ出していた。シーンの最前線とは言えなくとも、それでもまだ毅然とした表情を見せていた前作『Western Skies』との落差は歴然としており、「Roddyに何があった?」と世界中のファンの間では一時あれやこれやと論議に沸いたけれど、そんな騒ぎもすぐに終息した。
 そう、Roddyと同じように、我々も歳を取ったのだろう。人間、50を越えればいろいろ出てくる。良い知らせよりもむしろ、悪い知らせの方が多くなってくる。何もない方が不思議なのだ。
 歳を重ねることによって無駄なアレンジは後退し、骨格となるメロディと言葉は熟成された。かつてのような『Knife』の切れ味はなくなったけど、数年に一度、ふと思い出して聴き続けられる、使い捨てじゃない歌を奏でる50代のRoddy。多分、今後もゆっくりかつじっくりと、コップに水滴を溜めるペースで歩み続けるのだろう。
 『Seven Dials』リリース後に行なわれた一連のプロモーション・ツアーを2015年8月に終え、その後、彼の足取りはパッタリ途絶えてしまう。オフィシャル・サイトもtwitterも更新が止まったまま、YouTubeチャンネルも持ってなさそうなので、再び新たなコップを用意しているらしい。いやコップすら用意してるかどうだか。
 『Seven Dials』リリース前も、音楽活動から離れて別の仕事についていた、とのこと。彼クラスのアーティストでさえ、音楽一本で食ってゆくには厳しい世の中なのだろう。

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 そんなRoddyが所属していた、ていうか後期はほぼ彼のソロ・プロジェクトと化していたAztec Camera、その最終作となったのがこの『Frestonia』。特別、「これでプロジェクト終了」と銘打ってリリースされたわけではなく、何となく自然消滅的にバンド契約が終了、それから何となくソロへ移行して行ったため、いわゆるフェアウェル的なムードはまったくない。本人の意向だったのかリプリーズ的にやる気がなかったのか、何とも寂しい幕引きである。プロデュースをClive Langer & Alan Winstanley という、MadnessやElvis Costelloを手掛けたヒットメイカーに委ねているのだけれど、正直、彼らのピークは80年代だったので、なんで今さらといった感は抜けない。この辺にもレーベルとの齟齬があったんじゃないかと思われる。
 Aztec Cameraのセールスのピークはとうに過ぎてしまっていたのと、そもそもRoddy自身がバンドのブランド・イメージを背負っていくことに興味を失ってしまっていたこともあって、ネガティヴな話題しか出てこない作品ではある。1995年といえば、OasisやBlur、Pulpらブリットポップ勢がチャートインしてきた頃だったし、何でわざわざロートルの作品を聴かなきゃならないのか。
 でも、同じ釜の飯を食ってたEdwin Collinsはがんばってたんだよな。スタートはさして変わらなかったはずなのに、どこでどう枝分かれしてしまったのか。やっぱ積極的に外部でコラボしたり顔出ししたりする営業力だよな、アーティストも。90年代初頭はあれこれやっていたはずなのに、どこで心が折れちゃったんだろうか。

 契約消化・敗戦処理的なモチベーションで作られたアルバムゆえ、レーベル側もそれほど積極的にプロモーションしなかったのか、前作『Dreamland』が最高21位だったにもかかわらず、『Frestonia』は100位ギリギリという結果に終わっている。来日公演も多かったおかげもあって、日本でのメディアの反応は比較的好意的だったけれど、やはりブリットポップの勢いにかき消されてしまい、売り上げには結びつかなかった。
 以前のようなシングル・ヒット狙い、キャッチーなキラー・チューンと言える楽曲は見当たらない。バンド・ヴァージョンの『Seven Dials』的な、当時のUKポップのトレンドとは逆行した、スタジオ・ポップな楽曲で占められている。
 これでもう少しチャートへの色気があって若手バンドと組んでいれば、Edwinと同等のポジションは狙えていたはずなのに。ていうかプロデューサー、その辺のサウンドは得意なはずだろ、もっと仕事しろよ。

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 ポストカード時代を含めれば、すでに40年近いキャリアがあるはずなのに、UKポップ史におけるRoddy の扱いの軽さは変わらない。そりゃチャート・アクションだけで見れば「Somewhere in My Heart」の一発屋だけど、ネオアコ/インディー・ポップの成り立ちを辿ってゆけば、フロンティアとして誇れるほどの爪痕は残しているはずなのに。
 不当な扱いを受けている、と言いたいのではない。ネオアコ時代の原理主義者はともかくとして、この人の場合、アルバムごとに音楽性がコロコロ変わってしまうので、レーベル的にも購買ターゲットを絞り切れず、よってファンの定着が難しいのだ。ネオアコ~アーバンR&B~ギター・ポップ~AOR~アコースティックと、短期間で変遷が著しい。ここに加えて、Cindi Lauper「True Colors」からVan Halen「Jump」に至る節操極まりないカバーや、「Spanish Horses」のようなイレギュラー的な楽曲が加わるのだから、全方位外交的な守備範囲の広さである。ファンからすれば、多岐に渡るジャンルのRoddy的解釈に嬉々するのだけど、ライト・ユーザーから見れば「何をしたいのかよくわからない」という声がほとんどだろう。

 Roddyの政策スタイルとして、メジャー・デビューから一貫しているのだけど、良い楽曲を手間をかけて誠実に作るスタンス、これは変わらない。前述した、コップに水滴を満たすが如く、数年に一度のリリース・ペースではあるけれど、『Love』でのブレイク以降の固定ファンは急かすこともなく、律儀に彼の帰還を待っている。
 その輪はもう、決して大きく広がることはないけれど、でも、消え去ることもない。その円環は緩やかに閉じられているのだ。多くの大衆を巻き込む吸引力には欠けている。でも、今後も彼の音楽を求めるユーザーは確実に存在し続ける。

 扱いの軽さと関連するけど、Aztec Camera / Roddy Frameからの影響をあらわにしたフォロワーがあまり見当たらないところにも、彼の音楽の閉鎖性が窺える。90年代日本の渋谷系、初期のフリッパーズ・ギターが彼のメソッドを移植していたこともあったけど、それも一時の流行に終わってしまった。ネオアコというムーヴメント自体が刹那的なものであって、長く深く掘り起こしてゆく類のジャンルではないのだろう。
 『Love』以降のRoddyの音楽性は、ジャンルの違いはあれど基本、コンテンポラリー路線に移行してしまったため、純粋な楽曲クオリティ以外の特異点が薄れてしまい、差別化が図りにくくなってしまったことも、リスペクトの弱さに起因する。そんな事情もあって、ベテラン・アーティストにありがちなトリビュート・アルバムや企画・イベントも行なわれた形跡がない。どこか軽く見られがちである。
 大御所なのに軽く見られる存在として、以前取り上げたのがDavid Byrne。彼もTalking Heads解散以降、メジャー/インディーを問わず、あらゆるジャンルのアーティストとコラボしているけど、Roddyのように「音楽性が定まらない」という風には受け取られない。ベテランであるにもかかわらず、常にビギナーと同じ目線で新たなジャンルの開拓に余念がなく、フットワークだって軽い。アーティストに限らず、自分のフィールド以外にもアンテナを張ってる人は、いつだって若いのだろう。去年、ニューヨークで大々的にトリビュート・ライブやってるしね。

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 もしかしてRoddyもまた、Byrne同様、近所のパブやライブハウスなんかで時々、少数の客相手に弾き語りでもやっているのかもしれないけど、遥か極東の島国では、そんな情報も届かない。やって欲しいよな、まだ50代だし。老成するにはまだ早すぎる。

 で、『Frestonia』。老成というよりは熟成といえる、静謐なトーンで統一されたAztec Camera謹製ポップの完成形となる楽曲が並んでいる。いや、もうバンド名義にこだわって書いてないな。そういった過去の栄光やネーム・バリューを取り払った、Roddy Frame個人のパーソナルな部分を反映した歌たちで占められている。
 以前は元ClashのMick Jonesや前述のEdwin、『Dreamland』では世界のサカモトとコラボなど、錚々たるメンツが参加していたというのに、ここではそういった目玉ゲストもなし。基本はほぼライブと同じ、小編成でのバンドでのレコーディングとなっている。
 自らそういったシュリンクしてゆく方向性を望んだのか、丹念に磨きをかけた楽曲のレベルは高い。レイドバックしたかのような、シーンにおいての現役感の薄れた響きは、マスへと届くことはない。その音は小さなコミュニティの中で、時代を超えて古びることもなく鳴り続けている。


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1. Rainy Season
 Roddyにしては珍しく、泥臭いアメリカン・テイストの大味なバラード。ヴォーカルもリキが入っており、ディストーションのかかったギターも大サビでの男性コーラスとのユニゾンも、これまでになかったパターン。終盤ブレイク後のドラムも力強い。
 シングルとして切るなら、こっちの方が良かったんじゃないかと思われるし、Roddy的にもその心づもりだったはずだけど、完パケしてしまうと、そこまで積極的に意見する気力も失せてしまったのだろう。リプリーズ的には2枚目のシングルとしてストックしていたのだろうけど、あいにくファースト・シングルがチャートインしなかったため、その構想はボツとなった。



2. Sun
 で、そのファースト・シングルがこれ。1曲のみ収録のCDシングルは市場ではほぼ相手にされなかった。当時はメイン・トラック以外の収録曲違いでのリリース・パターンが流行しており、どのバンドも最低2~3種類の同名シングルをリリースしていた。そんな中での簡素な形態でのリリースは、悪い意味で目立ってしまっていた。
 オルタナ系のポップ・バラードを整理してまとめたような感触のナンバーは、Roddyとの相性は決して良くない。曲が悪いというのではなく、「合わない」。この人の場合、もっとリズムをベースに組み立てた曲の方が、メロディが引き立つ特性を持っているので、バンド・スタイルにこだわらないアレンジの方が良かったんじゃないかと思われる。あ、だからバンド最終作なのか。

3. Crazy
 なので、同じレイドバックでも、メジャー感を抑えたシンプルなバラードの方が、メロディの妙が引き立っている。このアルバムではほぼRoddyが全編に渡ってギターを弾いているのだけど、バンド・サウンドに負けぬようエフェクトを効かせた音色はなかなかレア。ロックのフォーマットを使っているけれど、う~ん何だ、例えはちょっと古いけど、安全地帯をロック・バンドと言い切っちゃう雰囲気に近い。

4. On the Avenue
 彼にロック的なイズムを求めていない長年のファンからすれば、こういったアコースティックな楽曲の方に食指が動いてしまうのは、まぁ致し方ないこと。だって良いんだもの、普通に。ピアノとアコギ、それにRoddyの歌。たっだそれだけ。それだけなのに懐かしくも愛おしい、シンプルな良い曲。でも、地味だよな。

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5. Imperfectly
『Love』を思わせるリズムライクなオープニングから始まる、それでいてポップで蒼いエモーショナルを感じさせるナンバー。テンポも良いので、冒頭2曲のようなレイドバック感も少なく、疾走感が心地よい。間奏後のBメロコーラスがベタだけど、バンドらしさが出てカッコいい。この感じの楽曲がもう1、2曲あれば、ポップ・サイド/スロー・サイドのバランスが取れていたのだけど。

6. Debutante
 そうか、ドラムが大味なんだな、このアルバム。今頃になってやっと気づいた。リズム・パターンが単調なので、メロディが活かしきれていないのが。いまいち噛み合わない要因だったのかも。そうするとやっぱプロデュースか。楽曲には何の罪もない。デコレーションの仕方がバンド・イメージ前提なんだもの。普通に歌を聴かせてくれればよかったのに。

7. Beautiful Girl
 オープニングのアレンジはLanger & Winstanley得意のポップ・バラードにありがちな展開なのだけど、Roddyの色が強く出たことが良い方向に作用して、大味加減を抑えた仕上がりになっている。なのでいい意味で聴きやすい。長いファンも納得してくれるよな、これだと。抑制を効かせたアレンジがしっくり来ている。
 アウトロのギター・ソロが案外長く、彼のギター・プレイが好きな人にもオススメ。

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8. Phenomenal World
 「Good Morning Britain」を思わせるロック・アレンジ。サウンド的にはラウドなのだけど、やはり彼の声質とはどこかミスマッチ。やっぱりMick Jonesに比肩する個性的なキャラクターが必要なのだ。お行儀の良さによるミスマッチ感が逆に良い、という人もいるのだけど。

9. Method of Love
 でも考えてみると、Roddy本人はともかくとして、プロデューサー・サイドは当時のトレンドもちょっとは意識していたのか。猫も杓子もブリット・ポップ全盛のご時勢で、できるだけ彼の歌を世に知らしめるためには、バンド・スタイルのアレンジを施さない限りは太刀打ちできない、と判断したのだろう。バラード一本でもよかったはず、と本人は思っていたのだろうけど、その辺がどこかポップ・スターへの色気を捨てきれなかったんじゃないかと思われる。

10. Sunset
 というわけでラストにぶち込んできたのが、2.のアコースティック・ヴァージョン。これまでの愚痴やらツッコミやらが、すべてチャラになってしまう仕上がりとなっている。決してヒット性があるわけではない。みんながつい聞き耳を立ててしまう派手さもない。でも、これはやはりRoddyしか作れない歌だ。その歌がもっとも引き立つスタイルとなると、やはりこれになる。

 


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思ったよりチャラくない、音楽にマジメな男の軌跡 - Aztec Camera 『Covers & Rare』

folder 青臭い童貞っぽさを漂わせていたネオ・アコ期の凛とした面影はどこへやら、当時隆盛だったブルー・アイド・ソウル、ていうか思いっきりブラコン・サウンドに急接近した『Love』リリース以降のAztec CameraことフロントマンのRoddy Frame。ClashのMick JonesやOrange JuiceのEdwin Collinsらとコラボしたり、英オルタナ・シーンとの接点を維持してはいたのだけれど、レコード会社的にも、そしてRoddy的にも、もっと大きなフィールドでの活動を視野に入れていた。
 メジャー戦略に則ったサウンドの洗練に伴って、ビジュアルもよりスタイリッシュに傾きつつあった。真摯なギター少年の面影はすっかり薄れ、ビジュアル系音楽雑誌のグラビアを飾るまでになっていた。

 80年代洋楽の傾向として、Bruce SpringsteenやLAメタル系を代表とするアメリカのアーティストが、肉体性やマッチョを前面に押し出した、男性要素の強いビジュアルを演出していたのに対し、イギリスのアーティストはDavid Bowieに端を発した、中性的で線の細い、化粧映えするアーティストに人気が集中していた。特にRoddyやSmithsのJohnny Marrなど、中性的容貌に加え、少年性を漂わせる独特の趣きに魅せられたネオ・アコ少女たちも多く、ロキノンのカラー・グラビアでもしょっちゅう取り上げられていた。
 音楽性とビジュアルとのシンクロ率が高かった『Love』『Stray』期、日本でも女性ファンを中心に静かな盛り上がりを見せ、この時期は結構な頻度で来日公演を行なっている。当時は洋楽マーケットが日本でもそこそこのシェアを占めていたため、それほど大掛かりなセットや大人数でもない限り、採算が取れていたのだ。

 じゃないと、こういった種類のアルバムはリリースできない。しかも本国UKでは未発売、日本独自の企画盤である。ベスト盤ではなく、オリジナル・コンセプトのコンピレーション、シングルのみのリリースだったり、オムニバスへのワン・ショットでの参加曲、その他をライブ・テイクで埋めている。アルバムだけではカバーしきれない、熱心なファン向けのコレクターズ・アイテム的なポジションの作品だけに、普通ならライト・ユーザーやビギナーにはオススメしづらいのだけれど、有名曲のカバーも収録されているので、中途半端なオリジナルよりは、ずっと取っ付きやすいはずである。

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 このアルバムがリリースされた1993年は、Aztec Cameraのデビュー10周年、オリジナル・アルバム『Dreamland』リリース直後の頃。バルセロナ・オリンピック開会式の作曲・指揮やYMO再生により、活動のピークに達していた坂本龍一が全面プロデュースという謳い文句で話題になり、UKチャート最高21位と、まぁまぁのセールスを記録したアルバムである。作品・サウンド・アレンジとも会心の出来だったこともあり、これまでのキャリアに一段落ついたこともあって、この来日記念盤のリリースを許可したのだろう。

 穿った言い方をすると、いわゆる寄せ集め的なアルバムだが、すべてのシングルや客演までを把握しきれない日本の熱心なファンにとっては、貴重なアルバムである。当時のレコード会社や洋楽雑誌も小まめな情報発信を行なってはいたのだけど、ネットが普及する以前の90年代において、日本とUKとの間では、情報の格差はまだ大きかった。
 90年代は輸入盤の全盛期、札幌でもタワー・レコードやCisco、WAVEやVirginなど、ショップによってそれぞれラインナップに微妙な特徴があり、回って見るだけでも一日が潰れ、何も買わなくても楽しかった。ちなみに現在残っているのはタワーのみ。去年久しぶりに覗いて見たのだけど、2フロアあったのが1フロアに縮小されていたせいなのか、何だかすごくせせこましい配置になっていた。おかげで90年代当時の独特の空気感が失われていたため落ち着かず、10分足らずで店を出てしまった。

 去年久しぶりにソロ・アルバムをリリースし、再び小規模ながらツアーも始めたRoddyを確認できて、世界中のファンはひとまず安心した。細やかな透明感のあるギター・プレイや歌声はまだ健在である。まだ歌い続けてゆくことを表明してくれたことが、旧い友人からの久しぶりの便りのように、とても温かく、そして懐かしさを感じる。
 もうギラついた野心もないだろうし、このままマイペースで歌い続けていくのだろう。
 たまにでもいいから日本に来てね、できたら札幌に。


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1. Back On Board (Live)
 デビュー・アルバム『High Land, Hard Rain』収録、1983年ということなのでリリース直後、場所は有名なEl Mocambo、StonesやCostelloなど、有名どころがライブ・アルバム収録に利用しているのだけれど、キャパとしてはせいぜい400~500程度のなので、それほど大きな場所でもない。イギリスの新進アーティストとしては憧れの聖地だったのかもしれないが。
 曲調としては朴訥としたアコースティック・ロックなので、それほど盛り上がりを見せる曲調でもない。うん、別にライブ・ヴァージョンにしなくてもよかったんじゃない?

2. All I Need Is Everything (Latin Mix)
 『Knife』の先行シングルとしてリリースされた、12インチ・シングルの別ミックス。といっても、ちょっぴりラテン・フレーヴァーを足してイントロを長くしたくらい。昔の12インチには、こういった無意味な引き延ばしが多かった。ディスコ用に長く踊れるように、というのが本来の目的なのだけど、Aztec Cameraで誰が踊るの?って話になる。
 それは抜きにして、当時MTVブームの追い風によってノリにノッテいたMark Knopflerプロデュースによって、ヒットのツボを心得たサウンド・メイキングとRoddyの生来ポップなソング・ライティングとが絶妙にマッチングしている。全英チャート34位はちょっと低めなんじゃないかとも思えてしまう。

3. Jump (Loaded Version)
 その3.のB面に収録された、一躍話題となった、言わずと知れたVan Halen大ヒット・ナンバーのアコースティック・カバー。元曲とのあまりのアプローチの違い、あまりの静と動との対比に、まだ高校生ながら、「カバーとは、その曲に対しての愛情だけでなく、批評性もまた重要なのだな」と、まぁここまで整理して思っていたわけではないけど、そんなことを思った次第。
 静謐とした前半から徐々にテンションを上げてゆき、終盤での爆発した混沌の渦のギター・ソロ。その対比こそが、この曲の本質を見事に言い当ててるとも言える。
 


4. Set The Killing Free
 シングル” Walk Out to Winter” B面が初出。メロディはいつものRoddy色だが、ややサウンドはラウドに、歌詞の内容からして、どこかClashっぽい。当時のアルバムのカラーには合わなかったのだろう。

5. Consolation Prize
 CDシングル“Good Morning Britain”のみに収録。アナログ未収録、しかもCDはアメリカのみの発売だったため、これもなかなかのレア・アイテム。
 もともとオリジナルは、デュエットしているのEdwin Collins、同時代にネオ・アコ・ムーヴメントで何かと付き合いがあった、Orange Juiceのリーダー兼ヴォーカリスト。
 このシングルがリリース当時の1990年頃、Orange Juiceは解散しており、Roddyに比べてEdwinは不遇の時期だったわけだが、数年後、彼の曲が大ヒット映画『Charlie's Angels: Full Throttle』に採用されたことによって、一気に立場は逆転する。その後、またまた大ヒット映画『Austin Powers』にも採用されることにより、Roddyにとっては手の届かないポジションにまで行ってしまった。その割に結構フットワークの軽い人で、有名無名ジャンルを問わず、いろいろなセッションに顔を出しているのが、好感が持てる。
 俺的にお気に入りなのが、イタリアのアシッド・ジャズ・ユニットGabinのシングル。

6. True Colors
 3.同様、こちらも有名なCyndi Lauperの名曲バラードのカバー。ほんと2枚目リリースまでのCyndiは曲に恵まれており、自作である”Time after Time”を筆頭に、”Girls Just Want to Have Fun”” Money Changes Everything”など、今でも風化してない曲がたくさんある。ちなみにCyndi、何故か”True Colors”収録アルバムにて、Marvinの”What’s Going On”をカバーしているのだけれど、これはまぁあまりいい出来ではなかった。
 でRoddy、この曲については非常にストレートなカバー。”Jump”と違って純粋にメロディのきれいな曲なので、あまりいじることもできなかったのだろう。
 1990年リリース『Stray』と同時リリース・シングル” The Crying Scene”のB面収録曲。
 


7. (If Paradise Is) Half Is Nice
 イギリスの音楽雑誌NME(New Musical Express)創刊40周年を記念したコンピレーション『Ruby Trax』にのみ収録されている、多分全トラック中最もレア度の高い曲。全3枚組新旧アーティストがそれぞれ、オリジナルではなくカバー曲をプレイしているのだけれど、RoddyはAmen Corner1969年のヒット曲をチョイス、オリジナル・メンバーのAndy Fairweather Lowとデュエットするという凝りよう。
 軽いポップ・ソウル風で、どこか”Dock of the Bay”を思い起こさせる曲調が切なくてRoddy向き。
 
8. We Could Send Letters (Live)
 オリジナルは『High Land, Hard Rain』収録、1.と同じくEl Mocamboでのライブ。朴訥で愛想のないプレイは、新進バンドの堅さが現れている。

9. Salvation
 6.同様、シングル”The Crying Scene”収録。この人の場合、メロディ・ラインの癖は昔からあまり変わってないのだけれど、やはりサウンドがコロコロ変わっていることによって、彩りがまるで違って聴こえる。この曲だってデビュー・アルバム辺りに入っててもおかしくない曲なのに、まったりAORっぽいアレンジがしっくりはまっている。

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10. Deep & Wide & Tall (Breakdown Mix)
 思いっきりイメチェンを図った3枚目のアルバム『Love』の先行シングルとして発売、もちろん当時隆盛の12インチに収録。UK最高79位というのは不本意だったと思われるが、アルバム自体は最高10位にチャート・インしており、トータルではそこそこの成績。
 当時はブラコンに思いっきり接近していた時期でもあるので、Roddy自身もこういったのをやりたかったのだろう。といっても、こういったダンス・ミュージックへのアプローチはこのアルバムのみ、リズムを強調したサウンドへの興味は次第に薄れ、次第にもっとコンテンポラリーな、AOR的なサウンドへと移行してゆく。

11. Bad Education
 その10.同様、B面で収録されていたのがこれ。シンセのフレーズも流用したかのように似ており、同時期の兄弟的な曲である。サウンドは完全に『Love』仕様なのだけれど、もっとバンド寄り、楽しげにアコギをかき鳴らすRoddyが、そこにいる。

12. Good Morning Britain
 元ClashのMick Jonesとのコラボ、ということで当時でも大きな話題となった、UK最高19位のヒット・ナンバー。ここではダンス・ミックスでの収録となっているのが惜しい。これは『Stray』にオリジナル収録されているので、趣旨とはズレるけど、ぜひこちらを聴いてほしい。
 


13. Walk Out To Winter (Extended Version)
 "Oblivious"同様、今でもAztec Cameraの代名詞的名曲のダンス・ミックス。延々と続くベース・ラインなど、無闇な引き延ばしがウザく感じるのだけれど、ほんとにみんな、これで踊ってたの?とまで思ってしまう。まぁ踊れないよな、きっと。

14. The Red Flag
 『Love』からのセカンド・カット”How Men Are”B面収録のトラディショナル・ソング。イギリスでは18世紀くらいから伝わる、日本で言う唱歌のようなもので、大抵のイギリス人なら耳にしたことがあるくらい、有名な曲。
 いま調べるまでずっと、Roddyのオリジナルだと思っていた。そのくらいハマっている曲だし、A面曲とも調和の取れたシングルになっている。

15. Do I Love You?
 ラストはカバー曲、こちらもなかなかのレア・アイテム。
 1960年代まで活躍したアメリカのミュージカル/映画音楽を中心に活動した作曲家Cole Porterのトリビュート・アルバム『Red Hot & Blue』に収録。有名どころではU2やSinéad O'Connor、Thompson Twinsなど、80年代に活躍したアーティストがひしめく中、堂々のラストを飾っている。
 こちらも下手なアレンジはせず、ストレートにシンプルな、メロディを活かしたサウンドを展開している。しかし14.といい、スタンダードな音楽の似合う声質の人なのだと思う。次第に凝ったサウンドからヴォーカル重視になって行くのは、必然の流れだったのだろう。



 コンセプトのないコンピレーションのため、特別最初から通して聴く必要がないのが、このアルバムの利点。好きな曲ばかり聴いてもいいし、いまいち合わない曲は飛ばしたってかまわない。俺もリリース当時は”Jump”や”True Colors”、”Good Morning Britain”や『Love』収録曲がヘビロテだったけど、今回改めて聴いてみると、14.や15.のようなスタンダード・ナンバー、それとAndy Fairweather Lowとのコラボが意外に良くって、これが再発見。年代に応じて、色々な受け止め方のできるアルバムである。

 情報を詰め込んだせいか、なんかほんと、普通のレビューっぽくなっちゃったな。
 まぁいいでしょ、たまにこんなのも。



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今までより、ちょっぴりチャラくしてみました - Aztec Camera 『Love』

love 1 1987年リリース3枚目のアルバム。UKチャートトップ10入りした、最初で最後のアルバムでもある。
 1983年、Roddy Frame (Vo,G)を中心とした、普通の5人編成バンドとして、当時メジャー・レーベルに対抗するインディー新興勢力だったラフ・トレードより、『High Land, Hard Rain』でデビュー。この頃はまだそれなり、ごく普通のギター・ポップ・バンドだった。シングル「Oblivious」(間奏ギターソロは必聴!)で脚光を浴び、「おっ、チョットそこらのバンドとは違うんじゃね?」と注目を浴びるとすぐ、メジャーWEAとワールドワイド契約、さらにネオアコ~ギター・ポップ路線を突き詰めた佳作『Knife』をリリースした。

 当時「Money For Nothing」の大ヒットによって、一気にメジャー・シーンに躍り出た Dire Straits のリーダー兼コンポーザー Mark Knopfler がプロデュースしたことも、大きな話題となった(なぜこの人選に至ったのか、今となっては経緯は不明。多分レコード会社主導で企画されたコラボだったと思う)。
 ちなみにこの辺りから、他メンバーの影は次第に薄くなってゆく。もともとほとんどの曲を自作、しかもメイン・ヴォーカルでありフロント・マンでもあった Roddy 、サウンド・メイキングにバンドの力を借りる必要はなかった。ほとんどのトラックを Mark と共に作りこんでゆき、バンド・メンバーも辛うじてクレジットはされているものの、ほぼサポート扱いだったことが、当時のメディアでも報道されている。わかりやすく言えば、 ZARD みたいなもの(これしか思い浮かばなかった)。
 
 バンドとしての Aztec Camera の活動は次第にフェード・アウトしてゆき、心機一転、 Roddy のソロ・プロジェクトとして再スタートを切った初めてのアルバムが、この『Love』である。この時代から、レコーディングやライブ毎に適時メンバーを編成する手法がスタートする。今でこそあまり珍しい形態ではなくなったけど、ここまでフレキシブルなバンド編成は、当時あまり類を見なかった。

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 それまでの Aztec Camera で思い浮かぶのが、「ネオアコ・ポップ界のギター・ヒーロー」、「青臭く繊細な文化部系バンド」という一般的なイメージである。俺個人としても、「Walk Out To Winter」を聴いていると、真冬の朝、白い息を吐きながら、静かな街中を軽快に歩く Roddy のビジュアルが思い浮かぶ。ツルンとした中性的な顔立ち、ユニセックスなビジュアルも、当時の洋楽オタク女子、今で言う腐女子らにアピールしていた。
 
 1980年代中盤から後半のブリティッシュ・シーンにて興ったムーヴメントの一つとして、ブルー・アイド・ソウル現象が挙げられる。もともとは Daryl Hall & John Oates に端を発する、アメリカが発端のムーヴメントなのだけれど、緻密なメディア・イメージ戦略とMTVパワー・プレイを最大限に活用することによって、メジャー・レーベルの思惑通り、イギリスを始めとした全世界に飛び火し、後追いするミュージシャンが続いた。
 既存のロックに"No"を突きつけた、パンク/ニュー・ウェイヴ・シーンが無残な末期を迎え、一転して先祖返りしたオーガニックなネオアコ・サウンドの流れが続いたのだけど、その路線も行き詰ってしまい、方向性を見失った彼らが目を付けたのが、ブリテッィシュの視点でブラック・ミュージックを消化(模倣)したサウンドだった。
 
 積み重なる人件費と、その他諸々の経費(主に酒・女・ドラッグなど)によって、多人数編成のバンド維持が困難になりつつあったソウル・ミュージシャン達にとって、簡易型のシンセサイザーの普及は、大きな革命に値するものだった。演奏機材の技術的向上、大量生産によるコスト・ダウンに伴う爆発的な普及化によって、多人数のホーン・セクションを雇わなくても、そこそこのクオリティのサウンドを作ることが可能となり、それが80年代 R&B の基本フォーマットとして定着した(その発端となったのが Marvin Gaye であり、機材の使い方によっては Zapp にもなった)。

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 多かれ少なかれ、アメリカへのコンプレックスを抱いていたイギリスの文化系ミュージシャンたちが、「これなら俺にもできそう!」と勘違いして、ヤマハDX7やフェアライトCMIのプリセット・サウンドを用い、プラスチック・ソウルを演じた。サクセス・ストーリーのまだ途中だった Jam を解散してまで  Style Council を結成した Paul Weller 、ソロでは Paul Young 、Dr. Robert  率いる Blow Monkeys  などが典型である。
 ただ、あまりにも時代の要請に応えすぎたあまり、そして当時の演奏機材のスペックの限界もあって、ほとんどのサウンドが、ヴォーカルを抜くと、どれを聴いても金太郎飴状態となってしまう。そうなれば行き着く先は決まっており、他アーティストとの差別化が困難なため、無理やり路線変更を強いられるか、はたまた空中分解してしまうか、どちらかである。
 結局のところ、最後に優劣を決めるのは曲そのもの、バンドやヴォーカル自体の地力の差という、当たり前の結論に落ち着くこととなる。
 そう考えると、サウンドは徹底的に作り込みながらも、ヴォーカルは線の細いままの Scritti Politti が成功を収めたのは、理に適っている(同様のコンセプトのサウンド・メイキングでありながら、さらにリズムを強調した New Order  は、更に大きな成功を手にした)。
 
 ほんの一瞬ではあったけど、時代の寵児であった Roddy  もまた、そんな尻馬に乗った一人である。メジャー・レーベルから提示されたビッグ・バジェットを最大限活用し、時代を象徴する、きらびやかなサウンド、悪く言えばチャラい路線を彼は選んだ。
 それまでは、イギリス国内でカレッジ・チャートを賑わせる程度の存在でしかなかった Roddy だったけど、同時代のアーティストの成功を横目で見て野心が湧いたのか、はたまたレコード会社の要請だったのか、有名どころの Steve Gadd (Dr)、Dan Hartman (B.Vo), Steve Jordan (Dr), Will Lee (Bass)などをそろえ、アメリカ市場を意識したゴージャスなサウンドを創出している。


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1.Deep And Wide And Tall
 一発目から80年代特有リヴァーブ・ドラムがさく裂する、さらに今回初導入したソウルフルな女性コーラスと共に、Roddy が爽やかに歌い上げる。当時のMTVでヘビロテされてもおかしくないレベルに仕上がった、Roddy 流メジャーポップ。
 
2.How Men Are
 俺が Aztec Camera に興味を持つきっかけになった曲なので、思い入れも一段と強い。
 Peter Barakan が深夜にやっていた「ポッパーズMTV」にてこのPVが流れ、そのセンチメンタリズムに魅了され、即座にファンになった。もともとセミ・アコを用いたギター・プレイに定評のあった Roddy だけど、このアルバムではサウンド・クリエイターの面を強く押し出しており、ギター・サウンドを前面に押し出した貴重な曲。
 セミ・アコによって奏でられる、間奏のソロの切なさ否たさがたまらないのだけれど、アウトロ前からかぶってくる、R&B風女性コーラスがちょっとクドい。でも好きな曲。

 

3.Everybody Is A Number One
 タイトル通り、アッパーで前向きなポップ・チューン。軽快なギター・リフと、時代を感じさせるシンセ・ブラスが特徴。間奏の女性コーラスとによるコール&レスポンスも、当時のヒット・チャートを意識したかのようなハデな作り。
 
4.More Than A Law
 ウエットなメロディとスウィートな旋律が日本人の感性にもフィットする、ネオ・アコ的なナンバー。この腹から声の出ない Roddy のヴォーカルは、当時のバンド系腐女子らのハートを狙い撃ちして、イチコロにした。
 
5.Somewhere In My Heart
 Aztec Camera としては最大のヒット曲。全英シングル・チャート3位。
 シンセ・ブラスとリヴァーブの利いたドラムで構成された曲。このアルバムのためにボイス・トレーニングを受けたのだろう、線は細いけど声が十分前に出ている。
 掻きむしるかのような、間奏のギター・ソロが絶品。

 

6.Working In A Goldmine
 UKシングル・チャート31位まで上昇した、切ないラブ・ソングっぽく聴こえる曲だけど、歌詞は金鉱で働く労働者の嘆きを歌っている、別な意味で切なくなってしまう曲。間奏のギター・ソロもまた郷愁を誘うようにドラマティック。淡々としてはいるけれど、メロディのフックも効いており、そこそこの売り上げだったことは理解できる。
 
7.One And One
 一転して、これまでの Aztec Camera の流れからは想像できないダンス・ナンバー。ファンキーなギター・カッティング、女性ヴォーカル Caroll Thompson との掛け合いは完全に気迫負けしてはいるけど、アメリカのコンテンポラリーなサウンドを背伸びして狙っていたことが想像できる。「プラスティック・ソウル」という形容がピッタリはまる曲。

8.Paradise
 80年代の典型的なフォーマットに則って作られたポップ・ソング。破綻も少ない凡庸なバラードなので、これって、別に Rodyy じゃなくてもいいんじゃね?といつも思ってしまう。Rick Springfield にでも歌ってもらった方が、こういった曲はずっとチャラくウエットに仕上げてくれるはず。
 
9.Killermont Street 
 ネオアコ風味が残ったラスト・ナンバー。後に自らのホームページのタイトルにもなっている、本人の思い入れも強いと思われる名バラード。



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 この時代のほとんどのアーティスト同様、思いっきりアメリカン・チャートを意識した音作りにもかかわらず、ビルボード最高193位という、どうにも不本意な結果に終わってしまう。この後、ほんとに神経質になったのか、まんま『Stray』というアルバムを作ったり( Clash の Mick Jones とコラボした「Good Morning Britain」がオススメ)、坂本龍一をプロデューサーに迎えてAORっぽいアルバムを作ったりと、しばらく迷走の日々が続く。
 それでも日本ではウケがよかったのか、アルバム未収録曲やライブ・ヴァージョンで構成された独自企画盤が2枚もリリースされており、Roddy 自身も温かく迎え入れてくるオーディエンスに応えて、何度も来日公演を行なっている。
 
 永遠の少年性を漂わせる、ツルンとした顔立ちと風貌、ライブでの気さくな人柄が功を奏したのだろう、名義を Roddy Frame 単独にして、地道に活動を継続、インディーズに戻ったことによって、余計なプレッシャーから解放され、自由かつマイペースな活動を続けた。リリース・ペースは長くなったけど、時々思い出したようにアルバムを制作、今年に入ってからも秀作『Seven Dials』を発表してくれた。
 今年50歳を迎え、さすがに童顔だった Roddy も寄る年波には抗えず、今回のジャケット写真では、年相応の老け込み具合が長年のファンにショックを与えた。しかし、何かを振り切ったのだろう、決してかつての名曲たちにはかなわないけど、極上のメロディを携えてシーンに帰ってきてくれたことを素直に喜びたい。




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北海道の中途半端な田舎に住む、そろそろアラフィフ男。ほぼ週1のペースで音楽ブログ更新中。節操ない聴き方と思われてるけど、自分の中では一貫してるつもり。 最近は蔵書の整理がてら、古い本を再読中。ジョン・アーヴィングから始まって、フィッツジェラルドやゾラ、モームなど、いわゆる古典の復習中。いつになったら終わることやら。新刊読めねぇや。
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