好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そんなユルいコンセプトのブログです。

Weldon Irvine

『ジャズ』でくくってしまうにはもったいない音楽 - Weldon Irvine 『Sinbad』

_SL1456_ 1943年に生まれたWeldon Irvine、10代から演奏活動に身を投じ、幾つかのバンドを渡り歩いた末、1969年Nina Simoneの音楽監督に抜擢されている。
 最近になってNinaの音楽に興味が湧いてきたので、まずはYouTubeで動画を漁ってみたりwikiで調べてみたりしたのだけど、ちょうどWeldonがサポートしていた60年代末のアメリカというのは、ケネディ暗殺やらベトナム戦争やら公民権問題やら、何かと不穏な状況だったらしい。らしいというのは、その辺がちょうど俺が生まれて間もない頃だから。いくら俺でもそんな知ったかぶりできるはずもない。
 それまでは一介の良質なジャズ・シンガーであったはずのNinaでさえも、その巨大すぎて得体のしれない空気に巻き込まれ、本業ミュージシャンを逸脱した社会参加意識に目覚めた活動を行なっている。

 これは俺も今回、たまたまNinaについて調べて初めて知ったのだけど、後に「Black Woodstock」と称された「Harlem Cultural Festival」というコンサートに彼女は参加しており、そこでライブ・パフォーマンスに加えて、自由と平和、そして不当に抑圧されている黒人らの権利奪還に向けてのメッセージを表明している。有名どころでは、B.B. King,やSly、Stevie Wonderも参加しているので、かなり大がかりに行なわれたイベントらしいけど、あまり知られていないのは、人権運動がらみゆえ、あまり触れずらい面もあったのか、それともただ単に俺が知らなかっただけなのか。
 その時代の空気を吸ってきた人間なら誰しも、多かれ少なかれ政治的な発言や行動を起こしていた時期である。ましてや真摯なアーティストであるNinaのような人物なら、よりシリアスに向き合わざるを得ない状況だったのだろう。

 Harlem Festivalについては今回の本筋ではないので省くとして、そのNinaと当時行動を共にしていたWeldonもまた空気に巻き込まれ、その行きがかり上、従来のモダン・ジャズに収まらない活動を模索するようになる。
 当時の彼女のレパートリーのほとんどが従来のスタンダード・ジャズ中心だったのに対し、Weldonが介入した時期を境にポピュラー・ソングの割合が多くなってきているのは、その表れだろう。特に1969年リリースの『To Love Somebody』、Weldonとの共作も含まれているけど、半分はBob DylanとBee Geesのカバーで占められており、2人ともジャズのカテゴリー内だけでは限界を感じ始め、これまでと違うアプローチを模索していることが窺える。

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 Ninaとの友好的なパートナーシップ解消後、Weldonはインディーズで何枚かのアルバムを製作している。この辺は非常に過渡的というか、ウォーミング・アップがてらの習作めいた作品が多い。若さゆえの勢いが余って構成に難があったり、変にフリー・ジャズをさらに崩して見せたりなど、エモーションよりはむしろ小手先のテクニックを弄したような作品が多い傾向にあり、正直商品として出せるレベルじゃないものも少なくない。
 で、そんなこんなである程度自分のスタイルを形作ってゆき、どうにかRCAと契約、そしてメジャー・デビューに至る。
 作風としては、Ninaとのコラボにて確立しつつあったポピュラー・ミュージックとジャズ・ヴォーカルとのハイブリットからさらに一歩踏み込んだもの、明快なスタンダード・ジャズ的なものではなく、どちらかといえば、当時ジャズ界ではフュージョンと並んで最先端の双璧となりつつあった、ソウル・ジャズを基調としている。とは言っても、大方のソウル・ジャズがフィジカルとダンサブルを基調とし、能動的なアクティブさを前面に出したアプローチだったのに対し、Weldonの作品は一聴してダンス寄りの作品も多いけど、あまり肉体性は重視しておらず、どちらかと言えばコンセプト・思念が先立つ、密室性・民族性の強いサウンドである。多分、低予算のせいもあったのだろう、録音自体も決して良いものではなく、篭った音質がその閉鎖性を強調している。

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 RCAでは3枚のアルバムを残したWeldonだけど、当時はセールス的にも批評家的にもそれほど目立った支持を得ることができず、契約終了後は表舞台から姿を消してしまう。その沈黙は長く続き、若手ヒップホップ・アーティストから多大なリスペクトを受けることによって、現役感が再び芽生えて活動再開に至った90年代に入るまでは、ほぼ隠遁状態だった。この時期の未発表作品がいくつか発掘されているけど、当然リリースを前提にしたモノではないので、どこかまとまりがなく、よってユーザーを引き付ける吸引力はない。ほぼ音源の中ですべてが完結しており、入り口も出口も不明な、完全に閉じられた音楽が、ここにはある。

 そんな中、このRCA時代最後の作品『Sinbad』は、彼のディスコグラフィー中では比較的人気も高く、最も開かれた作品。当時の彼のサウンドと親和性の高かった、ニュー・ソウル・ムーヴメント一派のMarvin GayeやStevie Wonderのカバーは、それほど奇をてらったマニアックさもなく、結構ベタな選曲でアレンジもストレート。知る人ぞ知る、伝説のミュージシャンを期待して聴くと、ちょっと拍子抜けしてしまうくらいである。
 これ以降の作品になると、きちんとしたコンセプトのアルバムはなく、未発表マテリアルの寄せ集めがほとんどとなってしまい、よほどコアなファンでもなければ、受け入れるのがなかなか難しくなる。ジャズというよりはむしろジャンルレス、ゴーゴーとアフロ・ビートとジャズとファンクのごった煮的サウンドが展開されており、ちょっと上級者向けになってしまう。
 リリース当時はほぼ話題に上らなかったらしいけど、今やレア・グルーヴの定番となった”I Love You”もここに収録されている。なので、これまでのクラブ系の延長線上で入ってゆけば、スムーズに受け入れられるんじゃないかと思う。とは思うけど、そういった需要って少ないよね。

 今のポジションで言えばRobert Glasperあたりをイメージしてもらえればいいんじゃないかと思う。ヒップホップ系など、異ジャンル交流との積極的交流の先鞭をつけたのはHerbie Hancockだけど、以前レビューした『Future Shock』から遡ってねじ曲がって裏小路を辿っていくと、Weldonに行き着く。ただ、Herbieほどポピュラリティが不足していたのは結局のところ、オンリーワンであることはもちろんだけれど、フォロワーや他者の追随を寄せ付けようとしない、閉じられた音楽であることが、一番大きかったんじゃないかと思う。


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1. Sinbad
 この曲に限らず、全編において当時のフュージョン系スタジオ・ミュージシャン・バンドStuffが全面バック・アップ。なので、Cornell Dupree(G)の泥臭いながらも洗練されたプレイが聴ける。どこからどう聴いてもジャズっぽさはない。いやDupreeのソロは確かにフュージョン系の音色なのだけど、それ以外はどファンク。Weldon自身が弾くシンセの音色はどこかねじ曲がっている。

2. Don't You Worry 'Bout A Thing
 ご存じStevie作であり、俺の大好きな『Innervision』収録曲。ちなみにここだけSteve Gaddがドラムを叩いている。彼の特徴通り、当然スクエアで正確なプレイなのだけど、ここでは普段と比べて一層音が引き締まった印象。
 Michael Brecker(ts)、最初のヴァ―スは、ほぼメロディをなぞるだけのプレイで凡庸だけど、中盤からのホーン・セクションでのインタープレイは、さすが。
 Weldonのリーダー・アルバムのはずなのだけど、この曲で彼の出番は控えめ。バッキングがあまりに完璧すぎるので、自分のプレイを入れる余地がなかったのだろう。

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3. What's Goin' On
 ソウル好きじゃなくても誰でも知ってる、Marvinの大名曲。ここはWeldon自身のシンプルなエレピで、ほぼメロディを辿るようにストレートにプレイしている。一聴するとスーパーのBGMっぽく聴こえる瞬間もあるけど、徐々にStuffのリズム・セクションが盛り上がりを見せることによって、またDupreeのオブリガードを交えたソロ、これがまったりしていながらクレバーなプレイを展開する。やっぱりジャズの基本がある人のソロは強い。

4. I Love You
 ジャズ・ミュージシャンがニュー・ソウル・ムーヴメントに影響されると、こんな感じのトラックが出来上がる、といった最上のサンプル。フリー・ソウル界隈では散々語られている作品なので、それほど追記することもないのだけど、コーラスの入れ方なんかはソウル系のミュージシャンとアレンジがちょっぴり違う印象。
 ヴォーカルを務めるDon Blackman、切なさとメロウさを併せ持ったシンガーで、テクニック的には目立ったところはないけど、このWeldonの一世一代の楽曲にはピッタリフィットしており、まさに彼のために作られたかのよう。
 ちなみにこのDon、実はあのジャズ・ピアニストMcCoy Tynerとは従弟の関係、若いうちからピアニストとして才能を発揮し、ParliamentやEarth, Wind & Fire、それにRoy Ayersのツアーにも参加していたという、とんでもなく煌びやかな経歴の持ち主。そりゃ場数を踏んだDonが楽曲を喰ってしまうのは当たり前。まぁそこに嫉妬せず、作品のクオリティを最優先したWeldonの度量の深さがあってこそなのだけど。



5. Do Something For Yourself
 かなりストレートなファンク・ナンバー。とてもジャズ・ミュージシャンのトラックとは思えないくらいだけど、ここはやはりStuffの見せ場である。Michael、Randy(tr)のBrecker兄弟を含むホーン・セクションも、この捻じれの少ないナンバーではイキイキとしている。
 実験的なトラックもいいけど、ミュージシャンとしてならやはりこういったセッション、せーのでプレイできるトラックもまた魅力的なのだろう。ましてや手練れの一流ミュージシャンが揃っているのだから。

6. Music Is The Key
 ボサノヴァとジャズとブルースの奇跡的なバランスでの融合。浮遊するようなコード進行は、どこにも居場所を失ったかのように音が彷徨う。ナチュラル・トーンのギターのリフとベースはどこまでも一定で、Weldonの熱く、それでいて静かなピアノとシンセを効果的に彩っている。Donのヴォーカルも、どこまでも感情を押し殺して淡々と、それでいて確実に爪痕を残している。
 すべてがうまくかみ合っているはずなのに、どこか不安定で落ち着かさなげ。
 この曲を聴くと、いつもそう思う。



7. Here's Where I Came In
 このアルバムの中ではもっともスタンダード・ジャズに寄り添った、シンプルなWeldonのソロ・ピアノによるナンバー。やはり基本がしっかりしているだけあって、普通に良質のジャズ・ナンバーとして聴くことができる。「こういった事だって、普通にできるんだぜ」とでも言いたげなのか、まぁそれか最後の大団円に繋げるためのブリッジとして入れたのか。
 単曲では数多のスタンダード・ナンバーに埋もれてしまうけど、このアルバムの構成上では、ちょうどフィットしている。

8. Gospel Feeling
 ブギウギっぽいピアノがゴスペルのバッキングっぽい。せっかくならヴォーカルを入れれば良かったのに、と思ってしまうのは単純すぎるかな?アルバムの締めとしては全然オッケーだと思うけど、大人数のコーラスを入れたかったんだろうな、と思ってしまう。
 Brecker Brothersを中心としたソウル・レビューっぽいムードも、思索的なアルバムの空気を一気に吹き払い、カラッとした西海岸の陽気を演出してくれている。




 しかしMilesもそうだけど、晩年になってからヒップホップに走るという傾向、真摯なジャズ・ミュージシャンにとっては、避けては通れない道なのだろうか?


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ジャズに入れてしまうにはあまりに惜しい、HIPなオヤジ - Weldon Irvine 『The Sisters』

folder 自信作であったはずの1976年リリース『Sinbad』のセールスが端にも棒にもかからなかったため、RCAとの契約を解除されたWeldon Irvine。このアルバムは一応Weldon名義になっているけど、事実上は『Sinbad』にも1曲ヴォーカルで参加していたDon Blackmanのソロ・デビュー・アルバムに伴うリハーサル・テイクを基に作成されたもの。なので、今回Donは3曲参加、他の曲も大体同時期にレコーディングされたものである。

 Donのアルバム自体、今ではあのアクの強いジャケットによって、レア・グルーヴ界隈ではいまだ人気のアイテムとなっているけど、残念ながら当時はそれほどヒットしなかった。当時トレンドだったメロウ・グルーヴの線を狙って制作され、レーベルからの期待値も高かったはず。目論見通りヒットすれば、ついでにWeldonもウハウハ状態、ヒットすること前提で、次作に向けてのマテリアルもよういしていたのだけど、その肝心のセールスが悪ければどうしようもない。
 結局このアルバムの大半は陽の目を見ることもなく、Donもこれ以降ソロ・アルバムを作ることはなかった。

 そんな行き場のなくなったマテリアルに少し手を入れて完成させ、他のセッションと組み合わせて、アルバム1枚分の尺に合わせたのが、この作品。基本、時期はそれほど離れていないので、セッション毎の違和感は少ない。言ってしまえばDonが歌ってるか歌ってないかなので、普通にWeldon主導のアルバムと思ってもらえればよい。
 ただ、せっかくまとめてはみたものの、当時のWeldon、『Sinbad』のセールス不振もあって、次のレーベル契約が難航したため、これを流通させる手段がなかった。なので、ほんとプレスして周囲に配っただけ、インディーズというよりはむしろテスト・プレス、私家盤としての形態でしか発表できなかった。なので、ファースト・プレスは事実上ほとんど流通しておらず、オリジナルを所持する者は、身内を除いてほとんどいない状態。オリジナルミントの状態なら、今でも結構な高値で取り引きされている。
 Weldon本人としては、皮肉な結果である。

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 後年傾倒してゆくヒップホップへの流れから、「生まれるのがちょっと早過ぎたアーティスト」と形容されることが多い人だけど、70年代ジャズ・シーンの潮流として、4つ打ちリズムの導入は、Quincy JonesやRamsey Lewisあたりのビッグ・ネームも行なっていたことなので、方向性としては間違っていない。
 どちらかといえば、純粋な音楽面よりもむしろ、マネジメントやプロモーション体制など、ビジネス面でのブレーンの不在が大きい。ファンキー・ジャズに理解の薄いRCAではなく、それこそジャズ系レーベルの枠を飛び越えて、CasablancaやTKなどのディスコ/ファンク系、または何でもアリのA&Mあたりにオファーをかけてみれば、また違った方向性があったのかもしれないのだけど。

 なので、彼が志向していた「ストリート・シーンに根ざした次の世代に向けてのジャズ・ファンク」という路線は間違っていなかった。ただ、セールス的にブレイクした他のジャズ・プレイヤーが、あくまでジャズをベースに置いて、フュージョンの流れからメロウ・サウンドを展開していたのに対し、Weldonの場合、そのメロウ路線を選択することなく、しかもジャズのフォーマットを古いと切り捨てて、ファンク路線に比重を置くようになったのが、つまずきの始まりだった。

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 もともと内向的、沈思黙考型の人であり、あまりアクティブな性格ではない。ロジックで行動する人なので、ダンス・ミュージックに必要な明快さや大衆性とは無縁な人である。今なら独りパソコンに向かってDTMという選択肢もあるのだけれど、やっぱ生まれる時代がちょっと早過ぎたのかもしれない。
 ジャズのフィールドで活動していた人なので、ファンクやディスコとの親和性は高いはずなのだけど、口ずさみやすいメロディ・ラインや、自然と体が動いてしまうリズム・パターンからは遠い所で鳴っている音である。そこら辺がQuincyやHerbie Hancockらとの大きな違いである。

 関係者のインタビュー記事なんかを読んでみると、生前はなかなかめんどくさい人だったらしく、しかも年を経るごとに偏屈になってゆき、バンド内での衝突も茶飯事だったとのこと。なので、新バンドやプロジェクトを作っては壊しの繰り返しで、次第に業界からスポイルされていったのは、まぁ自分で蒔いた種であるからして、仕方のないことではある。
 もし彼に現在のスペックのパソコンを与えたとしたら―。
 ずっと孤独なDTM作業を行なっているだろうか?
 最初は物珍しさもあって始終家にこもってトラックを作っているだろうけど、すぐに行き詰まって旧知のプレイヤーを呼んじゃうんじゃないかと思う。そしてまた、あれこれ口出しダメ出しを連発し、次第に仲間は離れてゆく。そしてまた、独り―。

 ヤマアラシのジレンマ。
 他者との関わりを望んではいるのだけれど、身体中から伸びるその針先は鋭く、近づこうとしても、充分に接することはできない。どれだけコミュニケーションを渇望しても、その願いが叶うことはない。互いが傷つけあうことになるだけだ。
 新世代のアーティストQ-Tipや Mos Defに再発見されるまで、Weldonの葛藤は続く。


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1. The Sisters
 Marcus Millerのグルーヴィング・ベースがカッコいい、かなりボトムの強いファンク・ナンバー。Tom Browneの高らかに鳴り響くトランペットが印象的。ほんの2分足らずなのが、何とも惜しい。もっと広げたら、いい感じのグルーヴ感が出たのに。
 ここでのWeldonはプレイヤーというより、コンポーザー的なポジション。なので、特筆するようなプレイはなし。やはりここは、当時はまだ無名だった2人のインタープレイが聴きどころ。



2. Nursery Rhyme Song
 かなりパワフルなレディ・ダイナマイトToni Smithと、器用に様々なスタイルのヴォーカルをこなすDonとのデュエット・ナンバー。この曲は5分程度と、このアルバムの中では長尺な方だけど、何しろ曲調がコロコロ変わる。スウィート・ソウルもあればラップもあり、マイアミ・ソウルっぽいコーラスやブギウギ・ピアノまで飛び出す、あらゆるアイディアを思いつきでぶち込みまくったのが、この曲。
 贅沢な作りと言えばそうだけど、もうちょっと整理して3曲ぐらいにアイディアを散りばめた方がよかったんじゃないかと思う。いやスゴクいいんだけど、ちょっともったいない。

3. Think I’ll Stay A While
 次はToniのソロ・ヴォーカル。キャッチーなシカゴ・ソウルといった趣きで、まぁこのアルバム全体に言えることだけど、録音さえ良ければもっと聴きやすくなったはず。予算もなかったので仕方ないか。
 その後、ソロでの音源はあまりリリースされていないけど、あのT.M. Stevensのアルバムに参加したりなど、結構幅広い活動を行なっている人である。かなりアクの強いキャラクターのため、プレイヤーの方もエゴが強くないとバランス的に合わず、どうしてもフィールドが限られてしまうけど、地道に頑張ってほしい。



4. Misty Dawn
 
5. Morning Sunrise
 レア・グルーヴ界隈では有名で、俺もWeldonに出会う前から、ミックス・テープで聴いた覚えがある。再びDonのヴォーカルで、メロウでありながら、不思議なコード進行のナンバー。その辺がジャズ的なのかどうかは、よく知らない。



6. Shopping

7. It’s Funky
 人力ヒップホップにゴーゴーをミックスした、多分Weldonが一番やりたかった音だったんじゃないかと思われる。まぁ真面目な人なので、そのまんまファンキーなナンバー。
 真面目にファンキーを考察しているため、リズムがすごくカッチリしている。ユレとかタメなど、不確定要素をできるだけ排除している、ある意味DTMの先駆けとも言えるトラック。

8. Sexy Eyes
 これまでのテイストと急変し、バッキバキのスラップ・ベースがサウンドにメリハリをつける。これまで大味なシャウター型のヴォーカルを披露していたToniだけど、ここはタイトル通り、セクシーさを強調、むしろこういった路線の方があってるんじゃないかと思う。Weldon自身の鍵盤系もファンキーさを増しており、俺的にはこのアルバムの中ではベスト・トラック。後年のアシッド・ジャズにも通ずるセンスの良さ。



9. Egypt

10. Heard It All Before
 同時代のフュージョンを意識した、このアルバムの中ではオーソドックスなインスト・ナンバー。これまで歌伴的ポジションが多かったWeldon、ここでは結構出ずっぱりでピアノを叩いている。この辺はプレイヤビリティを前面に出しており、当時はまだ若手のだったドラマーOmar Hakimをグイグイリードしている。こうしたスタンダードに近い曲もやれることが、Weldonのアーティストとしての幅である。

11. Blue In Green
 ファンキーなリズムに合わせ、メロウなリードを奏でるホーン・セクション。こういったスタイルはアシッド・ジャズの基本フォーマットであり、リズム・セクションだけ聴いてるとIncognitoに通ずるものが多い。
 ジャズ/フュージョン・スタイルの演奏フォーマットに則って、サックス、トランペットとソロを展開させており、この辺のスタイルでアルバム1枚分まとめて作っておけば、アプローチ的にもわかりやすかったのだけど。まぁこれじゃ満足しなかったんだろうな。
 4分過ぎから始まるWeldonのソロ・プレイ。ベタなフレーズが炸裂してるのだけど、この辺が俺は好き。頭デッカチだけじゃないところも、人間らしくてよい。




 ちなみにこのアルバム、現在日本では流通しておらず、同時期リリースの『And The Kats』との抱き合わせでのみ入手可能。近年出たばかりなので、入手しやすくなってはいるのだけど、不満としてはひとつ、キラー・チューンともなり得た8.が収録時間の関係上、オミットされている。多分、この『And The Kats』が好評だったら、単独発売プラス紙ジャケの流れになると思うのだけど。
 あり得ない話ではない。こうしたジャンルにおいて、日本はかなり最先端である。まぁ流通枚数は少ないだろうけどね。


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北海道の中途半端な田舎に住む、そろそろアラフィフ男。ほぼ週1のペースで音楽ブログ更新中。節操ない聴き方と思われてるけど、自分の中では一貫してるつもり。 最近は蔵書の整理がてら、古い本を再読中。ジョン・アーヴィングから始まって、フィッツジェラルドやゾラ、モームなど、いわゆる古典の復習中。いつになったら終わることやら。新刊読めねぇや。
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