Beautiful South

好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そういったゆるいコンセプトのブログです。

女性シンガーにとっては、罰ゲームか羞恥プレイ。 - Beautiful South 『Blue is the Colour』

MI0001805058 1996年リリース、90年代UKでの大衆バンド路線を確立した5枚目のオリジナル・アルバム。80年代ネオアコ=ポップの潮流として位置付けられていた前作『Miaow』は、叙情性とペシミズムのカクテル・シェイクがライト・ユーザー層も取り込んで、ダブル・プラチナム獲得に至ったけれど、キャリアの中ではまだ序章。一家に一枚に行き渡るまで裾野を広げたのは、その次の初期シングル・コンピ『Carry On up the Charts』から。予期せぬお茶の間路線へのシフトチェンジによって、その後はサウンドもよりポップ性を強め、なんと5枚のプラチナム獲得となったのが、このアルバム。
 UKでは、売り上げ30万枚でプラチナム認定となるので、単純計算で言えば「かける」5で150万枚、これを日本に置き換えると、人口比率では日本がほぼ倍となるので、ざっくり300万枚のセールス効果、といった具合。同時代のGLAYやglobeに匹敵する、と言えばわかりやすいのかな。いや、伝わりづらいよな。

 だからと言って、そんな英国での持てはやされ振りが日本で紹介されたわけではなく、せいぜいロキノンやクロスビートあたりに、インタビューやディスク・レビューが掲載される程度だった、というのが、リアルタイムで追っかけてた俺の印象である。
 扱いとしても、せいぜい半ページか4分の1ページくらいで、極東のファンは不遇を囲っていたのだった。まぁでも考えてみりゃ、サエないオッさんバンドより、ブリットポップやTake Thatあたりに力を入れちゃうのは、商売的に仕方のないことで。
 これは日本のメディアの取り上げ方が大きく影響しているのだけれど、Beautiful South といえば、前身のHousemartins繋がりで語られることが多く、いまだにネオアコの範疇にカテゴライズされたままでいる。いや確かに間違ってないし、実際、来日したのも2枚目の『Choke』リリースの頃なので、アーティスト・イメージがその時代のままで止まっちゃってるのは致し方ないのだけど、も少し中期以降に目を向けてもいいんじゃない?と俺は言いたいのだ。
 再発されるアイテムといえば、ネオアコのくくりでのデビュー・アルバム、またはせいぜい『Choke』までだし、それ以降のアルバムは置き去りにされている。どのアルバムも、ほぼ初回リリース以降、国内盤は流通していないはずである。UKではむしろ、圧倒的な支持を集めているのは中期以降なのに。なんだこの温度差は。
 お茶の間路線を「迎合」と受け止めて黙殺する、日本の洋楽メディアのスノッブ路線って、昔から変わらないよな。
 ま、UKも似たようなもんだけど。

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 大ブレイクのきっかけとなった『Carry On up the Charts』がリリースされた経緯というのは、よくあるレーベル・サイドの営業的要請ももちろんあるけど、それよりもむしろ、女性ヴォーカルの変更という、言ってしまえば社内人事に依るところが大きい。
 デビュー当初から在籍していたBriana Corriganがバンドを去ることになり、キャリアの区切りとして、ベスト・アルバムの企画が立ち上げられた。もともとは真っ当なポップ・シンガーを目指していたBriana、メジャーで活動できることに不満はなかったけど、自身とバンドが目指していた方向性のズレが広がってしまったため、友好的なパートナーシップ解消となる。
 ただ実際のところは、「こんなエログロな歌詞もう歌いたくないわ」とバックレちゃったのが真相らしい。そりゃ、メロディは流暢なポップなのに、猟奇殺人や資本主義を皮肉った内容ばかり歌わされてりゃ、次第に病んでくるのも仕方がないわけで。

 で、2代目ヴォーカルとして加入したのが、その後の全盛期を支えることになるJacqui Abbott。「クラブで歌っていたのを耳にしたPaul Heaton がその声に惚れ込んだ」という、何だか真っ当すぎて逆に怪しく感じられる経緯だけど、取り敢えず当初はお試し期間として、加入するに至る。
 どちらかと言えば、見た目も中身も骨太なJacquiであったため、ビジュアル的な貢献度は薄かったけれど、まぁそれでも紅一点ではある。むさ苦しい労働者階級然とした中年オッさんバンドとしては、加入してくれるだけ、そして「若い」というだけで充分だった。
 当時のトレンドであった、OasisやBlurを始めとするブリット・ポップ勢と比べ、相当ねじれた世界観を持つ彼らの歌詞を受け入れてくれる女性シンガーは限られていた。もう歌ってくれるだけで充分なはずなのに、基本もしっかりしているし多彩な表現力も持ち合わせている。
 一体これ以上、何を求めろというのか?フェミニンなルックスやファッションまで求めるのは、それこそ虫が良すぎるというもので。

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 取り敢えず、互いの適性・力量を探るため、ちょっと毒を抑えて制作されたのが『Miaow』だったとすると、そのリミッターを外しちゃったのが『Blue is the Colour』である。ミーティングを重ねてお互い手の内も見えてきて、「NGワードはなさそうだな」というソングライター・チームの判断のもと、一時抑えていた皮肉も自虐もエログロも、一気に放出した。だって、冒頭からいきなり近親相姦がテーマだもの。よくオッケーしたよな、Jacquiもレコード会社も。

 どんなエグいテーマでも易々と歌いこなしてしまうJacquiのヴォーカル・スタイルを受け、調子に乗ったソングライター・チームはさらに歌詞の過激さ・エキセントリックさをエスカレートさせてゆく。それに伴って、彼らのサウンド・コンセプトもまた微妙に変化してゆく。
 過激なテーマを過激なサウンドで飾るのではなく、様々な悪意を濃縮還元した言葉・ストーリーを、幅広い年齢層に対応したコンテンポラリー・サウンドでコーティングする。考え方としては、ハードコア・パンクとの対局にあったネオアコと同じロジックである。
 初期のBriana在籍時は、Housemartinsという前置きがあったため、その延長線上で「ちょっとポップなネオアコ・サウンド」というコンセプトだったのが、キャリアを重ねるにつれ、ネオアコ色は後退していった。そしてJacqui加入を機に、バンド・サウンドにこだわらないサウンド・アプローチを志向するようになる。曲によってはほぼストリングスだけで構成された曲もあったりして、バンドのアイデンティティが問われたりもする。

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 普通そうなると、バンドの存在意義が薄くなりがちだけど、実際のところはBeautiful South、もともとそういった特性を持つバンドである。一般的なロック/ポップ・バンドと比べると、アーティスティックなエゴがほとんどない人たちの集まりである。
 デビュー当初から、Paul Heaton & Dave Hemingwayのソングライター・チームがイニシアチヴを握っており、その彼らプラス歴代女性ヴォーカルとのアンサンブルがセールス・ポイントとなっている。なので、バンドの存在感はあんまりない。最初から存在感は薄かったし、それは解散に至るまで変わることはなかった。
 よほどのコアなファンであっても、演奏陣のフルネームを言える者がほぼ皆無であることも、このバンドの特殊性を象徴している。それならいっそ、ユニット形態にしちゃってスタジオ・ミュージシャンを使った方が仕上がりも良いし効率も良さそうだけど、誰もそんなことは思わなかったようである。ライブが好きな人たちなので、演奏陣がいなきゃいないで困ってしまうのだ。まぁみんな気が合うんだな。
 いわゆる名プレイヤーがいるわけでもなければ、「白熱のギターソロ」なんてクライマックスがあるわけでもない。「盤石のリズム・セクション」やら「ツボを押さえたインタープレイ」やら、そういったバンド・マジック的なストーリーにも、あんまり興味はなさそうである。彼らは常に淡々と、自身のパートを確実に演奏するだけだ。


Blue Is the Colour
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Beautiful South
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1. Don't Marry Her
 本文でも書いた、おそらく彼らの作品の中で最も過激なテーマであり、そして同時に最も抒情的かつポップ性の強いナンバー。前途有望な、加入したばかりの女性シンガーに「Fuck Me」と歌わせてしまうHeaton。それは屈折した愛情表現だったのか、それとも純粋にアーティスティックな発露に基づく結果だったのか。
 もちろん英国人のことだから、そんなギャップを平然と受け止め、2枚目のシングルとしてUK最高8位。やっぱ英国人、こんな人ばっかり。



2. Little Blue
 こちらも抒情的かつ爽やかなアコースティック・ポップだけど、Google 翻訳で「Striding Snail = ストライドカタツムリ」という言葉が出てきたので、これまた画像検索で調べてみると…、見たことを後悔してしまう、グロい巨大カタツムリの画像だった。あまりにサウンドとそぐわぬ言葉の選び方こそ、彼ら英国人の特性なのだろう。

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3. Mirror
 Jacquiによるソロ・ナンバー。ソフトな発音の彼女が歌うと英語特有の角が取れて、時にフランス語っぽく聴こえてしまう瞬間がある。ラス前にHeatonがボソボソモノローグを付け加えているのは、保護者的な役回りか。

4. Blackbird on the Wire
 アルバムから3枚目のシングルカット、UK最高23位。以前にもどこかで書いたけど、彼らのバラードの中では3本の指に入る名作だと思うのだけど、それほど人気が集中しているわけでもない。やっぱ初期楽曲に集中しちゃうんだよな、こういうのって。
 Paul McCartneyが歌ったBlackbirdは前向きの姿勢だったけど、ここでのBlackbirdは陰鬱と自虐が交差している。でもそれが英国人のひとつの側面なんだよな。同じイギリスなのに、どうしてこんなに違うのか。



5. The Sound of North America
 Elvis PresleyやFrank Sinatraなど、かつての黄金時代アメリカのポップ・イコンを思いつく限り書き連ね、そこに英国人視点を継ぎ足したポップ・バラード。もちろん彼らのことなので、聴く限りでは全然アメリカっぽくない。
 Paddy McAloonはこの時代のアメリカへの憧憬を包み隠さず賛美して、珠玉の楽曲を作った。そこにあるのは無為の姿勢であり、皮肉や憐憫なんてものはない。彼らとPaddyの違い、それは神への向き合い方、リスペクトの姿勢だ。

6. Have Fun
 こちらもまったり緩やかなポップ・バラード。なぜか時々DylanっぽくなるHeatonと、堅実なスタイルを崩さないJacquiとのデュエットで構成されてる。決して大ヒットする性質のサウンドではないけれど、ちょっと疲れた時なんかに聴くのもおすすめ。

7. Liars' Bar
 ブルース・タッチにまとめられた飲んだくれの歌。ブルース・スケールを使っているのに、ヴォーカルだってまるでTom Waitsそっくりだというのに、全然黒っぽさを感じさせない。そこがまた、このバンドの特性をくっきりと浮かび上がらせている。

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8. Rotterdam (or Anywhere)
 ギターのリフが印象的な、Jasquiによる軽快なポップ・バラード。先行シングルとしてもリリースされ、UK最高5位をマーク。ストリングスと小技としてのメロトロンが郷愁を誘う演出。「あなたの中のロッテルダムはどこにでもある」という、何だかよくわからない内容だけど、下手なツッコミも霞んでしまうほど、メロディ・ラインが流麗。



9. Foundations
 この時期の彼らにしては珍しく、ホーン・セクションをフィーチャーしたグル―ヴィ・チューン。徹底的に漂白したモータウン・ナンバーといった趣きで、まぁこういったのもアリか、といった仕上がり。

10. Artificial Flowers
 彼らにしては皮肉も自己憐憫もないナンバーなので、逆に同化しちゃったのかと思ってたら、古いカバー曲だった。1952年Bobby Darrinによるベタなバラード。オールディーズの人なので、俺も名前くらいしか聞いたことないしYouTubeにも転がってないしで、比較できなかった。まぁこういった直球のメロウもアリか。

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11. One God
 各方面でアンモラルをまき散らしている彼らがストレートに神を題材として取り上げるなんて、と思ってたら「2人いるかもしれない、いやもしかしたら3人かな?」って、やっぱりいつもの彼らだった。たまには「君こそ僕の神よ」とか、クサく歌い上げてみろよとまで思ってしまう。

12. Alone
 ラストは彼らに不似合いなブルース。もしかしてこの時期、アメリカ進出でも狙っていたのかな。いやないか、彼らの言葉のニュアンスを、アメリカ人が理解できるとは思えないし。




Carry On Up The Charts: The Best Of The Beautiful South
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大英帝国を象徴する小市民ポップ、最後まで変わらず - Beautiful South 『Superbi』

folder そう、Beautiful Southが解散して、もう10年の月日が経っていたのだった。俺も年を取るわけだ。

 「音楽性の類似のため、解散する」。
 そんな意味不明のコメントを残してバンドの歴史に終止符を打った彼ら、2006年にリリースされたラスト・アルバム『Superbi』は、UK最高6 位にチャートインした。最盛期にはチャート1位は当たり前、ゴールドやプラチナ・ディスクも何枚も獲得していたのにもかかわらず、特にソニー移籍後は尻つぼみの成績で終わってしまった。
 当時のソニーUKといえば Franz Ferdinandが稼ぎ頭であり、90年代のJポップをそのまんま移植したようなバンド・サウンドが幅を利かせていた。なので、サウンド的にインパクトの薄い彼らにとって、メジャーのソニーは場違い感が強かった。
 キャッチーなメロディと音圧の高いサウンドによってティーンエイジャーの耳目を惹きつけるソニー戦略の中、くたびれた中年そのまんまのビジュアルの彼らを売り込むノウハウを持つスタッフはいなかった。
 何がどうなってソニーへ移籍することになったのか、そして何をどう間違えてソニーが彼らと契約するに至ったのか、その辺の真相は不明だけど、双方にとって不完全燃焼的な結末となってしまったのは不幸である。まぁソニー以外だったらどうだったかと言えば、それもちょっと微妙だけど。

 そんな彼らの最盛期と言えるのが、1996年『Blue is the Color』リリースの頃。UKでは5枚のプラチナムを獲得、90年代UKヒット曲コンピでは定番となっている彼らの代表曲「Rotterdam」「Don't Marry Her」もそれぞれシングル・チャートで健闘し、シルバー・ディスクを獲得している。いま思えば、時代遅れのネオアコ・タッチの地味な曲が普通にトップ10にチャートインしていたのだから、英国人の寛容性と屈折具合が窺える。
 この時期の彼らの売れ方はお茶の間レベルに深く食い込んでおり、一家に1枚、ほぼ誰かしらアルバムを持っている状態で、日本では想像もつかないほどのメジャー待遇だった。イギリスで言えばQueenかElton John、日本で言えばサザンのポジションと考えればわかりやすい。だからといって、崇め奉るほどのカリスマ性はない人たちなので、扱いとしては軽いものだったけど。
 そんなメジャー感を謳歌していた彼らも、96年をピークとしてセールスは緩やかに下降してゆき、もともと地味だったビジュアルもさらに磨きがかかり、どんどんむさ苦しくなってゆく。華がない普通の人たちの集まりなのだけど、どこで浪費していたのか、また誰が搾取していたのか、その辺は謎である。

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 彼らの場合、まぁ前者2組もそうなのだけど、共通しているのは覚えやすい歌メロとわかりやすいサビ、それほど凝らないコード進行の妙がある。単純な組み合わせにこそ黄金パターンがあることを理解している、そんな楽曲が多い。ただ甘い聴きざわりだけでなく、そこにスパイスとして辛辣で皮肉な歌詞を乗せて歌い上げることが、大方の英国人のツボにはまった。
 ただ、QueenはFreddie亡き後もGeorge MichaelやPaul Rogersを迎えて衆目を引いたり、残されたブレーンの緻密な戦略によって、話題が途切れないよう配慮されている。Eltonもまた、旬のアーティストとデュエットしたり同性婚などのゴシップ的な話題を提供したりなど、何かと存在感の保持に気を配っている。いや、この人の場合、やりたいようにやってるだけか。
 対してBeautiful South。
 彼らの場合、ニュー・アイテムのリリース以外の話題は皆無と言ってよいくらい、ほんと何もない。ただコンスタントに、いつもと同じ変わらぬクオリティの作品を提供し続けるだけ。それは真摯なアーティストとして、当然の行動ではあるのだけれど、エンタテインメント的な視点で見れば、あまりに起伏に乏しい活動状況のため、追いかけていても面白みがない。いつもと同じ顔でそこにいるのだから、追いかける必要も特別フィーチャーする必要もない。インタビューしても面白くなさそうだしね。
 なので、音楽誌以外で取り上げられることはもともと少なかったのだけど、その音楽誌からも次第に距離を置かれてしまったことが、バンドの終息を速めてしまったのかもしれない。

 QueenにはFreddie Mercuryという絶対的な、ビジュアル的にカリカチュアライズしやすいカリスマがいたこと、またBryan MayやJohn Taylorなど、70年代少女漫画的美形キャラを揃えていたこともあって、各メンバーのキャラクターが明確になっていた。しかもそんな濃いキャラ陣の中で、「無個性」という最強の個性を発揮していたJohn Deaconというオマケもつけて。
 Eltonの場合、決してルックスに秀でていたわけではなかったけれど、当時としては絶対口外できなかったホモセクシャルというコンプレックスの反動からか、ド派手なステージ・コスチュームに身を包み、エンタテインメントに徹したライブ・パフォーマンスを披露した。辛辣な言動でたびたびゴシップ欄の常連となったけれど、それに反して彼の指先から生み出されるメロディは世界中のファンを魅了し、多くの資産と名声、それに醜聞と笑えるエピソードを残した。

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 対してBeautiful South。よほどのファンでも、Paul Heaton以外のメンバーの名前、メンバー数、歴代女性ヴォーカリストのラインナップなどなど、それらを正確に言えるファンがどれだけいるか。ごめん、俺も全部知らないわ。彼らがどんな生活をしているのか生い立ちなのか、あまり記事でもみたことがない。ていうか、あまりに普通っぽい人たちなので、そこまで突っ込んだ質問をするインタビュアーもいないのだろう。前者2組と違って、いまでも普通に素顔でパブで飲んだくれてそうだし。多分、誰も気づかないんだろうな。
 彼らのアルバムは常に高いクオリティの楽曲を揃えているのだけど、特別トータル・コンセプトに沿った作りではなく、どのアルバムも各曲が独立した小品集的な構成になっている。なので、アルバムごとの特徴が薄く、どの時期のものを聴いてもそれほど変わり映えしないのが、ある意味特徴でもある。女性ヴォーカル以外はほぼメンバーは不動、ドラスティックなサウンドの変遷もほぼ皆無のため、正直、どのアルバムを聴いても変わり映えしない。
『Miaow』と『Quench』、どっちが先にリリースされたのか、またそれぞれの収録シングル曲を挙げよ、というカルトQクイズが主題されたとして、正確に答えられるコア・ユーザーが世界中にどれだけいるだろうか?俺?俺はムリ、だっていま適当に出題してみただけだもん。

 ある意味、それは純音楽的主義を貫いている逆説的な証明なのかもしれない。
 アーティストが亡くなっても、音楽は残る。
 キャラクターで聴かせるのではなく、予備知識なしの純粋な音楽的クオリティだけでここまで這い上がってきたのが彼らなのだ。がむしゃらに這い上がってきたというよりは、地道にコツコツ活動してきたら、いつの間にかここまで上がってきちゃった、という感じが強いのだけど、それだけのポテンシャルを有してる集団であることは確かである。
 でも歴史に残るのは、前者2組だろうなやっぱ。この先、「Bohemian Rhapsody」や「Your Song」が歴史に埋もれるとは考えづらいし。

The Beautiful South_ Sony Music Distribution

 21世紀に入ってからのBeautiful South はチャート的にも、そしてバンド内のテンション的にも下降の一途を辿っていた。全盛期をけん引した2代目女性ヴォーカリストJacqui Abbott が脱退、新たにAlison Wheelerを補充してバンドの維持に努めたのだけど、やはり一度落ちたテンションを取り戻すことはできなかった。
 同じ曲調であるはずなのに、なんか違う。
 彼らが変わったわけではない。聴き手の意識がすっかり変わってしまったのだ。
 
 彼らがデビューしてから解散するまで、ほぼ15年の間だったけど、その間、イギリスでは様々なムーヴメントが巻き起こっていた。グラウンド・ビートからブリット・ポップ、ミクスチャー、シューゲイザー、グランジ、ドラムンベース、エレクトロニカ、ビッグ・ビートなどなど、90年代UKにそれほど詳しくない俺が、パッと思いついただけでこれだけあったので、細分化するとそりゃ膨大な量になる。
 なるのだけれど、そのブームのどれにも関わらず、またコミットすることなく活動してきたのが彼らである。もともとは前進バンドHousemartinsの流れから、80年代ネオアコ・ムーヴメントの追い風に乗ってデビューした彼らだったけど、その後は時流に流されることもなく、独自のオーソドックスなポップ路線を貫いている。他のバンドとのコラボや対バンもほとんどなく、せいぜい相手にしてくれるのは、盟友 Norman Cookくらい。起死回生のコラボだったはずなのに、イマイチ消化不良に終わってしまったけど。
 曲調は極めてオーソドックスで流麗なメロディ、だけど言ってることはエログロナンセンスの極み、アブノーマルな内容なので、日本だったらイロモノ扱いされているはずである。ジャンルは違うけど、面影ラッキーホール(いまはOnly Love Hurtsと改名して活動中)がそのポジションに近いんじゃないかと思われる。
 想像してみてほしい。一家団欒の金曜夜8時、Mステで「あんなに反対してたお義父さんにビールをつがれ」を高らかに歌い上げる彼らの姿を。他にもグロい曲はあるのだけれど、恥ずかしくてここには書けない。あとは各自調べてみて。
 ニュアンス的に、こんな認識だと思われる。

 少なくとも7人に1人、ほぼどの家庭にも彼らのベスト・アルバムがあるくらいだから、ごく普通の英国人が彼らを受け入れる土壌はあるのだろう。
 面影ラッキーホールをCDプレイヤーにセットして家族で談笑するまでに、日本はまだどれほどの暗黒と抑圧を受け入れなければならないのか。
 階級闘争のない日本人にとって、英国人のどす黒い深淵は永遠の謎である。謎のままだろうな、きっと。


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1. The Rose of My Cologne
 全然ブルースっぽくないドブロ・ギター、まぁこれは何となく「らしく」っぽく聴こえるバンジョーが、新機軸といえば新機軸。まぁ歌に入っちゃえばいつもの彼らなのだけど。
 カントリー・テイストあふれるのどかなポップ・ソングの体裁を取っているけど、歌われてる中身はいつも通り、三文ゴシップ誌も裸足で逃げ出すゲスの極みな世界。アル中、あばずれ、チンピラ、痴話喧嘩、駆け落ち、もう何でもあり。そんな現実を癒してくれるのが、「バラの香り」と称される謎の女。
 救いのない結末には皮肉もペーソスもなく、ただただ陰惨。第2弾シングルとしてリリースされてるけど、さすがの彼らも99位が最高だった。



2. Manchester
 で、これが先行リード・シングルとしてリリースされ、UK最高41位。全盛期のPaul McCartneyを彷彿とさせるベース・ライン、それと歌声。前曲同様、アコースティック色が強い。サビもキャッチーだし売れそうなものだけど。
 晴れ間の見えることの少ない、そんな英国のよどんだ天候を象徴するサエない都市、それがManhester。サッカー選手にでもならなければ、一生階級制度の奴隷として張り付いていなければならない、そんな取り柄のない小都市への逆説的な賛辞。ひねってるよなぁ、英国人。



3. There Is Song
 そんな英国にもいいところはある。前向きなラブ・ソング、それに人生賛歌。皮肉もなく、真っ当でストレートな賛辞と憧れとが満ちあふれた、もうちょっとウェットに振れればElton Johnの後を継ぐ者として、いくらか生き永らえたかもしれない。
 でも、こんな流麗な曲サビの最後に「Frog」なんて入れてしまうあたりが、エンタメになり切れなかった男たちの悲劇である。

4. The Cat Loves the Mouse
 これまでのパターンでもよくあった、女性ヴォーカルとの掛け合いが絶妙なロッカバラード。Paul Heatonもこれまでにないエモーショナルなヴォーカルを披露している。ハスキー・ヴォイスが特徴のAlison Wheeler、本来ならアクが強すぎてデュエットには向かない人である。だけどそこはベテランの演奏陣プラスHeaton、うまく彼女の歌声を最大限に活かしたアレンジで組み立てている。 

5. The Next Verse
 ここまで聴いてもらえればわかるのだけど、今回の彼らはかなりアメリカ寄りのサウンドで統一している。と言っても、アメリカで売れようだなんて下心ではなく、単にちょっと新味も試してみたかったから、という感触が強い。まぁこの期に及んで大ヒットを狙うはずもないな。
 彼らにしては珍しいブルース・ナンバー。さっきも書いたように、ちっともブルース特有の泥臭さは感じられない。まぁこのフェイク感を楽しむのが興。

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6. When Romance Is Dead
 ここでAlisonとリードを分けるのは、なんとギターのDavid Rotheray。彼が歌うのは初めてじゃないかと思われる。ていうか、何で?
 「ロマンスが死に絶えた時」というタイトルを逆説的に捉えるなら、まだ話は分かるのだけれど、歌詞は陰鬱としてそのまんま。それを情感たっぷりに歌い上げる2人。何がしたいんだ?

7. Meanwhile
 3分程度の小品の中にめちゃめちゃ言葉が詰め込まれているのだけれど、冒頭から離婚の相談を持ち掛ける三文メロドラマ。2ちゃんの書き込みみたいな陳腐なストーリーを練り上げられたメロディに乗せて歌うことが、ゴシップ誌とTV以外に関心のない層には受けたのだろうけど、もはや現実はフィクションを追い越していた。フィクションだけじゃ、もう満たされないのだ。

8. Space
 Monty Pythonのサウンドトラックに通ずるものがある、ロックからは遠く離れたサウンドを持ったナンバー。BPMの早い8ビートは心地よいけど、歌われてる内容は相変わらず屈折しまくり。

_SCLZZZZZZZ_

9. Bed of Nails
 アコギをメインに出したスウィートなデュエット・バラード。

 もし他のすべてがダメになったら
 このバラのベッドを 
 針のむしろに取り替えてあげるよ

 でも、歌ってることはこんな内容。ブレないよね。

10. Never Lost a Chicken to a Fox
 『Miaow』期を彷彿とさせる、軽快なアップテンポ・ナンバー。以前と違ってカントリー・タッチが入っているのは新機軸のあらわれ。と言ってもスパイス程度で根っこは変わらないけど。
 心なしか、ヴォーカル・スタイルもDylanっぽくラフなタッチになっている。アコースティックでアップテンポになると、みんなDylanっぽくなってしまう。そう感じるのは俺だけ?

11. From Now On
 ずっと聴いてると、カントリー・テイストというのがまだるっこしく聴こえてしまう。アルバムも終盤になると、楽曲自体の良さは変わらないのだけど、冗漫に聴こえてしまう。
 彼らと同じく、古き良きアメリカへの憧憬を表明しているPaddy McAloonは、その世界観を具現化するため、録音テクニックを駆使した音像で表現していたけど、ここではそういった技を使った形跡はない。ただいつものBeautiful Southがカントリーっぽくやってみただけに過ぎないのだ。ソングライティング的にはPaddyとヒケを取らないHeaton、でもサウンド・メイキングに無頓着だったのが、その後の命運を分けることになる。

12. Tears
 ラストは正攻法、直球ストレートなバラード。こういったちゃんとした曲も書けるのだ。『Blue is the Color』収録「Artifical Flowers」と同じ構造のベタなメロディは、大団円としては相応しいのかもしれない。この時点でバンドが集結を迎えると思ってたのかは分かりかねるけど。




 現状、Beautiful Southは解散状態にある、と冒頭に書いたけど、正確にはHeatonとJacqui Abbott以外のメンバーは、「The New Beautiful South」と改名して活動継続中、今も英国を中心に、ていうかほぼ英国だけでツアー活動を展開中である。それほど大きな会場でプレイできているわけではないけど、各地でお呼びがかかるということは、それなりに盛況なのだろう。
 HeatonとAbbottも何年かに一度、デュエット・アルバムをリリースしたりしているので、互いにマイペースでいられるのは、結果的には良かったんじゃないかと思われる。
 何かの弾みでオリメンで再結成しようものなら…、まぁあんまり盛り上がらないか。多分、誰が誰だかわからないだろうし。



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ある意味ブレないポップ職人たちの定食メニュー - Beautiful South 『Choke』

choke-50b115e9c67ac 1990年にリリースされた2枚目のアルバムで、当時の全英チャートでは最高2位。3曲のスマッシュ・ヒット・シングルを収録しており、デビュー・アルバムに続いてのヒット・アルバムになった。
 この年のUKシングル年間チャートを見てみると、何故か1位がElton John、かと思えばSinead O'Connorが、あのPrince作”Nothing Compare to U”で上位にランク・インしており、以下有名なところではMadonna “Vogue”、キワモノ枠として、あのインチキ・ラッパーVanilla Iceが続く。そんなカオスなラインナップの中、本アルバム収録曲”A Little Time”が堂々13位に入っている。アコースティックを基調としたソフトなサウンドはいつも通りだけど、彼らのナンバーの中では比較的毒の少ない歌詞だったのも、ヒットの要因だったと思われる。

 当時はニュー・ウェイヴの延長線上にあったギター中心のサウンドから、ヒップホップ/ハウス・ビートの勃興期で、次第にリズム主体のサウンドが勢いづいていた頃、New OrderやDepeche Modeらが切り開いたサウンドが一気に花開いた頃でもある。MC HummerやEMF、Soul Ⅱ Soulなど、これまでの80年代常連組から一気に世代交代が進んでいる。
 とは言ってもみんながみんな、激しいビートやサウンドを求めていたわけではない。時代的にはマンチェスター・シーン真っ只中ではあったけど、英国人すべてがレイヴ・パーティに参加するはずもなく、大多数の善良な市民は、それこそElton JohnやBeautiful Southのようなゆるいサウンドを求めていたのだ。
 ちなみに同じ1990年、日本のオリコン年間チャート1位は”おどるポンポコリン”、次に”浪漫飛行”、ひとつ飛ばしてたまの”さよなら人類”と続く。似たようなもんだなこりゃ。

 前進バンドHousemartinsの時代から、ネオ・アコ・サウンドを基調とした爽やか系健康的なポップを志向していた彼ら、そこからビッグ・ビートの祖とされているNorman Cook、通称Fatboy Slimが抜けて新バンド Beautiful Southになるわけだけど、そこでサウンドのビート担当が抜けることによって、残るメロディ担当がメインとなる。
 で、彼らのメイン・ターゲットというのが、いわゆるその他層、音楽的にコアなサウンドを求めるユーザーではなく、もっと裾野の広い範囲、極論すれば、一家に一枚、イギリスの平均的な家庭になら必ずあるElton JohnやBeatles、Cliff Richardの横に並べられることを想定したサウンド作りを行なっていた。
 
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 国民の大多数を占める一般庶民に根ざした的確なマーケティング、といえば聞こえは良いけど、まぁ彼らの場合、特別にナニするでもなく、普段通りにしていれば、それがそのまま的を射ているので、そうした苦労はしていなかったと思う。
 最大公約数に合わせた中庸なサウンドは、適度に耳触りが良く、鼻歌でハミングしやすく、それでいて後に残らない。基本、スタンダードになりやすい曲調なのだけど、どぎついエログロな歌詞が、単純に聴き流せる イージー・リスニングにならないよう、そこは踏みとどまっている。きれいな歌声で流麗なメロディに乗せて、マニアックな歌詞を口ずさむという、彼らのオリジナリティーは既にこの時点で確立している。
 思えば国民的歌手の枠を飛び越えて、王室からナイトの称号まで受けてしまったElton Johnもまた、詞曲はまともながら、ゲイという性癖の反動からなのか、かつてはエキセントリックなキャラクターをステージで演じており、ポップ・ミュージックを選んでしまった男たちの業を感じる。

 庶民的なのはサウンドだけでなく、見た目もそのまんま、労働者階級の工場帰りのようなそのファッションは、もはやカジュアルを通り越している。はっきり言って、ほとんど普段着なのだけど、だからといっていきなり揃いのスーツでスタイリッシュに決めても、違和感しかない。
 いや待てよ、シャレでやってみたら、一、二回はアリか。

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 基本、デビュー当初から音楽性が固まっていたため、サウンド的な変遷で目立ったものはない。そもそも解散したのも、セールスの落ち込みによってバンド活動が維持できなくなったためであって、特別仲違いしたわけでもない。バンド・ストーリーによくある「存続の危機」やら「音楽性の衝突」など、そういったドラマ性とは無縁の連中である。
 なので、正直どのアルバムから入っても、それなりのクオリティは保証されている。乱暴に言ってしまえば、どれを聴いてもそんなに変わりはない。安定したクオリティと言えばカッコいいけど、代わり映えのしない人たちでもある。
 活動末期になって、レコード会社の要請だったのか、旧友Norman Cookを招聘してリズム面の新機軸を打ち立てようとしたことはあったけど、さすがのFatboy Slimもそのゆるい作風を根底から崩すことはできず、大幅な路線変更は叶わなかった。

 ちょっと話は逸れるけど、ラーメン屋におけるプロとアマの違いとして、「安定した仕事」というのが第一に挙げられる。
 潤沢な予算と時間を使えば、たとえ素人でも美味しいものができる。筋の良い者なら、プロ顔負けのラーメンも作れるかもしれない。なので、アマチュアほど手間暇を惜しまず、ディテールにも凝るので、かなりの確率でそれなりのモノができる。
 問題はその次だ。今日120パーセントのラーメンができた。でも、次の日は80パーセントの出来だった。また次の日は50パーセントかもしれない、でもその次は150パーセントで挽回してやる。
 これじゃダメなのだ。
 プロの条件とは、コスパとかマーケティングとかいろいろ基準はあるけど、ここで最も大事なのは、「商品の安定供給」だ。毎日ラーメンを作る上において、もちろん常に100パーセントが理想だけど、そうそううまく行くものではない。なので、客に出せる最低ラインだけは決めておく。90パーセントなら90パーセント、それ以下のラーメンは出さないようにする。それが商売の基本だ。
 もしかして、たまたま85パーセントのラーメンを客に出してしまうかもしれない。作る側にしては何百杯の中の一つでしかないけど、そのお客がここでラーメンを食べる機会は、一生に一度しかないかもしれないのだ。
 なので、常に同じクオリティの商品を安定して供給するということは、プロとしての最低条件である。

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 プロのポップ職人である彼らもまた、できるだけ生産ロスを出さない考えのもと、常に80パーセントの作品を安定供給してきた。大きな失望もなければ、大きく心を動かす感動も少ない。でも、最大公約数的な考えでいけばOKなのだ。
 常に定番の味のラーメン同様、彼らもプロとして、定番のサウンド、偉大なるワンパターンを継続していったのだろう。


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1. Tonight I Fancy Myself
 ヴォリュームを絞ったバグパイプのとモノローグのSEから始まる、フォーク・ロック調の牧歌的なナンバー。初代女性ヴォーカルBriana Corriganとの楽しげなデュエットだけど、「自動車事故」だの「切断された頭部」など、なかなか不穏なキーワードが仕込まれており、こういった曲をトップに持ってくるのが、彼らの持ち味である。

2. My Book
 シアトリカルなムード漂う、とてもネオ・アコ出身とは思えないサウンドを展開しているのだけれど、タイトル通り短編小説仕立てのナンバーなので、ミステリアスな雰囲気を醸し出している。詳しい訳はちょっとわからないのだけど、google翻訳で見てみたところ、どうも狂人の日記っぽく読める。
 ちなみにこんな気色悪い歌詞なのにシングル・カットされており、一応UK最高43位。そこそこ売れてしまっているのが、彼らの恐ろしいところであり、また英国人の不可解なところ。



3. Let Love Speak Up Itself
 彼らのもう一つの持ち味である、甘くムーディな正統派バラード。ちゃんとサビに向かって盛り上がるメロディなので、こういったものを照れずに、もっと量産していれば、もうちょっと違った展開もあったと思うのだけど、余計なお世話か。
 ちなみにこちらもシングル・カットされているのだけれど、UK最高51位。どう考えたって、2.よりもキャッチーで売れ線だと思うのに、ランクは下だったのは、俺的にはちょっと不可解。そこが英国気質と言われてしまえば、それまでだけど。



4. Should've Kept My Eyes Shut
 ちょっとアバズレっぽく歌い出すBrianaのヴォーカルが映える、ミドル・テンポの、こちらもちょっぴり牧歌的なナンバー。なのに内容は要するに痴話喧嘩。女性が優勢なのか、男性ヴォーカルPaul Heatonの声も心なしか疲れ切ってやつれ切って、精彩を欠いている。そこが狙いなのだけど。

5. I've Come For My Award
 ちょっと憂いを感じさせる、マイナー調のギター・ポップ。バンドのはずなのに、あまりバンドらしさを感じさせない彼らにしては、珍しくバンド・サウンドなナンバーである。バンドバンドってクドイな、ちょっと。
 拝金主義を高らかに歌い上げるその皮肉は、やはり英国人ならでは。そのため、サウンドもハードになっている。

6. Lips
 1分足らずのブリッジ的なナンバー。まぁ歌詞も適当なので、ちょっとあまったマテリアルに手を加えた感じ。メロディは美しいので、ボツにしてしまうのが惜しかったのだろうと思われる。

7. I Think The Answer's Yes
 すごく爽やかなフォーク・ロック調のナンバーで、相変わらずメロディも流麗であるというのに、ストレスに押しつぶされそうなビジネスマンの悲哀を皮肉たっぷりに描くのは、ほんと正確悪そう。その毒素は時事問題から、何故かU2やSimple Mindsにまで飛び火し、最後には、ロープかガス、どっちでくたばろうかと苦悩しながら、終わる。
 なんじゃこれ。でも、こんなのがイギリスのごく平均的な家庭には、必ず1枚はあったのだ。

8. A Little Time
 初のUK1位と共に、EU各地でもそこそこスマッシュ・ヒットした、初期の彼らの代表曲。サウンド的には中庸と言えば中庸、ほんとクセもなく口ずさみやすいのだけど、相変わらず内容は痴話喧嘩。
 男女交互にヴォーカルを分け合うスタイルは、日本で言えばヒロシ&キーボーかバービーボーイズと決まっていた。これが本格的に90年代に突入して、もっとサウンド的に下世話になればglobeになるのだけれど、そこはちょっと早すぎた。



9. Mother's Pride
 アップ・テンポになったせいなのか、演奏パートが気合が入っているっぽい。特にベース、ちょっと目立ちづらいけど、なかなか面白いフレーズを弾いている。このサウンドじゃ目立たないに決まってるのに。
 アルバムも終盤に差し掛かり、こちらも小休止、2分程度の短い曲。

10. I Hate You (But You're Interesting)
 主にギターのストロークをバックにした、彼らにしては重苦しい曲調のナンバー。何故か後半にラグタイム・ピアノが絡んでくるけど、すぐまたフェード・アウト。これもちょっと訳が分からなかったのだけど、中盤の”Me”の連呼と言い、ちょっと壊れちゃった感じに意味不明。

11. The Rising Of Grafton Street
 大団円は爽やかなアップ・テンポのインスト。カーテン・コールのように演奏隊は総出演している。ちなみにGrafton Streetとは、アイルランドはダブリンのメイン・ストリート。英国人なら多分その意図がわかるのだろうけど、俺的には不明。




 本国イギリスではプラチナ認定、30万枚以上のセールスを記録した本作だけど、記録ではニュージーランドで最高46位にチャート・インしたくらいで、ほんとガラパゴス的な売れ方がこの時点で確立してしまっている。なかなか本国以外ではわかりづらい比喩も含まれているので、他国で売るのは難しかったのだろうけど、もともと本人らが近所のパブで週末に演奏できればそれでオッケー的な人たちなので、それもまた仕方ないか。


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北海道の中途半端な田舎に住む、そろそろアラフィフ男。ほぼ週1のペースで音楽ブログ更新中。節操ない聴き方と思われてるけど、自分の中では一貫してるつもり。 最近は蔵書の整理がてら、古い本を再読中。ジョン・アーヴィングから始まって、フィッツジェラルドやゾラ、モームなど、いわゆる古典の復習中。いつになったら終わることやら。新刊読めねぇや。
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