Beautiful South

好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そういったゆるいコンセプトのブログです。

大英帝国を象徴する小市民ポップ、最後まで変わらず - Beautiful South 『Superbi』

folder そう、Beautiful Southが解散して、もう10年の月日が経っていたのだった。俺も年を取るわけだ。

 「音楽性の類似のため、解散する」。
 そんな意味不明のコメントを残してバンドの歴史に終止符を打った彼ら、2006年にリリースされたラスト・アルバム『Superbi』は、UK最高6 位にチャートインした。最盛期にはチャート1位は当たり前、ゴールドやプラチナ・ディスクも何枚も獲得していたのにもかかわらず、特にソニー移籍後は尻つぼみの成績で終わってしまった。
 当時のソニーUKといえば Franz Ferdinandが稼ぎ頭であり、90年代のJポップをそのまんま移植したようなバンド・サウンドが幅を利かせていた。なので、サウンド的にインパクトの薄い彼らにとって、メジャーのソニーは場違い感が強かった。
 キャッチーなメロディと音圧の高いサウンドによってティーンエイジャーの耳目を惹きつけるソニー戦略の中、くたびれた中年そのまんまのビジュアルの彼らを売り込むノウハウを持つスタッフはいなかった。
 何がどうなってソニーへ移籍することになったのか、そして何をどう間違えてソニーが彼らと契約するに至ったのか、その辺の真相は不明だけど、双方にとって不完全燃焼的な結末となってしまったのは不幸である。まぁソニー以外だったらどうだったかと言えば、それもちょっと微妙だけど。

 そんな彼らの最盛期と言えるのが、1996年『Blue is the Color』リリースの頃。UKでは5枚のプラチナムを獲得、90年代UKヒット曲コンピでは定番となっている彼らの代表曲「Rotterdam」「Don't Marry Her」もそれぞれシングル・チャートで健闘し、シルバー・ディスクを獲得している。いま思えば、時代遅れのネオアコ・タッチの地味な曲が普通にトップ10にチャートインしていたのだから、英国人の寛容性と屈折具合が窺える。
 この時期の彼らの売れ方はお茶の間レベルに深く食い込んでおり、一家に1枚、ほぼ誰かしらアルバムを持っている状態で、日本では想像もつかないほどのメジャー待遇だった。イギリスで言えばQueenかElton John、日本で言えばサザンのポジションと考えればわかりやすい。だからといって、崇め奉るほどのカリスマ性はない人たちなので、扱いとしては軽いものだったけど。
 そんなメジャー感を謳歌していた彼らも、96年をピークとしてセールスは緩やかに下降してゆき、もともと地味だったビジュアルもさらに磨きがかかり、どんどんむさ苦しくなってゆく。華がない普通の人たちの集まりなのだけど、どこで浪費していたのか、また誰が搾取していたのか、その辺は謎である。

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 彼らの場合、まぁ前者2組もそうなのだけど、共通しているのは覚えやすい歌メロとわかりやすいサビ、それほど凝らないコード進行の妙がある。単純な組み合わせにこそ黄金パターンがあることを理解している、そんな楽曲が多い。ただ甘い聴きざわりだけでなく、そこにスパイスとして辛辣で皮肉な歌詞を乗せて歌い上げることが、大方の英国人のツボにはまった。
 ただ、QueenはFreddie亡き後もGeorge MichaelやPaul Rogersを迎えて衆目を引いたり、残されたブレーンの緻密な戦略によって、話題が途切れないよう配慮されている。Eltonもまた、旬のアーティストとデュエットしたり同性婚などのゴシップ的な話題を提供したりなど、何かと存在感の保持に気を配っている。いや、この人の場合、やりたいようにやってるだけか。
 対してBeautiful South。
 彼らの場合、ニュー・アイテムのリリース以外の話題は皆無と言ってよいくらい、ほんと何もない。ただコンスタントに、いつもと同じ変わらぬクオリティの作品を提供し続けるだけ。それは真摯なアーティストとして、当然の行動ではあるのだけれど、エンタテインメント的な視点で見れば、あまりに起伏に乏しい活動状況のため、追いかけていても面白みがない。いつもと同じ顔でそこにいるのだから、追いかける必要も特別フィーチャーする必要もない。インタビューしても面白くなさそうだしね。
 なので、音楽誌以外で取り上げられることはもともと少なかったのだけど、その音楽誌からも次第に距離を置かれてしまったことが、バンドの終息を速めてしまったのかもしれない。

 QueenにはFreddie Mercuryという絶対的な、ビジュアル的にカリカチュアライズしやすいカリスマがいたこと、またBryan MayやJohn Taylorなど、70年代少女漫画的美形キャラを揃えていたこともあって、各メンバーのキャラクターが明確になっていた。しかもそんな濃いキャラ陣の中で、「無個性」という最強の個性を発揮していたJohn Deaconというオマケもつけて。
 Eltonの場合、決してルックスに秀でていたわけではなかったけれど、当時としては絶対口外できなかったホモセクシャルというコンプレックスの反動からか、ド派手なステージ・コスチュームに身を包み、エンタテインメントに徹したライブ・パフォーマンスを披露した。辛辣な言動でたびたびゴシップ欄の常連となったけれど、それに反して彼の指先から生み出されるメロディは世界中のファンを魅了し、多くの資産と名声、それに醜聞と笑えるエピソードを残した。

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 対してBeautiful South。よほどのファンでも、Paul Heaton以外のメンバーの名前、メンバー数、歴代女性ヴォーカリストのラインナップなどなど、それらを正確に言えるファンがどれだけいるか。ごめん、俺も全部知らないわ。彼らがどんな生活をしているのか生い立ちなのか、あまり記事でもみたことがない。ていうか、あまりに普通っぽい人たちなので、そこまで突っ込んだ質問をするインタビュアーもいないのだろう。前者2組と違って、いまでも普通に素顔でパブで飲んだくれてそうだし。多分、誰も気づかないんだろうな。
 彼らのアルバムは常に高いクオリティの楽曲を揃えているのだけど、特別トータル・コンセプトに沿った作りではなく、どのアルバムも各曲が独立した小品集的な構成になっている。なので、アルバムごとの特徴が薄く、どの時期のものを聴いてもそれほど変わり映えしないのが、ある意味特徴でもある。女性ヴォーカル以外はほぼメンバーは不動、ドラスティックなサウンドの変遷もほぼ皆無のため、正直、どのアルバムを聴いても変わり映えしない。
『Miaow』と『Quench』、どっちが先にリリースされたのか、またそれぞれの収録シングル曲を挙げよ、というカルトQクイズが主題されたとして、正確に答えられるコア・ユーザーが世界中にどれだけいるだろうか?俺?俺はムリ、だっていま適当に出題してみただけだもん。

 ある意味、それは純音楽的主義を貫いている逆説的な証明なのかもしれない。
 アーティストが亡くなっても、音楽は残る。
 キャラクターで聴かせるのではなく、予備知識なしの純粋な音楽的クオリティだけでここまで這い上がってきたのが彼らなのだ。がむしゃらに這い上がってきたというよりは、地道にコツコツ活動してきたら、いつの間にかここまで上がってきちゃった、という感じが強いのだけど、それだけのポテンシャルを有してる集団であることは確かである。
 でも歴史に残るのは、前者2組だろうなやっぱ。この先、「Bohemian Rhapsody」や「Your Song」が歴史に埋もれるとは考えづらいし。

The Beautiful South_ Sony Music Distribution

 21世紀に入ってからのBeautiful South はチャート的にも、そしてバンド内のテンション的にも下降の一途を辿っていた。全盛期をけん引した2代目女性ヴォーカリストJacqui Abbott が脱退、新たにAlison Wheelerを補充してバンドの維持に努めたのだけど、やはり一度落ちたテンションを取り戻すことはできなかった。
 同じ曲調であるはずなのに、なんか違う。
 彼らが変わったわけではない。聴き手の意識がすっかり変わってしまったのだ。
 
 彼らがデビューしてから解散するまで、ほぼ15年の間だったけど、その間、イギリスでは様々なムーヴメントが巻き起こっていた。グラウンド・ビートからブリット・ポップ、ミクスチャー、シューゲイザー、グランジ、ドラムンベース、エレクトロニカ、ビッグ・ビートなどなど、90年代UKにそれほど詳しくない俺が、パッと思いついただけでこれだけあったので、細分化するとそりゃ膨大な量になる。
 なるのだけれど、そのブームのどれにも関わらず、またコミットすることなく活動してきたのが彼らである。もともとは前進バンドHousemartinsの流れから、80年代ネオアコ・ムーヴメントの追い風に乗ってデビューした彼らだったけど、その後は時流に流されることもなく、独自のオーソドックスなポップ路線を貫いている。他のバンドとのコラボや対バンもほとんどなく、せいぜい相手にしてくれるのは、盟友 Norman Cookくらい。起死回生のコラボだったはずなのに、イマイチ消化不良に終わってしまったけど。
 曲調は極めてオーソドックスで流麗なメロディ、だけど言ってることはエログロナンセンスの極み、アブノーマルな内容なので、日本だったらイロモノ扱いされているはずである。ジャンルは違うけど、面影ラッキーホール(いまはOnly Love Hurtsと改名して活動中)がそのポジションに近いんじゃないかと思われる。
 想像してみてほしい。一家団欒の金曜夜8時、Mステで「あんなに反対してたお義父さんにビールをつがれ」を高らかに歌い上げる彼らの姿を。他にもグロい曲はあるのだけれど、恥ずかしくてここには書けない。あとは各自調べてみて。
 ニュアンス的に、こんな認識だと思われる。

 少なくとも7人に1人、ほぼどの家庭にも彼らのベスト・アルバムがあるくらいだから、ごく普通の英国人が彼らを受け入れる土壌はあるのだろう。
 面影ラッキーホールをCDプレイヤーにセットして家族で談笑するまでに、日本はまだどれほどの暗黒と抑圧を受け入れなければならないのか。
 階級闘争のない日本人にとって、英国人のどす黒い深淵は永遠の謎である。謎のままだろうな、きっと。


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Beautiful South
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1. The Rose of My Cologne
 全然ブルースっぽくないドブロ・ギター、まぁこれは何となく「らしく」っぽく聴こえるバンジョーが、新機軸といえば新機軸。まぁ歌に入っちゃえばいつもの彼らなのだけど。
 カントリー・テイストあふれるのどかなポップ・ソングの体裁を取っているけど、歌われてる中身はいつも通り、三文ゴシップ誌も裸足で逃げ出すゲスの極みな世界。アル中、あばずれ、チンピラ、痴話喧嘩、駆け落ち、もう何でもあり。そんな現実を癒してくれるのが、「バラの香り」と称される謎の女。
 救いのない結末には皮肉もペーソスもなく、ただただ陰惨。第2弾シングルとしてリリースされてるけど、さすがの彼らも99位が最高だった。



2. Manchester
 で、これが先行リード・シングルとしてリリースされ、UK最高41位。全盛期のPaul McCartneyを彷彿とさせるベース・ライン、それと歌声。前曲同様、アコースティック色が強い。サビもキャッチーだし売れそうなものだけど。
 晴れ間の見えることの少ない、そんな英国のよどんだ天候を象徴するサエない都市、それがManhester。サッカー選手にでもならなければ、一生階級制度の奴隷として張り付いていなければならない、そんな取り柄のない小都市への逆説的な賛辞。ひねってるよなぁ、英国人。



3. There Is Song
 そんな英国にもいいところはある。前向きなラブ・ソング、それに人生賛歌。皮肉もなく、真っ当でストレートな賛辞と憧れとが満ちあふれた、もうちょっとウェットに振れればElton Johnの後を継ぐ者として、いくらか生き永らえたかもしれない。
 でも、こんな流麗な曲サビの最後に「Frog」なんて入れてしまうあたりが、エンタメになり切れなかった男たちの悲劇である。

4. The Cat Loves the Mouse
 これまでのパターンでもよくあった、女性ヴォーカルとの掛け合いが絶妙なロッカバラード。Paul Heatonもこれまでにないエモーショナルなヴォーカルを披露している。ハスキー・ヴォイスが特徴のAlison Wheeler、本来ならアクが強すぎてデュエットには向かない人である。だけどそこはベテランの演奏陣プラスHeaton、うまく彼女の歌声を最大限に活かしたアレンジで組み立てている。 

5. The Next Verse
 ここまで聴いてもらえればわかるのだけど、今回の彼らはかなりアメリカ寄りのサウンドで統一している。と言っても、アメリカで売れようだなんて下心ではなく、単にちょっと新味も試してみたかったから、という感触が強い。まぁこの期に及んで大ヒットを狙うはずもないな。
 彼らにしては珍しいブルース・ナンバー。さっきも書いたように、ちっともブルース特有の泥臭さは感じられない。まぁこのフェイク感を楽しむのが興。

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6. When Romance Is Dead
 ここでAlisonとリードを分けるのは、なんとギターのDavid Rotheray。彼が歌うのは初めてじゃないかと思われる。ていうか、何で?
 「ロマンスが死に絶えた時」というタイトルを逆説的に捉えるなら、まだ話は分かるのだけれど、歌詞は陰鬱としてそのまんま。それを情感たっぷりに歌い上げる2人。何がしたいんだ?

7. Meanwhile
 3分程度の小品の中にめちゃめちゃ言葉が詰め込まれているのだけれど、冒頭から離婚の相談を持ち掛ける三文メロドラマ。2ちゃんの書き込みみたいな陳腐なストーリーを練り上げられたメロディに乗せて歌うことが、ゴシップ誌とTV以外に関心のない層には受けたのだろうけど、もはや現実はフィクションを追い越していた。フィクションだけじゃ、もう満たされないのだ。

8. Space
 Monty Pythonのサウンドトラックに通ずるものがある、ロックからは遠く離れたサウンドを持ったナンバー。BPMの早い8ビートは心地よいけど、歌われてる内容は相変わらず屈折しまくり。

_SCLZZZZZZZ_

9. Bed of Nails
 アコギをメインに出したスウィートなデュエット・バラード。

 もし他のすべてがダメになったら
 このバラのベッドを 
 針のむしろに取り替えてあげるよ

 でも、歌ってることはこんな内容。ブレないよね。

10. Never Lost a Chicken to a Fox
 『Miaow』期を彷彿とさせる、軽快なアップテンポ・ナンバー。以前と違ってカントリー・タッチが入っているのは新機軸のあらわれ。と言ってもスパイス程度で根っこは変わらないけど。
 心なしか、ヴォーカル・スタイルもDylanっぽくラフなタッチになっている。アコースティックでアップテンポになると、みんなDylanっぽくなってしまう。そう感じるのは俺だけ?

11. From Now On
 ずっと聴いてると、カントリー・テイストというのがまだるっこしく聴こえてしまう。アルバムも終盤になると、楽曲自体の良さは変わらないのだけど、冗漫に聴こえてしまう。
 彼らと同じく、古き良きアメリカへの憧憬を表明しているPaddy McAloonは、その世界観を具現化するため、録音テクニックを駆使した音像で表現していたけど、ここではそういった技を使った形跡はない。ただいつものBeautiful Southがカントリーっぽくやってみただけに過ぎないのだ。ソングライティング的にはPaddyとヒケを取らないHeaton、でもサウンド・メイキングに無頓着だったのが、その後の命運を分けることになる。

12. Tears
 ラストは正攻法、直球ストレートなバラード。こういったちゃんとした曲も書けるのだ。『Blue is the Color』収録「Artifical Flowers」と同じ構造のベタなメロディは、大団円としては相応しいのかもしれない。この時点でバンドが集結を迎えると思ってたのかは分かりかねるけど。




 現状、Beautiful Southは解散状態にある、と冒頭に書いたけど、正確にはHeatonとJacqui Abbott以外のメンバーは、「The New Beautiful South」と改名して活動継続中、今も英国を中心に、ていうかほぼ英国だけでツアー活動を展開中である。それほど大きな会場でプレイできているわけではないけど、各地でお呼びがかかるということは、それなりに盛況なのだろう。
 HeatonとAbbottも何年かに一度、デュエット・アルバムをリリースしたりしているので、互いにマイペースでいられるのは、結果的には良かったんじゃないかと思われる。
 何かの弾みでオリメンで再結成しようものなら…、まぁあんまり盛り上がらないか。多分、誰が誰だかわからないだろうし。



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ある意味ブレないポップ職人たちの定食メニュー - Beautiful South 『Choke』

choke-50b115e9c67ac 1990年にリリースされた2枚目のアルバムで、当時の全英チャートでは最高2位。3曲のスマッシュ・ヒット・シングルを収録しており、デビュー・アルバムに続いてのヒット・アルバムになった。
 この年のUKシングル年間チャートを見てみると、何故か1位がElton John、かと思えばSinead O'Connorが、あのPrince作”Nothing Compare to U”で上位にランク・インしており、以下有名なところではMadonna “Vogue”、キワモノ枠として、あのインチキ・ラッパーVanilla Iceが続く。そんなカオスなラインナップの中、本アルバム収録曲”A Little Time”が堂々13位に入っている。アコースティックを基調としたソフトなサウンドはいつも通りだけど、彼らのナンバーの中では比較的毒の少ない歌詞だったのも、ヒットの要因だったと思われる。

 当時はニュー・ウェイヴの延長線上にあったギター中心のサウンドから、ヒップホップ/ハウス・ビートの勃興期で、次第にリズム主体のサウンドが勢いづいていた頃、New OrderやDepeche Modeらが切り開いたサウンドが一気に花開いた頃でもある。MC HummerやEMF、Soul Ⅱ Soulなど、これまでの80年代常連組から一気に世代交代が進んでいる。
 とは言ってもみんながみんな、激しいビートやサウンドを求めていたわけではない。時代的にはマンチェスター・シーン真っ只中ではあったけど、英国人すべてがレイヴ・パーティに参加するはずもなく、大多数の善良な市民は、それこそElton JohnやBeautiful Southのようなゆるいサウンドを求めていたのだ。
 ちなみに同じ1990年、日本のオリコン年間チャート1位は”おどるポンポコリン”、次に”浪漫飛行”、ひとつ飛ばしてたまの”さよなら人類”と続く。似たようなもんだなこりゃ。

 前進バンドHousemartinsの時代から、ネオ・アコ・サウンドを基調とした爽やか系健康的なポップを志向していた彼ら、そこからビッグ・ビートの祖とされているNorman Cook、通称Fatboy Slimが抜けて新バンド Beautiful Southになるわけだけど、そこでサウンドのビート担当が抜けることによって、残るメロディ担当がメインとなる。
 で、彼らのメイン・ターゲットというのが、いわゆるその他層、音楽的にコアなサウンドを求めるユーザーではなく、もっと裾野の広い範囲、極論すれば、一家に一枚、イギリスの平均的な家庭になら必ずあるElton JohnやBeatles、Cliff Richardの横に並べられることを想定したサウンド作りを行なっていた。
 
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 国民の大多数を占める一般庶民に根ざした的確なマーケティング、といえば聞こえは良いけど、まぁ彼らの場合、特別にナニするでもなく、普段通りにしていれば、それがそのまま的を射ているので、そうした苦労はしていなかったと思う。
 最大公約数に合わせた中庸なサウンドは、適度に耳触りが良く、鼻歌でハミングしやすく、それでいて後に残らない。基本、スタンダードになりやすい曲調なのだけど、どぎついエログロな歌詞が、単純に聴き流せる イージー・リスニングにならないよう、そこは踏みとどまっている。きれいな歌声で流麗なメロディに乗せて、マニアックな歌詞を口ずさむという、彼らのオリジナリティーは既にこの時点で確立している。
 思えば国民的歌手の枠を飛び越えて、王室からナイトの称号まで受けてしまったElton Johnもまた、詞曲はまともながら、ゲイという性癖の反動からなのか、かつてはエキセントリックなキャラクターをステージで演じており、ポップ・ミュージックを選んでしまった男たちの業を感じる。

 庶民的なのはサウンドだけでなく、見た目もそのまんま、労働者階級の工場帰りのようなそのファッションは、もはやカジュアルを通り越している。はっきり言って、ほとんど普段着なのだけど、だからといっていきなり揃いのスーツでスタイリッシュに決めても、違和感しかない。
 いや待てよ、シャレでやってみたら、一、二回はアリか。

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 基本、デビュー当初から音楽性が固まっていたため、サウンド的な変遷で目立ったものはない。そもそも解散したのも、セールスの落ち込みによってバンド活動が維持できなくなったためであって、特別仲違いしたわけでもない。バンド・ストーリーによくある「存続の危機」やら「音楽性の衝突」など、そういったドラマ性とは無縁の連中である。
 なので、正直どのアルバムから入っても、それなりのクオリティは保証されている。乱暴に言ってしまえば、どれを聴いてもそんなに変わりはない。安定したクオリティと言えばカッコいいけど、代わり映えのしない人たちでもある。
 活動末期になって、レコード会社の要請だったのか、旧友Norman Cookを招聘してリズム面の新機軸を打ち立てようとしたことはあったけど、さすがのFatboy Slimもそのゆるい作風を根底から崩すことはできず、大幅な路線変更は叶わなかった。

 ちょっと話は逸れるけど、ラーメン屋におけるプロとアマの違いとして、「安定した仕事」というのが第一に挙げられる。
 潤沢な予算と時間を使えば、たとえ素人でも美味しいものができる。筋の良い者なら、プロ顔負けのラーメンも作れるかもしれない。なので、アマチュアほど手間暇を惜しまず、ディテールにも凝るので、かなりの確率でそれなりのモノができる。
 問題はその次だ。今日120パーセントのラーメンができた。でも、次の日は80パーセントの出来だった。また次の日は50パーセントかもしれない、でもその次は150パーセントで挽回してやる。
 これじゃダメなのだ。
 プロの条件とは、コスパとかマーケティングとかいろいろ基準はあるけど、ここで最も大事なのは、「商品の安定供給」だ。毎日ラーメンを作る上において、もちろん常に100パーセントが理想だけど、そうそううまく行くものではない。なので、客に出せる最低ラインだけは決めておく。90パーセントなら90パーセント、それ以下のラーメンは出さないようにする。それが商売の基本だ。
 もしかして、たまたま85パーセントのラーメンを客に出してしまうかもしれない。作る側にしては何百杯の中の一つでしかないけど、そのお客がここでラーメンを食べる機会は、一生に一度しかないかもしれないのだ。
 なので、常に同じクオリティの商品を安定して供給するということは、プロとしての最低条件である。

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 プロのポップ職人である彼らもまた、できるだけ生産ロスを出さない考えのもと、常に80パーセントの作品を安定供給してきた。大きな失望もなければ、大きく心を動かす感動も少ない。でも、最大公約数的な考えでいけばOKなのだ。
 常に定番の味のラーメン同様、彼らもプロとして、定番のサウンド、偉大なるワンパターンを継続していったのだろう。


Choke
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1. Tonight I Fancy Myself
 ヴォリュームを絞ったバグパイプのとモノローグのSEから始まる、フォーク・ロック調の牧歌的なナンバー。初代女性ヴォーカルBriana Corriganとの楽しげなデュエットだけど、「自動車事故」だの「切断された頭部」など、なかなか不穏なキーワードが仕込まれており、こういった曲をトップに持ってくるのが、彼らの持ち味である。

2. My Book
 シアトリカルなムード漂う、とてもネオ・アコ出身とは思えないサウンドを展開しているのだけれど、タイトル通り短編小説仕立てのナンバーなので、ミステリアスな雰囲気を醸し出している。詳しい訳はちょっとわからないのだけど、google翻訳で見てみたところ、どうも狂人の日記っぽく読める。
 ちなみにこんな気色悪い歌詞なのにシングル・カットされており、一応UK最高43位。そこそこ売れてしまっているのが、彼らの恐ろしいところであり、また英国人の不可解なところ。



3. Let Love Speak Up Itself
 彼らのもう一つの持ち味である、甘くムーディな正統派バラード。ちゃんとサビに向かって盛り上がるメロディなので、こういったものを照れずに、もっと量産していれば、もうちょっと違った展開もあったと思うのだけど、余計なお世話か。
 ちなみにこちらもシングル・カットされているのだけれど、UK最高51位。どう考えたって、2.よりもキャッチーで売れ線だと思うのに、ランクは下だったのは、俺的にはちょっと不可解。そこが英国気質と言われてしまえば、それまでだけど。



4. Should've Kept My Eyes Shut
 ちょっとアバズレっぽく歌い出すBrianaのヴォーカルが映える、ミドル・テンポの、こちらもちょっぴり牧歌的なナンバー。なのに内容は要するに痴話喧嘩。女性が優勢なのか、男性ヴォーカルPaul Heatonの声も心なしか疲れ切ってやつれ切って、精彩を欠いている。そこが狙いなのだけど。

5. I've Come For My Award
 ちょっと憂いを感じさせる、マイナー調のギター・ポップ。バンドのはずなのに、あまりバンドらしさを感じさせない彼らにしては、珍しくバンド・サウンドなナンバーである。バンドバンドってクドイな、ちょっと。
 拝金主義を高らかに歌い上げるその皮肉は、やはり英国人ならでは。そのため、サウンドもハードになっている。

6. Lips
 1分足らずのブリッジ的なナンバー。まぁ歌詞も適当なので、ちょっとあまったマテリアルに手を加えた感じ。メロディは美しいので、ボツにしてしまうのが惜しかったのだろうと思われる。

7. I Think The Answer's Yes
 すごく爽やかなフォーク・ロック調のナンバーで、相変わらずメロディも流麗であるというのに、ストレスに押しつぶされそうなビジネスマンの悲哀を皮肉たっぷりに描くのは、ほんと正確悪そう。その毒素は時事問題から、何故かU2やSimple Mindsにまで飛び火し、最後には、ロープかガス、どっちでくたばろうかと苦悩しながら、終わる。
 なんじゃこれ。でも、こんなのがイギリスのごく平均的な家庭には、必ず1枚はあったのだ。

8. A Little Time
 初のUK1位と共に、EU各地でもそこそこスマッシュ・ヒットした、初期の彼らの代表曲。サウンド的には中庸と言えば中庸、ほんとクセもなく口ずさみやすいのだけど、相変わらず内容は痴話喧嘩。
 男女交互にヴォーカルを分け合うスタイルは、日本で言えばヒロシ&キーボーかバービーボーイズと決まっていた。これが本格的に90年代に突入して、もっとサウンド的に下世話になればglobeになるのだけれど、そこはちょっと早すぎた。



9. Mother's Pride
 アップ・テンポになったせいなのか、演奏パートが気合が入っているっぽい。特にベース、ちょっと目立ちづらいけど、なかなか面白いフレーズを弾いている。このサウンドじゃ目立たないに決まってるのに。
 アルバムも終盤に差し掛かり、こちらも小休止、2分程度の短い曲。

10. I Hate You (But You're Interesting)
 主にギターのストロークをバックにした、彼らにしては重苦しい曲調のナンバー。何故か後半にラグタイム・ピアノが絡んでくるけど、すぐまたフェード・アウト。これもちょっと訳が分からなかったのだけど、中盤の”Me”の連呼と言い、ちょっと壊れちゃった感じに意味不明。

11. The Rising Of Grafton Street
 大団円は爽やかなアップ・テンポのインスト。カーテン・コールのように演奏隊は総出演している。ちなみにGrafton Streetとは、アイルランドはダブリンのメイン・ストリート。英国人なら多分その意図がわかるのだろうけど、俺的には不明。




 本国イギリスではプラチナ認定、30万枚以上のセールスを記録した本作だけど、記録ではニュージーランドで最高46位にチャート・インしたくらいで、ほんとガラパゴス的な売れ方がこの時点で確立してしまっている。なかなか本国以外ではわかりづらい比喩も含まれているので、他国で売るのは難しかったのだろうけど、もともと本人らが近所のパブで週末に演奏できればそれでオッケー的な人たちなので、それもまた仕方ないか。


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美メロの応酬、でも歌詞はグロ満載 - Beautiful South 『Welcome to the Beautiful South』

folder 1989年リリース、UKネオ・アコ・ムーヴメントの流れで紹介されることの多い、今でも人気の高いファースト・アルバム。あまりに人気が高いので、レコード会社のネオ・アコ再発キャンペーンの際には、ほぼ必ずリスト・アップされているのだけれど、逆にBeautiful Southといえばコレ、という感じで、ほぼコレ1枚だけで終わってしまい、他のアルバムはあまり見向きもされていない現状にある。ベストやライブ盤だけじゃなく、まずはオリジナル・アルバムの安定供給を考えてくれよ、と言いたくなってしまう。

 Housemartinsという文科系帰宅部バンドが母体となって結成されたこのバンド、中心メンバーはほぼそのままスライドしているので、一聴してあまり変化はなさそう、看板変えただけじゃね?と思ってしまいがちだけど、一応、明確な新機軸のもと、新バンドは結成されている。
 人懐っこいポップ性はそのまま引き継いだのだけど、大きな変化は、これまでより更に英国気質を強めた歌詞、爽やかなサウンドに乗せて下世話な世界を軽やかに歌う、非常にニッチでドメスティックなコンセプトは、同じく根底は下世話な英国人の間で長く支持された。
 デビューしてしばらくは、ロキノンやクロスビートなど、「何てないことをさも小難しく語る」系の雑誌で頻繁に紹介されていたので、この時期にロックをかじってた人なら、名前くらいは何となく聞いたことがあると思うし、一曲くらいなら何となく耳にしたことがあるはずである。

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 基本、ソフト・サウンディングをベースにして、男2女1のメイン・ヴォーカルを曲によって組み合わせを変える方式を採用していた。「していた」というのは、もう解散してしまったから。
 徹底的に国内需要にこたえるスタイルを貫いていたおかげで、イギリス国内での人気は安定れして高く、一時は「国民的バンド」と称されて、高目安定なコンスタントな売り上げをキープしていた。いたのだけど、同じ曲調によるマンネリ化が進むに連れて、英国労働者階級出身そのまんまの飾らないキャラクターが仇となった。おかげでテコ入れのためのイメージ・チェンジも思うように進まず、活動自体が次第にフェード・アウトしていった次第。
 曲は聴いたことあるけど、どんなメンバーが在籍していたのか、またどんなバンドが歌ってるのかも充分認知されなかったのは、日本に限らずイギリスでも同じ状況だった。
 
 セールス的に陰りが見えてきた頃になってから、多分レコード会社からの要請だと思うけど、かつての盟友Norman Cook(別名Fatboy Slim)にプロデュースを依頼、クラブ系サウンドの導入で起死回生を狙った時期もあったのだけど、誰よりも本人たちの予想通り、それほどの支持は得られなかった。誰もBeautiful Southにそんなサウンドは望んでいなかったこと、また彼ら自身もアッパー系なクラブよりも、場末のパブで呑んだくれながらダラダラ演奏してる方が性に合っていることを自覚していた。
 
 Housemartinsの時代からその兆候はあったのだけど、黄金比メロディを基調としたアコースティック・サウンドに、ウィットに富んだ皮肉な歌詞を載せるというコンセプト自体は、決して間違っていなかった。現に、ひねくれてねじ曲がった国民性の英国では、末長い支持を得ていたし、本人らもサウンドの進歩などはあまり考えず、このまま美メロの拡大再生産で、細く長く生き延びて行くはずだったのだから。
 ただ21世紀に近づくにつれて、ヒット・チャートの主流がエレクトロ・ベースのダンス・ミュージック中心となってゆき、自然と彼らの居場所が少なくなっていった。同じカテゴリーで語られるEverything But The Girlもまた生き残りを賭けてテクノ・サウンドに活路を見出し、一時は物珍しさにより持て囃されたけど、やはりスタイルに無理があったせいか、次第にネタ切れとなり、自然に失速していった。
 一方、Beautiful Southは最後までほぼ基本姿勢を崩さぬまま、潔く解散の道を選んだ。EBTGのようなデュオならまだしも、6人編成バンドという大所帯は、方向性を変えるにも全員の意見がまとまらず、そんな不安定な状態でバンドを維持するのは難しかったのだろう。
 
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 で、このファースト・アルバム、最後のアルバムと比べても区別がつかないくらい、この時点で既に偉大なるワン・パターンを創りあげてしまっている。前回の『Solid Bronze』のレビューでも書いたけど、全期間を通して、サウンド的な変遷のあまり見られないバンドなので、時系列をシャッフルした曲順構成だと、どのアルバムに入ってた曲なのか、相当のファンでも混乱してしまうはず。それだけブレずに安定したソング・ライティングを行なっていた、という逆説的な証明にはなるのだけれど。
 
 今もメイン・ヴォーカルの2人、Paul HeatonとJacqui Abbottは、デュオとして地道に活動、今年アルバムをリリース、それに伴って国内ツアーや野外フェスに参加したりしているのだけど、映像を見ると温かい大歓声の中、非常にリラックスしたムードで楽しげに歌っている。それだけファン層のすそ野が広く、愛されてきた証なのだけれど、穿った見方をすれば、いわゆる懐メロ歌手的扱いにも見える。もはや、新しいアクションは期待されていないのだろう。
 
 でも、懐メロとさえ認識されずに消えていった、幾多のミュージシャンと比べれば、これはこれで幸せな状況なのかもしれない。


Welcome To The Beautiful South
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1. Song For Whoever
「ペンケースの底から君を愛す」という歌詞は何かの比喩なのだろうけど、よくわからん。昔日本版も持っていたのだけれど、あいにく大昔に売っぱらってしまったため、いま手元にあるのは輸入盤。
 ファースト・シングルのはずだけれど、なぜか6分超もある。ラジオのオンエア対策など、考えてなかったんだろうか。
 オーソドックスなポップスと言うには、なんかいびつさを感じるのは、ポップとは無縁な男性ヴォーカルの声質だろうか。
 こういった曲がUKチャート2位まで上昇したというのは、思えば懐の深い時代だったのだろう。



2. Have You Ever Been Away
 初代女性ヴォーカルであるBriana Corrigan、この頃はまだゲスト・ヴォーカル扱いなので、やや影は薄い。あまり考えずに女性ヴォーカルを入れてみたところ、思ったより出来が良くバンドのカラーにもフィットしたので正式加入となったのだろう。
 一応リズムはレゲエなのだけど、全然それっぽく聴こえないのは、英国の曇り空を愛するバンドだから。
 
3. From Under The Covers
 Housemartinsの面影が感じられる、バンド・スタイルのシンプルなサウンド。ベースの音がやたら響くので、ヴォーカル隊ではなくバンド主導で作られた曲と思われる。
 
4. I'll Sail This Ship Alone
 UKチャート31位まで上昇。Housemartinsではできなかった、ピアノ主体のしっとりした曲。彼らの曲の中では比較的ストレートなラブ・ソング。サウンド・詞・メロディ三位一体きちんと整った曲である。これだけ取り上げて聴いていると、実はすごくまともなバンドであることがわかる。
 皮肉を盛り込んだ歌詞は照れの裏返しとも取れるが、だからといってこのような曲ばかり作ってても、イギリスではなかなか芽が出ない。あのElton Johnだって、最初期のステージはかなりぶっとんだ衣装だったし、何かしらスキャンダラスな二面性も見せないと、評価すらしてくれないのだ。



5. Girlfriend
 彼らにしてはモダンなサウンド。リズムを強調したホワイトR&Bといったイメージ、バック・トラックだけ聴いてるとRobert Palmerみたいにも聴こえる。ギターがきちんとギターの音を出しているのも、なかなかバンドっぽい音でかっこいい。
 
6. Straight In At 37
 当時チャートの常連だったDuran DuranのSimon le BonとPaul Youngを徹底的に揶揄した歌。サウンドも何だか小馬鹿にしたような80年代ビート・ポップサウンドを模している。最後には何故か女優Nastassia Kinskiの名前も。
 
7.  You Keep It All In
 UKチャート8位まで上昇。気怠い感じのBrianaと元気ハツラツなPaul Heatonとのヴォーカルの対比が妙。男女の絡みのヴォーカルと言えばバービーボーイズが思い出され、非常に仲睦まじいポップな3分間だが、内容は殺伐としており、強盗殺人犯に拘束されてる現状を嘆いている。



8. Woman In The Wall
 爽やかなヨーデル調のポップ・ソングながら、歌詞はこのアルバム中、最もグロテスク。酔っぱらった際、つい魔が刺して妻を殺害、死体を壁に塗り込めて隠ぺいしようとするが、腐臭が漂ってこりゃたまらん、という、書いててもムカムカするような内容。でも曲・メロディはきれい。
 
9. Oh Blackpool
 ちなみにBlackpoolとはイギリスの有名な保養地。日本で言えば、軽井沢や葉山マリーナあたりをイメージしてもらえればよい。
 ヒトラーやカール・マルクスを引き合いに出して、資本主義の悲哀を嘆く歌を、これでもかというくらい爽やかに歌っている。俺的に、英語はまったくネイティヴではないので、メロディ中心に好きこのんで聴いていたのだけど、まぁこれからも歌詞に重きを置いて聴くことは、あまりないと思う。それだけサウンドとメロディが良いのだ。

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10. Love Is... 
 なぜか7分超の大作。キャッチーなメロディが持ち味のポップ・バンドにとって、長尺の曲はあまり必要とされていない。ホント昔ながらの3分間ポップスが一番需要が高いのだ。なのに彼ら、時たま冒険を侵す場合があるのだが、その大概は失敗に終わっている。
 この曲もそこまで引き延ばすべき曲かと言えば、そこまででもないような気がする。まぁせっかくのファースト・アルバムなので、多少サウンドの幅を持たせたかったのだろう。
 
11. I Love You (But You're Boring)
 歌詞中に出てくるCarouselとはメリーゴーラウンドのこと。珍しくSEなども使いながら多重トラックを組み合わせながら、曲に奥行きを与えている。アコースティックを多用したシンプルなサウンド、ヴォーカルも熱を帯びて、ラスト曲をうまく締めくくろうといった気概が見える。




 ファースト・アルバムながら、チャート的に好成績を収めたBeautiful South、今後十年ほどは安定した人気でイギリスのお茶の間までをも席巻し、コンスタントにアルバムを発表することになる。かなりポピュラー・ミュージック寄り、非ロック性の強いアルバムであり、ブルース&ロック色が導入されるのはこの後から。純粋なメロディを堪能するのなら、このアルバムが一番だろう。


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北海道の中途半端な田舎に住む、そろそろアラフィフ男。ほぼ週1のペースで音楽ブログ更新中。節操ない聴き方と思われてるけど、自分の中では一貫してるつもり。 最近は蔵書の整理がてら、古い本を再読中。ジョン・アーヴィングから始まって、フィッツジェラルドやゾラ、モームなど、いわゆる古典の復習中。いつになったら終わることやら。新刊読めねぇや。
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