好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そんなユルいコンセプトのブログです。

Bamboos

バンブーズ、完全復活!! - Bamboos 『Night Time People』

folder 思えば5枚目のアルバム『Medicine Man』のあたりから、Bamboosのコンセプトはズレ始めていたのだった。
 「JB’sとMetersが合体したらどうなるんだろう?」といった、ディープ・ファンク・バンド結成にはありがちな、ていうか飲み屋のヨタ話みたいな動機からスタートした彼らではあったけれど、初っぱなからゴリゴリのスタンダード・インスト・ファンク「Tighten Up」で注目を集めた。その後も地道なライブ活動で地道な支持を集め、地味ながらも正統派バンドとして基盤固めをしていたのだったけれど。
 レギュラー・メンバーとしてKylie Auldistが加入して、基本のバンド・グルーヴに厚みを持たせることに成功したまではよかったのだけど、年を追うにつれ、ゲスト・ヴォーカルによるナンバーが多くなってゆく。ポピュラリティの獲得にそれは寄与したのだけれど、それと引き換えに初期の無骨さは削られて丸くなり、バンドのアイデンティティは希薄化していったのだった。

 メイン・ヴォーカル不在のディープ/ジャズ・ファンク・バンドの場合、インストばかりでは、アルバムの流れにメリハリがなくなるため、1〜2曲程度、ゲストを迎えてヴォーカル・ナンバーを入れることが多い。中にはBudos Bandのように、意地でもインストしかやらねぇ、というバンドもいるにはいるけど、CD/LPデビューを果たした大抵のバンドは、多くがこのセオリーに従っている。
 本来のBamboosはインスト・ファンクの要素が強く、ライブではバンドの存在感の方が強い。音源では大きくフィーチャーされているKylieも、ステージでは出ずっぱりというわけでもなく、バンド・アンサンブルがメインとなるナンバーでは、出しゃばらず引き立て役に徹している。
 ライブでは、無骨でアグレッシブな面を見せることも多い彼ら、なのに近年のかしこまり過ぎた音源では、存在感は薄れつつある。ゴリゴリのファンクネスを求めて近年の作品に手を出すと、肩透かし感がハンパない。そこで目立っているのは、バンドでもKylieでもなく、ゲスト・ヴォーカルだもの。これじゃまるで、二流のコンテンポラリー・ポップ・バンドだ。

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 ゲストの比率が多くなったということは、相対的にKylieの存在感が薄れてきた、ということでもある。
 Bamboos 参加前から、オーストラリアのジャズ・ファンク界隈では有名だった彼女、いわゆるゲスト・ヴォーカル職人として、あらゆるバンドからオファーが絶えなかった。アンサンブルのグレードをワンランク上げてしまうKylieの声は、どのバンドのサウンドにも有機的に溶け込んだ。
 Bamboosもまた、力強い彼女のヴォーカルによって濃密なグルーヴ感が生まれ、セールス・知名度とも飛躍的に上がっていった。ヒットの相乗効果として、Kylieの評判が上がると共に、客演やユニット参加も多くなってゆく。当然、レコード会社もそんな彼女を放っておくはずがなく、自然とソロ活動にも意欲的になってゆく。
 多忙によってセッション参加率の減ったKylieの代わりに、Bamboosは積極的にゲスト・ヴォーカリストを迎えるようになる。彼女の穴を埋めるのに、既存路線のインスト・ファンクだけでは、明らかに不足だった。
 ライブ・オンリーの趣味的なバンドなら、原点回帰もアリだったかもしれないし、実際、バンド・メンバーもそれでよかったのかもしれないけど、リーダーLance Fergusonは、もっと上のステージを狙っていた。一旦、上を見てしまうと、足元を見直すのは、恐ろしく勇気がいるのだ。
 Kylieによって拡大したファン層の維持、さらにオーストラリア国内でのメジャー化を進めるため、ゲスト・ヴォーカルとのコラボは欠かせぬ要素だった。

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 レコーディング主体のディープ・ファンク・バンドというのは、世界中にほぼ存在しない。ほとんどすべてのバンドは、ライブを中心に据えた活動形態をとっており、Bamboosもまた同様である。
 そのメインであるライブでは、その都度、音源と同じゲストを呼ぶことはできないため、ヴォーカルはKylieのみとなる。なので、きちんとイコライジングされたレコーディング音源とは一味違う、普段着のBamboosがライブでは堪能することができる。
 かっちりプロデュースされたCDやシングルで、幅広いライト・ユーザーへアピールし、コアなファンに向けては、いつも通りの荒々しいライブ・バンドとして。そんな表裏一体の使い分けでもって、円滑なバンド運営を図れるはずだった。の、だけど
 課外活動で引く手あまたのKylieがBamboosに割く時間は、ますます減っていった。レコーディングでは、ゲストでつなげばどうにかなるけど、ライブではそうはいかず、どうしても常駐ヴォーカルが必要になる。
 ネーム・バリューのあるKylieが参加するかしないかで、ライブ動員も全然違ってくる。彼女のスケジュール次第でライブ日程が組まれるため、自然とライブ本数は減ってゆく。
 リーダーとして調整役に回らなければならないLanceもまた、ソロ活動というかいろいろなユニットに顔を出したり客演したりで、Bamboosに専念できない状態が続いていた。また世話好きの好事家だから、何でもホイホイ引き受けちゃうんだよな。

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 そんなわけで、なかなかメンバー全員が顔を合わせることができず、レコーディング主体の活動になっていたBamboosだったけど、皮肉にも一般的な人気は高まってゆく。
 著名ゲストを揃えたクセの少ない楽曲は、ヒット・チャートとの相性も良く、セールスも着実に伸びていった。一応、ディープ・ファンクの本分として、アルバムにはインスト・ナンバーやKylieヴォーカルの曲も入ってはいたけど、それもほんの付け足し程度、全般的にファンク臭は薄れてゆく。
 6枚目の『Fever in the Road』では、長年在籍したTru Thoughtsから、海外進出を前提としたPacific Theatreに移籍、セールス的には成功した。国内でのポジションも固まり、ここから本格的に世界へ羽ばたく雰囲気だった。
 その後、これまでたびたびゲスト参加していたTim Rogersとのコラボ・アルバムでは、もう俺の知ってるBamboosは、どこにもいなかった。確かに国内でのポジションはTimの方が上だし、彼らもその心づもりだったんだろうけど、ディープ・ファンクの香りはどこにもなかった。そこにいたのは、無難な演奏をこなすバックバンドだった。
 これじゃ別に、彼らじゃなくてもいい。スタジオ・ミュージシャンを使っても、なぁんも変わらない。
 そんなわけで、彼らとちょっと距離を置くようになっていった。

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 流れが変わったのが、サイドプロジェクトのCookin' on 3 Burners、2016年「This Girl」の世界的大ヒットだった。厳密に言えば、彼ら単体名義ではなく、フランスのDJ Kungs によるリミックス・ヴァージョンが注目されたのだけど、まぁ細かいことは抜き。とにかく彼らの存在は世界中に知れ渡り、ゲスト・ヴォーカルKylie の株も大幅に上がった。
 そんな勢いも借りてリリースされたソロ・アルバム『Family Tree』は、80年代ユーロビート・リバイバルの時流に乗ったサウンドをバックに、テンションMAXで歌い倒す快作となった。同じオーストラリアの歌姫Kylie Minogueをビルドアップして泥臭くした、強烈なダンス・ビートは、世界中のパリピを狂喜乱舞させるはずだった。
 通常の流れだと、このまま世界ツアーや各国のメジャー・アーティストとのコラボでステップアップしてゆくのだけど、なぜか彼女、グローバル展開へはあまり積極的ではなかった。Bamboosの面々をバックに従えた国内ツアーを終えると、そのままアルバム制作に移行する。
 で、できたのがこの『Night Time People』。



 そこらの自称ディーヴァ程度なら、軽く蹴散らしてしまうポテンシャルを有するKylie。 プロトゥールスで無理やりかさ増しされたデジタル・ビートなら、いとも簡単にねじ伏せてしまう。長年に渡って鍛え上げたれた強靭な喉は、向かうところ敵なしである。
 だからこそKylie、キンキンして無機質のDTMサウンドは物足りなく感じたのだろう。自分のポテンシャルを最大限引き出すためには、やはりフィジカルなサウンド、生のバンド・グルーヴじゃないとダメなのだ。
 一旦、外の空気を吸ってみないと、わからないことはいくらだってある。久々に一緒にツアーを回って気付いたのは、彼女が先だったのか、それともバンドだったのか。とにかく思い立ったら即行動、バンド再始動に向けて動き出す。

 そんなわけで『Night Time People』。今回、恒例のゲスト・ヴォーカリストはなし、ほぼKylie出ずっぱりで、直球勝負のディープ・ファンクが展開されている。水を得た魚のように、これまで以上に好き放題がなりたてるKylie、そしてそんな野放図ぶりをしっかり受け止める、盤石のバンド・アンサンブル。前作で特に顕著だった、耳ざわりの良いポップ要素は抑えられている。代わりに強調されているのは、無骨かつしなやかなグルーヴ感。
 一応、新機軸として、DJをフィーチャーしたお遊びもあるにはあるけど、以前のようにそれが売りになっているわけではない。ここでの主役は、あくまでBamboosだ。


NIGHT TIME PEOPLE
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01 Lit Up 
 先行シングルとして、オフィシャルサイトでもいち早くアップされた、復活を大々的にアピールしたパワー・チューン。トイ・ピアノっぽいイントロから遊び心満載、そこから一気にボルテージ・アップ。だけどバンドはクレバーで、Kylieも余力を残した歌いっぷり。そう、ショウはまだ始まったばかりなのだ。
 ちなみにミックスを手掛けたのが、往年の名エンジニアBob Clearmountain。こういったメリハリのある音は、さすが堂に入ったところ。



02 Stranded
 一転して、Kylieソロでも行けそうなポップ・ナンバー。ソウル色はあまりないけど、サウンドのわりに重い響きのバスドラが、バンドの存在感を引き立てている。

03 Golden Ticket
 で、ここでちょっとソウル色が強くなる。ノーザン・ソウルだな、いい感じのストリングスも入ってるし。先人へのリスペクトを表した、軽快なナンバー。ブラス・セクションがずっと出ずっぱりなのも、通常営業のBamboosらしさ。

04 Salvage Rites
 少しダークな趣きの、ロックっぽさも加味したナンバー。以前だったらもっと甘めに仕上げていたんだろうけど、そこはKylieが歌うだけあって、ボトムの効いたロッカバラードとして成立している。

05 Pony Up
 ライブ映えしそうな、重めのファンク・チューン。演奏陣とのコール&レスポンスが聴きどころ。ほど良い緊張感が全体を支配し、一触即発予測不能のセッションとなっている。彼らとしては珍しく、オルタナ風のディストーション・ギターでのソロが聴ける。

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06 Night Time People
 タイトル・トラックは、モノローグ風に早いテンポのヴォーカルからスタート。ゴリゴリのファンクかと思ったら、案外凝った構成なので、聴き進めると面白い。

07 Backfired
 ルーズなタッチのモダン・ブルース。ブルースという性質上、演奏の方が目立っており、ブラスが特にあれこれ技の出しまくり。Lanceのギター・ソロも出てくる。でもこの人、ほんとブルース色は薄いよな。普通にリズム切ってる方がしっくり来る。あ、でもあんまりしつこくないから、それはそれでいいのか。

08 War Story
 ファニーなノーザン・ソウル風のイントロは、Kylieのソロっぽい。あれだけ豪快ななりをして、これだけパワフルな歌いっぷりだというのに、可愛らしさが漂うというキャラクターは、ある意味貴重。

09 You Should've Been Mine
 60年代ソウルへのリスペクトを踏まえながら、よりポップに、そしてパワフルさを付け加えた、壮大なスケールを想起させるミドル・バラード。今後、彼らのスタンダードとして残るべきアンセム。

http-365daysinmusic.com-wp-content-uploads-2013-09-The-Bamboos

10 San Junipero
 ラス前は恒例のインスト・ナンバー。たっだ1曲ではあるけれど、以前のアルバムのように、演奏陣が隅に追いやられている感はまったくない。Kylieの歌があってこそのBamboosであり、そして逆もまた同様。モダンでありながら、どこか泥臭い。そんな彼らの熱いステージがイメージできる。

11 Broken (feat. J-Live)
12 Broken (feat. Urthboy) 
13 Broken (feat. Teesy)
 で、ボーナス・トラック的なここから3曲、バンドによるベーシック・トラックをもとに、3人のラッパーが絡んだ珍品。よくこんなこと、アルバムでやるよな。普通、シングルの企画だろうに。そこら辺にも手を出すところが、また彼ららしい。普通には終わらせないぞ、という気骨のあらわれか。
 リズミックでオーソドックスなJ-Live、ちょっとギャングスタっぽくルーズなノリのUrthboy、Tessyなんてドイツ語で独特だし。ラップ系はあんまり詳しくない俺だけど、各人フィーチャーする箇所が微妙に違っているので、聴き比べるのもなかなか面白い。





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世界のジャズ・ファンク・バンド巡り:オーストラリア編 – Bamboos 『Listen!Hear!!The Bamboos Live!!!』

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 以前紹介した、バンド・リーダーLance Fergusonによるサイド・プロジェクトCookin on 3 Burnersが、同じファンクのカテゴリーでも少しジャズ寄りであるのに対し、専属ヴォーカルも在籍する本家Bamboosはソウル/ファンクのテイストが強い。どちらもエモーショナルでグル―ヴィーな演奏であることは共通しているけど、本家の方がヴォーカル・ナンバーも多い分だけ、地元オーストラリアでも認知度は高い。
 
 で、この人たち、ほんとに演奏すること自体が好きなのか、Lanceを筆頭に、各メンバーそれぞれ様々なサイド・プロジェクトに勤しんでおり、そのすべての相関図を作ろうものなら、そりゃもうとんでもないカオスなものになってしまう、ま、やる気もないけど。メイン・ヴォーカルであるKylie Auldistもまた、最近ではむしろソロ活動の方がメインとなっているし、あらゆる方面で客演も行なっている。どのメンバーも現場感覚を重視した活動を行なっており、そこから派生したサイド・プロジェクトを探して聴き込んでゆくのも、楽しみのひとつではある。
 
 2000年結成、2006年にデビュー・アルバム『Step It Up』をリリースしているのだけれど、その前の2004年、日本でもYMOのカバーで有名な"Tighten Up"のシングル・リリースによって、バンドは一気に注目されることになる。
 これまでに6枚のスタジオ・アルバムをリリース、そしてこの『Listen! Hear!! Live!!!』は2008年リリース、2枚目『Rawville』と3枚目『Side-Stepper』との間にリリースされている。
 オーストラリア以外での認知度はまだまだ低いけど、国内チャートではすっかり常連、国内の有名アーティストとの共演も多くなりつつあるBanboos、彼らが道筋をつけてくれたおかげで、オーストラリアのジャズ・ファンク、ディープ・ソウル界隈は次々に新しいアーティストが輩出されている。ジャンル的にはいい傾向である。

bamboos

 最近のアルバムの傾向としては、大幅なコンテンポラリー化が進められており、多彩なジャンルのゲスト・ヴォーカルを迎えることによって、バンドの原点である純粋なインスト・ファンク・ナンバーの収録数が減ってきているのは、ちょっと寂しい限り。
 今年に入ってからは日本・アメリカ西海岸のプロモーション・ツアーを敢行するなど、セールスのターゲットが次第にグローバル化してきているのも、そのコンテンポラリー化の流れによるものなのだろう。なので、サウンド全体がポップ寄りになってきており、従来ファンが求めるところのファンク・エッセンスは次第に薄められつつある。
 バンドの成長過程にとって、あらゆる要素を吸収してゆくこと、存在感やスケールの成長を目の当たりにできることは喜ばしいことなのだけど、例えば昨年リリースされた『Fever In The Road』、一見さんにも優しい、聴きやすくまとめられたサウンド・デザインになっている。時間と予算をかけられた分だけ、作品としてのクオリティは高いのだけど、逆にツルッと引っかかりがなく、どうにも普通のポップ・ロック的なサウンドに落ち着いてしまった感がある。オフィシャル・サイトやYoutubeで公開されているライブでは、相変わらずの泥臭いソウル・レビュー・スタイルなのだけど、いざアルバムになってしまうと「ゲスト・ヴォーカル+熟練バック・バンド」的に小さくまとまってしまい、そこがちょっと寂しい。

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 これはBamboosだけに限らず、21世紀に入ってからのバンド、特にライブ活動を主体とするバンド全般に言えることなのだけど、実際のライブ演奏とスタジオでの演奏とのギャップをいかに埋めてゆくか―、かつてはその命題に苦悩するバンドも多かったのだけど、近年は様相が変わってきている。CDセールスが収益のメインだった頃の「ライブ+スタジオ・サウンドの融合」というめんどくさいこだわりは捨てて、「それはそれ、これはこれ」と、はっきり方向性を分けるアーティストが多くなってきている。アルバムは名刺代わりと割り切って、ライブで本来のグルーヴ感を発揮する、といった風に。
 昔ほどアルバムという形態が重要でなくなり、またYoutubeを利用してのライブ配信、独自オフィシャル・サイトでの通販なども積極的に行なわれていることも一因だろう。
 
 このライブ・アルバムもまた、通常の販路では取り扱いがなく、公式サイトの通販のみ、しかも限定である。日本でも独自に通販ショップが仕入れたりもしているけど、品切れも多く、マメに探さないと手に入れることもできない状況が続いている。
 ほんとは手軽に入手できるアイテムを紹介したかったのだけれど、まぁ自ら探し回ることも音楽には必要だと思う。
 
 これだけ便利な世の中になってきても、自分に合う音楽は、やはり自分で能動的に探さないと見つからない。以前より情報量に伴って選択肢の幅が広くなっただけで、そういったことって、実は昔からあまり変わっていないのだ。
 ただ、自分からアンテナを張って見つけたものは、限りなく愛着が湧き、愛おしくなる。それも昔から変わらないことだ。


Listen! Hear!! the Bamboos Live!!!
Bamboos
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1. Intro - Jan Jan / Sing A Simple Song / Lickin Stick / Root Down (And Get It)
 
2. The Bamboos Theme
 この辺までは、ほぼひと繋がりのジャム・セッション風プレイ。Sly & The Family StoneやJames Brown、Jimmy Smithなどのフレーズを持ち込んだりしているらしいけど、これだけ多彩だとオリジナルにまですぐ辿りつくのはムリ。ただ、先人のナンバーへのリスペクト具合はよくわかる。もしかすると、明記している以外にも様々な隠しフレーズがあるのかもしれない。
 
3. Another Day in the Life Of Mr Jones
 デビュー・アルバム『Step It Up』収録のインスト・ナンバー。鉄壁のリズム・セクションに、ギターのカッティング具合はMetersへの深い愛情が感じられる。サックス・ソロもJB’s直系。

Adam+Bostock+20

4. The Witch
 渋いベース・ラインにドロドロ・ファンク・テイストのホーン・セクションが絡む。ファンク・ナンバーには必須のオルガン・ソロもグル―ヴィー。その後のブレイクで観声が湧きあがる。ライブ序盤にもかかわらず、すでに客席は盛り上がっている。
 
5. Step It Up
 ここで歌姫Kylie登場。名カバー"Tighten Up"直後のシングル・ナンバー。ライブ・ヴァージョンはギターの音色がとっても泥臭くってナイス。
 かなりライブ映えする声量のKylie、この頃は正式加入間もなかったはずだけど、すでに貫禄たっぷりに、Lance以下面々をバック・バンドのように従えてバンドを引っ張っている。

 
 
6. I Don't Wanna Stop
 2枚目『Rawville』収録、ちょっと懐かしめな風味のソウル・ナンバー。レア・グルーヴ系のコンピレーションに入っててもおかしくないくらい、時代を超えたポップ・ソウル。踊る、というよりユラユラ体を揺らしながら聴いていたい、とっても気持ち良くなる、そして気分も良くなるスウィート・ソウル。
 なんか旨いウィスキーをチビチビ嘗めながら、マッタリしてしまいそう。

 
 
7. Bring It Home
 同じく『Rawville』収録ナンバーだが、シングル・アルバムではAlice Russellという、こちらもディープ・ソウル・シーンではしょっちゅう顔を出すシンガーが歌っており、Kylieヴァージョンが聴けるのはこのアルバムだけ。
 どちらもパワフルさにおいては優劣の付けようがないが、サウンド的な好みとしてはやはりライブ・ヴァージョンの方が分が良い。これはAliceのせいではないけど、スタジオ・ヴァージョンは音の分離が良すぎて、ヴォーカルとバックのサウンドのミックス加減にやや難あり。Kylieヴァージョンを聴いてしまうと、すでに自身の持ち歌として消化してしまっていることがわかる。

 

8. Interlude - Hot Pants Break Down / Captain Buckles / Upstairs On Boston Road / Ghetto Funk / Sister Janie
 Soul Toronadoes、David "Fathead" Newman、Sammy Gordon And The Hiphuggersなど、オールド・ファンクのレジェンド達へのリスペクト感満載のインスト・カバー。この辺でKylieご休憩かお着替えタイム。
 俺的に、レア・グルーヴのここまでディープな部分は把握し切れていないのだけど、どこかで聴いたことがあると思った3曲目”Upstair~”、UKが誇るジャズ・ファンク・バンドSpeedometerがカバーしていた。目の付け所って、どうしても似ちゃうんだよな。
 
9. My Baby's Cheating (I Sure Got That Feeling) 
 再びKylie登場、こちらも『Rawville』収録時はFallon Williamsという男性シンガーが、かなり泥臭く歌っていたのだけど、同じ貫禄たっぷりでもKylieの場合、女性らしく緩急をつけたヴォーカライズのため、こちらの方が聴きやすいし、ライブ映えもする。
 やはりこのバンド、リズムがとっても気持ちいい。特にこの曲はベースがいい感じで走っており、ライブもクライマックスに達している。

Adam+Bostock+38

10. Never Did I Stop Loving You 
 アルバム・シングルとも未収録、今のところこのアルバムかライブでしか聴けない、Alice Clarkが初出のレア・グルーヴ定番ナンバー。
 それをいとも簡単に消化して自分のものにしてしまうKylie、このアルバムの中では一番輝いている。Alice Clarkのレビューにて、「演奏がシンガーを食ってしまっている」旨を書いたのだけど、ここではシンガー・プレイヤー双方が愛情あふれるリスペクトに満ちあふれており、互いが互いを引き立てている。そしてそれを受け入れる会場のオーディエンスたちの温かい声援。
 実はBamboos名義ではないが、Kylieソロ名義として、スタジオ・ヴァージョンが一応存在するのだけど、やっぱりこのライブ・ヴァージョンが一番。
 
11. Amen Brother
 古今東西、様々なアーティストにカバーされてきた、ド定番のインスト・ファンク・ナンバー。誰でもサワリくらいは聴いたことがあるくらい、それほど全人類のDNAに既に刷り込まれているであろうナンバー(ちょっと大げさか)。それをBamboos、敢えて変則技を使うこともなく、直球ストレートでカバーしてきた。
 ま、そうだよな。これだけ先人たちがカバーしてるんだから、今さら新機軸の解釈なんてないよな。でも、そのワンパターンぶりが堂に入っている。多分ライブのエンディングで何度も演奏してきた手練れの曲なのだろう。




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ホントは今でもゴリゴリのジャズ・ファンク - Bamboos 『Step It Up』

folder 2006年リリース、オーストラリアではバツグンの知名度を誇るジャズ・ファンク・バンドBamboosの記念すべきデビュー・アルバム。結成が2001年ということで、アルバム・デビューは遅かったけれど、基本シングル中心の活動というのは、現代ジャズ・ファンク・バンドにとってはよくある話。
 彼らが一気に話題になったのは、2003年2枚目のシングル”Tighten Up”から。日本ではYMOが『増殖』でカバーしてから話題になり、近年もビールのCMで起用されるなど、忘れられる前に誰かが取り上げることによって、息の長いヒットになっている。そんなヴィンテージなファンク・インストを、ほんと何の衒いもない直球ストレートなアレンジで彼らがカバーすることによって、一躍クラブ・シーンに躍り出たBamboos、そんな前評判もあっての、満を持してのデビュー・アルバムとなったのが、本作。

 順調かつ地道にキャリアを積んできたことによって、本国オーストラリアではポピュラー・シーンにおいて、それなりのポジションでは収まっているらしい。いわゆる一般的な大ヒットまではいかないけど、現時点での最新アルバム『Fever in the Road』が、国内アルバム・チャートでトップ20に入る程度の固定ファンは掴んでいる。
 20位がやっとなのか、という見方もあるかもしれないけど、ライブ中心で活動している彼らのようなジャンルでありながら、ここまでのチャート・アクションというのは、世界的に見ても立派なものである。それほど枚数が捌けるジャンルではないのだ。ここまで国内メジャーのポジションを獲得したバンドは、俺が知る限りでは日本のスカパラくらいのものである。

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 ちなみにここ数枚の彼らのサウンドの傾向だけど、あくまでアルバム単位に絞って言うと、得意のジャズ・ファンク・テイストはあまり前面に出さず、もっと一般リスナーに開かれたコンテンポラリーなサウンドを展開している。デビュー当時からずっとオーストラリア国内のレーベルTru Thoughtsに所属していたのだけど、最新作からは配給元が変わり、同じくオーストラリアのInertiaというレーベルに移籍している。
 オーストラリアのエンタメ・シーンがどうなってるのか、正直俺の認識では、AC/DCとINXSとOlivia Newton-Johnで止まっちゃってるので、詳しいところはわからないのだけど、オフィシャル・サイトを見る限りでは、オルタナ・ロックからダンス・ポップまで扱う総合レーベルのようである。多分、販売力もしっかりしてそうなので、半インディー的なスタンスであるTru Thoughtsでは賄いきれなくなった部分もあるのだろう。

 そういった事情もあって、近年は多彩なゲストを入れたポップ寄りのサウンドに変化してきたわけで、今やアルバムだけで考えると、まったく別のバンドになっちゃってるのが現状。セールス的には上向きになっているので、バンド運営的には正しい戦略だったと言わざるを得ない。得ないのだけど。
 ただし、完全にメジャーに魂を売ってしまったわけではないようで、近年のライブ映像では、相変わらずのジャズ・ファンク振り、オールド・スタイルのソウル・ショウを展開している。プレイヤー・サイドから見れば、パッケージとライブとでコンセプトを変えることによって、うまい具合にガス抜きしてるんじゃないかと思う。ほんとのBamboosを見たければ、ライブに来なよ、とでも言ってるかのように。
 でも、あんまり日本に来てくれないじゃん。
 
bamboos

 その『Fever in the Road』から急激に売れ線に走ったというわけではなく、緩やかな変化はもう少し前、5枚目の『Medicine Man』あたりからヴォーカル・ナンバーが増えている。しかも、それまではほぼ出ずっぱりでヴォーカルを取っていたAlice RusselやKylie Auldistが次第にソロ活動を重視してきて、参加するのが少なくなってきたことに合わせて、次第に複数のゲスト・ヴォーカルを迎えることが多くなってきている。
 そのような戦略によるため、アルバムだけで見ると、だんだん普通のバンド化しているのが現状である。グローバル戦略としては正しいのだろうけど、古くからのファンからすれば、その変節に複雑な思いを抱くことも多いのかもしれない。俺はその『Medicine Man』から彼らの存在を知って、そこから遡って聴いてきたクチなので、そこまで強く初期サウンドに固執しているわけではない。しかし、ジャズ・ファンク・バンドを漁ってきた身からすれば、次第に洗練されつつある近年の作品は、以前ほど聴く機会が少なくなっているのが事実。

 どのジャズ・ファンク・バンドもそうだけど、サウンドの性質上、どうしても大所帯になってしまい、バンドの維持にはどこも苦労している。他アーティストのサポートやホーン・セクションの外部委託に頼らず、バンド単体で自立してゆくためには、こういったスタイルで生き残ってゆくのもひとつの生き方ではある。

 初期のBamboosは、そういったポピュラリティーをあまり考慮しないところで音作りしているので、現代ジャズ・ファンクが好きな人なら、まずハズレはない。JBやMetersなど、シンプルに自分たちの趣味、自分たちが影響を受けてきたモノにこだわり、出したい音をそのままストレートに出しているスタイルなので、何も考えずにノルことができる。


Step It Up
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1. Step It Up
 どストレートなファンク・ナンバー。歌うは歌姫Alice Russel。彼女の声はソウルフルではあるけれどそれほど泥臭くなく、同じく洗練されたバンド・サウンドにはうまく馴染んでいる。この後のAliceはソロ活動も盛んとなって、近年ではQuanticとコラボすることが多くなって、ちょっとソウル方面とはご無沙汰になってしまうのだけど、ここではパワー全開のソウル・チューンを難なく歌いこなしている。ライブを見てもらえればわかるように、ほんとずっと聴いてたくなるようなナンバー。たった3分で終わってしまうのは惜しい。



2. Tighten Up/Album Version
 オリジナルは言わずと知れたArchie Bell & The Drellsによる1968年のヒット・ナンバー。基本オリジナルに忠実なカバーなのだけど、リズムはこちらの方が立っている。オリジナルはスッカスカのリズムと間の抜けたホーンとのアンサンブルが絶妙だったのだけど、ここでは敢えてコントラストを強調している。ギターのカッティングもソリッドになっている。



3. In The Bamboo Grove
 タイトルはもちろんJBの”In the Jungle Groove”からインスパイアされたもの。立ち上がりはネチッこいスロウ・ファンクだけど、終盤に向かうにつれテンポ・アップして、ラストはうまくまとめている。

4. Golden Rough
 ほんとJB'sが好きなんだな、と感心してしまうナンバー。リズムのボトムが思いっきり腰より下で響き、ホーン・セクションとのコンビネーションも絶妙。この辺はリーダーLance Ferguson(G)のセンスによるものだと思う。

5. Black Foot
前2曲からテンポ・アップし、今度はBen Graysonによるハモンドが主役のナンバー。シンプルなミニマル・リズムに的確にフレーズを叩きこむBenのプレイは、地味だけど数多の黒人ファンク・バンドを凌駕するテクニックを発揮している。こちらも恐ろしくコンパクトに、3分ちょっとにまとめている。フェード・アウトしてしまうのが惜しい。

6. Transcend Me
 人力ブロークン・ビーツに乗せて、再びAlice登場。この辺は古き良きジャズ・ファンクだけでなく、Bamboos独自のモダン・ファンク・サウンドを感じさせる。ただ往年のサウンドの再現だけじゃダメなのだ。こういった曲も、バンドを前進させてゆくためには必要である。俺はシンプルなジャズ・ファンクが好きだけどね。

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7. Tobago Strut
ホーン・セクションが出ずっぱりで活躍するナンバー。ちなみにこの時点でのホーン担当はAnton Delecca(Tenor S), Ross Irwin(Tr)のたった2名。フルートなどブラス系全般をまかなっていたわけだけど、とても2人でやっているとは思えないほどの音の厚みを実感してほしい。

8. Another Day In The Life Of Mr. Jones
 ちょっとセカンド・ラインも入ったオールド・タイプのファンク・チューン。Lanceという人はリーダーでありながら、あまり前に出ない人だけど、ここでもひたすらバッキングに徹し、クレバーなリフや細かなオブリガードを刻んでいる。

9. Crooked Cop
 再びスロウ・ファンク。ファンクと言えば高速カッティングと16ビートの切迫したリズムが持ち味だと先入観を持ってる人にこそ、ぜひ一度聴いてほしいナンバー。これだけリズムのタメがありながら、ファンキーさを出せるバンドは、なかなかいないはず。



10. Eel Oil
 直訳すれば「ウナギ油」。もちろんインストのため、どの辺がウナギなのかは不明。脂っこさはそこそこあるけど、うまくソフィスティケートされているため、クドさは感じない。
 スネア中心の音作り、そして珍しくソロを聴かせるLanceもまた、ここが見せ場と張り切っている。とにかくスネアの音が乾いて軽くて気持ちよく、シングルとしてリリースされたのも頷ける。

11. Voodoo Doll/Album Version
 これまでとはちょっと毛色の違った、どこかセッション的な雰囲気を感じさせるナンバー。比較的カッチリした構成の演奏を見せるBamboosだけど、ここではリラックスして、やや緩めのアンサンブルを見せている。ギターのセカンド・ライン・テイスト、ハイハットの響きがとても印象的。




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北海道の中途半端な田舎に住む、そろそろアラフィフ男。ほぼ週1のペースで音楽ブログ更新中。節操ない聴き方と思われてるけど、自分の中では一貫してるつもり。 最近は蔵書の整理がてら、古い本を再読中。ジョン・アーヴィングから始まって、フィッツジェラルドやゾラ、モームなど、いわゆる古典の復習中。いつになったら終わることやら。新刊読めねぇや。
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