好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そういったゆるいコンセプトのブログです。

世界のジャズ・ファンク・バンド巡り:フランス編 - Electro Deluxe Big Band 『Live in Paris』

folder 日本ではまだあまり紹介されていない、ていうかこのアルバム、日本未発売。フランス産のバンドのご紹介。
 
 あくまで俺の私見だけど、「フランスの音楽」といって思い浮かんだのが、シャンソンかMichel Polnareff(古すぎるか?)、それかSerge Gainsbourg。でもちょっと調べてみたところ、現在のフランスは、政府主導による移民政策の強力な後押しによって、全人口の10%以上がイスラム系という、アメリカも顔負けの多民族国家になっており、前記のような古典的な音楽はむしろ少数派となっている。
 ジャズ畑のミュージシャンがJames Brownに憧れたのか、ファンク系ミュージシャンがジャズを演奏したくなったのか、それともヒップ・ホップ系DJがトラックを繋ぐだけでは飽き足らなくなったのか―。
 いろいろ経路はあるだろうが、ここ十年くらいの間に自然発生的に、しかも世界中でほぼ同時多発的に静かに盛り上がったのが、この現代ジャズ・ファンク・ムーヴメントである。
 特別、ビッグ・ヒットを放ったアーティストがいるわけではない。ただ演奏したい、聴いてもらいたい、という純粋な発想が先だって、現在でも静かに長く続いている現象である。
 
 非英語圏という言語的な問題のため、ただでさえ日本人にとっては敷居の高いフランスの音楽だけど、このバンドも含め、現代ジャズ・ファンク・バンドの多くは英語で歌っているので、比較的とっつき易い部類に入る。全世界的な流れとして、英語で歌っていればグローバルな活動ができるので、特に情報がボーダーレス化した近年では、アメリカ・イギリスなどの英語圏にこだわらず、スペインやドイツ、フランスなど、非英語圏でのリリースが多いのも、このジャンルの特色である。

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 前述したようにitunesやamazon、youtubeなどの手段によって、低コストで情報発信が瞬時に行なえるようになってきたため、口コミでの情報伝達は早いけど、メジャー・レーベルがあまり参入しづらい、すき間産業的なジャンルのため、大きなブレイクが見込めないことも、このジャンルの広がりづらさの一因でもある。
 
 日本での紹介も少ないため、情報があまりないのだけれど、2001年Gaël Cadoux(key)とThomas Faure(sax)が中心となってバンド結成、James Copley(vo) Jérémie Coke(per) Arnaud Renaville(dr)が加わり、2005年『Stardawn』、2007年『Hopeful』、2010年『Play』と3枚のアルバムをリリースしている。で、今回紹介するのが、それまでの総集編とも言うべきライブ・アルバムである。
 ちなみにバンドの正式名称はElectro Deluxe、主要メンバーは5人だけど、ゲスト・ヴォーカルやミュージシャンの参加が多いため流動的で、しかも今回のようなライブ編成、ブラス中心のビッグ・バンド総勢13名が加わると、かなりの大所帯バンドに進化する。
 調べてみて分かった情報は、ほんとこれだけ。俺自身、フランス語はネイティヴではないので、あとは勉強するしかないけど、どちらにしろ情報開示の少ないバンドではある。

 何となくのイメージなので、誤解だったらすぐ謝るけど、フランス人というのはプライドが高く、ライフスタイルや主義主張などもすごく洗練されているのだけれど、なんというかこう、英語圏と比べて閉鎖的というのか、「わかんないんだったらそっちで調べろよ、なんでこっちがわざわざ教えてやんなきゃいけないの?」的な、ぶっきら棒で不親切なイメージがある。
 HPを見ても、バイオグラフィーは制作中、簡単なディスコグラフィーとツアー・データが載せられてるだけ。もうちょっと何とかなんないの?と言いたくなる。

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 そのツアー・データを見ても、ほとんどがフランス国内のライブに限られており、せっかく認知度も上がってきているはずなのに、非常にドメスティックな活動振りである。よほど愛国心が強いのか、それとも海外渡航がヤバいメンバーがいるのか、せっかく英語で歌っているのだから、もっと幅広い活動を行なえばよさそうなのに、である。
 現実的なところで言えば、ビッグ・バンドを抱えた大所帯ゆえ、いろいろな経費が掛かるのだろう。Prince『Lovesexy』のレビューでも述べたように、バンドというのは、それはもう、存在するだけで膨大な経費がかかるのだ。
 
 基本はジャズ・バンドから始まったのだろうけど、そこにファンク要素と若干のエレクトロ風味(デビュー当時はエレクトロ色が強かったため、一聴するとただのアシッド・ジャズに聴こえる曲もあったけど、ここ最近の2枚では生音主体のため、有名無実化している)を絶妙なバランスでミックスしている。移民が多いお国柄ゆえ、ラッパーとの共演も多いので、ジャジー・ラップ好きの人にも充分アピールしやすいんじゃないかと思う。
 シンセや日雇いのミュージシャンではなく、自前のブラス・セクションを抱えているため、ジャズ要素も強く、これが一番言いたいのだけれど、物量的に他のバンドよりも音が厚い。
 
 でも売れないんだろうな、日本やアメリカだったら。
 日本ではP-VINEがすごく頑張ってくれてるんだろうけど、結局はごく小さなムーヴメントなので、いくらプロモートしたとしてもたかが知れており、横には大きく広がらない。

 コンスタントにライブを重ねているバンドなので、盛り上げ方が上手く、サマソニやFUJI ROCKなんかに出たら、それこそ日本でも人気が出るのだろうけど、何しろ大人数のため、呼ぶにしてもかなりの出費を覚悟しなければならず、主催者側が二の足を踏んでしまうのも、なんとなくわかる。
 世界中のコアなファンの間では、twitterで情報やレビューが飛び交っているのだけれど、日本では相変わらず発売すらされない有様である(しつこいかな)。


Live in Paris
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Electro Deluxe
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1. Let's Go to Work
 オープニングは、当時のレイテスト・アルバム、3枚目『Play』からの曲。
 オリジナル・ヴァージョンは、演奏自体はほぼ同じアレンジながら、ラッパーGaël Fayeとの共演。ライブではJamesがほぼメインで歌いまくっている。
 ビデオを見てもらえばわかるけど、とにかく楽しそう。演ってる方も見てる方も楽しい、そんなライブ。

 

2. Black and Bitter
 こちらも『Play』より。往年のビッグ・バンド・スタイルとFunkの融合。ブリッジのハーモニカがまたドライ。
 普通ハーモニカの音色といえば哀愁を漂わせることがセオリーみたいになっているが、Jamesのハープは普通にビッグ・バンド・ジャズと果敢に渡り合っている。
 
3. California
 出だしがStevie Wonder“Too High”っぽい導入部で始まる、バンド主体の曲。
 現代ジャズ・ファンクの特徴として、インストとゲスト・ヴォーカル入り楽曲で構成されており、メジャーに近くなるほどヴォーカルの比率が高くなるのだけれど、彼らもまた例外でなく、Jamesの出番が多くなってきているが、それに比例するかのようにビッグ・バンドの出番も多くなり、エレクトロ要素は次第に少なくなってきているので、結果的にはOK。

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4. Play
 
5. Between the Lines
 彼らの中では比較的メジャーな部類に入る曲。俺もこの曲から彼らに興味を持ち始めた。
 今までジャジー・ラップというジャンルに興味がありながら、どれもいまいちピンと来なかったのだけど、この曲は目から鱗だった。ラップとの親和性を重視した、寄り添うバック・トラックではなく、ライムに負けないブラス・セクションの圧倒的なパワー、一見慇懃無礼で胡散臭いフランス人そのままのJamesとの掛け合いが、この曲を際立たせている。

 

6. Please Don't Give Up
 前曲に引き続き、こちらもライブでは定番のキラー・チューン。ビデオでは、ガタイの良い黒人ラッパーBen L Oncle Soulと、蝶ネクタイの胡散臭い中年男Jamesとの掛け合いが面白い。
 CD版では、ここまでが1枚目。

 

7. Back to the Riddle
 2枚目トップは少しシックな、ジャズ・テイストの強いサウンド。それでも相変わらずJamesのヴォーカルはねちっこい。1分半ほど過ぎてからのブラス・セクションがカッコイイ。
 
8. Point G
 
9. Old stuff
 
10. Where Is the Love
 再びキラー・チューン。オリジナル同様、6.でデュエットしたBen L Oncle Soul 再登板。ライブなので互いにエキサイトした、ねちっこい歌い方だけど、オリジナルはもう少しマイルドになっている。
 昔風の言い方なら、全体的にバタ臭いテイストのバンドなので、例えばこの曲なんかも、外資系企業のCM、例えばappleなんかが使ってくれたら、イメージ的にもマッチするんじゃないかと思うんだけど。まぁapple じゃムリか。

 

11. Talking About Good Love
 
12. …Talking After Good Love
  ややエレクトロ風味の鍵盤からの導入部、ホーン・セクションがけたたましく響き、相変わらず胡散臭いJamesのヴォーカル。ビジュアル面から見て、さすがフランスだけあって、主要メンバーの誰もが、ラフでありながらケレン味があるというのか、どいつもこいつもおしゃれ番長である。それでありながら、ひとりごっついMorrisseyのように異彩を放つ、Jamesの存在感。
 ここまで書いてみて、方向性はまるで違うのだけれど、バンドの安定した演奏力、アクの強いヴォーカルというのが、日本で言えばウルフルズに結構近いんじゃないか、とふと思ってしまった初秋の夜長。
 
13. Peel Me




 最近では胡散臭さに輪をかけたように、売れない映画俳優みたいな風貌になってきたJamesを筆頭とするElectro Deluxe、あくまで自分たちの活動ペースを崩したくないのか、当面フランスから出る気配はなさそうである。
 札幌に来るなんてことは夢物語になりそうなので、取りあえずは解散せず、時々作品を作ってくれれば、それでよい。幸い、HPをチェックしていれば、不定期にビデオ・クリップをUpしてくれるので、それがビデオ・レター代わりになってくれている。
 
 つい先日も、新しい便りが届いた。今回はスタジオ・セッション風、もう少しラフな、素のElectro Deluxe達だ。



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多分あまり知られてない、『無記名の音楽』 - James Mason 『Rhythm Of Life』

folder グーグルで「James Mason」で検索しても、出てくるのはイギリスの古い映画俳優の名前ばかりで、ジャズ/フュージョン・ミュージシャンJames Masonについては、ほとんどヒットして来なかった。wikiでも一応調べてはみたのだけど、この『Rhythm Of Life』のこと以外、経歴・バイオグラフィー・ディスコグラフィーその他諸々の詳細は、ほとんどわからなかった。
 
 ギタリストとして、Roy Ayersの元にいたところまでは、割とよく知られているけど(といっても、世界中のレア・グルーヴ・マニアのごく一部だけだろうけど)、まともなソロ・アルバムはこれくらいしかないので、それ以前・以後のことはほとんど知られていない。
 生きてるのか死んでるのか、もし生きていたとして、ミュージシャンとしては現役なのか隠遁状態なのか。1980年ごろ、日野皓正のアルバムにチラッと参加したらしいけど、これは未聴なので、結局わからずじまい。
 それくらい謎のヴェールに包まれた、乱暴に言っちゃえば、それほど関心を持たれなかった人である。
 
 1977年リリース当時も、それほど売れたわけではない。当時の新人アーティストの慣例として、アルバム契約もワン・ショットだったと思われる。
 これが売れれば次のアルバム制作もあり得たのだろうけど、あいにくフュージョン・ブームに乗っかるにはナイーヴすぎたのかもしれない。Herbie Hancockほどの下世話さと政治力があれば、また歴史は違っていたのだけど、セールス的にも次を期待されるほどの成績は残せなかった。なので、その後は表舞台へ出ることもなく、そのまま時代に埋もれてしまう羽目となる。

ダウンロード

 彼が脚光を浴びたのはもっと後年、世界的なレア・グルーヴ・ムーヴメントでの再評価がきっかけだった。最初はヒップホップから、主にサンプリング・ソースとしての需要だった。
 ブームの最初の頃なら、James BrownやCurtis Mayfieldなど、ソウル/ファンクの有名どころから引っ張ってくればよかったのだけど、みんながみんな同じ音源を使いまわしてると、次第にそれも飽きられてくる。市場が爛熟化してゆくに連れ、まだ誰も手をつけてないソースを使って差別化を図らないと、生き残ってはゆけないのだ。
 そういった事情もあって、世界中の場末の中古レコード店のエサ箱は、クリエイター達によって発掘されることになる。時代の流れに埋もれたジャズ・ソウル・ファンク・フュージョンの旧作が彼らによってサルベージされ、「隠れた名作」というレッテルを張られ、市場に再出荷された。
 Jamesのこのアルバムも、リリースから15年の歳月を経て、DJや研究家によって再発見されて脚光を浴び、今ではレア・グルーヴ界ではスタンダードとなった。
 
 解明されている個人情報がほぼ皆無のため、アーティストのネーム・バリューなどの周辺情報を抜きにした、残された音楽のみが純粋に評価された、アーティストとしては、ある意味究極の理想である。「無記名の音楽」とは、最高の褒め言葉だろうか。
 
 初ソロ・アルバムだけあって、かなりの気合の入り方が窺えるけど、ジャズ/フュージョンというジャンルにしては珍しく、特にマルチ・プレイヤーとしての才能が開花。本来の担当楽器であるギターはおろか、ピアノやフェンダー・ローズ、ムーグなどの鍵盤系を操ることはおろか、アレンジ・プロデュースもほぼ独自で行なっている。
 
 時代的な背景もあるのだろうけど、どちらかといえばフュージョン寄りの人である。70年代のジャズ・シーンにおいて、正統なモダン・ジャズはほぼ衰退しており、この時期にジャズで身を立てていこうとすれば、スタジオ・ミュージシャンかフュージョンの途へ行くか、はたまたこのJamesのアルバムのように、ファンク成分を混ぜたジャズを演奏することがトレンドとなっていた。 
 ほとんどの曲がヴォーカル入りなので、普通のソウル、ファンク好きの人でも充分楽しめるだろうし、こうした演奏メインの音楽に新しい価値観を見出す人も、少なからずいると思う。俺もその一人だ。


Rhythm of Life
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James Mason
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1. Sweet power your embrace
 James自身のアープによるイントロから、印象的なギターのカッティング。ジャズ/フュージョンの場合、ある程度の基準で演奏テクニックが保証されているので、変にギターの音色にエフェクトをかける必要がなく、ごまかしのないクリア・トーンを聴くことができる。
 2分半も経ってから、やっとClarice Taylorのヴォーカルが入る。力強くありながら、曲に合わせて抑えたヴォーカル。Justo Almarioによるスタンダード・ジャズ・スタイルのサックス・ソロと、Jamesによる激しいギター・ソロが絡み合ってフェード・アウト。

 
 
2. Good thing
 Clariceの独壇場。レア・グルーヴのコンピに何度も収録された、クールなソウル・ナンバー。ギターはそれほど効いてなく、Jamesはトータルなサウンド・メイキングに徹している。
「パッパラッパッパー」と薄くかかるバック・コーラスもソウル・マナーに則っている。
 
3. Free
 Mustafa Ahmedによるコンガのアフロ・ビートとJamesのアープが絡む。
 ここでの主役はNarada Michael Waldenによる正確なハイハット。
 今ではプロデューサーとしての名声が上になってしまったNarada Michael Walden、かつてはジャズ・ミュージシャンとしての活動もコンスタントに行なっていた。これだけ曲を引っ張るドラムが叩けるのに…。
 ある時期から、Whitney Houstonに魂を売ってしまった結果なのだろう。
 
4. Mbewe
 ブリッジ的なインストの小品。ここはJustoの伸びやかなサックスが主役。ギター・カッティングに混じる生ピアノが心地よい。
 ところでこれ、何て読むの? 
 
5. Funny girl
 再びClariceの出番。これもよくコンピに収録されたり、ミックス・テープで使われたり、汎用性の高い音である。
 ジャズ/フュージョン系全般に言えることだけど、どれも非常に録音が良い。エンジニア達も効果的なマイク・セッティングや録り方を熟知しているのだろうし、ミュージシャン達もまた、楽器の鳴らし方をよく理解しているのだろう。マスターの状態が良い分だけ、後年再発売される際もリマスター効果は大きい。
 ロック・ポップス系の場合だと、昔の録音はやっつけ仕事的な物が多く、しかもテープの保存状態もぞんざいなので、最新のリマスターを施したとしても、妙に古臭く聴こえる場合が多い。一時的な流行ものとしての認識が強かったため、末永く残るように作る必要はない、と現場も上層部も判断していたのだろう。
 それに引き替えジャズの場合、昔からテープ管理も比較的良かったこと、また流行もの的なエフェクトをあまり使用していない分、風化することが少ない。
 この曲など、特にヴォーカルを含むすべてのパートが適切な状態で録音されており、それぞれの音が太く、独自の存在感を醸し出している。

 
 
6. Slick city
 シャッフル・ビートに乗って、横揺れしたClariceがハンド・クラップしながら、軽快に踊り歌う姿が思い浮かぶ、ノリのよい曲。やっぱりNarada Michael Walden(ナラダマイケルウォルデン、と一気に言いたくなってしまうような名前だな、これ)のドラムが歌っている。

 
 
7. Rhythm of life
 タイトル曲。少し走ったシャッフル・ナンバー。
 ドラムがDwayne Perdueに代わってるが、Narada Michael Walden同様、リズムが走る走る。
 Jamesが久しぶりにカッティングとソロと両方でフル回転、一番弾きまくってる曲である。Clarieも演奏に引っ張られて力が入るのか、声が太い。

8. Hey hey hey
 2分弱のブリッジ。タイトル通り、掛け声メインで作られた、シンプルなナンバー。後半でJames 自身のヴォーカルも聴ける。
 下手ではないけど、いかにもミュージシャンが片手間で歌ってみました風なので、若干の照れが見られる。ここで開き直って、もう少し色気があれば、George Bensonも夢じゃなかったのに…。
 
9. I've got my eyes on you
 これもよくコンピで聴ける曲。Dwayne参加のセッションは、どれもリズムが良い意味で走っている。
 ClariceとJustoの掛け合いが最高。一番歌い上げている曲だと思う。
 同じようなリズムなのに、ドラムが違うと、これだけヴォーカルの力の入れ具合も違ってくる、という良い見本。
 あっ、Jamesもモチロンいい味出してます。

 
 
10. Dreams
 ラストは少し軽めに。
 この辺りの曲を、いまのミュージシャンがアシッド・ジャズ風にカヴァーしてくれれば、もう少し知名度も上がるのに、と思う。
 けど、まぁ上がんないか、今どきアシッド・ジャズじゃ。
 でも俺はちょっと聴いてみたい。




 一般的にジャズのオススメといえば、Miles DavisやJohn Coltrane、Bill Evansなどの、いわゆるジャズ・ジャイアンツの面々をお勧めすることが無難なのだろうけど、ロックやポップスを聴いてきた耳で、いきなり歌が入ってない音楽を聴いても、そんなに楽しめないと思う。
 俺自身も若い頃、お勉強感覚でモダン・ジャズを片っぱしから聴いていたけど、次第にどれも同じに聴こえてきたので、一時期聴くのをやめてしまった。無理に聴いたとしても、やはり興味の薄いものは好きになれないのだ。
 ネーム・バリューに躍らされるのではなく、例えば俺のように、レア・グルーヴ経由でジャズ/フュージョンの世界に入った方が、ずっと間口は広いだろうし、好みの音を探す作業は楽しいものである。しかも、自分で苦労して探し求めたアイテムは、ずっと自分の宝物になる。



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レア・グルーヴ界の大姉御、自由な歌いっぷり - Marlena Shaw 『The Spice of Life』

Marlena-Shaw-The-Spice-of-Life-L602498818695 この人の代表作は、Roberta Flack作のスタンダード・ナンバー”Feel Like Makin’ Love”収録の『Who is This Bitch Anyway?』なのだけど、ここはあえて定番を外して、その前にリリースされた本作を紹介。
 
 ブルー・ノートと契約していた時期もあったため、ジャンル的にはジャズ・ヴォーカルの人として分類されているけど、一般的にイメージされているジャズ・シンガーとは一線を画し、エモーションあふれるソウルフルな歌いっぷりが特徴である。それだからか、純粋なジャズ・ファンよりもソウル系からのリスペクトが高く、特にレア・グルーヴ、ヒップ・ホップ系の世界では、サンプリング・ソースとしての需要がめちゃめちゃ高い。
 
 若い頃なら誰でも当てはまりそうな話だけど、例えばラジオ番組をエアチェックして、あとでまとめて聴いた中で、気になる曲があった、昔のFM雑誌なら、特にNHKならオンエア・リストがほぼ完全に載っているので、そこを取っ掛かりに雑誌やレンタル・レコードで情報を集める。PoliceやCostelloやPrefab Sproutだって、最初はそうやって見つけていった。
 情報源の少ない80年代は、自分で能動的に、しかも限られた予算の中でやりくりしながら、LPレコードを買い、そして何度も、ほんとに針が飛んでしまうくらいまで、一枚のレコードを舐めるように聴きまくっていた。時間だけはたっぷりあったので、クレジットや歌詞、訳詩や解説まで、ほんと何度も何度も目を通していた。

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 これが20代になると、ちょっと様相が変わってくる。少し自由になる小金を持ち、月に何枚もアルバムを買えるくらいの余裕ができてくる。すると、次から次へと欲しいアルバムが出てきて、何しろ札幌だとタワーで輸入盤が安く買えるので、ついつい吟味もせず大量購入してしまう。そうなると、一枚のレコード・CDにかける時間と思い入れが薄くなってゆく。
 ロックも十年以上聴いていると、実際に聴かなくても、ある程度、サウンドの予想ができるようになってくる。雑誌レビューやジャケットを見て、こんな感じのアルバムなら、多分DylanっぽいヴォーカルにR.E.M.系のアコースティック・サウンドだろう、と大よその予想がついてしまう。実際、聴いてみると、確かにその通りだ、個性的なヴォーカルも堅実なバンド・サウンドも良い。
 
 でも、ただそれだけだ。
 
 新しい音楽を耳にした時のかつての感動はもはや薄れ、ただの確認作業になってしまう。彼らが悪いのではない。こちらの受け入れ態勢が、もう既存のロックでは響いて来ないのだ。
 
 それでもロック周辺しか選択肢がなかったため、その界隈であれこれ嗅ぎ廻る状態が何年も続いたけど行き詰まり、とうとう仕方なく、といった体で、ほぼノーマークだったソウル系に手を出したのが始まり。
 ラップに興味を持とうとした時期もあったのだけど、言葉の壁はあまりに高くてすぐに挫折、その後ちょっとした冷やかし半分でレア・グルーヴ系のコンピレーションに手を出してみた。気になる曲があった、他にこういった傾向の曲はないか?いろいろググってみると、海外のMixcloudやSoundcloudに、ソレ系のMix Tapeがあった、しかも大量。そこからまた気に入った曲をiphoneアプリで検索、Youtubeで探し出す。サイド・バーに他のおすすめ曲が並んでいる。そこからまたYoutube検索&アルバム購入の無限ループ…。
 …あれ?俺のやってることって、昔と変わんないんじゃね?

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 昔よりも探す選択肢が増えたため、飛躍的に効率化は進んだ。当然ファイルは日増しに増大しているけど、かつての脳内インプットの流れ作業ではなく、新たなフィールドでの未知への好奇心は、とどまるところを知らない。そうやって、俺のitunesには大量のジャズ、ソウル、ファンク系のファイルが常時稼働し、そして増殖し続けている。


The Spice Of Life
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1.Woman of the Ghetto
 クラブ系の人気も高い、導入部のベースがクールな、ミドル・テンポのバラード。ジャズよりむしろ、ブルース・シンガー系統のパフォーマンスだけど、中盤のフェイクが絶品。スパイス的に織り込まれるカリンバの音色が効いている。
 これ以降の曲はせいぜい2~3分程度なのだけど、この曲だけ6分超、群を抜いてスケールが大きい。

 
 
2.Call It Stormy Monday
 冒頭のハープからして、完全にシカゴ・ブルース。そりゃブルース・スタンダードだから当たり前か。
 かなり抑制された歌声が、他のカバーとは一線を画す。1.と違い、こんな表情もあるんだ、というところが、彼女の幅の広さ、テクニックの多彩さを窺わせる。
 
3.Where Can I Go?
 ややジャズ寄りになってきたけど、それでもブルース臭が残るヴォーカル・スタイル。演奏はブルース、リズムは基本4ビートという、なんか変な曲。
 
4.I'm Satisfied
 今度はソウル寄り。Aretha Franklinあたりが歌っててもおかしくない、ポップなR&B。

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5.I Wish I Knew (How It Would Feel to Be Free)
 ハモンドの響きが時代を感じさせる、同じくソウル寄りの曲。モータウン・ポップとアトランティックのサザン・ソウルとの融合といったところか。
 普通にシングルで切っても、当時なら売れたんじゃないかと思う。
 
6.Liberation Conversation
 Marlena代表曲の一つ。
 ゲンゲンゴゴンゴン…(字で書いたら、なんか冗談みたいだが、ほんとにこんな感じ)と延々続くフェイクが主役。はっきり言って、他の歌詞はおまけに過ぎない。
 ほんの2分足らずの小曲だけど、強烈なインパクトを残した傑作。後年、こぞってクラブの連中がリスペクトしまくった気持ちもわかる。エンドレスでずっと聴いていたくなる、ほんと良い意味でノリ一発の曲。

 
 
7.California Soul
 ヴォーカル・スタイルはジャズだけど、演奏は何というか国籍不明の、これまた名曲。壮大なストリングスが、スケールの大きい超大作映画を思い起こさせる。
 この曲を聴いていると、スタンド・マイクの前に凛と佇むMarlenaの堂々とした歌唱が目に浮かぶ。もちろん、ステージ衣装は襟口の大きく開いた、妖艶なドレスでなければならない。

 

8.Go Away, Little Boy
 一転して、正統派のジャズ・スタイル。ほぼ抑え気味なヴォイシングで、サビ部分だけシャウトを強調。
 次第に興が乗ってきたのか、ブルース・スタイルになってゆく。
 スタンダードなホーン・セクションもMarlenaを盛り立てている。
 
9.Looking Thru the Eyes of Love
 ポピュラー・スタンダード寄りの曲。7.同様、壮大なストリングス・セクションが映像的効果を強調する。
 昔の録音なので、音の厚みがハンパない。
 ダビングを重ねた厚みではなく、ミュージシャン一同揃えて「せーの」で一発録音といった趣きが、このサウンドに重層的な深みを演出している。
 
10.Anyone Can Move a Mountain
 ラストはしっとり、ミディアム・バラードで。
 1.6.7.とアッパー系のサウンドとバランスを取る意味で、後半3曲は大人しめにまとめている。




 『Who is This Bitch Anyway?』の時代になると、多分ジャズではなく、フュージョン系のミュージシャンの参加が多いせいもあるのだろうけど、ここではもう少しメロウに、かつベタっぽいサウンドに仕上げている。
 ミックス自体もヴォーカルをやや奥に配置させているので、純粋にヴォーカルを堪能したい人には、こちらの方が向いていると思う。クラブ、ヒップ・ホップ系を通過してきた人なら、多分知ってる人も多いだろうけど、かなりのオススメ。



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北海道の中途半端な田舎に住む、そろそろアラフィフ男。ほぼ週1のペースで音楽ブログ更新中。節操ない聴き方と思われてるけど、自分の中では一貫してるつもり。 最近は蔵書の整理がてら、古い本を再読中。ジョン・アーヴィングから始まって、フィッツジェラルドやゾラ、モームなど、いわゆる古典の復習中。いつになったら終わることやら。新刊読めねぇや。
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