好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そういったゆるいコンセプトのブログです。

世捨て人の王様、アメリカへ想いを馳せる - Elvis Costello 『King of America』

folder 久しぶりにCostelloの続き。
 順序は前後するけど、前回レビューの『Blood & Chocolate』の前にリリースされた、通算10枚目のアルバム。
 ただし、このアルバムでのクレジットは「Elvis Costello」名義ではなく、本名の「Declan Patrick MacManus」という、どこからもCostelloのイメージが想像できない名前である。また、バック・バンドというか、アーティスト・クレジットも「The Costello Show」、日本語で言えば『コステロ一座』となっている。こうして日本語に直してみると、なんだか気の抜けたネーミング。まるで旅芸人の一座のよう。
 ただ、敢えてそういったダサさを狙ったというか、名が表すように、時代と逆行したレイド・バックというか、それまでリリースしたCostelloのアルバムの傾向とはかなりベクトルを変えた、恐ろしく気の抜けたカントリー・アルバムに仕上がっている。
 
 その時の気分によってたびたび音楽スタイルを変える人なので、Costelloの場合、こういったケースはよくある。このアルバム以前にも、全編カントリー・スタイルのアルバム『Almost Blue』をリリースしたことがある人である。多分、時々自分探しの旅に出たくなってしまう時期があるのだろう、思い出したようにルーツ回帰に走る人なのだ。それは今でも変わってない。
 ただ、『Almost Blue』の時のバック・バンドはいつものAttractionsであり、あくまでこれまでのキャリアの延長線上、別の側面的な意味合いが強かったのに対し、このアルバムについては、またちょっと事情が違っている。
 
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 物事には必ず前置きがある。詳細を知るためには、まずそれを知る必要がある。
 前作・前々作に当たる『Punch The Clock』『Goodbye Cruel World』の2枚のアルバムでCostelloが目指していたのが、「アメリカ市場での成功」「MTVでのヘヴィー・ローテーション化」の2つである。
 これまでもUK・USとも安定したポジション、爆発的なヒットはないが一目置かれるタイプのアーティストとして、マニアにも一般ユーザーにも、それなりの評価を受けていたが、なにぶん80年代初頭から中盤にかけては、MTVや12インチ・シングル全盛の、ダンサブルで華やかできらびやかなショー・ビジネスの世界。UK・US双方でビッグ・セールスが連発されているのを横目に、堅実ではあるが地味なポジションに不満が生じてきたのかもしれない。
 音楽的なクオリティは高いはずだし、評論家受けも良い方だというのに、セールスはほぼ横ばい、ライブ会場もアリーナ・クラスを埋めるには力不足だし、それよりも何よりも、Culture ClubやDuran Duranより知名度が低いことに我慢できなかったのだろう、とは何となく思う。
 
 これまでよりスケールの大きい世界での活動を選んだCostelloは当時、アメリカ市場にアピールするため、結構なり振り構わぬ行動を起こしている。
 売れっ子プロデューサーClive Langer & Alan Winstanleyと組んだり、ほとんど面識のないDaryl Hallとデュエットして、チープな寸劇仕立てのPVを作ったり、はたまた伝説のライブ・エイドでは、キャラクター的にあまり求められてないカバーを歌ったり(Beatlesの”All You Need Is Love”)、慣れないながら結構努力した方だと思う。そういえば、Scritti PolittiのGreenとも、なぜかデュエットしていたな。
 
 そうやってあらゆる手を尽くしたにもかかわらず、肝心のセールスはといえば、実際のところチャートを賑わすには至らず、というか、従来のCostelloのアルバムと、売り上げはほとんど変わらなかった。
 まぁ以前よりシングルがUKでスマッシュ・ヒットしたかな?という程度。
 番宣目的で慣れないバラエティ番組に出まくったにもかかわらず、視聴率がそれほど振るわなかったドラマ主演俳優のような心境だったろうと察する。

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 サウンドとしては、充分80年代ポップのセオリー通りで良かったのだが、誰もCostelloにそこまでのハジけっぷりは求めてなかったのだろう。
 大御所俳優がバラエティで痛々しいジョークを連発し若手出演者が愛想笑いを繰り返すのと、図式は同じである。結構体は張ったし不慣れな足お笑いまで作ってアピールしたってのに、アメリカのエンタテイメントの壁は厚かった。
 
 -じゃあどうすりゃいいんだよ、これじゃどうやったって同じじゃん。
 そう開き直ったのか、まるで売れることを拒否したかのような、モジャ髭面のCostelloがイミテーションの王冠を被って、虚無感漂う無表情で、所在なさげに斜を見つめている。その眼の奥に、もはや光はない。
 どうせ売れるつもりもないのだから、これまで築き上げてきたElvis Costelloというネーム・バリューを捨て、そして苦楽を共にしたAttractionsも捨て(厳密には1曲のみ参加)、サウンドも徹底的に地味になった。
 これまではAttractionsがバックだったため、どれほどスローな曲でも演奏に勢いのようなものがあったが、今回のCostello ShowはElvis Presleyのバック・バンドを務めていた連中がメインとして参加している。「熟練した手練れの演奏」と言えば聴こえは良いが、まぁ要するにダイナミズムのない枯れた演奏である。安定してはいるが、大きな盛り上がりはなく、まず80年代アメリカでは決してアピールしない音だ。
 徹底的に売れることを拒否、いやむしろセールスの落ち込みを自ら期待するようなサウンドである。

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1. Brilliant mistake
 虚ろな眼のCostelloが歌うアメリカの虚飾と繁栄。どう隠したってカントリーを歌うCostelloなのに、どうやっても匿名性を維持したいのか、Little Hands Of Concreteという変名でアコギを弾いている。
 有名どころのミュージシャンとして、Jerry Scheff(b)、長らくPresley のバックを務めた男。それとMitchell Froom(org)が参加。Los Lobosのプロデュースで知られるようになったがが、何と言っても一番有名なのは、Suzanne Vegaの元夫だという事実。

  

2. Lovable
 まったりした演奏の1.から一転、テンポの速いロカビリー・タッチのナンバー。ちょっとPresleyを意識してると思ったら、Jerry、Mitchellと一緒に重鎮スタジオ・ミュージシャンJim Keltner(Dr)が参加。跳ねるドラムがCostelloのヴォーカルを煽る煽る。
 
3. Our little angel
 生音中心の柔らかなバラード。ここで御大James Burton(g)の登場。カントリー特有のドブロ・ギターが心地よい。
 このアルバム全体に言えることだが、Costelloの歌い方が大きく変化していることがわかる。
 スロー~ミドル・テンポが多くを占めているのだけれど、以前よりも発音が正統というか、イギリス訛りの臭みが抜けており、もっと言葉を丁寧に発している。サウンドからギミックを抜き、可能な限りストレートに処理した結果、このように素直な唱法を手に入れたのだろう。
 
4. Don't let me be misunderstood
 もともとはNina Simoneがオリジナル、その後Animalsがカヴァーしてヒットしているが、多分日本で最も有名なのは尾藤イサオのヴァージョンかもしれない。他にメジャーどころではJohn LegendやCyndi Lauperらもカヴァーしているとのことだが、ちっとも知らなかった。
 Costelloのヴァージョンは非常にエモーショナルに響き、やはりこれまでの唱法とは違って聴こえる。
 ここでミュージシャンとして、プロデューサーであるT. Bone BurnettがE.Gで参加しているが、ほとんど目立った活躍はしていない。

  

5. Glitter gulch
 日本人が思い描く、アップテンポのカントリー・ソングそのまんま。レコーディング・メンバーは3.とまったく同じ面子なのだが、曲調のあまりの違いに驚かされる。と共に、カントリーの奥深さ深遠さにも感心。
 
6. Indoor fireworks
 邦題が"室内花火“。日本ではあまり馴染みがないが、パーティ用の安全な花火がアメリカでは普通に売られているらしい。googleでも販売用のパッケージが出てきたので、意外とメジャーなものなのだろう。
 Stiffの兄貴分Nick Loweもカヴァーしている、落ち着いたバラードの名曲。
 
7. Little palaces
 Jerryのベース以外はCostello 自身のアコギ時々マンドリンによる、ほぼ弾き語りに近い激情バラード。曲調としてはかなりBob Dylanに近い、というかギター弾き語りになるとどうしてもDylanっぽくなってしまうのは仕方ないこと。
 歌詞も日本人には完全な理解は不可能な比喩に満ちており、それもまたDylanイズムに溢れている。
 
8. I'll wear it proudly
 こうして続けてみると、やはりDylanの影響が濃いカントリー・タッチの曲調が多い。カントリー調のDylanといえば『Nashville Skyline』が挙げられるが、DylanよりもCostelloの方がメロディは凝っており、日本人でも素直に受け入れられやすくなっている。

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9. American without tears
 古き良き50年代アメリカを皮肉るような歌詞が、やはりイギリス気質バリバリのCostelloならでは。憧れであり嫉妬の対象であるアメリカというイコンは、彼にとっては愛憎半ばの思いであり、存在なのだろう。
 曲をリードするアコーディオンが刺々しい歌詞をうまく中和してポップに響かせてくれる。
 
10. Eisenhower blues
 オリジナルはJ. B. Lenoirというブルース・ギタリストによるもの。
 よくもまぁこんなマニアックな選曲を、といった感じの、Costelloによる「なんちゃってブルース」。だってあんまりブルースっぽさは感じられないんだもの。まぁ本人もその辺は薄々わかってるとは思うが。
 前にも書いたように、一つのジャンルを深く極めるタイプの人ではないのだ。
 
11. Poisoned rose
 名曲。俺的にCostelloのバラードとしては3本の指に入る。他二つが何かといえば、もう一つは”Shipbuilding”、あとは…忘れた。
 このアルバムの中では最もカントリー色が薄く、それは同時にアメリカ臭さのマイルドさを意味する。複雑な比喩も少なくストレートな表現の多い歌詞もロマンティックなラブ・ソングであり、なかなか珍しい部類。
 なんだ、やればできるじゃん、と言ってあげたい。

  
 
12. Big light
 ややメキシカン成分も混じったテンポの速い南部カントリー。地味ではあるがJerryのランニング・ベースがいい響き。
 
13. Jack of all parades
 イギリスの諺「Jack of all trades」(日本で言うところの何でも屋)をもじった言葉らしい。これもこのアルバムの要となる名曲の一つ。
 中盤で一瞬ヴォーカルにフランジャーがかかっているが、この音像処理もさり気なく、切ない声質を更に際立たせている。

  

14. Suit of lights
 この曲のみ、Attractionsによる演奏。本来はアルバム半分を彼らが受け持つ予定だったが、彼らがスタジオにやってきた頃には既に大よその曲を録り終えていたため、気分を害し一曲のみの参加となったらしい。
 いくら長い付き合いの気心知れた演奏でも、ベテラン・ミュージシャンらによる熟練さと比べられると、そりゃいい気はしないだろう。
 かすかな嫉妬とわずかな敗北感。彼らの気持ちもわからないでもない。
 Attractions相手だとやはり歌う姿勢も違うのか、何だかヴォーカルも下手に聴こえてしまう。ただSteve Nieve(P)とは現在でもつかず離れずの関係を維持しているので、ここはやはりリズム・セクションとの相性によるものだろう。
 
15. Sleep of the just
 ラストはCostello、Mitchell、Jerry、Jimによるしんみりした演奏。
 Princeの場合もそうだが、Costelloもまたテクニカルではないが、ここでは味のあるアコギの演奏を聴かせる。弾き方というより聴かせ方がうまいのだろう。
 Jimのタメるドラム・プレイも絶品。前の曲と続けてみるとヴォーカルの聴かせ方が違うのがわかる。不機嫌なピリピリした演奏と、リラックスした演奏との違いだろう。




 できるだけCostelloとしてのパーソナルを隠し、憧れのメンツとセッションを重ね、音楽的ルーツに素直に倣った作品を作ることは、彼にとっては至福の瞬間だったことだろう。長年音楽業界にいることによって、いつの間にか無意識ではあるがヒットの重圧を感じていただろう。それを気にせずにいられることは、Costelloにとっては必要な過程だったのだ。
 
 にもかかわらず、セールス的には従来と大きく変わらなかった。あれほど大プロモーションを展開した前作『Goodbye Cruel World』とほとんど変わらず、数値的には微動だにしないが、リリースした途端に名盤扱いされる始末。でも売り上げは変わらない。
 
 売れようとしても変わらず、売れることを拒否しても変わらず。
 じゃあ、俺ってどうすりゃいいの?
 そこからヤケクソに開き直って制作したのが、次作『Blood & Chocolate』 である。



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UKポップ馬鹿、古き良きアメリカへの思いを馳せる - Prefab Sprout 『The Gunman and Other Stories』

folder   ヨーロッパ界隈ではスマッシュ・ヒットを記録した『Andromeda Heights』から4年後の2001年、いつの間にか古巣Epic/SONYから移籍、EMI系列の新興レーベルからリリースされた、Prefab Sprout8枚目のオリジナル・アルバム。

 この間に集大成的2枚組ベスト『38 Carat Collection』をリリース、それを置き土産としてSONYとの契約を解消している。
 大ブレイクとまではいかないまでも、そこそこのセールスは記録しており、確かにレコーディング経費のかかる、会社的にはめんどくさいアーティストだったかもしれないけど、まぁセールス的な伸びしろは少なかっただろうし、当時のSONY取締役Muff Winwood (あのSteve Winwoodの実兄)と折り合いが悪かったらしいので、お互い潮時だったのだろう。
 当時のSONYはMariah CareyやCeline Dionなど、確実に資本回収しやすいアーティストに力を入れていたので、手間のかかるロートルを少しずつリストラしており、企業体質の強化に努めていた。冷静に見て、今後も大きなセールスが見込めそうもないPrefabが、そういった企業論理に巻き込まれるのは、資本主義の流れとしては自然の摂理でもあった。
 結果的に、SONY時代を最後にアルバム・セールスはだんだん縮小、そういった状況に比例して、ますます密室系ポップの閉じた迷宮にはまり込んでゆくPrefabだけど、日本の人口の半分足らずのUKだけの売り上げだけではたかが知れているので、レコード会社としてはどうしても、同じ英語圏であるアメリカでのブレイクを期待する。というか、今も昔もそのような戦略なのだけど。

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 UKのバンドは、なぜアメリカでブレイクしづらいのか?
 また、アメリカでブレイクするために必要な要素とは何なのだろうか?
 古くはBeatlesやRolling Stonesあたりが第一次ブリティッシュ・インベイジョンで大きなセールスを記録して、そこから少しおいてLed Zeppelinが同じくアルバム・セールスで成功を手中にしている、で、その後は…。
 Duran Duranなど、80年代MTV系が単発でヒットしたりはしているけど、継続的なムーヴメントまでには至っていない。それくらい、UKアーティストがアメリカで活動してゆくのは難しいのだ。

 じゃあ、ブレイクした彼らに共通するモノとは何か?ということになると、もちろんアーティストの個性や時代状況も加味されるのだけど、結局のところ「ブルースの有無」に収束するんじゃないかと思う。
 幼少時からクラシックの伝統が根づいているUKでは、ブルース的要素に憧れるミュージシャンは多いのだけど、それ以外にも、クラシック教育を受けてきたミュージシャンも案外多い。アメリカでブレイクするためには、まず国内の支持を得なければならない、しかしきちんと曲をまとめたりアレンジ構成能力が上なのは、やはり音楽的素養の高い方である。
 UKチャートで上位に上がるのは、商品としてコンパクトにまとめられた楽曲たちが優位となる、ただし大きな市場であるアメリカでは、それほどアピールできるものではない。

 故に、QueenもDeep Purpleもアメリカでのセールスは中ヒット程度、逆にUK色をバッサリ切り捨てることによって、アメリカでメタルの帝王となったBlack Sabbathは、今も帝国勢力の拡大中である。一応UK(正式にはアイルランドだけど)の括りで語られるU2もまた、名盤『The Josua Tree』でブレイクした後、本格的にアメリカ市場を意識、「R&B再発見の旅」的な『Rattle & Hum』をリリースすることによって、世界的なマーケットを手に入れた(入れたはいいけど、最近になってitunesの件で世界中からド顰蹙を買っているけど)。

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 Paddy McAloonもまた、昔からアメリカへの憧憬が深い人である。
 Bruce Springsteenを当てこすった"Cars & Girls"のジャケットやPV、Steve McQueenやManhattan、Memphisなど、アルバムごとにアメリカへの思いを歌に散りばめている。ただ、彼もまた生粋のUK気質のため、ブルース的要素はほぼ1%もない。彼が見ているアメリカとは、WASP的要素、Elvis Presley以前のアメリカなのだろう。
 今回もガンマンやカウボーイなど、どちらかといえば50年代TVドラマの中のアメリカをモチーフとして作られている。そういったフェイク的なところも狙っているのだろう。
 
 ちなみにプロデューサーが、あのTony Visconti。グラム・ロック期に頭角をあらわした名プロデューサーであり、有名どころではT.RexやDavid Bowieを手掛けた人である。そのツテなのか、参加ミュージシャンの一人として、これまた有名なセッション・ギタリストのCarlos Alomarの名前がある。
 わざわざアメリカにまで出向いてレコーディングしているのに、どうしてブリティッシュ風味の強いスタッフを同行させたかというと、Paddyの狙いとしては、David Bowie『Young Americans』のようなアルバムを目指したらしい。
 ブリティッシュの視線を通して描く架空のアメリカ、古き良き時代のアメリカを想起させるかのようなアルバムを作りたかった、と本アルバムのライナーノーツで述べている。そう考えると、Bowie人脈のCarlosの参加は納得がゆく。
 出来上がった作品は『Young Americans』とは全然違うテイストだけど、目指す方向は一緒だということなのだろう。


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1. Cowboy Dreams
 冒頭から抒情的なバンジョーの音色とスチール・ギターで始まる、カントリー風味満載のポップ・ソング。もともとはPaddyと同郷の俳優兼シンガーJimmy Nailのソロ・アルバム用に書き下ろされた曲で、いわゆるセルフ・カバー。Jimmyのアルバムは未聴だけど、タイトルそのまんま往年の西部劇のワンシーンと思える情景が描かれている。
 プロデューサーとして参加しているVisconti、演奏面においても多くの貢献をしており、この曲でもベースを弾いているのだけど、リズム重視ではなく、時々リード楽器的なプレイを見せてくれる。

 
 
2. Wild Card In The Pack
 こちらは書き下ろしの新曲で、1.とほぼ同じテイストのカントリー・タッチ。前作『Andromeda Heights』同様、ブロウするSaxがフィーチャーされているのだけれど、もう少し音色が泥臭くなっているのが、やはりいい意味でのアメリカ・ナイズ。ホント美メロ満載の曲なので、アルバム中オススメの曲。
 
3. I'm A Troubled Man
 1.同様、Jimmy用に書かれた曲。JimmyとPaddyの相性は良かったらしく、実はアルバム2枚分のコラボレイトを行なっており、こちらは2枚目の方。あくまでUK内に限られるけど、セールス的にも好評だったのだろう。
 こちらは少しアメリカン・ロックに寄り添ったスロー・バラード。Troubled Man=悩める男、正しくPaddy自身を投影した歌である。
 
4. Streets Of Laredo/Not Long For This World
 カントリー・ソングとしては大御所らが歌い継いできた有名曲を、自作" Not Long For This World"でサンドイッチした、なかなかに野心的な曲。元曲を知らないので、曲の切れ目が何となくしかわからないのだけど、それほど違和感なくつなげている。
 不穏さが特徴的なストリングスの音色は、やはりViscontiならではのもの。このサウンドが欲しくて、Paddyは彼と組んだのだろう。
 
5. Love Will Find Someone For You
 またまたJimmyへ書いた曲。カントリー成分の薄い、どちらかといえば従来タイプのメロディ・ラインのPrefabソング。その分、これまでのファンにも受け入れられやすい曲である。
 シンプルなミドル・テンポのバラードなので、一般受けも良い。こういった曲を若手の誰かにカバーしてもらえれば、もう少し認知度も高まるのだろうけれど、まぁ無理だな、地味だしな。

 
 
6. Cornfield Ablaze
 題材がトウモロコシ畑、メロディはカントリーなのだけど、やや生音成分が薄まり、シンセやバンド・サウンドが前面に出ているため、こちらも従来型に近いタイプの曲。
 アレンジはAOR、歌詞はモロ中南部っぽい情景のミスマッチが、逆にメロディの良さを際立たせている。
 
7. When You Get To Know Me Better
 終盤に近付くにつれ、サウンドとしてのカントリー成分は薄くなってゆく。
 こちらも『Jordan The Comeback』辺りに入っていてもおかしくない、正統派のPrefabソング。
 Thomas Dolbyならもっとシンセ成分を多くしているところだけど、そこは熟練プロデューサーViscontiの判断によって、アルバム全体の整合性を保つため、泥臭いスチール・ギターを柔らかく鳴らしている。
 
8. The Gunman
 このアルバムのメインとなる曲。といっても、これもCherのために書き下ろされた曲なのだけど、この曲がガイドラインとなって、アルバム制作がスタートしたことは間違いないだろう。曲の本編が始まるまでのイントロがたっぷり2分以上あるのだけど、まるで極上の短編映画のサウンドトラックのような構成である。
 これまでPaddyは『Jordan The Comeback』に代表されるように、どちらかといえば3分前後の小曲を20個程度組み合わせて、一つの壮大なシンフォニーを作ることを得意としていたのだけど、これまでのアメリカへの愛憎混じった思い、それにこれまでの作曲能力を可能な限り投入した結果、このような9分弱の大作となったのだろう。
 Prefabとしては異質な、Carlosの泣きまくるギターが、感傷的な曲とマッチしている。

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9. Blue Roses
 壮大なシンフォニーの後、少し肩の力を抜いた、こちらも美メロ満載の小曲。俺的に、このアルバムの中ではベスト・トラック。意外とベタなアコースティック編成のバラードなのだけど、変なコード進行に頼らず、素直なメロディを大げさなテクニックを使うことなく、朗々と歌うPaddyが良い。なんか一皮むけたみたいで。
 
10. Farmyard Cat
 農家の猫。ただそれだけ。農家の庭で軽快なフィドルの調べに合わせながら、使用人の男女が楽しげな歌い踊る休日の風景が目に浮かぶよう。ラッキーなおまけのような曲なので、あまり深く追及することは野暮。




 このアルバムのリリース前後、PaddyはPrefab SproutとしてUK国内限定の短いツアーを行ない、そのツアー終了後、スタジオにこもって初のソロ・アルバム『I Trawl The Megahertz』をリリースするのだけど、何と形容していいかわからないが、「どうしてこんなのリリースしちゃったの?」と言ってしまうくらい、ほんと趣味的なアルバムになっている。エレクトロニカに興味を持った、と言えば聴こえは良いが、はっきり言ってスタジオでの遊びをそのままパッケージしたようなものである。確か俺も1回しか聴いていないはず。
 
 ただ、思えばこの『I Trawl The Megahertz』までが、Paddyの表立った創作活動の終焉となり、続く『Let's Change the World with Music』と『Crimson/Red』は、いわゆるアーカイヴ的な作品なので、純粋な新作とは言い難い。
 
 Paddyの視力障害も、今は結構落ち着いてきているらしいけど、いろいろと体にボロの出始める年代である。
 できれば生きてるうちにもう一度、純粋な新作を聴くことができれば―。
 それが、全世界のPrefab Sproutファンの、たった一つの願いである。


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UKポップ馬鹿とヘルマン・ヘッセとの類似点 - Prefab Sprout 『Andromeda Heights』

folder  小説家よしもとばななが「王国1 アンドロメダ・ハイツ」で引用したことで、やや幅広いジャンルで認知度のある、Prefab Sprout通算7枚目のアルバム。本国UKを含むヨーロッパではそこそこのチャート・アクションを展開し、健在ぶりをアピールした。

 前作『Jordan The Comeback』から7年、あのBostonにも負けず劣らず振りのブランクの長さは、熱心なファンでさえも20世紀中のリリースはおろか、もはや活動自体がフェード・アウトしてしまったのではないか、と危惧する者も少なくなかった。取りあえずはリリースされたこと、そしてバンドがまだ存続していたことを、俺を含めたファンは素直に喜んだ。
 
 7年も経過すると、バンドにもいろいろ変化が現れる。メンバー変更が著しく、まったく別のバンドに変貌してしまうことも珍しくはない。
 Prefabの場合も例外でなく、今回のクレジットを見ると、演奏が「Andromeda Heights Orchestra」名義となっている。そして肝心のメンバーも、Paddy McAloonとその弟Martin、そして紅一点Wendy Smithの3人だけとなっている。もともとPrefabというバンドに執着がなく、メンバー中、生粋のミュージシャンだったNeil Conti(Dr)の名はない。バンド自体もほぼ開店休業の状態が長く続き、7年も手持無沙汰だったのだから、まぁ誰も止められないところ。

 もともと『Prefab Sprout』と"バンド"を名乗ってはいるものの、サウンドの性質上、演奏のアンサンブルやバンド・マジックを売りにしているのではなく、リーダーでありメイン・ソングライターであるPaddyのコンセプトを具現化するためのプロジェクトのようなものだから、逆にコンパクトな編成の方が小回りが利きやすくなったはず。何しろ実弟とフィアンセ(この頃になると関係性は微妙になってるけど)がメンバーなのだから、意思の疎通もしやすくなった。

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 同世代のミュージシャンと比べて作曲センスが抜きんでており、Burt BacharachやCole Porterなど、往年の大作曲家らと比べられることの多いPaddy、『Jordan The Comeback』リリース後、音沙汰はなかったけど、表に出ない時期においても、膨大な数の作曲とレコーディング・データを残している。
 このPaddy、とにかく曲を書くのが好きな男で、極上のメロディ・ラインや上手い比喩のフレーズを思いつくと、すぐさまピアノやギターを抱えて口ずさんだりするのが日常のため、結果、かなりの量のデモ・テープを製作している。
 特にこの時期、Paddyは創作意欲のピークに達していたようで、ピーク・ハイのミュージシャンがよく口にするように、「神が降りてきた」状態が長く続いた。とにかく次から次へと新しいアイディアが湧き出てくるため、レコーディングするのが間に合わないくらいである。
 一時期のStevie WonderやPrinceがそうだったように、彼もまた、音楽のミューズとの蜜月を過ごした男だった。
 
 これが前2者のようにソロ・アーティストなら、いくらでもマイペースで作業できるのだけどれど、彼はバンドのフロントマンだったため、そうそう自分勝手な活動には限界がある。いくらワンマン・バンドとはいえ、メンバー達だって人間だ、7年もほったらかされたら死活問題である。
 創作活動に没頭するがあまり、ツアーへ出る時間も惜しむようになり、ますますスタジオに籠りがちになるPaddyへの不信感はますます募り、メンバーは次第に距離を置くようになる。メンバー中、最も信頼関係が良好であったはずのWendyもまた、その独裁振り引きこもり振りにすっかり愛想が尽きたのか、このアルバムでは簡単なコーラス程度の貢献しかしていない。
 せっかくの女盛りをないがしろにされたらそりゃ、一応義務的には付き合うかもしれないけど、もうビジネス上の接点しかないよね。気持ちはわかる。

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 こうして話を進めていると、何だかPaddyがメチャメチャ付き合いづらい奴だと思われてしまいそうだけど、いや実際、音楽に殉ずることを喜びと思ってしまう男なので、実生活での付き合いはちょっとめんどくさそうなのだけど、真面目な男であるのは確かである。
 これといった遊びも道楽もせず、ただひたすら最上の楽曲を作ろうと、身を粉にして働いていただけである。ただ漫然と、ダラダラスタジオに籠っていたわけではない。すべての曲は、それぞれのコンセプトに基づき、テーマごとに熟考し練られた物ばかりである。ただ、それがちょっと度を過ぎていたわけで、しかもひとつのプロジェクトを完成してから次へ進むのではなく、思いついた先から次々手を付けてゆくため、曲の断片やサウンド・チェックまがいのテイクも数多く存在する。

 今世紀に入ってからリリースされた『Let’s Change The World With Music』、『Crimson/Red』の2作とも、実はこの時期に構想が練られ、レコーディングされた作品である。未完成状態のまま、10年前後投げ出されたテイクを、Paddyがサルベージしてリニューアルした、何とも微妙な作品である。俺は好きだけどね。
 その他、Michael Jacksonの生い立ちをテーマにしたアルバム『Atomic Hymnbook』、天地創造からElvis Presleyまで、清濁併せ呑んだ壮大な世界の歴史を語り尽くすコンセプト・アルバム『Earth: The Story So Far』など、中途半端な状態で投げ出されてしまったアルバムはまだまだある。これらが日の目を見る機会が訪れるのは、いつのことになるのやら。

 ファン有志が運営するHPを確認したところ、こういったアルバムがまだ15作くらいはあるらしいのだけど、前述したように、まともな形になっているのは、ごく少ないはず。革新的(と思える)コンセプトとテーマが次々と浮かんでは消え浮かんでは消え、を繰り返すうち、実際のレコーディング作業が追い付かず、結局曲の断片ばかりが残ってしまったのが真相だろう。
 
 これまではThomas Dolbyという有能なプロデューサーがいたため、「あうん」の呼吸で作業工程を整えてくれていたけど、当時はThomasもPaddyばかりに構っていられず、ちょうど自分のビジネスに没頭していた頃だったので、スケジュールが合わず、やむを得ない形ではあるけれど、初めてのセルフ・プロデュース作となっている。
 で、また悪いことに、ちょうどこの時期からPaddyが自前のスタジオ(Andromeda Heights)を構えたため、時間やコストを気にすることなく、レコーディング作業に没頭することが可能となり、ますますアルバム・リリースは遅延遅延遅延の連続になった。で、またメンバーが暇を持て余す。

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 『Jordan The Comeback』が好セールスを記録したことによって、確立したサウンド・コンセプトに自信を得たのか、今作は『Jordan』の進化形、さらなる珠玉のメロディとクワイエット・ストーム的なサウンドを追求している。
 よって、"Cars & Girls"、"King Of Rock’n’ Roll"のようなギター・ポップ的なサウンドは姿を消しており、もはやロックの文脈では語れなくなっている。
 これまではアクセント的な意味合いで使用されていたストリングスの割合が多くなり、シンセで代用していたホーンも生音になっている。
 そのため、リリース当時は「AORみたい」と揶揄されており、いわゆるロキノンを中心としたロック・リスナーの受けは、あまり良くなかった。俺は好きだったけどね。
 
 リリースから十数年経ち、ギター・サウンドを中心とした洋楽シーンもずいぶん変化した。巡り巡った今になって聴いてみると、よくある「Steely Danのエピゴーネン』的な、単純なAORというカテゴライズでは収まりきれず、「Prefab Sprout’s Music」とでも言うべき、オンリー・ワンのサウンドを追求していたことがわかる。
 もちろん使用機材の音の古さは仕方ないとしても、最近のヒット・チャートの音楽と違って、リズムやエフェクトのインパクトではなく、しっかりメロディで勝負しているのが、彼の強みであり、そしてビッグ・セールスを見込めない弱みでもある。
 地味かもしれないけど、確実にスタンダードになりうる音。
 それが当時、Paddyの目指していたところである。


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1. Electric Guitars
 透明感を感じさせるアコギのアルペジオから始まる、タイトルとは打って変わって静かな曲。この曲でのアコギの音は、エンジニアCalum Malcolmのベスト・ワークの一つ。
 前作までのThomasでもアコギは結構フィーチャーされていたけど、エンジニア出身のミュージシャンという出自の彼の場合、エレ・ポップ的なエフェクトをかけることが多いので、メジャー・コードならしっくりはまるのだけれど、落ち着いた曲になると、その音だけがきれいに浮き出てしまっている。
 純粋に素直な響きを求めるのなら、Calumの方が良い仕事。

 

2. A Prisoner Of The Past
 "Be My Baby"っぽいドラム・ビート(Complexじゃないよ、もちろんRonettesの方)から、壮大なホーン・セクションで幕を開ける、ゴージャス・サウンド。元祖ポップ馬鹿であるPhillip Spectorが現役なら、こういったサウンドを志向していたんじゃないかと思われる、現役ポップ馬鹿Paddyによって丁寧に作られた曲。
 この人の声質はどちらかといえば、それほどインパクトの強い声ではないのだけど、これだけ音を重ねた分厚いサウンドでも埋没することなく、ヴォーカルをしっかり届かせることができるのは、自分の声質を熟知しているからだろう。
 Calumのミックスも歌を引き立たせているし、Paddy自身も最終マスタリング工程まで想定した上でのサウンド作りを行なっている。

 
 
3. The Mystery Of Love
 間奏のSaxがAORっぽいのと、サビでのWendyとのデュエットが心地よい、シンプルな小品。
 『Jordan』あたりから、抽象的だった歌詞に宗教観が加わることになり、歌詞だけ読めば、非常に高尚な、ていうか聖人君子的な内容。
 日本でいい大人が「恋の謎」なんて歌を歌うことは、あまり考えられない。あまりに高尚過ぎるため、訳詩を読むと、むしろ気恥ずかしささえ感じてしまうくらいである。
 
4. Life's A Miracle
 やはりヨーロッパという風土では、幼少の頃からキリスト教的思考が根付いているため、「人生とは奇跡なんだ」という、日本人ならこっ恥ずかしくてネタでしか言えないことも、サラッとさり気なく歌えるのだろう。
『Jordan The Comeback』の項でも書いたけど、コンセプトに捉われることなく、素直にサウンドとメロディに心奪われることが、日本人としては最も受け入れられやすいスタイルと思う。

 
 
 ここまで書いてきて思ったのだけど、もしかしてゆとり世代の若い人なら、結構素直に聴き入れられるのかな?
 
5. Anne Marie
"Bonny"(『Steve McQueen』)、" Nancy"(『From Langley Park to Memphis』)、"Diana"(『Protest Songs』)、"Michael"(『Jordan The Comeback』)と、連綿と続く、アルバム一枚に必ず一曲は入る人名シリーズ。
 実名の誰かに向けて送ったのではなく、単に短編小説のお題的な、不特定の誰かを対象として描いた歌詞なのだと思う。こういった抽象性が好きな人である。
 未練がましい男の泣き言が、不穏なメロディによって奏でられる。
 
6. Whoever You Are
 大々的にストリングスをフィーチャーした、オーケストラをバックに朗々と歌い上げている曲。Patti LaBelleあたりが歌ったら、もっとゴージャスになるんじゃないかと思われる。
 膨大な作曲量を誇るPaddyだけど、この曲のように「これって、僕より他の人が歌った方がいいんじゃないか」とジャッジした上でボツになった曲も、相当数あるんじゃないかと思われる。そのうちのいくつかはCherやJimmy Nailがサルベージしているのだけど。
 
7. Steal Your Thunder
 ちょっぴりだけ静かなスウィング・ジャズ風のオープニングの、Paddyとしては珍しいタイプの曲。まぁ歌のパートに入ってしまえば、いつものPaddyなのだけど。
 サウンドはすごく磨き上げられているけど、歌詞の内容は相変わらず、自分からアプローチできず、待ちの姿勢のままグダグダ思い悩む、Paddyそのまんまである。Wendyをもっと構ってあげればよかったのに。

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8. Avenue Of Stars
 喧騒とした都会のビル街、見上げると、満天の星空がビルの隙間から見え隠れし、大きな星を形作っていた…。アルバム・ジャケットを想起させる歌詞が、それを彩るサウンドとマッチしている。
 派手な曲ではない。でも、80年代を通過してきた者にとって、数多の整理されたヒット曲よりむしろ、こういった何気ない情景の切り取りの方が、心の琴線をさり気なく刺激する。
 
9. Swans
 シンプルなAOR的バラードの小品。ブリッジ的に短い曲だが、美メロが凝縮されて詰め込まれている。
 
10. The Fifth Horseman
 エフェクトされたハープが、次作『The Gunman and Other Stories』を想起させる、次回の予告編といった感じのサウンド。この曲だけ、どこかサウンドの毛色が違って聴こえる。
 
11. Weightless
 朗々とブロウするSaxが、夕暮れ時をイメージさせる。
 ソ連の宇宙飛行士Yuri Alekseyevich Gagarinを題材にするミュージシャンは、そうなかなかいないと思う。
 サウンドのどの辺が無重力なのかは意味不明だけど、素直にサウンドの心地よさを満喫できれば、それでよい。
 
12. Andromeda Heights
 静謐としたサウンドに乗せて、穏やかながら熱のこもったヴォーカルで、キリスト教条主義的な歌詞を歌い上げるPaddy。
 この透徹とした世界は、Hermann Hesseの『ガラス玉演戯』の世界観と酷似していると思うのだけど、いかがだろうか。




 そしてまた4年のブランクを置いて、次作『The Gunman and Other Stories』がリリースされる。
 Prefab Sproutについてはまだ語り尽くし切れない部分があるので、続けて次回に持ち越し。


Prefab Sprout (Original Album Classics)
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北海道の中途半端な田舎に住む、そろそろアラフィフ男。ほぼ週1のペースで音楽ブログ更新中。節操ない聴き方と思われてるけど、自分の中では一貫してるつもり。 最近は蔵書の整理がてら、古い本を再読中。ジョン・アーヴィングから始まって、フィッツジェラルドやゾラ、モームなど、いわゆる古典の復習中。いつになったら終わることやら。新刊読めねぇや。
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