好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そんなユルいコンセプトのブログです。

80年代ロキノンでは正義の象徴だった - Style Council 『Cafe Bleu』

folder ガンコ親父英国代表であるPaul Weller、思い立ったら後先考えず突っ走るその性格は、デビューの頃から終始一貫している。JAM→Style Council→ソロ、どのキャリアにおいても大きな成功を収めたにもかかわらず、あまりそういったことに関心はないらしく、次のキャリアをスタートさせるのに躊躇するのを見たことがない。一旦活動に区切りをつけ、新たな形態で再スタートを切る時も、ほんと潔く行なっている。それまでにさんざん試行錯誤などして確立した音楽スタイルにもかかわらず、いとも簡単にリセットしてしまうのは、なかなかできることではない。
 特にJAM、ほんと人気絶頂の時に解散を宣言するなど、よほどのポジティヴ・シンキングか独裁者でしかありえない。まぁこの時もそれほど大事に考えていたわけでもなく、ただ単に純粋に新しい音楽がやりたかった、という極めてモッズ・スタイルに則っての行動である。

 そういったわけもあって、常に前向きの人であるがゆえ、過去のヒット曲は頑なにプレイしなかった人だったのだけど、ここ数年はさすがに丸くなったのか、ベスト盤やライブにおいても頻繁に過去の曲を取り上げることが多い。
 21世紀に入ってからのWellerの音楽的傾向としては、「進化」というよりは「深化」、斬新な未知なるサウンドの追求ではなく、これまで培ってきたクオリティの磨き上げの方に興味が向かっている。キャリアの長いミュージシャンなら誰でもそうなのだけれど、今さら目先の流行に惑わされるほどのキャリアではないし、また年齢的な点から見ても、残された時間が潤沢にあるわけではないことも、無意識の中にあるのだろう。

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 で、リリースされた当時、往年のJAMファンからは酷評され、アーバンでトレンディでスタイリッシュでスノッヴな連中からは大絶賛された、通称スタカンの本格的なファースト・アルバムが、これ。。実際はデビュー時にミニ・アルバムを発表しているので、デビューというには微妙なスタンスのアルバムでもある。そういった事情があったにもかかわらず、純正パンク・モッズ・ファン以外の幅広いユーザーを獲得したことによって、UK最高2位、ゴールド・ディスクに輝いている。
 ほぼ同時期に出てきたEverything But The Girlあたりのファン層と被ることが多く、ちょうどパンクの刺激的な音に疲れた層が、癒しのサウンドを求めてこの方面に流れて来たものだろう。

 パンク~ニュー・ウェーヴの流れでデビューし、WhoやSmall Facesから連綿と続く正統派モッズ・スタイルの3ピース・バンドとして、特にイギリス国内では絶大な人気をキープしていたJAM。Wellerの音楽的成長、方向性の変化によって、後期はモッズよりさらに遡った、60~70年代ソウル・ファンク系のサウンドに傾倒してゆく。音楽に対してシリアスな純正モッズ・バンドとしては当然の流れなのだけれど、あくまでパンク・バンドという枠組みの中で認知されているJAMという大看板では、音楽的冒険にも限界がある。メンバー間との実力・人気の格差による確執はもちろんのこと、彼らを取り巻く環境は巨大になり過ぎて、小回りが利かない状態になっていた。
 そういった現状に甘んじて、過去のレパートリーの拡大再生産に努めれば、Rolling Stones的スタンスでの活動スタイルもアリだったんじゃないかとも思えるけど、それを潔しとしなかったWeller、ほんと人気絶頂の最中に解散宣言を出す。そうすることが、彼には必要だったのだ。

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 で、一回すべての活動をリセット、JAM後期から構想のあった、ソウル・ファンク路線に加えて雑多なジャンルをミックスした音楽を実現するため、以前より交流のあったDexys Midnight RunnersのキーボーディストMick Talbotを迎えた新バンドStyle Councilが始動する。
 大方の予想は、それこそ後期JAMの延長線上、ソウル・ファンクをベースとした硬派なダンス・ミュージック系だったのだけれど、蓋を開けてみるとあらビックリ、微妙に別の方向性だったことに世間は当惑した。一応、ソウル・ファンク系のテイストやリズムはベースとしてあったのだけれど、彼らの雑食性はその範囲にとどまらず、ボサノバやジャズ、エレクトロ・ポップまで入ると、思惑とはかなり違ってくる。

 俺の世代にとって、彼らとのファースト・コンタクトはJAM解散後であり、単純にオサレ・バンドとして、そして通好みのバンドとして、一定の評価は得ていた。特に日本において彼らの評価は高く、あのロキノンでも一目置かれていた。今じゃ信じられない話だが、マクセルのカセット・テープのCMにも起用されていたくらいだったので、お茶の間での認知度もそこそこあったのだ。

 多分Wellerのコンセプトだったと思われるのだけれど、初期の彼らはシングル中心の活動であり、よってリリースのペースも早かった。当時は特にリミックスを施した12インチ・シングルが全盛で、彼らに限らず無数のバージョン違いが世にはびこっていた。当時、輸入盤をマメにチェックしていた者がどれだけいたのかは不明だけど、すべてのアイテムをコンプできた日本人は、ごく少数だったはず。
 
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 速報性が一つの利点であるシングルをハイ・ペースでリリースし、ある程度曲が溜まったらアルバムとしてまとめる、という流れ、これが次作『Our Favourite Shop』まで続く。こういった理想的なサイクルと、バンドとしてうまくまとまっていた状態とは、ちょうどシンクロしている。Wellerのビジョンと世間とのニーズがうまく一致していた、幸福な時代である。
 ただ、こういったサイクルはシステムとしては完成され過ぎているため、一度走ると簡単に止めることはできない。マグロの回遊と同じで、止まる時は死ぬ時なのだ。
 その後、彼らも2枚目以降は循環システムがうまく機能しなくなり、紆余曲折を繰り返した挙句、自家中毒のジレンマに陥ることになるのだけれど、このアルバム『Café Bleu』は、そういった杞憂もない頃、幸せな時代の作品である。


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1. "Mick's Blessings" 
 カテゴリー的にはロックなのに、オープニングはMickによる軽快なブギウギ・ピアノのインスト。当初のコンセプトとして、Style Councilとは既存のバンド・スタイルとは違って、今で言うユニット形式、既存メンバーにとらわれない、幅広い音楽性を強調していた。軽いジャブとしては有効。

2. "The Whole Point of No Return" 
 で、次もロックとはかなり真逆のベクトル、柔らかなセミ・アコを奏でるWellerの、これまたソフトなヴォーカル。リズムを抜いたボサノヴァ・タッチの曲なのだけれど、終盤に向かうに連れて、次第にヴォーカルに熱がこもって行くのがわかる。

3. "Me Ship Came In!" 
 次はラテン・ナンバー。こちらもインストで、まるでキャバレーのビッグ・バンドのよう。いくらロックから遠く離れたいからといって、ちょっと極端じゃね?って気がする。無理やり幅広いジャンルを網羅しようとしてねじ込んだようなナンバー。う~ん、まぁブリッジ的な曲だけれど、このアルバムはとにかくブリッジが多い。

4. "Blue Café" 
 こちらもスロウなジャズ・ギター的なインスト。同時代で行けば、Durutti Columnの路線にとても近いものがある。ポール・モーリアのようなベタなストリングスに乗せて、これまたロックと正反対のベクトルへ無理やり向かおうとするWellerのスノッブ振りが、今となっては何か微笑ましい。

5. "The Paris Match" 
 前年に先行シングル的に、”Long Hot Summer”との両A面でリリース済み。今思えば最強タッグである、初期スタカンではなかなかのキラー・チューン。これまたスローなジャズ・ヴォーカル・タッチで、ヴォーカルもご存じEverything But The Girlの歌姫Tracey Thornが担当。こういったタッチの曲は、やはりWellerのスタイルに合わず、それを自覚してもいたのだろう。
 JAM時代にこの曲をやろうとしても、ヴォーカルが自身であるという縛りから抜け出せず、ここまでのクオリティでは仕上がらなかったはず。ここが、何でもフロント・マンがメインを張らなくてはならないバンドの宿命から解き放たれ、適材適所にメンバーを配置できる、フレキシブルなユニットとしての利点。
 あまりにアンニュイでトレンディな世界観ゆえ、日本でもこの曲に影響を受けて同名のバンドが結成されたのは、有名な話。
 


6. "My Ever Changing Moods" 
 引き続きキラー・チューン、UK5位、USでも自己最高である29位にチャート・インした、こちらも初期スタカンを象徴する名曲。ピアノのみを配したシンプルなバッキングに、エモーショナルなWellerのヴォーカルが乗るのだけれど、落ち着いた曲調にもかかわらず、こめかみに血管を浮き出させたWellerの横顔が思い浮かぶよう。
 本人的にも会心の楽曲だったらしく、後にアップテンポのロック・ヴァージョン、また映画のサントラ用にリアレンジされたビッグ・バンド・ヴァージョンも存在する、様々な表情を見せる曲でもある。



7. "Dropping Bombs on the Whitehouse" 
 タイトルだけ見るとやたら攻撃的で不穏なイメージがあるが、実際のところは軽快なジャズ風のインスト。ほぼギターの出番は皆無なので、こんな時、Wellerが何をしていたのかが、ちょっと気になる。多分、スタジオ・セッションを横目で見ながら、ブースの隅っこ辺りで邪魔にならないように踊っていたのだろう。

8. "A Gospel" 
 テクノとファンクとラップとをグッチャグチャにミックスして、いびつな形のまんま仕上げた曲。ちなみにここでWellerは珍しくベースを担当、ヴォーカルを取っているのは、Dizzy Hiteというラッパー。今にして思えばスタカンとしてリリースする必然性を感じないのだけれど、やはりWellerの意向で、幅広い音楽性をアピールしたかったのだろう。Council(評議会)というからには、一つのジャンルに固執するのではなく、グローバルな視点が求められるのだ。

9. "Strength of Your Nature" 
 こちらはWeller、Dee C. Lee共にヴォーカル参加、前曲同様、ジャンルを飛び越えたダンス・ミュージックなのだけれど、ノリとしてはこちらの方が良い。特にファンク色の強いナンバーなので、これはプレイしている方も楽しいはず。
 この路線はWellerも気に入っており、このサウンドをもっと深化させたのが、完成直後はレコード会社よりリリース拒否、10年以上経ってからようやくリリースされた『Modernism: A New Decade』に繋がってくる。ハウス・ビートの要素が従来ファンには拒否反応を示したらしいのだけれど、俺的にもこのくらいのファンク加減がしっくり来る。

10. "You're the Best Thing" 
 夜景を望むこじゃれたバーにも、また延々と続く海岸線のドライブにも、柔らかな木漏れ日の差し込むオープン・カフェにもフィットする、それでいてきちんとロックを感じさせる、まったりとはしているけれど、不思議な感触の曲。UK5位は妥当だけれど、USでも76位まで上がったのは純粋に、そんな曲自体の魅力によるもの。



11. "Here's One That Got Away" 
 10.同様、Wellerのファルセットとフィドルが印象的な、軽めのネオ・アコ・タッチの小品。この手のソフト・サウンドのわりには、意外にドラムがドスバスしてリズムが立っている。この辺がJAMのアコースティック・ヴァージョンといった趣きで、旧いファンにも受け入れられやすい。

12. "Headstart for Happiness" 
 この頃のスタカンは要所要所でDee C. Leeをフィーチャーしており、特にこの曲ではコーラスにとどまらず、Wellerと五分でのデュエット。初期コンセプトに則って、Wellerのワンマン・バンドではなく、曲調に合わせたサウンド設定、メンバー配置を行なうことによって、バラエティを持たせている。言うなれば、Style Councilという大きな枠組みの中で組まれたコンピレーション・アルバムが、この時期には実現している。

13. "Council Meetin'" 
 最後はMickのハモンドを大きくフィーチャーした、グル―ヴィーなインスト。JAMでは実現できなかった構成であり、凝り固まった現状を打破するという意味では、このアルバムは充分パンク・スピリットに満ち溢れている。




 これだけハイ・ソサエティさに満ちて、シャレオツ業界人に消費され尽くされたアルバムを作りながら、ライブでは一転、これまでのJAM時代と変わらずシャウトしギターを弾きまくり汗を掻き唾を飛ばしシャウトしまくっていたWellerの潔さは、同世代のアーティストの中でも群を抜いていた。
 ClashとPILが自家中毒を起こして袋小路に嵌まりつつあるのを横目で見ながら、逆にパンク・スタイルにこだわることはダサいことであると一蹴し、敢えてロック以外の可能性を追求するその姿勢は、反語的にロックな姿勢でもあるのだ。

 なんか最後、ロキノンの原稿みたいになっちゃったな。


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Costelloさん、ポップ・スターに見切りをつける - Elvis Costello 『Goodbye Cruel World』

folder で、やっぱもうちょっとチヤホヤされたい、せめて一回くらいはポップ・スターとしてスポットライトを浴びてみたい、という願望を抑えきれなかったのかどうかは知らないが、再び売れっ子プロデューサーClive LangerとAlan Winstanleyに制作を依頼、アメリカでのスターダム街道を目指してリトライしてみたのが、このアルバム。
 前回でも書いたように、イギリスではシングル”Everyday I Write the Book”のスマッシュ・ヒット(UK28位)が作用したため、通常よりは微増の売り上げになったものの、アメリカにおいてはほぼ何も変わらず、相変わらず「通には受けの良い」スタンスは変わらなかった。

 Costello自身、同世代のパンク~ニュー・ウェイヴ勢の中でも、卓越したソングライティング能力については自負していたし、多くの同世代が演奏・ヴォーカルにおいてのパフォーマンス・スキルが壊滅的だったにもかかわらず、彼はその気になればギター1本だけでオーディエンスを虜にし、優に1ステージ持たせることができるくらい、ライブ・パフォーマンスには絶大の自信があった。
 ただ彼に足りないものは、不特定多数のリスナーを獲得できるほどのエンタテイメント能力、カリスマ性の希薄さだった。カリスマ性を補うための芸名「Elvis」だったのでは、というのは勘繰りすぎだろうか。

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 当時の彼の仮想敵として、最も大きかったのはDuran Duranである。
 音楽性の勝負ではない。そう言った話なら前述した通り、負けてる要素はどこにもないし、そもそも戦っているフィールドがまるで違っている。
 ただ彼が切望していたのは、ゴシップ紙の常連になったり、決めポーズをとってピンナップ・グラビアを飾ってみたり、またはホテルの裏口で安っぽい香水の匂いをまき散らしたグルーピーらに出待ちされることである。
 本人的にはあまりその辺は明言していないのだけれど、本来優秀なアーティストとは、自己顕示欲の塊である。まったくそういった気がないと言えば、嘘になるだろう。まぁコロコロ変わる音楽性同様、もしほんとにそんな状況になったとしても、すぐに飽きてしまうのだろうけど、一度くらいはやって見たかったのだろう。
 
 ちょうど離婚問題が重なったこと、またAttractionsとの関係悪化など、なんか厄年だったのか、積年くすぶっていたトラブルが一気に押し寄せたことによって、後にCostello、「そんなわけで、イマイチ本腰を入れることができなかった」とも語っている。
 そういったわけで、プロデューサー主導のアルバムと思われがちだが、実際彼らが任されたのは半分で、残り半分はCostelloの、ほぼセルフ・プロデュースという分担になっている。売れ線を狙って前回丸投げしたはずなのに、なんとも微妙な結果に落ち着いてしまったため、最初は口を出すつもりはなかったが、次第に疑心暗鬼になって、結局半分は自分の流儀を押し通してしまった、という次第。
 まぁその流儀も結局、売れ線からはできるだけ遠く、といった風に、ネガティヴなテーマでサウンド・メイキングされているため、何とも中途半端な仕上がりになっているのも、後の祭り。別の見方をすれば、その噛み合わなさを「こっちはCostelloで、こっちはLangerらで」と、想像しながら堪能できるアルバムでもある。

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 サウンド的には、こちらも前作『Punch the Clock』と同じスタッフで製作されているので、基本構造は同じなのだけれど、前回大きくフィーチャーされていたTKO Hornsは参加しておらず、Caron Wheelerが在籍した通称Afrodiziakら女性コーラスも不参加、Attractionsを中心として、ゲスト・ミュージシャンも極力抑えたシンプルなメンツになっている。
 楽曲のスパイス的役割が不在な分だけ、曲調・アレンジもシンプルに、前作と比べてR&B、ソウル色はかなり薄めになっている。見た目の派手さが薄れた分だけ、余計な装飾がなく、純粋に曲自体の良さを引き立てた作品が多い。これはCostelloの意向もあったらしく、営業政策上、シングル向けのキャッチーでポップなナンバーも必要だが、他のアルバム収録曲については、極力Attractions単体でプレイできるようにした、とのこと。

 俺的にはデュエット2曲以外の印象は薄く、前作と比べるとそれほど何回も聴いてはいないのだけれど、後年ライブで取り上げられる曲もいくつかあり、楽曲単体で見ると、光る曲も多々ある。ただ、やはり地味な印象は拭えない。
 真面目に音楽をやっているアーティストにとって、80年代とはサウンドの変遷がめぐるましかったため、そんな風潮に振り回されて駄作を連発した大物も数多い。
 Costelloもその一人である。


Goodbye Cruel World
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1. The Only Flame In Town
 ビルボード56位というまぁまぁのヒットを受けて、MTVでもたまに流れていた、Hall & OatesのDaryl Hallとのデュエット曲。この頃のHall & Oatesはほんと絶頂期、シングル・チャートでも上位の常連だった時代であり、” One on One”、” Maneater”は80年代の社会風俗特集のBGMでもよく使用されるくらい、時代の象徴だった。
 Hall & Oatesは当時、白人ながらソウル・テイストの強いポップ・ソングを数々チャートに送り込み、「ブルー・アイド・ソウル」の代表的アーティスト、クオリティの高い楽曲・パフォーマンスはCostelloの理想とするところであり、Duran Duranとコラボするよりはずっと、意に適った人選だったんじゃないかと思われる。
 PVも当時の80年代MTVフォーマットに則った、軽い寸劇を導入部として、小振りのディナー・ショーでDaryl Hall乱入、いつの間にかデュエットしてる、という、ベタだけど最強パターンの構成になっている。
 とにかく「売れる」要素をとことんぶち込んだ結果が、また中途半端なチャート・アクションなのだけれど、まぁこの方向性ではこれが限界だったのだろう。俺はPVも曲もポップで好きだけど。
 


2. Home Truth
 ほぼAttractionsのメンバーで固めてレコーディングされた、地味だけど味のあるポップ・ソング。時々ライブでもプレイしているので、そこそこお気に入りの曲なのだろう。
 何ていうか、プロ仕様、ソング・ライティングのお手本的な整合性を感じさせる。

3. Room With No Number
 穴埋め的なノリの良いポップ・ナンバー。ちょっぴりラテンを混ぜたリズムとSteveのキーボードが曲を引っ張るのだけれど、まぁただそれだけ。最後をドラム・ソロで締めるのが、意味不明。

4. Inch By Inch
 ジャジーなテイストの、何となく夜を感じさせるナンバー。2.同様、こちらも地味だけれど、たまに聴きたくなってしまう俺。ちなみにどこかで聴いたことあるなと思ってたら、翌年にリリースされた甲斐バンドのアルバム収録曲で、ほぼそのまんまでコピーされていた。
 オマージュと受け取りたいと思うのは、俺が甲斐バンドのファンだから。

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5. Worthless Thing
 ポップなアレンジのため、一聴してごく普通のポップ・ソングっぽいが、メロディ・ラインやコード進行は初期そのまんま。『Imperial Bedroom』を通過することによって、Beatlesテイストのアレンジ・構成が可能になり、サウンドに幅が広がった。

6. Love Field
 久しぶりに聴いてみると、これも美メロでしかもCostelloのヴォーカルも表現力が増して来ているのに気付いた。いやこれ、名曲ばっかりじゃん。これまでは地味で気づかなかったけど、ソングライティングのスキルとしては確実の同時代のアーティストを軽く超えている。

7. I Wanna Be Loved
 ここからB面。シカゴのR&Bコーラス・グループ、Teacher’s EditionのシングルB面という、よくこんなの見つけてきたなと言いたくなるくらい、どマイナーな甘茶ソウル系のバラードのカバー。ちなみにCostelloがどうやってこの曲を知ったのかというと、来日した際たまたま入手したコンピレーション・アルバムに入っていたから、とのこと。日本のレコード会社恐るべし。
 で、この曲も当時イギリスでは一世を風靡していたScritti Polittiのヴォーカル、Green Gartsideを迎えてのデュエット曲。とはいってもDaryl Hallほど前に出ているわけではなく、むしろちょっと大きめのバック・ヴォーカル的な扱い。そのせいか、この曲もかなりDX7臭が強く、ポップ・エレクトロ風味になっている。
 もちろん俺もオリジナルはついさっき初めて聴いたばかりだけど、この曲はやはりCostelloヴァージョンの方が馴染みはあるし、メロディの甘さを上手く活かしたアレンジになっていると思う。
 ちなみにPVはGodley & Cremeが担当。ほぼ同時期に制作された”Cry”同様、ワンカット・固定アングルで4分強を持たせている。



8. The Comedians
 ちなみにWarner在籍時までのCostelloのアルバムは、一時期かなり気合の入った発掘作業が行なわれ、本人監修による2枚組デラックス・エディションがリリースされている。
 収録曲のオリジナル・デモやライブ・ヴァージョン、他アーティストとのコラボ曲などが大体の内訳なのだけれど、このアルバムのデモ・ヴァージョンの中で、最も本リリースよりも出来栄えが良いと思われるのが、これ。
 もちろんデモなので、演奏などは拙いものだけれど、ヴォーカルが本編よりも気合が入りまくっている。こんな力強い曲だとは思わなかった、というのが正直なところ。

9. Joe Porterhouse
 ちょっとポップなカントリーといった以外、あまり印象に残らない曲。まぁこういった曲も必要かな?といった程度。ライブでもあまりやったことがないので、もしかして本人も忘れてるかもしれない。

10. Sour Milk-Cow Blues
 冒頭のシンセ和音に、ちょっと笑ってしまう。80年代的プロデュースではこれが正解だったのだろうが、今聴くとかなり古臭い。レトロとも言えず、ただただダサく聴こえてしまうのが、この時代の特徴である。
 ブルースをモダンに聴かせるため、ドラムも音をいじっており、これもプロデューサーの思惑だったと思われるがしかし、最終的に首を縦に振ったのはCostello自身である。やはりポップ・スター的な要素として、これが必要だと思ったのだろう。
 
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11. The Great Unknown
 9.同様、こちらもポップなカントリー・タッチ。思えば、この後『King of America』をリリースするわけなので、これはこれで自然の流れなのだろう。普通に次作に入っていてもおかしくない曲。
 この曲のみClive Langerとの共作になっているけど、”Shipbuilding”のマジックは再び起こることはなかった。

12. The Deportees Club
 こちらはモダン・サウンドの意匠を凝らしたロカビリー・タッチのアップ・テンポ・ナンバー。総じてミドル・テンポのゆる~い曲が多かったため、ここでライブ・バンドとしてのAttractionsの面目躍如といった感じである。

13. Peace In Our Time
 前作”Pills & Soap”以来となる、The Imposter名義でのナンバー。UKのみでシングル・カット、最高48位という成績は、やはり別名義だったため。何かを強く訴えたいとき、Costelloはこの名義を良く使っている。 最近ではずっとバック・バンドにこの名義を与えているため、あまりレア度は少なくなってしまったが、Costelloに限らず、当時のイギリスのアーティストらは不安定な政治・社会状況に常に不満を持ち、プロテスト・ソングという形でぶつけていたのだ。
 平和を熱望する歌詞のため、サウンドもそんなに尖ってはいない。シンプルに穏やかに、それでいて力強いCostelloが、そこにいる。




 結果的にAttractionsとの本格的な活動は、一旦ここで終了。ポップ・スターの夢潰えたCostelloはヒット・チャート狙いの音楽に見切りをつけ、時々ぶり返すルーツ回帰症候群が再発する。
 で、単身アメリカへ渡って『King of America』を制作、半分をConfederatesらアメリカ勢、もう半分をAttractionsで制作する予定だったのが、思いのほかアメリカ勢との相性が良くて、結局Attractionsでの収録は1曲のみ、これがさらにバンド内の空気を悪くさせる。
 Costelloにとってはもうすっかり忘れてしまったアルバムなのかもしれないが、80年代を過ごしてきた者にとっては、それなりに思い入れは深いアルバムである。近年ベテラン・ミュージシャンが行なっているアルバム全曲再現ライブ、ちょっとひねくれた英国人であるCostelloなら、あえて大方の予想を外してこの辺をセレクトしてくれそうだけど。



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Costelloさん、ポップ・スターに憧れる - Elvis Costello 『Punch the Clock』

folder 中期のBeatlesコンポーザーとして名を挙げた名プロデューサーGeoff Emerickを迎えて制作された意欲作『Imperial Bedroom』、その完成度は高く、これまでに得たコアなファンと、理屈っぽくうるさ型の英国評論家らには概ね好評を博したが、Costelloは相変わらずAngry Young Manとして、あちこちに毒を吐いていた。彼が求めていたサクセスとは、そういった種類のモノとは、またちょっと違っていたのだ。
 これまでのような内輪受けの成功ではなく、もっとスケールのでかいサクセス・ストーリー、要はアメリカをメインとした全世界マーケットにおいての成功、誰もが耳にしたことのあるくらいポピュラーな、デカいシングル・ヒットだった。
 もうどんよりとした低い雲が立ち込めるスモッグ混じりのイギリスの空ではなく、カリフォルニアの突き抜ける青い空を欲していたのだ。

 前にも書いたけど、アメリカでのセールス状況が壊滅に悪かったわけではない。皮肉と冷笑が持ち味の英国人気質が漂ってるにもかかわらず、カントリーのカバーでアルバム丸ごと一枚作ってしまうほど、旧き良きアメリカへの憧憬が深いことは、今では良く知られている。
 この頃はまだ公にしてなかったけど、Grateful Deadなんかも好んで聴いていたCostello、デビュー当時からアメリカでは比較的ウケは良く、どのアルバムもTOP50くらいにはチャート・インしており、そこそこの知名度はあった。でも、MTV全盛の80年代初頭、第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンの波によって自分より全然後輩であるはずのアーティストらが次々にヒットを飛ばすのを横目で見て、色々とフラストレーションが溜まっていたのだろう。
 -なにがDuran DuranだCulture Clubだ、あんなチャラい手抜きのポップ・ソングで俺より売れやがって。NENA?あいつらドイツ語で歌ってるのに、なんでビルボード1位なんだ、俺なんかずーっと英語で歌ってんのに、なんであいつらの方がMTVでヘビロテなんだよっ―

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 ほんとにこういったかどうかは不明だけど、イマイチ波に乗り切れてなかった感を持ってたのは、否定できないだろう。キャリア的にもセールス的にも、いつの間にか中堅どころに落ち着いてしまい、爆発的なヒットはもうないだろうけど、シーンから忘れ去られることもない、まぁそこそこのポジションに収まっちゃったな、というのが、当時の音楽シーンにおける彼の立ち位置だったのだけれど、それでもまだこの頃、Costelloは30代、『Imperial Bedroom』で丸くなり過ぎた感もあったのだろう。
 円熟というにはまだ早すぎる。
 それはCostello本人だけでなく、レコード会社、それに世界中に散らばるファンたちも思っていたんじゃないだろうか。せめて、Kajagoogooくらいには勝ってほしかったよね。

 で、あらゆる角度からヒット要素を考察し、80年代当時の「これは売れる!!」という条件を思いつく限りぶち込んでみたのが、このアルバム『Punch The Clock』。
 まずは、当時の売れっ子プロデューサーClive Langer & Alan Winstanleyにサウンド・コーディネートを依頼。MadnessやDexys Midnight Runnersをスターダムに乗せたチームなので、Costelloの作風とも親和性は高かった。いくらヒット・メーカーだとはいえ、いわゆる80年代的キラキラ・ポップを作る人たちではないので、この人選は間違ってなかったと思う。
 PVも話題性を持たせるため、唯一カットされたシングル”Everyday I Write the Book”では、当時英国民の間で大きな関心を集めていたチャールズ皇太子とダイアナ妃のそっくりさんを起用したロイヤル・コメディ・タッチに仕上げた。もちろん曲調との関連はほとんどないのだけど、メディアへの宣伝効果はバツグンで、MTVでもそこそこのヘビロテとなり、US36位とセールスにもそこそこ貢献した。
 
 
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 前にも書いたけど、もともと音楽性については雑食のため、その時その時によって、方針がコロコロ変わる人である。今回のように、かなりポップな流れになったと思えば、次はルーツ回帰のカントリー・タッチ、原点に返ってガレージ・サウンドになったかと思えば、最近では思いっきりヒッポホップ方面へも進出している。キャリアが長い割に、変なこだわりがない人なのだ。
 なのだけれど、あまりにその強烈なパーソナリティ、ソング・ライティング能力のため、結局は何をやってもいつものCostelloになってしまう。いくらイメージ・チェンジを試みたとしても、その特徴ある歌声によって、振り出しに戻ってしまう。Dylanなんかと共通の悩みである。

 で、そこそこのセールスや話題性は獲得したものの、あくまで通常営業と同じような売り上げだったのでは、せっかく市場に迎合した意味がない。市場のニーズと傾向と対策を分析したはずだったのに、思ってた以上のリアクションは得られなかった。多分Costelloとしても、ほんの一瞬くらいはポップ・スター的な振る舞いを想像していただろうし、周りには「しょうがねぇなぁ」とボヤきつつも、鏡の前で独り、ポーズの一つでも決めていたのかもしれないし。

 従来のCostelloファンから見てこのアルバム、これまでより大きくポップ寄りになったサウンドには違和感が強く、当初はメディアでも賛否両論だったが、後年ライブで取り上げられる曲も多く、80年代サウンドの意匠を外したアレンジによって演奏されたのを聴くと、やはりいつものCostelloである。
 Costello自身もリリースしてしばらくは、このアルバムについてはあまり気に入ってなかったらしいが、ここまで時が経過すると、 そんなこだわりも薄れてゆくのだろう。純粋に楽曲のクオリティの高さによって、アルバムの評価も良い方向へ変わりつつある。
 ただ当時のCostello、彼はそういったクオリティ的な評価だけでなく、もっと開かれた支持、要は一瞬だけでもポップ・スターになりたかったのである。


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1. Let Them All Talk
 このアルバムにおいて大々的にフィーチャーされているTKO Hornsがリードする、ブラス・セクションを前面に押し出したナンバー。アルバム一発目の景気づけとしては最適な選曲だけど、ほんとブラスのリフばかりが頭に残り、しかもソウルっぽさを感じさせないホーンというのは珍しい。
 勢い一発、ハデななポップ・ソングとして、アルバム構成的には良いのだろう。後で何も残らない。
 ある意味、完璧なポップ・ソングとも言える。

2. Everyday I Write The Book
 前述したように、PVのコミカルさが話題となってチャートで健闘した。Monty Pythonから続く伝統なのか、ほんと、イギリスの映像コンテンツは皮肉と社会風刺と自虐にまみれた作品が多い。
 こちらも1.同様、サウンドのカラフルさを狙うため、珍しく女性コーラスを起用。で、いまwikiで調べて初めて知ったのだけれど、後にSoul II Soulに参加して80年代末に” "Keep on Movin'”をヒットさせたCaron Wheelerが参加している。終盤のヴァ―スなど、明らかにCostelloのヴォーカルを喰ってしまっている。
 


3. The Greatest Thing
 通常の8ビートと違う変則リズムが印象的な、こちらもTKO Horns全面参加。昔のアルバム作りとは、大抵A面3曲目くらいまでは、アップテンポのナンバーを続けたものだ。こちらもそれほど残る曲ではないのだが、やはりアルバム全体の彩りとしては、ここに入れて正解だったはず。

4. The Element Within Her
 やっと通常営業のAttractionsメインによるナンバーの登場。ミドル・テンポのポップ・ソングでありながら、どこか憂いが感じられるのは、BeatlesっぽいCostelloの多重ヴォーカルの力が大きい。

5. Love Went Mad
 こちらも4.とセットと思っちゃってもよい、ミドル・テンポの軽くて聴きやすい、やはりBeatlesテイストの濃いポップ・ソング。
 ここまでサウンドの軽さばかり伝えているけど、Costelloの場合、英国人気質に満ちた、皮肉と自虐を交えたダブル・ミーニング多用の歌詞もまた、魅力の一つである。この曲も自虐に満ちて捻じれた恋愛観をテーマとしているのだが、そのにじみ出るドメスティックさが、自国での安定した人気なのだろう。
 ただ、同じ英語ながら、そこまでのニュアンスを充分に伝えきれないこと、文化の違いこそが、アメリカでのブレイクの遅れた一因でもあるのだと思う。

6. ShipBuilding
 A面ラスト、ここでガラリとサウンドのテイストを変えてくる。この曲のみ、作曲Clive Langer、Costelloは歌詞を担当している。当時、イギリスの政治状況においては最重要課題だったフォークランド紛争、それに伴う造船所に残された家族の悲哀をテーマとしており、当時Costello自身、「今まで書いた中で最高の歌詞」と自画自賛している。悲惨な状況をウェットにならず、シニカルに淡々と描写した詞とメロディ、そしてシンプルなサウンドとが相乗効果として、独自の世界観を構築している。
 もとはRobert Wyattへの提供曲をセルフ・カバーした物であり、俺が最初にこの曲を知ったのはCostelloヴァージョンなのだけど、Wyattヴァージョンは一回MTVでチラッと耳にした程度。それ以上深追いしたことはない。それくらい、Costelloのヴァージョンが優れているのだ。
 このトラックに参加しているChet Bakerのトランペットの響きについては、もうあらゆる方面で語られているけど、俺的にはこのサウンドの柱である、Steve Nieveのピアノを評価したい。
 SteveもCostello同様、この頃はまだ30代、なのに、この表現力の凄みったら。
 


7. TKO (Boxing Day)
 しんみり締めたA面から一転、B面は再びTKO Horns再登場、こちらも女性コーラス、通称Afrodiziakも合流。はっきり言って1.と同じようなサウンド・コンセプトであり、入れ替えても誰も気づかないんじゃないか、とまで思ってしまう。
 ところでこの曲はシングル・カットされてないため、PVは存在しないのだけれど、2.の映像はむしろ、こちらの曲の方が合ってるんじゃないか、と昔から思ってる。ダイアナ妃(のそっくりさん)がチャールズ皇太子(のそっくりさん)を16オンス・グローヴでノック・アウトするところなんか、正にピッタリだと思うんだけど。

8. Charm School
 『Trust』あたりから、この人はミドル・テンポのナンバーがうまくなっている。それは同時にAttractionsの成長でもあるのだけれど。
 シャッフルのリズムを多用するのは、バン・マスであるSteveのアイディアが大きいと思うのだけれど、後にケンカ別れすることになるPete Thomasのベース・ラインも、ルート音中心でありながらも、なかなかに個性的。変に個性的過ぎるから、メンバーと合わなかったのだろうか?

9. The Invisible Man
 ちょっと控えめにTKO Horns参加。しっかしあれだよな、これだけ前に出てるし印象も強いのに、これだけソウル臭さを感じさせないのも珍しいよな。

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10. Mouth Almighty
 なんかこの辺になると、同じようなポップ・ソングばかりが続いてて、正直ちょっと飽きる。サウンドのトータリティを重視した音作り、と言えばそれまでだが、B面はプロデューサー主導のサウンド・デザインのため、Attractions好きの俺にとっては食傷気味。いくらマグロが好きでも、中トロ・大トロ・ネギトロと続けば、胸焼けしてしまうのだ。

11. King Of Thieves
 そうは言っても、そんな中で存在感を出して検討しているのが、バン・マスSteve。印象に残るプレイが多い。ストリングス導入によって、ドラマティックさをちょっぴり入れたナンバー。

12. Pills And Soap
 曲調がガラッと変わって、シリアスさを強調したナンバー。それもそのはず、当時のサッチャー政権をあからさまに批判した、昔で言うプロテスト・ソングであり、アルバム・コンセプトとはかなり乖離した曲である。
 今もバンド名に使用している『The Imposter』名義を、ここで初めて使用してシングル・リリース、その政治的な内容にもかかわらず、UK16位と好成績を記録している。そういった経緯があったからこそ、アルバム収録されたのだろうけど、こういった堅苦しい曲が平気でヒット・チャートに並んでしまうことから、当時のイギリスの政治・社会状況の深刻さが窺える。

13. The World And His Wife
 またまた一転して、最後は大団円、本編は12.で終わり、これだけオマケ、アンコールのような扱いの、何だか冗談みたいな曲。日本では名邦題『コステロ音頭』として有名な、とにかく楽しくて踊りたくなるナンバー。ほんとリズムは盆踊りそのもの。
 しかし、何故かここでのCostello、ヤケクソなのか本気なのか、アルバム中、最も気合の入ったヴォーカルが聴ける曲でもある。
 ライブでやったら、少なくとも日本だったら絶対盛り上がりそうだけど、本人的にも冗談みたいな感じだったのだろう。海外のwikiによると、この曲がライブで演奏されたのは、これまでで2回のみ、しかもアルバム・リリース直後であり、ここ30年くらいは演奏されていないようである。
 再評価は難しいかもしれないけれど、俺的にはぜひライブで聴いてみたい曲の一つである。






 思ったより売れなかったことに対して、それでもCostelloは諦めなかったのか、それとも契約の関係でもう一枚作らなければならなかったのか。
 Costelloとしても、そんな一度くらいのアクションで大売れするとは思っていなかっただろうし、レコード会社的にも、取り敢えずはそこそこのアベレージはクリアしていたので、次は同じ路線の定着を図ることは、商売としては当然の結論だった。
「もっと80年代ポップ成分を強めなくっちゃ」ということで出来上がったのが、次作『Goodbye Cruel World』である。


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北海道の中途半端な田舎に住む、そろそろアラフィフ男。ほぼ週1のペースで音楽ブログ更新中。節操ない聴き方と思われてるけど、自分の中では一貫してるつもり。 最近は蔵書の整理がてら、古い本を再読中。ジョン・アーヴィングから始まって、フィッツジェラルドやゾラ、モームなど、いわゆる古典の復習中。いつになったら終わることやら。新刊読めねぇや。
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