好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そういったゆるいコンセプトのブログです。

フランス人なのに暑苦しい男、James Copley - Electro Deluxe 『Home』

folder ここ一年くらい、俺的には結構盛り上がっているにもかかわらず、日本では知名度も人気的にも悲劇的なくらいイマイチなフランス産ジャズ・ファンク・バンド、またまたElectro Deluxeのご紹介。
 
 フランス国内ではそこそこ盛り上がっているらしく、twitterやfacebookをチェックしていると、月2~3度くらいだけど、ライブの予定が半年先くらいまで開示されており、切れ目なくオファーが続いているのがわかる。
 あだ、その人気がユーロ圏内から飛び越えることが難しいらしく、現状ではライブもほぼフランス国内に限定されており、海外公演は至難の業だという状況が続いている。それでも草の根的に世界中に広がりつつあるファンたちに向けて、また更なる拡大を目指して、彼らもいろいろ策を講じている。

 海外のバンドがライブ・シューティングを行ない、Youtubeで発信してファンの拡大を狙うことは、近年どのバンドも力を入れていることである。彼らもまた例外でなく、特に今年に入ってからは更新の頻度が多くなっており、現在もほぼ月一くらいのペースで動画をアップしている。
 当初は臨場感あふれるスタジオ・セッション中心で、シンプルかつ低予算のハンドメイド、手作り感満載の作りだった。ただ、このアルバムがリリースされた前後になると、どうも予算が増えたのか、本格的なスタジオ・セットを組んで観客を入れてライブを行なったり、郊外の一軒家へロケに出たりと、曲ごとに趣向を凝らした作りになっている。最近ではスタジオ・セットを組んで寸劇仕立て、3人のバック・ダンサーに翻弄されておどけるヴォーカルのJames Copleyが、ちょっぴりカワイイ(とはいっても、愛想の良いMorrissey似のオヤジが蝶ネクタイにタキシード姿で溌剌と動く様をカワイイと思えるかどうかは、あなた次第)。

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 俺はどうしてこんなにこのバンドが好きなのだろう?
 何が魅力的なのか、なぜそれほど俺の心を魅了するのか-、整理するため、ちょっと箇条書きにしてみた。
① ジャズやファンク成分の強い無国籍サウンド
② ロックの影が薄い
③ ファンク要素の強いリズムと、ジャズ・テイストのホーン・セクションとの絶妙な組み合わせ
④ ルックスはそれほど…、というかビジュアル面で勝負してない、一般的なイケメンは数少ない
 以上、いくつか羅列してみると…、なんだ、ただのJoe Jacksonじゃねぇか。
 
 人の趣味嗜好はそれぞれだけど、俺という人間は、この手のサウンドにはほぼ無条件で反応してしまうらしい。これまであまり意識したことはなかったけど、それくらいJoe Jacksonと共通点が多かった。
 これらの条件に当てはまるアーティストとして、他にSteely Danがいる。彼らも基本、個々のキャラクターを前面に押し出したタイプじゃないよな、そういえば。Donald Fagenがソロ・デビュー間もない頃、あの『Nightfly』のジャケットでシブい大人のフェロモンを放出していた時期もあったけど、それももう昔の話、今じゃただの偏屈なオヤジである。片割れのWalter Beckerは相変わらず宮崎駿そっくりだし。
 ④の条件に絞ると、他に大滝詠一やBeautiful Southも該当するのだけど、掘り下げるとキリがないのでやめておこう。

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 バンド名の由来通り、デビューと2枚目くらいまではエレクトロ成分を若干まぶしたビートと、ジャズ・テイストな生音との融合、それにごくわずかのヒップホップ風味も入って、とっ散らかってごちゃ混ぜなサウンドになっており、その未整理加減こそが一部のジャズ・ファンク好きには早くから注目を浴びていたのだけど、あくまで狭いジャズ・ファンク村での内輪の話題であり、それが外部に大きく広がるほどではなかった。
 バンドとしての方針というか、サウンドのコンセプトがイマイチ曖昧だったのだ。多くの大衆に届けるには、もっとわかりやすい言語が必要だ。
 しかし、バンド結成から間もなかったため、何をやり始めるにもすべてが手探りだ。確固としたコンセプトの立案にはまだ時間が必要だったし、もしあったとしても予算も時間も、そしてメンバーそれぞれのスキルも充分でなかったのだろう。
 
 地道な活動を続けるうち、それなりにではあるけど知名度も広がり、それなりにライブのオファーも増え、今までならシンセ機材で出していた音も生音、特にホーン・セクションをレコーディングに使えるようになった、さらに予算が増えるとパートタイムではあるけど、ライブ・メンバーとして常駐できるようになった、最初は予算の関係上、苦肉の策だったループ・ドラムやプリセット音も、わざわざ使う必要がなくなってきた。理想的なバンドとしての成長である。
 ていうか、もともとこんな感じのサウンドを志向していたのか、それとも行き着いた結果なのかはわからないけど、バンドとしてはいい感じで行ってるんじゃないかと思う。


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1 Devil
 パーティ・バンドっぽいオープニング。ホーン・セクションもベースも躍る感じでプレイしており楽しそう。ビデオは郊外の誰かの一軒家の別荘?っぽい設定。いつものステージ・スタイルではなく、格好も非常にラフ。でもどんな時でもCopleyだけはただ一人、シャツのボタンをキッチリ上まで留めている。

 
 
2 Showdown
 Frank Sinatraっぽいジャズ・テイストの強い曲。歌だけ聴いてるとまったりっぽいが、やはりこのバンドのリズムが跳ねる跳ねる。
 
3 Free Yourself
 
4 Twist Her
 1.と同じ日に収録されたテイクもあるが、小芝居仕立てで作られたビデオ・クリップの方が面白い。フランスの大衆演劇場を模したセットの中で、先ほど挙げたCopleyを始めとするバンド・メンバーの熱演ぶりが微笑ましい。バック・ダンサーの中国雑技団張りの演技も見もの。

 
 
5 The Ring
 ややStax系のリズム&ブルースを思い起こさせる、彼らにしては珍しいタイプの曲。ベタっぽいバラードだが、情感たっぷりに、しかもドライに歌い上げるCopleyがカッコよく見える。あまりべたつかない歌い方はこの人の強みだろう。
 
6 G-Force
 
7 Smoke
 ビデオでは若手ラッパーBeat Beat Assailantとコラボ。アルバム・バージョンではCopleyのソロだが、断然ビデオの方が必見。こちらは大きめのスタジオでのセッションとなっており、よってホーン・セクションもフルで入っており、Electro Deluxe Big Band名義。大人数で盛り上がるCopleyと対照的に終始クールな態度のAssailantとの対比が面白い。
 こういった時、オヤジって盛り上がるんだよな。

 
 
8 Ground
 
9 Turkey
10 Blacktop River
 ちょっとレゲエ調の、これも今までなかったタイプの曲。やはりホーンが常駐するようになるといろいろアイデアが浮かんでくるのか、まぁアルバムにバリエーションを持たせるためには、こういった曲も必要なのだろう。

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11 Rise Up
 ライブでは情感たっぷりに歌い上げるバラードから一転、フル・バンドで盛り上がるパターンだけど、アルバム・ヴァージョンは最初っから飛ばしまくるブラス・ファンク。そんな音の壁にも負けない、暑苦しいまでのCopleyの個性あふれるヴォーカル。
 わかった、日本では彼のようなキャラクターは濃すぎるんだよな、きっと。イギリスじゃ国民的大歌手のTom Jonesだって、日本じゃさっぱりだもの。もう少し薄めればちょうどいいのかもしれないけど、そうなるとバンドの持ち味がかなり失われてしまうことになる。難しいところだ。
 
12 Comin' Home
 Otis Reddingに聴こえる瞬間もあるくらい、珍しく素直なソウル・バラード。
 あまり語られることがないのだけど、ドラム担当のArnaud Renavilleという人、この手のバンドにしてはドラムがズシッと重く響く。ファンク系バンドの多くはノリとリズム感を売りにしているため、ハイハットももっと軽く響く場合が多いのだが、彼の場合、このようなしっとりしたスロー・ナンバーでも重厚感がある。
 ビデオではCopleyが時々変顔で唸ったりもしているが、基本シリアスに真面目に歌っているのが、どことなく滑稽。

 




 何しろ米米クラブにも引けを取らないくらいの大所帯バンドのため、なかなか小回りが利かず、海外公演もそんなにできない現状が続いている。
 どうにか世界的な企業CMなんかで取り上げてくれればいいのだけれど、何しろ他国を平気で見下すフランス人だけあって、それもまた難しいだろう。変な方向で売れてしまってポップになり過ぎるのも、ファンとしては複雑なところ。
 やっぱりこのままマイペースで、時々ビデオ・レターみたいな形で元気な姿を見せてくれるのが一番無難なのでは、という結論に落ち着いてしまう。
 まぁ、元気でやっててくれりゃいいか。



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姐さん、まだまだ現役っすネ - Marlena Shaw 『Who Is This Bitch, Anyway?』

folder 以前Steely Dan『Aja』のレビューで、影の主役はChuck Rainey(B)である、と書いたのだけど、その彼のまた別方面での良い仕事が、1974年にリリースされた、このアルバム。
 同じく『Aja』で名演を繰り広げたLarry Carlton(G)も一緒に参加しており、その他Harvey Mason(D)、David T. Walker(G)、Jim Gordon(D)など、当時のジャズ/フュージョン名盤では常連のメンツが勢ぞろいして、ほぼ好き勝手に最高のプレイを披露している。ただし、誰もがエゴを剥き出しにはせず、あくまで最高のシンガーMarlenaの最高の歌を引き立たせることを前提に、最高のコンビネーションでプレイしている。
 
 このアルバムがリリースされた1970年代のモダン・ジャズ・シーンと言えば、当時所属していたブルー・ノートも含め、業界全体に往年の勢いが失われており、時代はほぼフュージョン一色となっている。純粋なスタンダード・スタイルの4ビート・ジャズは、ほぼ伝統芸能レベルにまで廃れており、クロスオーバーというネーミングが表すように、ソウル/ファンクのテイストをあしらったサウンドが主流となっていた。
 メインストリームのジャズがそういった様相だからして、ましてや、どスタンダードなジャズ・ヴォーカルのニーズはさらに失われており、こちらも絶滅寸前にまで追い込まれていた。
 
 もともとブルース系レーベルのチェスでデビューを果たしたMarlenaは、ブルー・ノートにおいては、どちらかといえば異端的存在だった。逆に言えば、そのソウル/ファンク・テイストの強いキャラクターであったことが強みとなって、従来の古臭いジャズ・ヴォーカリストらに混じることなく、後世まで生き残ることができた。

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 リリースされてちょうど今年で40周年、もはや威光の失われた往年のジャズ・レーベルという不利な条件だったため、大きなセールスを上げたわけではないけど、いつまでも語られることの多い名盤である。
 レコーディング・メンバー、ヴォーカリストの個性や卓越したテクニック、ストーリー仕立てのコンセプト・アルバムである、などなど、様々な要因はあるのだけど、どれが決定打かといえば、それはちょっとわかりかねる。こういうのって、結局は人それぞれだから。ただ、どんな理由で惹きつけられようと、一度手に入れてしまったらなかなか手放すことのできない、もし手放してしまったとしても、再び手に入れたくなってしまう、そんな不思議なアルバムである。誤解を恐れずに言えば「緩慢な麻薬」のようなアルバムである。
 
 ジャズ・ヴォーカルというのは、かつて日本でも人気のあったジャンルだったらしいのだけど、今ではもうその勢いも見る影はなく、伝統芸能のような扱いとなっている。戦後間もなくだと、ポピュラー音楽と言えばジャズくらいしかなかったので、安定したセールスを誇っていたのだけど、1950年代後半からのロックやポップスの台頭によって、その座も失われて久しい。ジャズ・ヴォーカルのピークをFrank SinatraやHelen Meriillの時代として、それ以降もまったく絶滅してしまったというわけではなく、一応時代ごとに歌姫的な存在のアーティストは出てきてはいるのだけど、あいにく往年のブームを凌駕するまでには至っていない。

 日本でも1970~80年代にかけては、阿川泰子やマリーンなど、スタンダード・スタイルの女性ヴォーカリストが定期的に出てきてはいたのだけど、彼女らのタレント化に伴い、そういったムーヴメントも徐々に収束してゆき、今ではもう見る影もない。ましてや、男性ヴォーカリストなんてもう、誰かいたっけ?といった惨状である。

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 今後のジャズ・ヴォーカル界に未来はあるのだろうか?
 残念ながら、「純粋な」ジャズ・シンガーの需要というのは、もうほとんど見込めないのが現状である。純正のジャズ・ヴォーカルの復権はないだろうけど、歌の上手いシンガーという需要は、どの時代でも確実にあるので、ポップ・シーンとのコラボレーションによる生き残りは可能だろう。大きなヒットは見込めないし、絶対数は少ないけど、どの時代にだって、ディーヴァは必要なのだ。Aretha Franklinだって、もともとはジャズ/ゴスペル出身だし、近年だとAdeleのサウンドもジャズ・テイストが強い。
 そう考えると、Amy Winehouseの早逝は、実に痛いところ。
 
 全盛期にも増して、近年精力的なライブ活動を続けているMarlenaもまた例外でなく、フュージョン系ミュージシャンとの共演も多く、ワン・ショットではあるけれど、若手ジャズ・ファンク・バンドへのフィーチャリング参加など、他ジャンルからの需要はコンスタントに続いている。演奏レベルが高いバンドにとって、サウンドに負けないポテンシャルを持つシンガーというのは、必須アイテムである。彼女のような本物のシンガーを積極的に起用していることが、近年のNu-Jazzやアシッド・ジャズの成しえた貢献の、最も大きなひとつである。


フー・イズ・ジス・ビッチ、エニウェイ?
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1. Dialogue ~ Street Walking' Woman
 なかなか曲が始まらない。
 全体では6分の長尺だけど、実際の曲は後半3分くらいで、前半3分はまるまる男女の会話。バーの喧騒の中の会話という設定のため、聞き取りづらい上、ネイティヴな英語は日本人ではなかなか理解しづらい。他のサイトでの訳を読んでみると、まぁシャレオツながら中身のない会話の応酬なのだけど、アルバム全体のムードを印象づけるには、これくらいでちょうど良いのだろう。
 HarveyとChuckによる変幻自在のリズム・セクションは、彼らのキャリアの中でも特筆するほどのクオリティ。4ビートと16ビートがめぐるましく変化し、それに対して相変わらずのマイペースなDavid T.、ナチュラル・トーンと性急なカッティングの使い分けが絶妙。Mike Lang(P)もこのメンツの中では地味な方だけど、転調ごとにいなせなオブリガードを聴かせている。
 最後になってしまうけど、やはりMarlenaのBitchっぽいヴォーカルが熱い。終盤に差し掛かると、バンドとヴォーカルの相乗効果で、テンポも次第に上がってゆくことでファンク色が強くなり、最高潮の盛り上がりで占める。
 あぁもっと書きたいのだけれど、いまいち伝わらない。とにかく、聴いてほしい曲。

 
 
2. You Taught Me How To Speak In Love
 “いとしのエリー”の元曲。
 デビュー間もない頃のサザンは、この曲に限らず、「影響された音楽を素直に形にしてみました」感の強い曲が多い。パクリ疑惑も流れているけど、サザンの場合、そこまで悪意めいたサウンドではないので、むしろオマージュと考えた方がよい。だって俺、サザン好きだもん。
 演奏の主役はやはりDavid T.、このとろけるギター・ソロに、いったいどれだけのギタリストが憧れを抱き、そして夢潰えていったのだろう。単純な音色なのだけど、やはりこのタイム感、世界観の作り方はマネできるものではない。
 
3. Davy
 前半は正統なジャズ・ヴォーカル的ナンバー。効果的なストリングスが導入されており、往年のビッグ・バンドをバックに歌うMarlenaの姿が思い浮かぶ。この曲のギターはDennis Budimir、一般的な知名度はほぼないけど、当時のセッション・マンとしては人気があったらしく、彼のソロが入った頃になると空気感が変わり、Carole King系のポップ・バラードで軽やかに締める。
 
4. Feel Like Makin' Love
 オリジナルがRoberta Flackというのは、有名な話。
 LarryとDavid T.のダブル・ギターだけど、オブリガード中心のプレイで決して歌を邪魔していない。Marlenaのヴォーカルも終盤こそテンポ・アップしているけど、終始抑えたムード。良い曲とわかっているからこそ、大切に歌っているのだろう。
 とにかく様々なアーティストにカバーされまくってる曲であり、変わったところでは、なぜか今井美樹がカバーしている。これはこれで透明感のあるヴォーカルが好印象。

 

5. The Lord Giveth And The Lord Taketh Away
 Marlena自身による、ピアノ弾き語りのブルース・ナンバー。1分足らずの曲なので、セッションの合間の余興だったのだろうけど、多分思ったより出来が良かったので、収録に至ったのだと思う。こうして聴いてみると、ほんと幅の広いシンガーという ことがわかる。
 
6. You Been Away Too Long
 このアルバムのプロデューサーであり、アレンジャーでもあり、そしてこの曲の作者でもあるBernard Ighnerが現場でがんばった曲。まとめ役という立場上、どうしても裏方的作業が多くなりがちだけど、ここではフリューゲルホーンで参加。
 比較的メロウな曲で、もう少し甘くなれば類型的なA&M系のポップスになりがちなところを、Dennisのギターとドスの効いたHarveyのドラムがうまく締めている。

Marlena-Shaw

7. You
 こちらは少し甘みを強くしたバラード。こういう曲は、シンガーとしては歌ってて気持ち良いのだろうけど、聴き手側としては、よほど思い入れが強くない限りは、ただただ眠たくなってしまう場合が多い。演奏自体もメロウ感が強く、辛うじてMarlenaの声・歌唱で最後まで聴くことができる。
 そう考えると、ここ数年の徳永英明というのは、すごい存在である、と改めて思う。
 
8. Loving You Was Like A Party
 レア・グルーヴの中では、結構名の知られた曲。ちょっとクラブ系を齧ってる人なら、曲自体は聴いたことがある人は多いと思う。そう、Marlenaが歌っていたのです。
 Bitch再び、といった感じで気怠いアバズレ感漂うヴォーカルが、LarryとDavid T.のケツを引っぱたいて必殺フレーズを弾かせてるシーンが思い浮かぶ。いかにも70年代を連想させる、間奏からのシンセがまた泣きを誘う。グルーヴ感がハンパない曲なので、バラード以外のMarlenaを求めるのなら、ゼヒ。

 
 
9. A Prelude For Rose Marie
 
10. Rose Marie (Mon Cherie)
 映画音楽のような荘厳としたプレリュードに続き、アルバムのシメは穏やかで、ちょっぴりスウィートなポップ・ナンバー。これまで技の応酬だったセッション・メンバーを一新して、メロディを活かした音作りになっている。
 Marlenaも力を抜いて軽やかなヴォーカルを聴かせている。




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Teo、これちょっとまとめといて - Miles Davis 『A Tribute To Jack Johnson』

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 いわゆる電化マイルス、"Electric Miles"と称される1968~1975年に至る間、Milesは多くのライブを行ない、それに伴った膨大な音源を残している。当時リアルタイムで発表された物も数多くあるが、それもほんのごく一部氷山の一角に過ぎず、1975年の最初に引退時から断続的に小出しに蔵出し音源がリリースされている。
 引退の真相は諸説あるが、多分ドラッグの乱用で心身ともにガタガタになってしまったことが多くを占めるだろう。70年代までのミュージシャンは嗜みとして、ドラッグと乱交が当たり前だった。
 
 いくら帝王Milesとはいえ、レコード会社の契約には勝てない。
 ジャズ・ミュージシャン、ましてや当時の黒人にとっては、その契約の内容は白人と比べても不利極まるものだった。
 いくらモダン・ジャズが大きなムーヴメントだったとしても、その契約内容によって、印税などは微々たるもの、その日の暮らしにも事欠くくらいの窮状においては、どうしてもドラッグに手を出してしまうのはやむを得ないことだ。その日のドラッグ代欲しさのため、たとえ不利な契約でもサインして小銭を稼ぐ、そしてまた同じように…、この無限ループが死ぬまで続く。

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 Milesの場合はそこまで極端ではなかったにしても、かなり歯がゆい思いはしていたはずだ。ましてや同時代のロック・サウンドが自分たちの何十何百倍も稼いでることを目の当たりにして、嫉妬に狂う夜もあっただろう。
-白人どもは俺たちから音楽をパクるどころか、稼ぎさえも自分たちで独り占めしていやがる。
 純粋に音楽的な成長といった面もあると思うけど、多分こういった嫉妬の面も多かったと思う。

 そんなMilesが自然と向かいつつあったのが、従来の行き詰まったモダン・ジャズとは対極の、フリーフォーム中心のエレクトリック路線である。
 Milesだけの問題ではなく、4ビート中心の生楽器演奏が限界に達しつつあり、もともと雑食性の強いジャズというジャンルが、ソウルやボサノヴァなど、他ジャンルの音楽を貪欲に吸収し侵食し始めた頃である。
 最初は電気ピアノなど従来の延長線上の楽器が導入されたが、次第にエレキ・ギター、ベースやドラムも電気的に増幅され、終いにはMiles自身のトランペットも電気的にエフェクトされ、何の音だかわからなくなってゆく。
 その凝縮された混沌の結果が引退前の最終作『Agharta』『Pangaea』に結実するのだけれど、この『A Tribute to Jack Johnson』くらいの時期は、まだそこまで突き抜けていない。
 
 このアルバムのコンセプトは一応、不当逮捕された黒人ボクサーを追ったドキュメンタリー映画のサウンドトラックという体だが、まぁそういった予備知識を抜きにしても問題ないと思う。コンセプトに縛られて音楽を聴くものではない。コンセプトに縛られてはダメなのだ。

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 ちなみにこのアルバム、よくレビューされているのが、「Milesが当時のロックに最も近付いた作品」「ロック好きな人にもオススメ」という感じなのだけれど、実際聴いてみると…、なんか微妙である。これまであまりジャズを聴いたことがない人でも、なんか普通のジャズと違うことは一聴してわかるだろう。
 一般的に「ジャズ・ビギナーが思い描くジャズ」とは、Bill EvansかSonny Rollins、または思いっきり飛んでケニーGあたりだ。そういった通常フォーマットの、口当たりの良いジャズではない。
 
 今回のアルバムのメインであるJohn McLaughlinによるギターのパワー・コードが延々と流れるサウンドが、一般的なロック・ファンにもとっつき易そう、とも言われているが、ほんとにそうか?という気もする。多分、これが当時のMilesの思い描いた、いわゆるロック寄りの音なのだろうけど、ロック/ポップスと違ってそれほど起承転結があるわけでなし、一般層が思うメインストリームのロックではない。
 後にMahavishnu Orchestraというバカテク・バンドを結成するMcLaughlinだが、ここでは単純なコードを押さえて適当にストロークしてるだけにしか聴こえない。ただファンク寄りのリズム・セクションは古びることなく、いま聴いても十分通用するレベル (このリズム感だけはMilesがしつこくメンバーに力説していたようである)。
 
 ここまで書いてみると、何だか悪口ばかりに聴こえるようだが、まぁ半分くらいは当たっているけど、言いたいのはそういうことじゃない。
 どのジャンルにも当てはまりづらく、居心地が悪そうな音楽がある。空気なんか読む気もない、独立独歩オンリーワンの音楽。ジャンル分けされることをとにかく嫌う音楽。
 それがMiles Davisというジャンル、Miles’ Musicである。


A Tribute To Jack Johnson
A Tribute To Jack Johnson
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1. Right Off
 影の主役はHerbie Hancock。
 McLaughlinだって、もともとロック方面の人ではない。Milesによって、なんとなく今までと違った感じのギターが弾けそうだから、とスタジオに押し込められて適当なパワー・コードを振り下ろしてたのを、「何かロックっぽいぜ」と勘違いしたMilesが長回ししたテープをいつものようにTeo Maceroに丸投げしただけである。
 そんな中、たまたま近くを通りかかったHerbieがFARFISAオルガンをつま弾くことにより、サウンド全体に締りが出た。
 Milesもそれで奮起したのだろう、久しぶりにトランペットのミュートを外し、オープン・スタイルで吹きまくっている。
 McLaughlinがいくらロック・スタイルでプレイしたとしても、所詮は付け焼刃であり、自分のスタイルを崩さず、よりファンきなープレイを魅せるHerbieこそが、Milesの意図だったのかもしれない。
 
 
 
2. Yesternow
『In A Silent Way』を思わせる、静かなオープニング。多少のヤマ場や盛り上がりはあるけれど、ほぼこのスタイルで演奏は続く。Michael Hendersonの地を這うベース、薄く被さるHerbieのオルガンに導かれて、再びMilesのオープン・トランペット。
 3分以上経ってからBilly Cobhamのハイハット中心のドラムが入ってくる。13分過ぎくらいからのMcLaughlinとHendersonの技の応酬は聴きどころ。
 俺的にはMcLaughlinのプレイはこちらの方が好き。変にロックにすり寄ってる感じがなく、アバンギャルド性が強いので。あ、もちろんMilesのプレイもいいっすよ。
 最後は映画の主役を務めていたBrock Petersのナレーションで終わるところがサントラっぽい。




 この時期のMilesはほんとライブが多く、まともなスタジオ音源が蔵出しされるのは、もっと後年のことである。レコード会社としてはオリジナル・アルバムをどんどん作って欲しかったのだろうが、あいにく帝王Milesはスタジオ・ワークよりライブを優先しており、日々変化してゆくMiles’ Musicの育成に忙しかった。もちろんそういった表向きの理由だけでなく、バンドを維持するためには日銭の入るライブを優先せざるを得なかったのだろうけど。
 
 やはりここでもTeo Maceroの出番となる。このアルバムだってぶっちゃけた話、彼がいなければまともな形にならなかった。というかこれまでの細切れのセッションを繋ぎ合わせ、無理やりオファーの内容にこじつけただけなのかもしれないが。そう言う時代だったのだろう。


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北海道の中途半端な田舎に住む、そろそろアラフィフ男。ほぼ週1のペースで音楽ブログ更新中。節操ない聴き方と思われてるけど、自分の中では一貫してるつもり。 最近は蔵書の整理がてら、古い本を再読中。ジョン・アーヴィングから始まって、フィッツジェラルドやゾラ、モームなど、いわゆる古典の復習中。いつになったら終わることやら。新刊読めねぇや。
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