好きなアルバムを自分勝手にダラダラ語る、そんなユルいコンセプトのブログです。

コステロさん、立つ鳥跡を濁さず。 - Elvis Costello 『All This Useless Beauty』

folder 1996年リリース、17枚目のオリジナル・アルバム。ワーナーに移籍してから企画モノが多かったCostello としては、『Brutal Youth』以来、2年ぶりの新曲アルバムとなる。「他アーティスト提供曲のセルフ・カバー」&「他アーティストへ提供することを想定して書かれた楽曲」で構成されているので、厳密な意味で言えば「全曲書き下ろし」ではないのだけれど、ほとんどの曲が初出ということなので、まぁざっくり言っちゃえばオリジナルみたいなものである。あぁめんどくせぇ。
 チャート・データを見ると、UK28位・US53位という、まぁまぁのアベレージ。ワーナーでは最後のオリジナルとなってしまったため、正直、それほど力を入れてプロモーションされたわけではない。
 この後、ベスト・アルバム『Extreme Honey』をリリースして、ワーナーとは契約終了、すでにマーキュリーとのワールドワイド契約が決まっていたため、いわば敗戦処理的ポジションのアルバムである。セールス推移やプロモーション体制において、不満は山ほどあったのだろうけど、マーキュリーの件も決まっていたこともあって、多分売れようが売れまいが、どっちだってよかったのだろう。
 そもそもこの人、レコード会社に対してボヤくのは、今に始まったことではない。「まぁた始まったよ」と、多くのファンは思っていたはずである。

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 ワーナー時代のCostello は、4枚のオリジナル・アルバム以外にも、やたら多方面へ足を突っ込み首を突っ込み、フットワークの軽い活動を展開している。その行動範囲はやたら広範に渡り、良く言えば精力的、悪く言っちゃえば、脈絡なく支離滅裂である。
 ワーナーとのワールドワイド契約を機に、Costelloは活動の拠点をアメリカへ移すことを決意する。世界レベルで本格的にブレイクするのなら、やはりエンタメの中枢に身を置いておいた方が、何かと都合が良かったためである。
 F-Beat / コロンビア時代とは段違いの予算とプロモーション体制をバックに従え、これまでのUK発パワー・ポップから、大幅にアメリカン・コンテンポラリーに寄せた2作『Spike』 『Mighty Like a Rose』をヒットさせた。Paul McCartney やRoger McGuinnら豪華ゲストを迎えてはいるけど、単にネーム・バリューに頼るだけでなく、Mitchell Floom やT-Bone Burnett ら堅実なコンポーザーも揃えたことで、従来ファンにも訴求できるサウンドを作り上げた。

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 コンテンポラリーAOR路線は、アメリカはもちろん、世界中でも好セールスを記録した。以前、ポップ・スター路線に色目を使ったはいいけど、思ったほどの結果を残せなかった『Punch the Clock』『Goodbye Cruel World』で味わった雪辱を、ここで克服したのだった。
 達成したとなると、もう満足しちゃったのか、その後はCostello 、ワーナーによるコントロールから逃れるように、音楽性があっちこっちフラつくようになる。あ、それは昔からか。
 次にリリースしたのが弦楽四重奏Brodsky Quartet とのコラボ・アルバム『Juliet Letters』。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」にインスパイアされ、「ジュリエットに宛てた手紙」というテーマで作詞された作品、というコンセプトで作られており、そりゃ芸術性やアーティストとしての必然性は高いのだろうけど、まぁ売れるはずないよな。本人も売れるとは思ってなかったみたいだし。
 その後はロック/ソウル・クラシックスのカバー・アルバム『Kojak Variety』、何を急に思い立ったか、解散状態のAttractionsを招集、原点回帰のラウドなロック・アルバム『Brutal Youth』を作って、再びBruce Thomasと大ゲンカ。「ソリが合わない」って、そんなの昔っから、わかってたことじゃん。なんでわざわざ、蒸し返したりするの。

 どういった契約内容だったかは不明だけど、この時期のCostello 、ワーナーの外でもいろいろやらかしている。大抵はワンショットの単発契約だったと思われるけど、UKのプログレ・バンドGryphon のメンバーだったRichard Harveyと、BBCからの依頼でテレビのサントラを作ったり、UKのメルトダウン・フェスティバルにジャズ・ギタリストBill Frisell と出演、地味なライブ・アルバムをリリースしたりしている。
 どれも、メジャーでは取り扱いづらいプロジェクトである。マイナーなジャンルにも目移りしてしまうのは、これまた昔からのクセなのだけど、もうベテランなんだから、あちこち脇道それないで王道行けよ、と余計な心配さえしてしまうのが外野である。

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 もともとデビュー当時から、多様な方向性とヘソ曲がりが性分で、あっちへフラフラこっちへフラフラ、音楽性が定まらない人である。
 考えてみればCostello 、同じコンセプトのアルバムを2作続けると、次は思いっきり真逆の方向へ方向転換してしまう傾向がある。
 『My Aim is True』と『This Year’s Model』は、リリース時期が近かったのと、デビュー前のストックが多かったせいもあって、どちらも「パブ・ロックの延長線上に位置するパンク寄りのロックンロール」というスタイルだったけど、次の『Armed Forces』では、原石のカドが取れて、「ヒット要素も多いパワー・ポップ系」のサウンドに進化している。
 前述のポップ・スター希望アルバム『Punch the Clock』『Goodbye Cruel World』不発で打ちひしがれた後は、単身アメリカへ発ち、思いっきりレイドバックしたカントリー/ロックンロール・アルバム『King of America』をリリース、厭世観に囚われた改名騒動を引き起こす。
 で、再度メジャー展開を、とワーナーに移籍して『Spike』『Mighty Like a Rose』をリリース。ようやくアメリカでも浸透してきたかな、と思ったら気が抜けちゃったのか、全然違う路線の『Juliet Letters』、といった次第。
 ここらでもうひとつ、開き直って『Spike』2的なアルバムでも作っておけば、セールス的にも安定してたんじゃないかと思われるけど、それよりもアーティスティックな探究心の方が勝っちゃうのが、やはりCostelloである。まぁ、そこまでのスケベ心はない人だしね。そう考えると、Rod Stewartってすごいよな。

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 で、ワーナーの最後に出してきたのが、『All This Useless Beauty』。これまでの支離滅裂なカタログ・ラインナップからは予想できなかった、熟練した職人による泰然とした作風でまとめている。断続的にノー・コンセプトでレコーディングされた楽曲たちは、どれも違う個々の輝きを放ちながら、「Elvis Costello」という強力なプリズムによって一点に集約され、ひとつの完成された組曲を形作っている。
 時に彼の書く楽曲は、「何をやってもコステロ」という記名性の強さによって、一般ユーザーに浸透しづらい部分がある。どれだけメジャーになろうとも、商業性から大きくはみ出た個性は、スタンダードとなるにはアクが強すぎた。
 ここでのCostello は、自分以外のシンガーが歌うことを前提に楽曲を書き下ろしているため、自身の個性は若干抑え気味になっている。よって、本人は意識していないだろうけど、どうしても滲み出てしまうキャラクター・エゴを後退させ、純粋な楽曲の良さ・普遍性が引き立った。
 地味ではあるけれど、末永く聴き続けていられるアルバムである。あ、それって通常運転のCostelloか。


All This Useless Beauty
All This Useless Beauty
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Elvis Costello
Warner Bros UK (1996-05-08)
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1. The Other End of the Telescope
 'Til Tuesdayの女性ヴォーカルAimee Mannとの共作による1988年のナンバー。さわやかなカントリー・ポップのAimeeヴァージョン(Costelloもコーラス参加)の「粗野な女性がちょっと無理したポップ・アレンジ」感も良いのだけれど、ここでのCostelloは正しく王道ストレートの正攻法バラード。その後の正攻法スタンダード集『Painted From Memory』への布石とも取れる。Attractionsの演奏も抑制が効いており、アウトロのSteve Nieveのピアノ・ソロも完璧。シングル・カットはされているけど、UK最高96位。確かにシングル単体で目立つキャッチーさはない。いい曲だけどね。

2. Little Atoms
 Bruceのベース・サンプリングがループでずっと鳴っている、続けて落ち着いたバラード。ここでもCostello、とてもヴォーカル・プレイに気を遣っている。かつて、既存のスタンダードを壊す側だったCostelloが、ここではそのスタンダードのポジションに収まっているのだけれど、ひいき目じゃなくても、凡百の懐メロや二番煎じバラードとは一線を画している。目新しいサウンドも積極的に導入しながらも、先人へのリスペクトも忘れぬ姿勢。過去の良質な音楽遺産をベースに新たな視点を見出すという、考えてみれば極めて真っ当な手法である。

3. All This Useless Beauty
 1992年に発表された、イギリスのフォーク・シンガーJune Taborに提供されたバラード。他人へ提供したきりではもったいないと思ったのか、構成もメロディもすべての調和が取れている。アレンジも双方、大きな違いはない。Attractionsも堅実なバッキングに徹しており、とにかく歌を聴かせる演奏である。



4. Complicated Shadows
 ここまで冒頭3曲がバラードという、なかなか珍しい構成。ここまでシックなテイストでまとめられているのは、後にも先にもほとんどない。あ、『North』があったか。
 ネットリしたオープニングのロック・チューン。抑えた演奏だったバンドも、ここでは一気にフラストレーションを爆発させるかのように、ギアを上げている。Costelloもギターをかき鳴らしており、従来使用のAttractionsのプレイが堪能できる。
 手数の多いBruce Thomasの存在感は議論の分かれるところだけど、こういったアップテンポのナンバーでは相性は決して悪くないと思う。初期のサウンドが好きな俺的にはアリなのだけど、ロック一辺倒の人ではないので、スロー・テンポになるとちょっとウザくなっちゃうのかな。

5. Why Can't a Man Stand Alone? 
 「Deep Dark Truthful Mirror」を思わせる、Al Greenからインスパイアされたようなディープ・サウス・テイストのソウル・バラード。と思ってたら、Sam & Daveからインスパイアされた曲、とのこと。そうだよな、もっと泥臭いもの。

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6. Distorted Angel
 ドラム・ループと不安感漂うコード進行が印象的な、彼にとって珍しいタイプの楽曲。こういった凝った構成に敢えて挑んでいることから、常に前へ進む姿勢、目新しモノ好きなスタイルが窺える。シングルではトリップホップで一世を風靡したTrickyにミックスを委ねており、俺的にはすごく食いつくサウンドではないのだけど、「あ、こういったことをしたかったんだ」と腑に落ちた覚えがある。

7. Shallow Grave
 Paul McCartneyとの共作。彼とのコラボは「Veronica」「So Like Candy」など多岐なジャンルに渡っており、これは50年代のロックンロール/ロカビリーをモチーフとしている。ある意味、すでに完成されたジャンルなので、それほど新味を付け加えることはできないのだけど、イントロやサビ前のドラム・ロールなど、Paul単独では無難な仕上がりになってしまうところを、Costelloのヘソ曲りテイストでスパイスを利かせている。

8. Poor Fractured Atlas
 正攻法で書かれた、すごく地味なバラード。コードも特別凝った組み合わせは使われていない。でも、今回聴き直してみて、メロディ、ヴォーカルとも最も惹きつけられたのが、この曲だった。小細工も何もない、ほぼピアノだけがバックの、混じり気なしの「ただの歌」。普遍的な楽曲というのは、こういったものを指すのだろう。

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9. Starting to Come to Me
 ブルーグラスとロカビリーをくっつけたような軽快なナンバー。『Almost Blue』『King of America』でも同様のアプローチはあったけれど、ここでは前2作に漂っていた閉塞感はなく、一皮むけて突き抜けた爽快感に満ち溢れている。肩の力を抜いてサラッとプレイしているのは、アーティストとしての成長なのだろう。

10. You Bowed Down
 1991年、元ByrdsのRoger McGuinn提供曲のセルフ・カバー。初出時もCostelloとのデュエットでリリースされており、試しに聴いてみるとアレンジもほぼそのまんまだった。McGuinnといえば独特の12弦ギターということになっているけど、60年代サウンドはあんまり詳しくない俺にとっては、やはりこれはCostelloがオリジナル。
 中盤のフェイザーを通したヴォーカルや逆回転ギターが、当時のサイケ・ポップなムードを醸し出してるような気がするけど、ごめん、Byrdsにはあんまり興味ないので知ったかぶりはできない。
 シックなアルバムの中、こういったポップ・テイストの曲は必要だよね。

11. It's Time
 このアルバムのクライマックス。ていうかワーナー時代の締めくくりとして、最高のバラード。ウェットかつ激情あふれるヴォーカルとバンド・プレイをクールダウンさせるため、敢えてシーケンス・ドラムを入れるアイディアは秀逸。Costelloが考えたのか?いやそこまで器用な人じゃないよな。やっぱりNieveだよな。デラックス・エディションのデモ・ヴァージョンだと、何だか勢いだけの中途半端な曲だし。
 もはや円熟の域に達していたAttractionsであるからして、単なるイケイケだけのプレイだと空回り振りが目立ってしまう。逆に抑制したアレンジを施すこと、そして緩急をつけたヴォーカライズによって、楽曲の良さを最大限に引き出している。



12. I Want to Vanish
 3.同様、June Taborに提供されたナンバーのセルフ・カバー。ラストはCostelloとNieve、そしてBrodsky Quartetとのコラボ。最初は『Juliet Letters』のアウトテイクかと思ってたけど、どうやら新録であるらしい。
 堂々としたクラシック・テイストの正統派バラードは、後を引かぬ3分程度の小品にまとめられている。変にドラマティックに壮大な楽曲を持ってこないところは、やはりCostelloである。その辺は照れなのだろうか。




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Elvis Costello Steve Nieve
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永遠に続く(はずだった)夏休みの自由研究 - Godley & Creme 『Goodbye Blue Sky』

folder 80年代UKのダンス・ポップ・シーンを牽引したプロデューサー Trevor Hornが先日、来日公演を行なった。日本のアイドル9nineに楽曲を提供、その流れでサマソニに出演してステージで共演を果たしちゃうという、何だか80年代バブル期のような展開。荻野目ちゃんや菊池桃子など、アイドルの海外レコーディングがやたら流行っていた時代があったのだ。確か本田美奈子も、Bryan Mayとレコーディングしてたもんな。
 彼のバンドProducersには、盟友Geoff Downesも時々参加しているため、オリジナル楽曲以外にも、BugglesやYesのナンバーもレパートリーに組み込まれている。なので、往年の80年代サウンド・ファンからの支持も厚い。
 で、そんなセットリストに必ず組み込まれているのが、「I'm Not in Love」。
 元10cc、Godley & CremeのLol Cremeが、正式メンバーとして名を連ねていたのだった。

 一応、「元」とつけたけど、実のところは彼ら、正式な解散表明をしているわけではない。正確に言えば、長い長い活動休止状態が続いている状態である。
 MTV創世記から、PoliceやFrankie Goes to Hollywoodらを始め、数々の独創的なMVを製作、映像作家としてカリスマ的な人気を誇るに至った。それと並行して、本業においても、ミリセコンド単位のピッチにこだわったオーバーダビングや、おもちゃ箱をひっくり返したような箱庭ポップ・サウンドが、コアなポップ・マニアから強く支持された。
 地味ではあるけれど、XTC 〜 Todd Rundgrenとシンクロするファン層を持ち、要するにひどくニッチなターゲットをピンポイントでつつく活動を行なっていた。UKだけで10万枚売るのはちょっとキツイけど、5000人のディープなファンを20か国で獲得するのなら、もう少しハードルは低くなる。ワールドワイドな活動というのは、そういったものだ。
 とはいえ、『Goodbye Blue Sky』リリース後の彼らの音楽活動は次第にフェードアウト、同じくMV制作も少なくなってゆく。

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 しばらく音沙汰がないまま90年代に入り、次に彼らの名前を聞いたのは、再結成された10ccだった。
 1987年にリリースされた、10cc & Godley & Creme のベスト・アルバム『Changing Faces』のセールスが好調だったため、主要メンバーのEric Stewart とGraham Gouldmanに、10cc再結成のオファーが舞い込んだ。当時、Gouldmanは自身のバンドWaxで活動していたため、リユニオンは一旦、流れてしまう。ただ、そのWaxがセールス不振によって、1990年に解散してしまう。そのタイミングをレコード会社は逃さなかった。
 Paul McCartneyのサポートをメインとしていたStewartもまた、ちょうど体が空いていたおかげもあって、そこから10ccリユニオンは進められた。
 もともと『Changing Faces』から始まった企画だったため、セールスの裏付けとして、Godley & Cremeにも声がかかるのは、いわば当然の流れ。とはいえ、90年代に入ってからの彼らは活動休止中、いわば看板のみ残された状態だった。ていうかここ数年、互いの顔も見たくないというくらい、関係性は悪化していた。
 クリエイティブな動機ではなく、コンセプトとしては後ろ向きの企画なので、モチベーションが上げらないのもまた、当然の流れである。今さらそんなレトロ・バンドに付き合う義理も未練もない。晩節だって汚しまくりである。
 最終的には「オリジナル10cc組の友情にほだされて」という建前になっているけど、そんなのは後付けで設定されたエピソードであって、実際のところはそんなフワッとした動機ではない。
 実情はもっと生臭い。

 最後のオリジナル・アルバム『Goodbye Blue Sky』の完パケ後、コンビでの作業に限界を感じていた彼らは、徐々に活動を停滞させてゆく。普通に考えれば、ここで区切りをつけるために、解散という流れになるのだけれど、当事者のみの思惑だけで事が運ばないのが、音楽業界の闇である。
 彼らが明確な解散を宣言せず、曖昧な開店休業という途を選んだのは、ひとことで言っちゃえば「契約」に基づくところ。詳細は不明だけど、Godley & Cremeとしてのアルバムリリース制契約が複数枚残っていたため、彼らは建前上では「活動継続中」だった。
 契約が残っていたにもかかわらず、依然として活動再開の意思が見えない彼らに対し、早期の契約満了を促すため、10ccへの参加をオファーした、というのが真相である。

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 純粋なクリエイティヴィティではなく、あくまでビジネスライクな再結成だったため、当然モチベーションが上がるはずもない。10cc時代も含めて、あれだけサウンドに凝りまくった彼らだったけど、ここではほぼ全曲コーラスのみの参加、Godleyが1曲ヴォーカルを取るくらいで、ほとんどお客さん状態である。もともとStewart & Gouldman組のデモをベースとして作業が進められたこともあって、Godley & Creme組の要素はほとんど感じられない。実質的に純10ccのアルバムである。
 ポップ馬鹿好きがメディアで持ち上げたため、日本ではそこそこ売れた『Meanwhile』 だったけど、世界的には思っていたほどの盛り上がりにはならなかった。『Changing Faces』の先を待望していたファンは、その出来に満足しなかった。
 全盛期の10ccは、「ポップ・センス」の要素を担うStewart & Gouldman組と、「密室性 & 毒」の要素を持つGodley & Creme組との有機反応が、独自のオリジナリティを創り上げていたのだけど、ここではほぼ前者がイニシアチヴを握っていたため、いまいちキレの悪い仕上がりとなってしまった。要は「古センスのエレポップ」。
 取り敢えず顔出ししただけ、名前貸しだけの立場で参加したGodley & Creme組にとって、再結成10ccとは、単なる契約履行義務でしかなく、売れる・売れないはどうでもよいことだった。下手に売れちゃうと、活動を継続していかなければならず、それはそれでまためんどくさくなるわけで。
 まぁ何はともあれ、契約は果たした。もう、法的に縛られることもない。
 人間関係的にも、そして法的にも、Godly & Cremeというユニットはこの時点で消滅した。

 『Meanwhile』後、Godley はGouldmanと組んでミニ・アルバムを製作、その後は大人向けの絵本や他のアーティストをプロデュースしたり、もっぱら裏方的なポジションで活動していたようだけど、最近になって、「初のソロ・アルバムをリリース予定」という情報をゲットした。
 オフィシャル・サイトによると、音源はすでに完パケしてるけど、リリースの目途が立たないらしく、クラウド・ファウンディング方式で資金を募っている。アルバム・アートワークもできあがってるんだから、サンプルくらい公開すればいいのに、現時点では見当がつかない。
 サイトで公開されている近年のアーカイブから予想するに、シンプルな打ち込み音源をバックに、黒っぽさのまるでない不安定かつ流麗なメロディ・タイプの楽曲が中心となると思われる。本人コメントいわく、全曲インスト、3~5分サイズの楽曲が収められているらしけど、そこまで情報公開するなら、ちょっとは聴かせろよ、と言いたい。

ダウンロード

 Lol Creme は『Meanwhile』リリース後、旧10ccメンバーとは距離を置いて、なぜだかTravor Hornと合流、その後、現在に至るまで彼の右腕として、レコーディングやライブ・サポートに欠かせない存在となっていく。再結成Art of Noiseにも参加、冒頭のサマソニ出演を果たしただけでなく、つい最近、NHK-BSで放送されたProducersライブによって、動く姿が確認されたことは記憶に新しい。
 もはやアーティスト固有の創作意欲や自己顕示欲なんてのは薄れてしまい、今となってはTravor の横で、申し訳程度に「I'm Not in Love」でフィーチャーされる程度。しかも、もともとメイン・ヴォーカルだったわけではないので、隅っこでキーボードを弾く程度の扱いで。
 なんでここまでぞんざいな扱いをされてまで、Travor に付き合わなければならないのか。大きな弱みでも握られているのか、それとも大きな借金でもあるのかと、こちらが余計な心配までしてしまうくらいである。
 どちらにしろ、2人とも別々の道を歩んでいるため、再び合流することはなさそうである。

 彼らのサウンドの特徴として用いられる常套句として、「マニアックに作り込んだ密室ポップ」という言葉がよく使われるけど、そのサウンドを構成するツールは、最新テクノロジーを駆使したものではなく、むしろ手垢にまみれた旧来の手法を深く掘り下げたものである。
 「ギターで延々と続く連続音を出したい」という発想から製作されたアタッチメント「ギズモ」や、累計ダビング数624に及ぶ多重コーラスの「I'm Not in Love」など、むしろ原始的なメソッドに沿ったサウンド・メイキングが、彼らの持ち味である。一聴してサンプリングに聴こえるのも、ほとんどは人力による鬼テープ編集の賜物だし。

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 小学生の夏休みの自由研究で、時々、大人顔負けのクオリティの作品を出す子供がいる。やたら細分化された昆虫標本や、めちゃめちゃ凝ったピタゴラスイッチとか。
 限られたおこづかいの中で創意工夫を凝らし、ありあまる時間をふんだんに使うことによって、それらの作品は時にとんでもないクオリティに昇華する。時間的効率とは切り離せない大人の作業とは、そもそもプロセスが違っている。
 Godley & Crèmeの作品もまた、そんな小学生らの課題とシンクロする部分が多い。
 彼らにとってレコーディング・スタジオとは、永遠に夏休みの課題を作り続ける場だったのだ。

 これまでとは毛色の違うサウンド構造を持つ『Goodbye Blue Sky』、カントリーやゴスペル、オールド・タイプのロックンロールなど、ここにきてアメリカナイズされたサウンドが主に収録されている。リード楽器として、ハーモニカが多くフィーチャーされているため、一聴すると「なんか違う」感が強いけど、これまでとは構成ツールが違ってるだけで、本質は一貫している。
 周到に重ねられた多重コーラス、妙にクリアに響くハープの音色。こだわりぬいた録音とミックスによって、どのパートもクッキリした音質で、メイン・ヴォーカル以外はすべてフラットなレベルに揃えられている。なので、どこか変。アンサンブルから誘発されるグルーヴ感が、バッサリ切り取られているのだ。
 「アメリカ音楽への憧憬」という既成の意匠を用いながら、ここで鳴っている音から、ノスタルジーや郷愁といった想いは伝わってこない。一聴するとオードソックスなフォーマットだけど、次第に英国人特有の皮肉や屈折が滲み出てくる、どうにも違和感ありまくりのサウンドなのだ。
 屈折したアイディアを屈折した形で表現するのは、むしろ当たり前である。そんなことは彼ら、今まで散々やってきた。
 ここで行なわれているのは、これまでの録音偏執狂のメソッドを存分に発揮しながら、すごく手間ヒマかけてオーソドックスなサウンドを構築するという、壮大な実験だ。

 そういった「縛り」でも設定しないと、レコーディング作業へ向かうことはできなかったのだろう。実際、2人そろってスタジオに入ることも、ほとんどなかったみたいだし。
 コンセプトという観点から見れば、ここまで屈折した密室ポップ・サウンドは存在しない。
 アルバム単体を好きかどうかは別として、Godley & Creme という壮大な作品のラストとして捉えれば、締めくくりとして相応しいアルバムではある。


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1. H.E.A.V.E.N. / A Little Piece of Heaven
 ゲスト・ヴォーカル3名によるスケール感たっぷりなアカペラに続き、躁的に明るく脳天気なカントリー調ポップ。UKではかすりもしなかったけど、なぜかオランダでは最高15位をマーク。彼らのレコーディングを象徴するような、まるで切り貼りのようなPVが印象的だった。「ポッパーズMTV」で見たのを思い出す。



2. Don't Set Fire (To the One I Love) 
 軽快なゴスペル調ポップ。ソウル・レビューへのオマージュなのか、「I Can't Turn You Loose」のフレーズも聴こえてくるけど、ちっともソウルっぽさが感じられないのは、やっぱ英国人だから。でもそのあからさまなフェイクっぽさこそが、彼らの狙いなのだ。

3. Golden Rings
 ハープシコードっぽい響きのギターとカズーがフィーチャーされた、ミドル・テンポのゴスペル・チューン。どの曲もそうだけど、コーラス各パートがクリアにセパレートされているため、団子状に一丸となったグルーヴ感は少ない。そこが違和感なのだけど、彼らのコンセプト的にはそれで正しい。

4. Crime & Punishment
 直訳で「罪と罰」というくらいだから、テーマ的にも重い。このアルバムの中ではもっともダークな色合いとなっている分、逆に既存ファンにとってはなじみ深いサウンドになってしまう、というパラドックス。神、そして自身との内的対話という命題は、プロテスタントとしての業なのだろうか。
 あんまり目立たないけど、やっぱりハーモニカとコーラスはねじ込んでくるんだな。

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5. The Big Bang
 一転して、Little Richardsばりのロックンロール。Godle & Crème という枠を取っ払ってしまえば、しっかり作り込まれながらもドライブ感も真空パックされているロック・チューンだと思う。
 彼らにとっては、これもまたひとつの側面でしかないけれど、「ヴァーチャル」というテーマでもって、往年のオールディーズを再構築する、といった試みもアリだったのでは?まぁ今さら言ってもね。

6. 10,000 Angels
 一応、現役時代のGodley & Crème としては最後のシングル・カットとなっているのだけれど、チャートインはせず。
 開拓時代のアメリカを意識したサウンドとなっており、ハリウッドの西部劇を想起させる掛け声や疾走感などはうまく再現されている。
 もともとこのアルバムの制作自体、彼らが監督する西部劇映画のサウンドトラックという趣向ですすめられていたのだけど、映画の企画は頓挫してアルバムだけが残ったという形だけあって、その名残りが色濃く残っているのが、このナンバーである。

7. Sweet Memory
 かなり歌寄りのメロディによって、既存ファンにも人気の高いミドル・バラード。これまでギズモやドラム・マシンによって飾られたエフェクト類が、ここではハーモニカとゴスペル調コーラスに取って変わられている。本文でも書いたように、構成ツールが違うだけで、本質は変わってない。
 と、理屈ではそうだけど、やっぱ感触は違うよね。

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8. Airforce One
 ここからラストまでは連続したテーマ、組曲として構成されている。密室ポップとしての真骨頂だ。
 タイトルが示すのは、もちろん大統領専用機。そこに積まれているのは核ミサイル。どこへ向かおうとしているのか。

9. The Last Page of History
 ややブルース・テイストの混じったホワイト・ゴスペルで歌われるのは、核ミサイルが落ちた後の混乱。はるか遠くに見えるキノコ雲を目にして思うのは、「テレビの撮影かと思った」という非現実感。その後の湾岸戦争でのテレビ中継を予見するかのように、サウンドはあくまで脳天気なヤンキーっぽさに満ち溢れている。
 やっぱ性格悪いよな、英国人って。

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10. Desperate Times
 「絶望の時」。
 核戦争後の荒廃した世界における一条の光を、これまでになくエモーショナルに歌い上げるGodley。切なくむせび泣くハーモニカも、ここでは熱情的に響く。かすかな希望を讃えるかのように、大団円のコーラスにも熱がこもっている。



Body of Work
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2017/08/19 苫小牧市民会館 山下達郎PERFORMANCE 2017 ライブ・レビュー

 地元ながら、苫小牧市民会館に入ること自体が久し振りだった。
 以前行ったのは、息子を連れてのシンケンジャー・ショーだった。これが確か5?6年前。
 その前が30年くらい前、高校の芸術鑑賞で映画を見た。何を見たか、内容すら覚えてないけど、この時点ですでにボロかったことは覚えている。
 そのまた前が、商店街の購入特典で行った山口百恵のコンサート。確か引退直前だったんだよな、貴重な思い出である。
 なので、物心ついてまともなライブをここで見るのは、初めてである。

 会場に着いたのが、開場1時間前だったせいもあって、とにかく人・人・人。
 しかもやたら年齢層が高い。多分この中じゃ、アラフィフの俺でさえ年少組だ。そして、小学5年生の俺の息子は、恐らく最年少だろう。
 そう、今回は山下達郎ファンの息子と一緒だ。しかも、自分から「観たい」と言って。
 変わってるよな、自分の息子ながら。
 グッズには興味がないので、ほんとは買うつもりなかったけど、やっぱ行ったら行ったで、何かしら欲しくなるもの。
 クリアファイルだけ買おうかと、最後尾を探して見ると、巡り巡って行列は3階にまで到達していた。普段だと行列が嫌いな俺だけど、今回は素直に列に並ぶ。息子も「長いけど並ぶ」と言う。
 息子よ、どうしてお前はそんなに山下達郎が好きなんだ?別にうちでヘビロテするほど聴かせてたわけじゃないのに。

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 席は一階の後ろ側ほぼ真ん中、すぐ右前にサウンドボードが設置されている。
 収容人数が1600人くらいのハコなので、ステージまでは、ほぼ20メートルくらい。なので、かなり近い。
 ステージには、アメリカの古い町並みをイメージしたセットが、両方に設けられている。10人編成のバンドなので、幅はまぁいいとして、機材が所狭しにセッティングされており、奥行きはちょっと足りなそう。

 6時を5分ほど過ぎてから、「ポケット・ミュージック」のアカペラ・コーラスがファンファーレとして流され、開演。
 客電が落とされて、暗闇の中でメンバーはスタンバイ、軽快なギターのカッティングが鳴り響く。
 「Sparkle」だ!
 想像以上に音が心地よく響く。
 弦一本一本の音がクリアに届き、リズム感もCDそのまんま。ギター・カッティングがめちゃめちゃ上手いことは聞いてたけど、やっぱ本当だったんだ。
 今になってこんな風に書いてるけど、それよりも何よりも、湧き出てきた想いはただひとつ。
 -やっと逢えた。
 ここで俺、号泣。
 50近くになってボロボロ泣いちゃうだなんて、ちょっとは想定してたけど、ここまで本能的に揺さぶられるとは思ってなかった。
 30年と少し前、大滝詠一経由で興味を持ってから『Melodies』を購入、その後も付かず離れずラジオを聴き続けアルバムを聴き続けて云々。まさかこんな近場に来てくれるだなんて思ってもなく、このチャンスを逃したらもう逢えないかもしれないし、競争率も高いだろうけど、祈るような想いで申込みしたら、なんと当たってしまって息子も大喜び…。
 積年の想いが、走馬灯のようにダーッとフル回転、感極まって涙が止まらない。息子が横にいるけれど、もう構ってられない。
 ごめん、ここからは俺の時間だ、お前は勝手にやっててくれ。

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 普通のライブなら、開演と同時に総立ちになるのがセオリーだけど、ここまでのキラー・チューンであるにもかかわらず、ほぼ誰も立ち上がる気配がない。サウンドボード前に座る女性グループが、一瞬ノリノリで立ち上がっていたけど、周囲の醒めた視線を感じたのか、すぐ着席していた。
 俺も腰が浮きかけたのだけど、よかった立たなくて。そういったのを強制するムードではないのだ。

 観客もプレイヤーも年齢層が高めということもあって、2、3曲歌うごとにMCが入る。トークと歌のギャップが大きいとは聞いてたけど、確かにそう、いつものラジオと同じ口調だ。
 曲だけ聴いてると、「妥協なき完璧主義」といったアーティスト・イメージだけど、ちょっと口をひらけば、もう単なる喋り好きな近所のオッさん。ツアーも終盤だけあって、起承転結もしっかりしてるし、きちんとオチだって用意してる。
 自他共に認める大御所なんだから、そこまでサービス精神旺盛にしなくたっていいはずなのに、歌うのと同じくらいの熱量を使い、観客を沸かせ、時に時事問題も交えながらシリアスに語ったり、緩急をしっかりつけている。時々、寄る年波をネタにした、自虐的なギャグも入れたりしながら。
 しっかり練られて熟成されたトークに引き込まれ、序盤の号泣が落ち着く俺。MAXに振り切れたテンションが、ここでクールダウン、まるでジジイの井戸端会議に紛れ込んだような錯覚に陥る。
 そう、いつもの日曜の午後2時、あの気分だ。

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 次に背中がゾワっとしたのは、「ドーナツ・ソング」から始まるメドレーだった。
 ほんのワンフレーズだけどフィーチャーされた、「ハンド・クラッピング・ルンバ」。
 山下達郎と大滝詠一のファンは、結構な割合でカブってるはずで、特に年季の入ったオールド・ファンにとっては、嬉しいプレゼントだった。
 ここで俺、ちょっとだけ目が潤む。
 ちょっと飛ぶけど、その後の「いかすぜ!この恋」にも、脊髄が反射した。
 10代から聴いてるんだもの、意識しなくても、体が反応してしまう。


COME ALONG 3
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 順不同だけど、印象に残ったMCの内容を少しだけ。ネタバレなので、そこはご容赦。

* 80年代から90年代にかけては、レコーディング作業に専念することが多かったため、ほとんどライブ活動は行なっていなかった。そういった事情もあって、この時期の楽曲はほとんどライブで披露されたことがない。2008年からライブ活動を再開したのは、ニュー・アルバムのプロモーションといった通常ルーティンではなく、こういった楽曲を再演したいという想いから。

* 今後も、声が出る限りは毎年、ツアーは行なうつもり。「残された時間が少ない」というのは、60を過ぎると、誰しも思うことなのだろう。
 前回のツアーで、喉の不調から一部延期になったトラブルがあってからは、その想いはさらに強まったんじゃないかと思われる。

* 今回のツアーの目標のひとつとして、アンコールを除いて、ライブ本編3時間以内で収めようと思い立ってスタートしたけど、ここまでで残り4本、時間内に収められたことは一回もない!と自虐的に語る。観客、ここで爆笑。
 ファンとしては心情的には嬉しいんだけど、観る方もやる方も年齢層が高いせいもあって、キツイよな確かに。「トイレ休憩入れた方がいいんじゃないか」はギャグに思えなかったし。

* ほんとはツアー前にミニ・アルバムを出す予定もあったけど、案外映画の主題歌に時間を取られてしまい、断念。並行して制作予定だった『Pocket Music』30周年にも手をつけられなかったので、来年、『僕の中の少年』30周年と併せてリリースしようかと思っている。また、シングル楽曲が溜まってきたので、オリジナル・アルバムも作る予定。
 -いやいや詰め込み過ぎだって。

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 ちょっと重めなMCを前置きとした、今になって時代が追いつきつつある「War Song」。改めて聴くと、包括的な一般論じゃなく、諦念を絡めた個の感情が、時代にフィットしている。
 アカペラ・コーナーは、敢えて直球勝負の「So Much in Love」 ~ 「Stand by Me」のカバー、を挟んでの「クリスマス・イブ」。
 正直、会場内はとても暑い。老朽化した建物ゆえ、まともな冷房設備がない。
 MCが入るたび、ペットボトルを口にする俺と息子。山下自身、「ここは暑い」って嘆いてるくらいだもの。そんな汗だくの中での「クリスマス・イブ」。凝ったプロジェクション・マッピングまで使ってるのに、ある意味シュールだ。
 その後の「蒼氓」メドレー、山下にとって、これもある意味、同世代へ向けてのプロテスト・ソングだったのかな。60年代の楽曲がいろいろフィーチャーされている。たしか「Summertime Blues」も入ってたかな?

 しっとり落ち着いた「Get Back in Love」に続き、「メリー・ゴー・ラウンド」。ここ数年、レアグルーヴ経由で、初期のダンス/ファンク路線を再発見した俺が、最も心待ちにしていたナンバーだ。
 近年のアーバンなバラード路線も悪かないけど、こういったズッシリ重いファンク・チューンこそ、強力なバンド・アンサンブルを楽しめる。各メンバーの見せ場も大きくフィーチャーされ、プレイする方も観る方もテンションがガーッと上がる。
 そして、メチャメチャ楽しそうにリズムを刻む、バンマス山下。

 「あんまり合わなそうだけど、敢えてやってみた」というエクスキューズを入れての「ハイティーン・ブギ」から、アンコールはスタート。
 ゴメン、ミスマッチでちょっと笑ってしまった。クライアントのキャラクターに合わせて作られてるので、30年以上経ってから、まさか自分が歌うだなんて思ってなかったんだって。
 ネタ見せが終わった後は仕切り直し、「Ride on Time」~「Down Town」とキラー・チューンで畳みかけて観客を悶絶させる。おいおいヒット曲ばっかりじゃないの、そこまで大盤振る舞いしちゃうのかよ。
 メンバー全員によるご挨拶も終えて、最後に独りステージに立つ山下。3時間半に及ぶライブをやり切り、ご満悦だ。
 最後の最後、アカペラで「Your Eyes」をワンコーラスでほんとの終了。どこまでサービス精神旺盛なんだ。

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 ちょっとだけワガママ。
 俺的には「Paper Doll」や「Bomber」も聴きたかったな。息子は「街物語」と「エンドレス・ゲーム」が聴きたかったんだって。
 やっぱ次回も参戦しななきゃな。
 でも息子よ、もう寝る時間だぞ。

 セットリストはこちらから。↓
  http://dailysetlist.net/archives/74592



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北海道の中途半端な田舎に住む、そろそろアラフィフ男。ほぼ週1のペースで音楽ブログ更新中。節操ない聴き方と思われてるけど、自分の中では一貫してるつもり。 最近は蔵書の整理がてら、古い本を再読中。ジョン・アーヴィングから始まって、フィッツジェラルドやゾラ、モームなど、いわゆる古典の復習中。いつになったら終わることやら。新刊読めねぇや。
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